今回紹介する「Anne Pro 2」は中国メーカーのメカニカルキーボードです。普通は「並行輸入の中国製品」と聞くと、安いって思うじゃないですか?この製品、そんなに安いとは思えません。もちろん品質は良いですし、デザインも素晴らしいです。でも、「60%キーボード」というジャンルの製品なので、正直なところ万人向けとは言いにくいです。つまり、普通の人にしてみれば「並行輸入の中国製品なのに全然安くなくって、しかも使いやすいとは言い難い」わけです。これ、最初に書いておきます。
じゃあなぜ紹介記事を掲載するのかと言いますと、私、この製品の前身機を持ってるんです。Banggoodから購入しました。そして、実機レビュー記事も掲載しています。
Anne PRO Bluetooth メカニカルキーボード - コンパクトなメカニカル、キー数は絶対足りないと思うが気持ちよさは抜群!(実機レビュー)
前身機Anne Proは「カップケーキみたい」なポップなデザインで、あまりの可愛らしさに衝動買してしまったんです。この当時私は「60%キーボード」というものを使ったことがなく、割と気軽に考えていたのですが、正直甘かったと思います。もちろん60%キーボードのユーザーはたくさんいると思いますし、みなさんうまく使いこなしておられると思うのですが、60%キーボードというのはとってもコンパクトで場所をとらないというメリットはあるものの、キー数は絶対的に足りないんです。Anne Proの場合、「方向キー(矢印キー)がFnキーと同時押し」というのが実用上かなり厳しいと感じられ(私の主観です)、メインで使うキーボードにはなりえませんでした。デザインは最高だし、キータッチも素晴らしいんですけどね。
ではニューモデルであるAnne Pro 2はどうなのか、チェックしてみましょう。
レイアウト: 61キーANSI(英語配列)
接続: USB有線接続/Bluetooth 4.0接続
スイッチ:
Kailh BOX Switch (茶/赤/白)
Gateron Switch (茶/赤/青)
筐体色: ブラック/ホワイト(ともにABS製)
バックライト: RGB(ウインタブで言うレインボーカラー)
Nキーロールオーバー: 対応
バッテリー: 1,900mAh(充電式)
サイズ: 284 × 97 × 40 mm / 635 g
61キーというのは前身機Anne Proと同じキー数なので、冒頭に書いたとおり一般的なユーザーにしてみればキーの数は不足しています。
これがキー配列です。
こちらが私の私物である前身機Anne Pro。確認してみるとキーのレイアウトは同じです。「英語配列だから」というのはあるのですが、通常キーボードの右下にある方向キー(矢印キー)がついていません。また、Deleteキーもないです。ちなみにDeleteキーは「Fn + /キーの同時押し」です。
日本語でテキスト入力をする際、少なくとも私は方向キーを多用します。というか、これがまともに使えないとテキスト入力ができません。素晴らしい打鍵感、そして素晴らしいサイズ感のAnne Proをメインのキーボードとして使えないのは、「ひとえに方向キーの使いにくさ」にあります。また、人によって多用するキーというのは違いがあると思いますが、多かれ少なかれキー数の不足による不自由さは発生すると思います。
世の中にたくさんいるはずの60%キーボードのユーザーというのは、様々な努力により、これらの使いにくさを克服しているのだろうと思います。例えばPCマニアの間で名高い「ハッピーハッキングキーボード(HHKB)」なんかもある程度克服しなくてはならない要素があると思われます(私は使ったことがないので、偉そうなことは言えませんが…)。ちなみにHHKBの場合は少なくとも日本語配列のものには方向キーはしっかりついています。
Anne Pro 2の大きな改善点として「TAP Key」という機能があります。この機能を使えば、右下のキー「Fn1、Fn2、Ctrl」とその一つ上の「右Shift」キーが方向キーとして使えるようになります。「いやでも右のShiftキーもFnキーも使えなくなるんでしょ?じゃマズイ」というツッコミは入りますね…。ただ私にとってはこの機能はとても有効です。
それともうひとつ「Magic Key(Magic Fn)」キーという機能もありまして、こちらは「W,A,S,D」キーを方向キーとして使えるようにするものです。テキスト入力のときに使えるものではありませんが、オンラインゲームなどでは役立つかもしれません。
これらの機能を実現するために専用のPCソフトウェアが用意されています。このソフトウェアにより、Anne Pro 2は「TAP」「Magic Fn」の他にキーボードマクロの設定やキーマッピングの変更もできるようになります。ちなみに前身機では「スマホアプリ」になっていまして、イルミネーションコントロールやマクロキーの設定、キーマッピングの変更もできましたが、この製品は主にPCで使うと思いますので、スマホアプリよりもPCソフトウェアになっているほうがずっとありがたいです。
もちろん前身機にも装備されていた、カラフルなバックライトも踏襲されます。そして、前身機に関して言えば、このバックライトは機能的にかなり満足の行くもので、イルミネーション(私は全然使いませんけど)、単色での常時点灯、明るさの設定などが可能です。
Anne Proはデザイン製とかサイズ感のよさだけの製品ではありません。メカニカルキーボードとしても高品質です。というか、メカニカルキーボードを購入するのなら、バックライトがキレイとかデザインがかわいい、というのは本来「二の次」と考える人が多いでしょう。
Anne Pro 2になり、キースイッチのメーカーを選べるようになりました。「Kailh」と「Gateron」で、Cherry MXは選べません。どちらも割と有名なスイッチなので、使用感が悪いということはないと思います。ただ私は「KailhとGateronのどっちがいいのか」ということについては言及が出来ません。
Anne Pro 2は中国の通販サイト「Banggood」で「Alert Me On Arrival(入荷お知らせ)」というステイタスになっていて、まだ販売は開始されていません。8月14日現在の参考価格はGateronスイッチのほうが69.99ドル(7,906円)、Kailhスイッチのほうが79.99ドル(9,036円)です。筐体色は、ちょっと残念なんですが、前身機のようにポップなものではなく、ブラックとホワイトのみとなります。
この価格は日本の有名メーカーのものよりは安いものの、Amazonあたりで売っているメカニカルキーボードと比較すると、安いとは言えません。
前身機Anne Proを持っている人間の意見ですが、この製品の品質は非常に高いと思えますので、「並行輸入の中華だから」という印象を別にすれば、決して割高ということはないと思います。ただし、英語配列の60%キーボードというのは誰にでもおすすめできるような製品特性ではない、とも思います。しかし、この世に多くの60%キーボードユーザーが存在していて、このように新製品が投入される余地があるというのも事実。
若干マニア臭のする製品ではありますが、面白そう!と思えるのなら悪くない買い物かもしれません。
関連リンク
[Gateron Switch]Obins Anne Pro 2:Banggood
[Kailh BOX Switch]Obins Anne Pro 2:Banggood
コメント
HHKBの廉価版のHHKB Liteにはカーソルキーついてますが 本来のHHKBにはカーソルキーはついていません
HANZUBONさん、こんにちは。すみませんでした。この製品のことをよくわかっていないので、引き合いに出すべきじゃなかったですね。
私もこの手のキーボードを使ってますけどいいですよ。Escが近くて。
ただ文章を書いてるとカーソルキーが無いのが不便なのはその通りですね。他のキーと合わせたショートカットでもよく使いますし。
Re:Puさん、こんにちは。マジですか?私は文章書きがメインなので、カーソルを自由に動かせないとストレスがたまってしまいます。
「並行輸入」と明記するからには「正規品」の販路があるということでしょうか。示していただけませんか。