こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回はスマホ用のスタビライザーをレビューします。類似の製品として、以前少し値の張る3軸タイプの製品をレビューしています。
FeiyuTech SPG c - スマホ用の「スタビライザー」を試しました。動画撮影はまさに「無双」です(実機レビュー)
このFeiyuTechの製品を試用した際、あまりにも滑らかに動画が撮影できるのにすっかり驚いてしまいましたが、なにぶん高価なのとサイズがかなり大きめであったため、今回は少しシンプルな2軸構造で、価格も比較的安い製品を試してみたいと思います。
「Shenzhen Hai Ji NaLiang Technology(深セン市海吉納亮科技有限公司)」という会社の「JJ-1」という製品なのですが、この会社は製品ブランドがなく、記事タイトルのつけようがありませんでした。なので、便宜的に「2軸軽量スタビライザー」と表記しています。
なお、この製品は中国の通販サイト「TOMTOP」に提供していただきました。TOMTOPにはこの場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。
1.筐体
スタビライザーには2軸と3軸があり、2軸は「左右にねじる」ブレには対応できません。そのため、手ブレ防止の精度は3軸よりも劣ります。その反面、軸が少ないため、筐体のサイズを小さく、軽くすることができます。また、スタビライザーというのは「結構な精密機器」だと思うのですが、軸が少ないぶん構造が単純なので、おそらく壊れにくいと思いますし、なによりも安価です。
前置きはこのくらいにして、筐体をチェックしてみます。
同梱物です。本体のほか、充電式の電池、充電器、充電用のUSBケーブル、検査合格証兼保証書、取扱説明書(英語あり)が入っていました。
これが「充電セット」。バッテリーというか充電式乾電池は「18350」というサイズのものが3本ついていて、すべて使用します。充電器はUSB接続です。
これが筐体背面で、ご覧のように電池を収納します。ただこれ、充電するたびにいちいち電池を取り外さなくてはならないのが面倒でした。しかし、18350というサイズの充電式乾電池は市販されており、性能が落ちてきたら新品と交換できる、というメリットはありますね。
また、背面の中央部分にあるボタンが電源ボタンとなります。
側面、っていうんでしょうか、「こんな形状ですよ」ということを説明するための画像です。この画像を見るとこの製品が「2軸」であることがわかると思います。筐体素材はプラスティック(表面素材のことを言っています。スタビライザーというのはモーターなどの部品を多く内蔵しているため、すべてプラスティックというわけではありません)です。表面はシリコンコーティングされており、しっとりとした手触りで、わずかに弾力があります。そのため、安っぽさは感じません。
スマホの固定は非常にやりやすいです。洗濯バサミと同じ構造ですね。なお、装着できるスマホの横幅は8.5センチまでとなっており、6.5インチのDOOGEE Y6 Max(横幅8.9センチ)は装着できませんでした。ちなみにiPhone 7 Plusは横幅が7.79センチということなので、装着可能だと思います。
スマホをセットしたところです。スマホの固定そのものはごく簡単で、一人でも簡単にできますが、固定したあと背面のアームの長さを調整してある程度のバランスを取ってやる必要があります。スタビライザーは水平位置の制御ができますが、あらかじめバランスをとっておかないとうまく制御してくれないことがあります。なお、この製品は画像のように横向きにしかセットができません。
前面のボタン類です。上にある上下の矢印ボタンはスマホの「ピッチ(上下の傾き)」を調整するボタンです。その下にある「M1」「M2」ボタンですが、説明書によると「M1」がオートマチック、「M2」がロックと記載されていたものの、私が試した限り、M1は「ロックを開放」M2が「ロック」という機能でした。ここでいう「ロック」というのは「スマホの向きを固定する」という意味で、ロックした状態にして初めてスタビライザーとして手ブレを防いでくれます。
一番下にある青いボタンは「カメラのシャッター / 動画のスタート・ストップ」ボタンで、一度押しでカメラのシャッターが、二度押しで動画の撮影がスタートとなります。
この製品の重量は実測値で376 g(電池込み)でした。スマホの重量も含めると、だいたい550 g前後ということになります。先日レビューした「FeiyuTech SPG c」よりも100 g弱軽量ではありますが、それなりに重いです。ただ、FeiyuTechは3軸で見るからに複雑な構造でしたが、この製品は2軸ということもあり、少し軽快というか、「壊れにくそう」な気がします。
なお、FeiyuTechのように専用のアプリはありません。スマホとはBluetooth接続をしますが、接続の恩恵は上に記載した「カメラのシャッター / 動画のスタート・ストップ」が操作できるのみです。これは賛否両論あると思います。FeiyuTechはアプリを使って非常に細かい設定が可能でしたが、この製品の場合、あえて言えば「手ブレを防いでくれるだけ」で、細かいことは一切できません。なので簡単と言えば簡単ですが、本格的にスタビライザーを使い倒したい、というニーズのある人には向かないと思います。逆に日常的に、気軽にスタビライザーを使いたいという人には操作がラクなので歓迎されると思います。
2.撮影してみた
FeiyuTechのときと同様に、スタビライザーを使って動画を撮影してみました。画質はスマホ性能に依存するので、「どのくらい画面がブレるか」ということのみに着目していただければ、と思います。
まず、スタビライザーを使わず、両手でスマホを持ち、緩やかな下り坂で歩きながら撮影したものです。
次に今回のレビュー機を使って撮影したもの。上の動画と同様に、緩やかな下り坂で歩きながら撮影しています。
そして、撮影日時は異なりますが、FeiyuTechを使って、ほぼ同一条件で撮影したもの。
スタビライザーを使わない場合、撮影した動画は上下左右にブレています。一方、今回のレビュー機で撮影した動画はブレが小さく、上下方向のブレはかなり抑えられているものの、左右方向のブレは残ります。そして、FeiyuTechはまさに「ヌルヌル」という感じでスムーズに撮影ができています。
この製品に先立ち、FeiyuTechの3軸スタビライザーをレビューしてしまったことで、正直なところこの結果には少し不満が残りました。「左右方向のブレに弱い」という認識のもとで使用を続け、ある程度慣れてくればここに掲載した動画よりも高品質な撮影は可能だろうと思います。ただ、3軸の品質を知ってしまうとなあ、というのが素直な感想です。
3.価格など
2軸軽量スタビライザーは中国の通販サイト「TOMTOP」で販売中で、9月30日現在の価格は72.99ドル(8,102円)です。この価格は記事中なにかと比較してきた「FeiyuTech SPG c」の117.13ドル(13,001円)よりも約5,000円ほど安いということになります。
品質のほう、全部ご紹介は出来なかったにせよ、「素人が普通に使った場合」にどの程度の実力になるのか、ということはご理解いただけたのではないか、と思います。明らかにFeiyuTechよりも品質(性能)は劣る、というのが私の評価です。一方で、構造が単純、設定も単純(というかそもそも設定なんてないに等しい)、サイズも小さく、いくぶん頑丈そう、というメリットはありますし、価格もかなり安いです。
負け惜しみじゃないんですけど、この製品にもう少し慣れたら、動画の品質は向上させることができると思います。本当に感動したかったら、高くてもFeiyuTech、気軽にスタビライザーを試したいならこの製品、と整理してレビューを終えたいと思います。