当サイトの記事は広告を含みます

CHUWI HeroBox & LarkBox 比較レビュー(読者投稿:渋谷Hさん)

CHUWI HeroBox VS LarkBox
こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は読者の方のご投稿です。先日「2020年後半以降のWindowsタブレット向けCPU事情(Atom系 中心)」という記事を寄稿してくださった「渋谷Hさん」が、今度はウインタブが得意な「中華ミニPC」の比較レビューをしてくれます。2機種ともご本人が購入されたとのことで、とても参考になります。

スポンサーリンク

では、渋谷Hさん、よろしくお願いいたします。

0.はじめに

筆者は最近サブマシン・持ち運び用と軽量マシンして、CHUWI HeroBoxとLarkBoxを立て続けに購入しました(一つは私物、一つは職場の予算で職場用で買っています)。一方は大型ヒートシンクを積んでまでファンレス、もう一方は放熱性能が厳しくなるのを覚悟で小型化した製品で、面白い好対照になっており、せっかくなので比較レビューをしてみたいと思います。

1.基本性能

HeroBoxもLarkBoxも同じ4コアGemini LakeのCPUを積んだ小型機です。メモリとストレージは差がありますが、両者ともCPU能力がボトルネックになることが多いため、性能的な意味での使用感には大きな差はありません。

HeroBox
 Celeron N4100 / 8GB RAM / 256 GB SSD
 580 g / USB 4ポート / HDMI + VGA / 有線・無線LAN

LarkBox
 Celeron J4115 / 6GB RAM / 128 GB eMMC
 127 g / USB 2ポート / HDMI / 無線LAN
 
CineBench R20実測
 Larkbox: マルチ556, シングル152
 Herobox: マルチ546, シングル149
 Surface Pro gen5: マルチ667, シングル335 (参考)

ベンチマークも見ての通りほぼ同じです。両者は定格のクロック周波数が多少違う程度で、それも発熱防止機能による変動に埋もれる程度の違いしかないということでしょう。

Gemini Lake製品のレビューを御覧になっている方であればおなじみとは思いますが、どちらも軽い作業、ブラウジング、動画再生、文書処理といった用途でもたつくことは少ないでしょう。ただ、その軽い作業でもCPUがフル回転しており、それ以上の余裕はありません。例えば動画や巨大Excelの編集作業などヘビーな作業に向かないのはエントリー機を使う上での共通了解でしょう。また私は4kディスプレイ@60Hzを使っていますが、この解像度となるとスクロールが遅くなるウェブページが増えますし、PowerPointの編集などグラフィックスの再描画が多い用途でももたつきが顕著になりますので、4kでは基本的に閲覧中心で扱ったほうが無難です。

両者は基本性能ではほぼ同じですが、大きさと放熱手段は大きく異なります。HeroBoxは大型のヒートシンクを備えファンレスの構造で、アダプタを含めるとちょっとしたノートPC並みのサイズです。一方LarkBoxは小型高回転のファンを搭載してアクティブ冷却する構造になっており、音はしますがスマホ並みのサイズと重量です。機種別の使用感はこの点に絞って比較します。

2.HeroBoxとLarkBox、Mac miniの大きさ比較

CHUWI HeroBox VS LarkBox
Herobox
HeroBoxはMac miniの2/3程度の大きさで、重量もアダプタ込みでモバイルノート程度しかなく、十分に持ち運びできるミニPCです。

HeroBoxはファンレスですのでほぼ無音、無理に間近で聞くとコイル鳴きらしき音がわずかに聞こえる程度で、この点は普段使い用として非常に快適です。表面温度は常時35℃~50℃程度で推移し、電源設定で高パフォーマンスを選ぶと若干高い温度で推移します(省電力を選ぶと露骨にレスポンスが悪くなるので、バランスか高パフォーマンスを選んだほうが良いでしょう)。

基本的にはベンチマークプログラムを走らせ続けても問題ない程度の放熱能力は持っているのですが、油断して2回ほど温度上昇による強制スリープを経験したことがあります。1回目は何の気なしにHeroBoxの上に本を置いてしまっていて、それが放熱を妨げていました。2度目は机と壁の間の狭いスペースに押し込んでいた時です。いずれにしても触るとびっくりするほどの高温になっており、本一つで狂ってしまうギリギリの熱設計だということを感じさせられました。現在は、上にものを乗せないため、なるべく空気に触れる表面積を増やしておまじない程度の冷却効果を期待して、縦置きで使っています。

LarkBox
LarkBoxの特徴はなんといってもその小ささで、持ち運ぶのには何の苦労もありません。アダプタもストレッチゴール達成で軽量品になり、両者を合わせても8インチタブレットの大半よりも軽いほどです。

放熱は小型高回転ファンで行っており、実質的に常時回っているため音を気にする人にはやや気になるレベルになります(私は気になるタイプです)。売り文句では19 dBAの静音ファンとなっていますが、普通に机の上に置いて使うと体感的には30~40 dBAと同等の音に聞こえます(実測された方がおり、吸気口の直近では50 dBA程度になるようです)。大まかに言えば、「喋ったり動画を再生していたりすれば気が付かないが、静かにすると気になる」「エアコンの強風モードではノイズに隠れるが、弱風モードでははっきり聞こえる」という程度の音量です。

ノイズの大半は高周波成分なので遮蔽すれば体感的に半分程度に落とすことはでき、例えば机の下に両面テープで貼り付けることができるので、これで机の上で聞こえる音量はだいぶ小さくなります(壁で反射はします)。ただし密閉したり吸気口・排気口を塞ぐのはまずいのでその点は注意が必要です。

スポンサーリンク

また、表面は生暖かい程度ですが(実測レビューによると50℃程度)、内部は結構熱くなっており、USBデバイスをしばらく使ってから抜くと、LarkBoxでは熱さを感じる程度になります。

3.両方使っての感想

HeroBoxとLarkBoxは中身がほとんど同じだけに、比較すると放熱処理の違い、言い換えれば小ささと低温・静音のトレードオフ関係を強く感じることになりました。

HeroBoxはファンレスで温度もそれほど上がりませんのでリビングや書斎に置くには最適です。一方、重量のかなりの部分がヒートシンクで占められていると思われ、携帯するにはやや不利になっています(それでも580 gですが)。また、油断して自然放熱が難しい場所に押し込んでしまうと温度上昇でスリープしてしまう繊細さも併せ持っています。

LarkBoxは持ち運びやすい大きさで可搬性を重視するならこれ一択です。筆者はWindowsタブレットの愛用者で、これは魅力的でした。ただ、小ささゆえに熱くなりやすい上、高回転の小型ファンを採用せざるを得ず若干音が大きくなっています。LarkBoxは薄型遠心ファンを採用しており、これは通常カタツムリ型のケーシングをするのですが、Larkboxの小ささでは空力上効率のよいケーシングが収まらない印象でした(実測したわけではないので断言はできませんが)。この点は、普段使いするのにネガティブな点です。

現在ミニPCの主流は単行本サイズにノート用の薄型遠心ファンを備えた製品で、Macminiはもちろん、PEPPER JOBS、BMAX Bシリーズ、MINISFORUMなど多くのメーカー
から製品が出ています。ファン搭載で軽量化しつつ、ノイズ音量を気にならないレベルまで下げられる最小サイズがこのあたりなのでしょう。これらの製品は外部ポートや内部に拡張用の余裕があり、これを切り詰めていくと、ドスパラの文庫本PC程度のサイズになると思います。単行本サイズは8インチタブレット、文庫本サイズは7インチタブレットに相当するサイズで、Apollo Lake以降は2in1向けに調整されているので、このサイズが最適なのは必然でしょう。

CHUWI HeroBox VS LarkBox
典型的な遠心ファンの模式図。薄型にできる代わり、やや広め…

4.こんなデバイスが欲しい

Gemini LakeはミニPCとタブレットを中心に使われていますが、いっそ両者を合わせ、(ファン付きで)ミニPC用途を主、7~8インチタブレットを従として兼用するニッチは存在するのではないか?と思っています。このニッチにはCherry Trail採用品でGOLE 1 PlusやOckel Sirius A、PIPO Xシリーズといった製品が出ていますが、昨今はさらに良い条件が整いつつあります。

Gemini Lake後継のJasper Lake (Tremont)が来年頭に登場すること。性能はGemini Lakeの1.3~1.5倍、Atom x5-Z8350と比較すれば2~4倍、Baytrail比なら4~8倍ほどになり、作業マシンとしてもある程度の実用性が期待できます。

接続がUSB-Cケーブル1本で足りるようになってきたこと。昨今のUSB-C付きディスプレイはモバイル機器用ドックの機能持っており、PCへの給電、PCからの映像出力、USBハブの機能をケーブル1本で賄えます(参考)。Ice Lakeではすでに可能なので、同じくGen11 GraphicsのJasper Lakeでも可能ではないかと思います。

ミニPCもそこそこ需要があり、昨今のリモート勤務推進でサブ機の需要が高まっていること。私がミニPCを物色していた際にAmazonレビューでこの意見が目立ちました。

7~8インチタブレットは薄いながら確実に需要があるのが再確認されたこと。2015年以降一度絶滅寸前になりましたが、iPad miniは2019になって新型が出ましたし(私も愛用しています)、Windowsでさえ2018年にマウスから「ほぼ再販」のモデルが出ています。

ミニPCも7~8インチタブレットも主流ではないかもしれませんが、現在はちょうど兼用できる条件が整っており、需要を束ねるとともに、兼用できることによる作業の引継ぎやすさを引き出したり、購買時の心理的ハードルも下げられるのではないか、と期待しています。

iOSやAndroidのようにファンレスも目指したいところですが、最近はそちらのほうも潜在的な消費電力は高く、iPadはアイドル時に公称3W、高負荷時は6~8W程度のTDPと推定されます。現在はスマホやタブレットが発熱しにくいのはソフトウェア的に負荷を低めに保っている部分が重要になりつつあり(Windowsでその問題に取り組もうとしているのがWindows MobileやWindows 10Xの歴史です)、スマホであってもゲームのように常時負荷をかける用途にはスマホ用ファンやファン付きスマホ等が出てきています。

Windowsの用途は閲覧だけでない編集作業が多く、編集作業を助ける機能はインデクシングや入力予測などで地味に重くなりがちですので、結局ある程度の電力消費・発熱を前提とせざるを得ず、普段使いできるWindowsマシンはファン付きタブレットが最小サイズになるのではないかと考えています。

この数年はWindowsタブレットは2in1以外めっきり少なくなりましたが、Apollo lake /Gemini Lake採用品は国内メーカでも大手からBTO、果てはドンキのミニマム性能PCまで幅広く出ていますので、どこかのメーカーにチャレンジして頂ければ……と期待してしまいます

5.関連リンク

CHUWI HeroBox:Amazon
CHUWI LarkBox:Amazon
※9月29日現在、日本のAmazonが海外通販とほぼ変わらない価格になっていましたので、日本のAmazonにリンクしています

スポンサーリンク