こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。日頃タブレットの紹介記事で「ワコムのデジタイザーが」とか「筆圧が」などと偉そうなことを書いていますが、私はグラフィック系の専門知識は持ち合わせていません。そのため、実機レビューなどでも「強く書くと線が太く、弱く書くと線が細くなる」くらいのことしか確認できません。でも先日は読者レビューとして専門的かつ良質なコンテンツを追加できた、というのはあります。
イラストなどのグラフィック処理をしっかりやるためにはデジタイザーが必須だと思いますし、デジタイザーといえばワコム、というのもそんなに間違った理解ではないでしょう。そのワコムから新しいWindowsタブレットが発表されました。当然手書き入力に特化したものですが、ある意味「タブレット本来の姿」ともいえる製品だと思います。
1.スペック
OS:
Pro 13:Windows 10 Home / Pro
Pro 16:Windows 10 Pro
CPU: Intel Core i5-6267U / i7-6567U
GPU:
Pro 13:Intel Iris Graphics 550
Pro 16:NVIDIA Quadro M600M 2GB / M1000M 4GB
RAM: 4GB / 8GB / 16GB
ストレージ: 64GB / 128GB / 256GB / 512GB SSD
ディスプレイ:
Pro 13:13.3インチ(2,560 x 1,440)
Pro 16:15.6インチ(3,840 × 2,160)
ネットワーク: 802.11 ac、Bluetooth 4.1
カメラ: イン5MP / アウト8MP(RealSense)
入出力: USB 3.0 Type-C、microSD、オーディオジャック
バッテリー稼働時間: 最大6時間
サイズ:
Pro 13:366.6 x 228.8 x 16.4 mm / 1,320 g
Pro 16:418 x 262 x 19 mm / 2,220 g
Wacom MobileStudio Proにはディスプレイサイズの異なる2つのモデル「Pro 13(13.3インチ)」と「Pro 16(15.6インチ)」があります。それぞれバリエーションがあるのですが、OS、CPU、GPU、RAM、ストレージが異なります。
Pro 13:
i5 64: Windows 10 Home、Core i5、4GB、64GB
i5 128: Windows 10 Home、Core i5、8GB、128GB
i7 256: Windows 10 Pro、Core i7、8GB、256GB
i7 512: Windows 10 Pro、Core i7、16GB、512GB
※i7 512のみセキュリティスロット、指紋認証センサーが付属
※i7 512のみRealSenseカメラ搭載
※グラフィックはIntel Iris 550
Pro 16:
i5 256: Windows 10 Pro、Core i5、Quadro M600M、8GB、256GB
i7 512: Windows 10 Pro、Core i7、Quadro M1000M、16GB、512GB
※i7 512のみセキュリティスロット、指紋認証センサーが付属
※i7 512のみRealSenseカメラ搭載
ちょっと複雑な感じですが、グラフィック系の作業にもいろいろありますから、必要に応じてモデルを選べ、ということですね。特に3D系の場合は「i7 512」なのかな、と思います。RealSenseカメラはこれしかつきませんから。
この製品が十分なハードウェア性能を持っているということは十分わかると思います。しかし、ワコム製ということもあり、「すごいのはここから」でしょう。
この製品のデジタイザーはいつもウインタブで記事にしている製品とは異質です。ウインタブで取り上げるビジネス用の2 in 1とかタブレットの場合、筆圧は「1,024段階」か「2,048段階」ですが、この製品は「8,192段階」です。記事の冒頭に書いたとおり、私は何段階だろうと全く差を体感できないのですが、使う人が使えば8,192段階というのは素晴らしい性能なんじゃないか、と思います。
この性能を支えるのが、製品本体に付属する「プロペン2」です。プロペン2は筆圧が4倍なだけでなく、「ペンの正確さが4倍向上」「ペンの追従性の向上」「傾き検知の向上」「視差の軽減」「電池レス、バッテリーレス」といった特徴があります。定量的なものと定性的なものが混ざったアピールなんですが、ワコムが公式にそう主張しているので、信用するに値します。
2.筺体
上の画像がPro 16、下がPro 13ですが、ディスプレイサイズが異なる以外はほぼ同じデザインです。また、筺体左側にあるスイッチ、リング類はワコムユーザーにはおなじみさんのようで、ワコムの従来機にあるファンクション系のインターフェースです。
この画像はワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq 13HD」ですが、筺体左側のインターフェースがよく似ています。私のような「ワコムってスタイラスの会社でしょ?」とか思っている人間は別として、従来からのワコムユーザーには歓迎すべきものだと思います。
この製品は液晶ペンタブレットではなく、Windowsタブレットなので、パソコンとしても使えます。なので、キーボードも別売りで用意されます(メーカーのスペック表などではキーボードが別売りとか付属するとか、一部混乱しそうな記載がありましたが、この記事では安全確保のためw 別売りとして紹介します)。
タブレットスタンドも用意されます。これもヒンジがついてるとか狭い場所でも使えるとかいう価値観ではなく、手書き入力をやりやすくするため、という用途なので、通常のスタンドとは全然形状が異なっています。角度調整は3段階、折りたたむとフラットになり、持ち運びに便利、とのことです。
上のほうで、「この製品は液晶ペンタブレットではない」と書きましたが、オプションの「Wacom Link」を使ってPC(WindowsかMac)に接続すれば、液晶ペンタブレットとしても使うことができます。私なんかは「それだともったいない」とか思ってしまいますが、プロフェッショナルな人には歓迎されるんでしょうね。
3.価格と発売時期
Wacom MobileStudio Proは11月下旬の発売予定で、価格は「わかりません」。まだどこにも価格情報が掲載されていないので、なんとも言えないです。しかし、安くはないでしょうね。10万円以下だったら迷わず全員飛びつくでしょうけど、世の中そんなに甘くはないですからねえ。
おそらくこの製品、情報を確認しただけだとみんなが欲しくなるような魅力がありますが、実際使いこなせるのはプロ(級)のクリエイターとか技術者の人なんだろうなあ、と思います。私が持つと確実に「猫に小判」になるでしょうね。残念ですけど。
4.関連リンク
ワコム、モバイル環境でも自由な作品づくりを可能にするパワフルなWacom® MobileStudio Pro を発表:ワコム ニュースリリース
Wacom MobileStudio Pro:ワコム 製品情報ページ
コメント
16インチのメモリ16Gモデルが欲しいですが、現行機の値段を考えると30万は間違いなく下らないんじゃないかなーと思ってます。
液タブ版でないかなぁ……
こんにちは、コメントありがとうございます。価格予想は「いい線いってるう!」と思います。そう簡単には無理っすね…
私もこの製品のニュースを見た時の第一印象は「めっちゃ高そう」でした。
私にも、とても使いこなせる製品ではないですね。
こんにちは、コメントありがとうございます。いや、めっちゃ高いのさえしのげば明るい未来が…。というのは冗談ですが、グラフィック系の趣味とかお仕事をされているのなら「思い切る価値」はあるかもです。
ぶっちゃけ筆圧これ以上あげたところでって感じだしな、視差が少なくなってるのは良いね
ただ相変わらず読み取り速度の数値隠してるあたり今回もまさか200pps以下なんじゃねーか…
そして絵描きに不評な16:9を未だ採用、せめて16:10ならなぁ(3:2が理想だが)
分厚い、重い、バッテリー保たないのも健在で、これならただの液タブで安く売ってくれたほうがユーザーは嬉しいと思う
大不評のスタンドはまさかの改善なしの使い回し、外部メモリも使えずPCとの接続に別売りアダプターが必要…
本体の開発力の無さは相変わらずWacomって感じか
てかペンですら8年間なにも変えてこなかった怠慢はスゲーな
株主総会で指摘されたApplePencilに対抗するため急遽作ったけど付け焼き刃臭が…
こんにちは、コメントありがとうございます。手厳しいご意見ですが、Windowsなら結局ワコムに期待する以外の選択肢はないのでは?
今度発表会があるMicrosoftに期待ですね
Surface AIOが発表なるか、時期Microsoft Penがお披露目になるかなど
既にR82などワコムのCintiqを凌ぐ精度のペン付きWinタブなどが出てる現状、次世代になると言われるAESやEMRを使ったサード製のが楽しみです
あと代理店が出来てそのコストパフォーマンスの高さから予約が殺到してるHUIONも注目株と思います(自分も思わず注文しちゃったり)
少なくとも昔から本体に関してワコムはユーザーに期待されてなかったりします(笑)
ペンだけ提供するビジネスモデルに変えれば良いのになぁと良く言われてますね
こんにちは、コメントありがとうございます。いただいた温度感というか位置づけ的なコメントは私は全然知りませんでした。特に高い関心がない一般人だと「ワコムとそれ以外」とかになってしまっていました。うーん、絵かき方面はライターがいてもらったほうがいいなあ。私だと製品の正しい評価が難しいし。
なんか、筆圧がドラゴンボールの戦闘力みたいになってきた。
うん、相変わらず手軽にはほど遠いお値段になるのは想像に難くない。
ただ、フラグシップ機が凄まじいほど、
「あの」ワコムが「この」お値段で、
Jumper EZPad 5SEスゲー、Cube i7 Book万歳!
はたしてその性能やいかに…!?
みたいな楽しみが生まれるというものですよね。
natsukiさん、こんにちは、コメントありがとうございます。ドラゴンボール的な推移になるとすると、来年あたりには32,768段階くらいまで成長しそうですね。あと、CubeとかJumperについては絵描きさんの評価が気になります。あおぴさんは高評価でしたし、私レベルだと1,024段階でなにが不足なのか、とか思っちゃいますからねえ。
ワコムのお値段は「ブランド」の面が大きいですからね。
消費者視点からすると、Windowsタブレットで「イラスト用PC」という「売り方」をしている企業がワコムの他にHPとVAIOくらいしかないのが問題かと。
(そしてVAIOはワコムとタメ張るくらい高い)
例えば、R82の名が上がっている東芝。
店頭でいじってみたかぎりの印象ですが、ワコム技術搭載機では、東芝の10万越えクラスの書き味は他社から頭ひとつ抜けている感じがします。私も、描き心地「のみ」だけ考えて、Cintiq Companion 2とDynabook R82のどっちを買うかとなれば、迷わずDynabook R82に行きます。
ところが、東芝はデジタイザをあくまで「ビジネス機」というカテゴリで宣伝していて、せっかくのデジタイザの素晴らしい描き心地をウリにする意志がまったく見えない。公式HP見て、「自然な書き心地で手書き入力が可能」と宣伝した直下にメモアプリを紹介しているのは、それを象徴しています。メモアプリに筆圧2048段階は要らんだろ(笑)
「これからデジタルイラストでもはじめたいな」って思った人が、ざっと情報を集めたときにDynabook R82はまず引っかからないでしょう。
ということで、液晶デジタイザ市場って、消費者が欲しい情報がかならずしも出回っていないんですよね。
だからこそ、私なんかは「出会いの楽しみ」がすごくあるんですが。
今後、市場がこなれて競争原理が働いてくると、また違った動きがでてくるでしょうね。
まだまだ注目のジャンルだと思います。
natsukiさん、こんにちは、コメントありがとうございます。勉強になります。別件ですがMicrosoftの「ペイント」アプリが3D対応するみたいですし、Microsoftは今後手書きの分野に力を入れる、ということなので、注目のジャンルであることは間違いない、と私も思います。
上位EMRデジタイザ新型が冬に出るかもみたいな噂があったんだけど
上位EMR自体はもちろん一般向けでは無いのですがまさか8kとは・・・
一般向けの新型AESも同時進行でリリース間近なのです
このスレ的にはコッチですね
4k筆圧、傾き検知、スキャンレート向上と中々すごいですよ!
こんにちは、コメントありがとうございます。私はデジタイザーの性能や機能について多くを語ることができません。また実機レビューでもデジタイザー性能を評価するのが難しいです。読者の方々のコメントを拝見しているとこの機能についての注目度が高いようなので、なにか手を打たなければ、と思っております。
これはもう専用機でWinタブと呼んでいいのか。
こんにちは、コメントありがとうございます。それは人それぞれか、と。Windowsが入っているタブレットなのでWinタブでいいとは思いますけどね。
うーわこれはもう軽く30万は超えてくるでしょうね。。。
natsukiさんのコメント、とても勉強になりました。各企業も購買訴求の方向性が定まっていないのがデジタイザ市場なんですかね。色々ともったいない機種が多そうなのでウインタブさんのようにユーザー目線での紹介記事はかなり影響力持つ分野なのではないでしょうか!(Dynabookのことも知らなかった・・・機会があれば触ってみたいです)
この機種に関しては、どこの層を狙っているのかしら、という気がします。価格帯は完全にプロ向けになるんでしょうけど、そのレベルの設備投資が可能なプロレベルユーザーは既に強力なデスクトップ環境に大画面の液タブを持っているでしょうし、液タブ新しくするタイミングでわざわざ純粋な液タブよりインチが小さくて高い機種を買うとも思えない・・・作業環境の持ち出しが必要なプロもそうそういないと思いますしね。ネームならともかく、喫茶店で集中してガチの原稿したいってニーズは少なそう。
本命機の値段ですが本命にするには画面が小さいとも思います。私の周りだけを見た印象なので千差万別でしょうが、20インチ超えを使っている人が多いですね。
趣味でデジタル絵が描きたいけど液タブは高いけど板タブ使いにくいな~って人ならマジでi7で必要十分だと思いますし。
OS含めたPCとしての完成度でApple Penと真っ向勝負するのは無理でしょ!限りなくロスレスに近い、安定した高解像度大画面の液タブって開発方向にシフトすればいいのにと思いました。マジでどこの層が買うのこれ。
あおぴさん、こんにちは、コメントありがとうございます。あおぴさんが書くと説得力ありますねえー。私、はなっからこの製品には向いてないと自己診断できるので、あまり深く考えられないです。またデジタイザー機のレビューお願いしますね!
初めまして。
価格予想サイトがないかなと放浪していたら、このサイトに辿り着きました。
趣味と副業でイラストを描いている者です。
私は16インチを狙っているのですが、恐らくCintiq companion2の値段から推測して30万超え(32~34くらい)かなと考えています。
恐らくかなりの高性能で全てを使いこなせるようになるまでが長く、飽きなさそうでワクワクしますが、本業じゃないのにこんなに投資する必要があるのかと冷静に見てしまう部分もあります。
本業が絵とは全く別の仕事なので余計にそう感じるのかもしれません。
高いのであればそれなりのサポートもないと満足できませんよね(´Д⊂ヽ