記事内に広告が含まれています。

Widevineとは何か?L1とL3の違いや確認方法、動画サブスクでの影響を解説(2025年版)

オピニオン

Widevineとは何か
ウインタブがよく紹介したりレビューしている中国タブレットは、いまや多くの製品がWidevineのセキュリティレベル1(L1)に対応しており、「この話題はもう過去のものかもしれない」とも感じています。ただ、Widevineのレベルは製品購入時の判断材料として依然重要なもので、いまでもL1非対応の製品が見受けられるため、製品レビューでは必ず、製品紹介記事でも可能な範囲でWidevineのレベルを記載するようにしています。

「タブレット製品のWidevineはL1でなくてはならない」とまでは思っていません。動画サブスクリプションサービス(以下、動画サブスク)を利用していない、あるいはYouTubeくらいしか見ない、という人であれば、L3でもほとんど不便は感じないと思います。Widevineのレベルが製品の良し悪しに直結するわけではなく、あくまで用途次第で判断すべき項目だと考えています。

この記事では、2020年に公開した記事をベースに、2025年現在の状況を踏まえて、Widevineについて改めて整理してみたいと思います。

スポンサーリンク

1. Widevineとは

Widevineは2000年代初頭にWidevine Technologies社が開発したDRM(デジタル著作権管理)技術です。2010年にGoogleが買収したことで、WidevineはAndroid OSやChromeブラウザなどで標準的なDRM技術の一つとして採用されるようになり、現在では主に動画サブスクの著作権保護に使われています。

WidevineにはL1 / L2 / L3という3つのセキュリティレベルがあり、多くの端末ではL1またはL3が搭載されています(ウインタブではL2対応製品を見たことがありません)。

ただし、このWidevineの影響を受けるのは、あくまでAndroid端末やChrome OS搭載端末に限られます。WindowsやmacOS、iOSでは別のDRM技術(たとえばAppleのFairPlayなど)を使用しているため、Widevineのレベルが再生品質に影響するケースは基本的にありません。

Widevineと動画サブスクの普及の関係

私達一般ユーザー的には、Widevineの話題がクローズアップされ始めたのは2020年前後だったと記憶しています。当時は「コロナ禍」によって動画サブスクの利用者が急増し、その過程で「HD画質で見られない」「L3だった」といった声がネット上で見かけられるようになりました。ウインタブでも同年末に初めてWidevineについての解説記事を公開しています。

Widevineと動画サブスクの普及の関係(簡易年表)

出来事 一般ユーザーへの影響
2003年頃 Widevine TechnologiesがDRM技術を開発 業務用途が中心、一般ユーザーには無関係
2010年 GoogleがWidevineを買収 Android / ChromeでのDRMに採用され始める
2015年 Netflixが日本でサービス開始 一部ユーザーの間でL3制限による画質問題が表面化
2020年 コロナ禍で動画サブスク需要が急増 Widevineの話題が一般層にも浸透
2020年末 ウインタブで初のWidevine解説記事を公開 旧記事はこちら
2025年 多くの中華タブレットでL1対応が進む それでもL3端末は一部に存在

2. L1とL3の違い

Widevine L1は、TEE(Trusted Execution Environment)という端末内の安全な領域(ハードウェア領域)で映像の復号処理を行います。復号された映像データや暗号鍵は外部からアクセスできないように保護されているため、NetflixやAmazonプライムビデオなど多くの動画サブスクでは、HD画質やHDR再生を行うための前提条件としてL1対応が求められます。

一方でL3は、TEEを使わずにソフトウェアだけで復号処理を行う仕組みなので、セキュリティ面ではL1に比べて弱くなります。そのため、L3対応の端末ではSD(480p)画質に制限されるケースが多く、サービス側で高画質の再生がブロックされることもあります。

ただ、すべてのサービスが厳しく制限しているわけではなく、YouTubeやAbemaのようにL3でもHD画質で見られるケースもよくあります。このあたりは「どのサービスを使うか」「どれくらい画質にこだわるか」によって、気にする必要があるかどうかが変わってくると思います。

3. L1対応でも画質制限がかかるケース

ここで注意したいのが、「L1に対応しているからといって、必ずしもHD画質やHDR再生ができるとは限らない」という点です。

NetflixやAmazonプライムビデオ、Disney+などのサービスは、Widevineによる技術的な認証とは別に、独自の「ホワイトリスト(動作確認済み端末リスト)」を持っており、それに登録されていない端末ではL1対応であっても高画質再生ができない場合があります。

とくにNetflixではこの傾向が強く、HDR再生に対応する端末については公式サポートページに一覧が公開されています。

スポンサーリンク

4. Widevineの確認方法

お使いの端末がL1かL3かを確認するには、「DRM Info」というアプリを使うのが一般的です。Google Playストアからインストールでき、アプリ内の「Widevine」セクションに「Security Level」が表示されます。

DRM Info(Google Play)

また、動画サブスクの各アプリにも、Widevineの状態や画質を確認できる情報が含まれていることがあります。ウインタブでは以下のような挙動を確認しています:

  • Netflix:アプリ設定にWidevineレベル(L1/L3)が表示される
  • Amazonプライムビデオ:再生画面にHDなどの画質が表示され、そこでL1かどうかを推測できる
  • Disney+:Widevineレベルや再生品質を表示する手段が見当たらず、目視で画質を確認するしかない
Google Pixel 8でのWidevine確認

クリックで拡大します

これは私のスマホのスクリーンショットです。画像左がDRM Info、画像右がNetflixです。この画像ではいずれも「L1」になっていますが、たまに「両者の表示が異なる」こともあります。次章で説明します。

5. DRM Infoと実際の挙動が異なることがある

「DRM InfoではL1と表示されているのに、NetflixなどではHD再生ができない(設定画面でL3と表示される)」といったケースがしばしばあります。このような「判定のずれ」が起きる理由としては、以下のような要因が考えられます:

  • 端末がNetflixのホワイトリストに載っていない(3章にて説明)
  • NetflixアプリがGoogle Play以外からインストールされた(野良APK)
  • Netflixアプリのバージョンが古い、あるいは最適化されていない
  • 端末のセキュリティパッチやブート状態がNetflix側の基準を満たしていない

このように、DRM Infoでの表示はあくまで「端末としての対応レベル」であり、実際のサービス側での再生挙動とは必ずしも一致しません。

6. 重要性は使い方による

Widevine L1が求められるのは、NetflixやAmazonプライムビデオ、Disney+などの動画サブスクをHD画質やHDR画質で楽しみたい場合です。映像体験を重視する人にとって、端末がL1対応であることは必須です。

一方、YouTubeやAbemaのようにL3でも十分な画質で再生できるサービスを中心に使うのであれば、L1に対応していなくても実使用上の支障はあまりないと思います。そもそも動画サブスクを利用しないという方にとっては、Widevineのレベルは特に気にする必要はないかもしれません。

7. まとめ

WidevineはAndroid端末やChromeブラウザなどで使われるDRM技術で、動画サブスクとの組み合わせで再生画質などに影響を与えることがあります。私達一般ユーザーにとってL1とL3の違いが意味を持つ場面は「主に動画サブスク」に限られていますが、ご自身の用途によっては確認しておく価値がある項目です。

最近の中華タブレットではL1対応が一般的になりつつありますが、すべての端末がそうとは限らないため、購入前に各所のレビュー記事や動画などで確認しておくと安心です(ウインタブ以外でも、多くのレビューサイトやレビュー動画でWidevineには言及していると思います)。

8. 関連リンク

WideVineについて - Android端末を購入するなら知っておくべき著作権保護の基準

執筆者:ウインタブ
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
サイト紹介・ウインタブについて

執筆者:ウインタブ
ノートPCやタブレットのレビューを中心に、実用的な製品選びを提案する情報サイトです。
サイト紹介・ウインタブについて

コメント

タイトルとURLをコピーしました