こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。「2020年春のノートPC購入ガイド」の、特別編も含め8回目です。今回はウインタブが大好きな「エントリークラスのモバイルノート」を比較してみます。お気づきの人も多いと思いますが、日本のノートPC市場はCore iプロセッサーやRyzenを搭載する製品が主流になっていて、Celeron搭載のエントリーマシンというのは影が薄くなっています。なので、「高性能モバイルノート」をピックアップする場合、掲載条件を厳しく設定しないと製品を絞り込めなかったのですが、今回は「絞り込むまでもない」という感じでした。
記事掲載のルール:
・11.6インチサイズ
・価格は3万円前後。4万円は対象外
こういう、非常に簡単なルールにしまして、4つの製品を選びました。なお、この記事はウインタブのオピニオン記事なので、掲載していない製品が悪い、ということではありません。この点あらかじめご了承下さい。
目次
1.acer Aspire 1
価格: 25,330円(税込み)から
※3月2日現在のAmazon価格
※型番:A111-31-A14PA
●25,330円モデルのスペック
OS: Windows 10 Home(Sモード)
CPU: Celeron N4000
RAM: 4GB
ストレージ: 64GB eMMC
ディスプレイ: 11.6インチ(1,366 × 768)
サイズ: 291 × 211 × 20.95 mm / 1.07 kg
acerの「Aspire One」といえばかつて(10年以上前ですけど)話題になった「ネットブック」を思い出す人も多いのではないでしょうか?この製品はエントリークラスの製品ではありますが、当時のネットブックよりははるかに性能が向上しています。
この製品の(この記事での他製品との比較上の)強みは入出力ポートです。11.6インチのエントリーノートながら、3つのUSBポート、HDMI、そして有線LANポートを備えています。またSDカードリーダーはmicro規格ではなく、しっかりフル規格です。ビジネス利用を前提にすると、このポート構成は非常に魅力的だと思います。
なお、この記事で紹介している製品の型番「A111-31-A14PA」は「Amazon限定モデル」です。他の通販サイトで販売されている、ほぼ同スペックの「A111-31-A14P」よりもかなり価格が低くなっています。
Amazonへのリンク:
A111-31-A14PA【Amazon.co.jp 限定】
ウインタブ紹介記事:
acer Aspire 1 A111-31-A14P/F - 税抜で3万円を切る11.6インチのモバイルノート、Windows 10(Sモード) 搭載でセキュリティーも強化
2.DELL Inspiron 11 3000 2-in-1
価格: 36,554円(税込み)から
※3月2日現在のDELL公式ストア価格
※モデル名:スタンダード
●36,554円モデルのスペック
OS: Windows 10 Home(Sモード)
CPU: AMD A9-9420e
RAM: 4GB
ストレージ: 64GB eMMC
ディスプレイ: 11.6インチ(1,366 × 768)タッチ
サイズ: 287.4 × 197.78 × 17.3-19.15 mm / 1.16 kg
この記事中、唯一のコンバーチブル2 in 1です。2 in 1筐体のデメリットである重量は1.16 kgに抑えられ、この記事中の他製品(すべてクラムシェル筐体)と比較しても特に重い、という感じはありません。一方で価格は少し高めになっていますね。
この製品はプラスティック筐体ながら、「プラスティックであることを隠そうともせず、しかし高い剛性感がある」という、独特の質感を備えています(旧モデルの実機レビューでは非常に高く評価しました)。
DELLへのリンク:
New Inspiron 11 3000 2-in-1(3195) (2019年8月20日発売)
ウインタブ紹介記事:
DELL Inspiron 11 3000 2-in-1(3195) - AMD CPUを搭載する11.6インチのエントリー 2 in 1がニューモデルになりました!
3.HP Stream 11-ak0000
価格: 29,480円(税込み)から
※3月2日現在のHP Directplus価格
※モデル名:エントリー
●29,480円モデルのスペック
OS: Windows 10 Home(Sモード)
CPU: Celeron N4000
RAM: 4GB
ストレージ: 64GB eMMC
ディスプレイ: 11.6インチ(1,366 × 768)
サイズ: 281 × 194 x 16.5-18.5 mm / 1 kg
HPの「ウインタブ的には名機」Stream 11が復活しました。旧モデルのポップな雰囲気から少し落ち着いたデザインとなり、そのぶん使う人を選ばないものとなっています。ミニマムなスペックながら、HPらしい品質と使い勝手を備えていると思いますので、ビジネス用、学習用、そして自宅でのWebブラウジングや動画視聴、SNSなどに使える、ある意味「Streamらしい」軽快な製品と言えます。
HPへのリンク:
HP Stream 11-ak0000 製品詳細
ウインタブ紹介記事:
HP Stream 11-ak0000 - 11.6インチサイズのエントリー・モバイルノート。名機Streamが復活しました!
4.Lenovo IdeaPad Slim 150
価格: 27,082円(税込み)から
※3月2日現在のLenovo直販サイト価格
※型番:81VR001UJP
●27,082円モデルのスペック
OS: Windows 10 Home
CPU: AMD A4-9120E
RAM: 4GB
ストレージ: 128GB SSD
ディスプレイ: 11.6インチTN(1,366 × 768)
サイズ: 288 x 200 x 18.8 mm(最薄部)/ 1.2 kg
つい先日発売されたばかりのIdeaPadシリーズのエントリーモデルです。小さいながらデザインはIdeaPadシリーズらしいシンプルで美しいものになっていて、誰が使っても違和感がありません。また、この製品のセールスポイントは「ストレージが128GB SSD」であるという点ですね。さすがに3万円前後のノートPCだとストレージは64GB eMMCが普通になりますが、この製品のストレージはワンランク上です。
Lenovoへのリンク:
IdeaPad Slim 150
ウインタブ紹介記事:
Lenovo IdeaPad Slim 150 - 11.6インチでエントリースペックのモバイルノート、気軽に持ち出せるセカンドマシンにいかが?
5.検討のポイント
「Sモード」は気にしなくてOK
この記事で紹介した4製品のうち、IdeaPad以外の3製品のOSは「Sモード」になっています。Sモードというのはアプリのインストールに制約があり、Windowsストア(Microsoftストア)経由でないとアプリがインストールできない、という仕様になっています。つまり、そこらへんからフリーソフトをダウンロードしてインストールする、ということができません。
言うまでもなく、セキュリティ上の理由でこういう仕様になっているのですが、この仕様で不満がないのであればSモードのまま使えばいいし、「やっぱり普通のWindows 10にしたい」という場合は無料で簡単にSモードを解除できます。したがって、初期OSがSモードであるというのは特にデメリットにはなりません。また、お子さん用など、自分以外の人にPCを買ってあげるという場合は、むしろSモードのままにしておいたほうが(わけのわからない、リスクのあるアプリがインストール出来ないので)安心とも言えます。その意味では、IdeaPadがSモードではない、というのが逆にデメリットに見えてくるかもしれないですね。
CPU性能は?
4製品に搭載されているCPU(3種類)のベンチマークスコアを調べてみました。
Celeron N4000:1,430
AMD A9-9420e:1,774
AMD A4-9120E:(1,539)
※3月2日現在のPassmark公表値。数値が大きいほうが高性能
※A4-9120Eのスコアは不明なので、A4-9120Cのスコアを掲載
IdeaPadに搭載されているAMD A4-9120EはPassmarkにスコアが掲載されていませんでした。そのため、よく似たスペックのA4-9120Cのスコアで代用していますが、クロックスピードが若干異なる(9120Eは1.5GHz、9120Cは1.6GHz)ため、実際にはこれよりも若干スコアが低くなる可能性が高いです。
大雑把な言い方をすると、どのCPUも処理性能に大差はないと考えていいです。Passmarkのスコアが100点とか200点くらい違っていても体感差はほとんどないと思いますので。
今回の4製品に関しては、ウインタブ読者のメインマシンとして使うには少々厳しいです。なので、他にメインとなるPCを持っている人が、これら4製品のいずれかを「持ち出し用のサブPC」として使うのに向きます。ビジネスや学習用としては、例えば「Word系のアプリを使ってレポートを書く」とか「Excelで簡単な管理表を作る」とか「すでにある資料の手直しをする」とかの、ライトな用途に絞って使うのがいいと思います。「ネットで調べ物をする」とか「YouTubeで動画を観る」とか「TwitterやFacebookをチェックする」などの用途でPCを購入する、という人ならメインPCとしても使えるとは思いますけどね。
それぞれのセールスポイントは?
どれもエントリークラスの製品で価格もお手頃ですが、それなりに差別化のポイントはあります。個別の製品説明と一部重複してしまいますが、まずAspireは入出力ポートが非常に豊富で、ビジネス用に使う場合でも有線LAN接続をしたり、複数のUSB周辺機器を問題なく同時接続できます。これに次ぐのがInspironですね。有線LANポートがなく、SDカードリーダーがmicro規格になってしまいますが、フルサイズ(Type-A)のUSBポートが3つあります。またStreamもUSBポートが3つありますね(ただし、うち1つはType-Cです)。IdeaPadはポート構成という点では少し見劣りします。
筐体はInspironのみコンバーチブル2 in 1になっています。2 in 1であることのメリットを見いだせるか否か、というのは人それぞれですが、コンバーチブル2 in 1は「普通のクラムシェルノートとしても使える」ので、少なくともデメリットはありません。また、筐体構造上、ディスプレイはもれなくタッチ対応します。ただし、4製品中で最も価格が高い、というのもありますね。
RAMは全製品が4GBと、少々不足気味ですが、ここは機種間に差がありません。ストレージは3製品が64GB eMMCで、IdeaPadのみ128GB SSDです。64GBというのはWindows 10を動かす上でミニマムな容量です。これで十分快適に動作しますが、余計なアプリをたくさんインストールする余裕はありませんし、ダウンロードフォルダなどをこまめに掃除してやらないと、すぐに容量が不足してしまいます。また、eMMCとSSDではSSDのほうがデータの読み書き速度が高速になりますので、容量面と速度面の双方でIdeaPadには大きなメリットがあると言えます。
6.まとめ
今回の4製品で、最もビジネス色が強いと感じられるのがacer Aspire 1だと思います。入出力ポートが充実していて筐体デザインもちょっと無骨な印象があります。逆に軽快な印象なのがHP StreamとLenovo IdeaPad Slimでしょう。個人的にはHPのStreamという製品に思い入れがあり(2015年に旧モデルを娘と一緒に実機レビューしたとかの理由です)、特に旧モデルが非常に気に入っていた関係で、「なんとなく」Streamを推したい気持ちになります。それはいいとして、StreamとIdeaPadは、使い手・利用シーンを選ばないシンプルなデザインなので、まさに「気軽に使える」エントリーノートだと思います。
Inspironは他の3製品と単純に比較ができませんね。筐体構造が違いますから。ただ、「タブレットモードやテントモードなどを使ってみたい」という気持ちがあるのなら、そして、価格コンシャスで選びたいはずのこのジャンルにして「1万円近く余計に支払う」ことができるのなら他の3製品は眼中にない、という判断になると思います。
11.6インチノート、私は中華のBMAX Y11という製品を使っていますが、一般的なモバイルノートよりも一回り小さくて軽い筐体は、出張や旅行の際に重宝しますし、UMPCのような尖った製品特性ではないかわりに、「しっかり文書作成ができる」という安心感もあります。すでにCore iとかRyzenを搭載するノートPCをお持ちなら、セカンドマシンとしてこのジャンルの低価格PCを併用してみてはいかがでしょうか。