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Ryzen 6000シリーズ(Zen3+世代)のRyzen 7 6800U・Ryzen 5 6600Uについて今わかっていること(読者投稿:近郊ラピッドさん)

Ryzen 6000シリーズ
こんにちは、近郊ラピッドです。今回はモバイル向けRyzenについての記事となります。よろしくお願いいたします。2022年1月にAMDは「Zen3+」コア・アーキテクチャ―を採用したRyzen 6000シリーズのAPU(CPUとGPUが一緒になった製品)を発表しました。その際には、ゲーミングPCやクリエイティブPC向けのTDP枠35W以上のモデルが多く発表されました。

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一方でRyzen 7 6800UとRyzen 5 6600Uという「Uが後ろに付く型番」のモデルも発表されました。この2つはTDP枠が15W~28Wと低く設定されており、薄型ノートやモバイルノートに採用しやすいモデルとなっています。恐らく搭載PCの価格も上位モデルよりも低めに設定されるのではないかと思います。

そこで今回はRyzen 6000シリーズの中でも、モバイルPCに向いたUが付く型番のAPUについて現時点で分かっている点をご紹介したいと思います。

1.グラフィックス性能

今回のRyzen 6000シリーズではグラフィックスの刷新が行われており、最新のデスクトップPC向けGPUでも使われているRDNA2アーキテクチャーに更新されています。そのため内蔵グラフィックスの大幅な性能向上が実現しています。

Ryzen 6000シリーズ

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表で以前のRyzen 7 5800Uと、Ryzen 6000シリーズ、そして参考として2022年1月に発表されたモバイル向け外部GPUのRadeon RX 6300MとRX 6500Mを比較してみました。外部GPUのRX 6500Mは16CU(GPUコア数)となっており、RX 6300Mは12CUとなっています。両方ともアーキテクチャーはRDNA2となっています。

一方でRyzen 7 6800Uは12CUとなっておりアーキテクチャーが従来のVegaから最新のRDNA2に更新されています。そのため今回のRyzen 7に搭載されている内蔵グラフィックスはエントリー向け外部GPUのRX 6300Mに近い仕様と言えるほどです。

単体で電力を使える外部GPUと、CPUとGPUがセットになっているAPUでは同じCU数でも性能に差があると思われますが、それでも従来のRyzenと比べるとかなりの性能向上となっています。AMD公式によるとRyzen 7 5800Uから2倍になっているそうです。このようにRyzen 7 6800Uのグラフィックス性能は内蔵としてはかなりの性能となっており、GTX1650 Max-Q並みになるのではないかとの噂もある程です。LPDDR5メモリを搭載した機種ならば特に高いグラフィックス性能を発揮するでしょう。

一方でRyzen 5 6600Uのグラフィックス性能はRyzen 7と比べればかなり下げられています。CU数は半減し、最大クロックも下げられています。それでも従来のRyzen 7 5800Uと同等か場合によっては上回る性能を発揮すると思われますので十分高性能な部類と言えるでしょう。

ちなみに今世代からはアーキテクチャーがRDNA2に刷新された関係で内蔵グラフィックスにハードウェアレイトレーシング機能が搭載されます。実性能はともかく、内蔵GPUにこうした機能が搭載される事自体が画期的なことだと言えます。

今見てきたように今回のRyzen 6000シリーズではグラフィックスが刷新されているものの、2倍とされている程の大幅な性能向上となるのは主にRyzen 7ブランドのAPUになりそうです。とはいえRyzen 5ブランドのAPUも以前のRyzen 7 5800U並みの水準を期待できるため、決して低いグラフィックス性能と言う訳ではありません。

2.CPU部分の処理性能

今世代はグラフィックス性能の向上がとても目立つ結果となりましたがCPU部分の処理性能も向上しています。コア・アーキテクチャーはZen3からZen3+に更新されましたが、公式からもクロック当たりの性能向上について特にアナウンスされていないので、IPC(クロック当たりの命令実行数)の向上はあまりないようです。

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しかし、今世代では半導体プロセス技術がTSMC 7nmからTSMC 6nmに改良されてより消費電力効率が高くなっており、結果として同じ電力制限枠(TDP枠)の下でも以前よりも性能が発揮できるようになりました。また電力制御機構が改善されたことも性能向上の大きな要因となっています。

Ryzen 6000シリーズ

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表でRyzen 6000シリーズとRyzen 7 5800U・Ryzen 5 5600UのCPU部分の比較をしてみました。今世代ではコア数やスレッド数は特に変化がありません。またL3キャッシュも変化がありません。表には含めませんでしたがL2キャッシュも変化はありませんでした。一方で対応メモリ規格や最大クロックが向上しています。

元々Zen 3 APUの時点でかなり処理性能や電力効率が良かったのですが、公式発表によると更にマルチコア性能は1.3倍、シングルコア性能は1.1倍になるようです。表を見ると最大クロックが0.3GHz上がっていますので、その分シングルコア性能が伸びるものと思われます。以前の世代よりも電力効率が上がることにより、高負荷なマルチコア処理の際にも以前の1.3倍程度のクロックでCPUコアが稼働できるようになっているものと思われます。

グラフィックス性能の向上に比べると目立ちませんが、それでもこの処理性能の高さは魅力的です。最大クロックが0.3GHz上がりシングルコア性能も順当に向上した点も利点となっています。また今世代では電力効率の向上に伴い、バッテリー駆動時間も長くなったようです。以前よりも電力制御機構が改善されたようで、公式の情報では24時間バッテリーが持つPCを製造可能とされています(本当に24時間持つのかは分かりませんが、それほどAMDはRyzen 6000シリーズのバッテリー持ちに自信があるのでしょう)。

確かに今世代はグラフィックス性能に比べるとCPU性能の向上がそれほど目立ちません。それでも性能は順当に向上していると言えるでしょう。Ryzen 7 6800UもRyzen 5 6600Uも処理能力は十二分に高いものとなっています。半導体プロセスや電力制御機構の改善もあるのでバッテリー駆動時間についても期待できそうです。

3.内部・外部インターフェース

今回はインターフェースが内部・外部共に大幅に改善しています。USB4(40Gbps)やPCI Express 4.0、WiFi 6E(日本ではまだ使用できないようです)など、現代的なインターフェースが使用可能になっています。また今世代では対応メモリ規格もDDR5・LPDDR5に刷新されたためクリエイティブ性能やゲーム性能が底上げされています。元々Ryzen APUは十分な性能を持っていましたが、こうしてインターフェースが改善されることにより、従来モデルよりもクリエイティブ用途などへの適性が更に上がったと言えます。

こうした改善はグラフィックスやCPUの性能向上に比べれば目立ちにくいですが、グラフィックス性能の底上げや外部SSDのファイル転送速度向上、無線ネットワークの接続品質向上といった恩恵があるということを考えると内蔵GPU・CPUの向上と同じくPC利用の快適性の向上に大きく貢献していると言えるでしょう。

4.おわりに

今回はRyzen 6000シリーズの中でもモバイルノート向けのRyzen 7 6800UとRyzen 5 6600Uをご紹介しました。Ryzen 5は高い電力効率、十分な処理性能、内蔵としては十分に性能の良いグラフィックスを持っているという点が利点です。

一方でRyzen 7はRyzen 5の処理性能や電力効率の良さに加えて、大幅に強化された内蔵グラフィックスを持つという利点も持っています。Ryzen 5 6600Uでも十分高性能な内蔵GPUですがRyzen 7 6800Uの方が大幅にグラフィックス性能が高いので、グラフィックス性能に期待して購入する場合はRyzen 7 6800U搭載機を選ぶ方が良いと言えるでしょう。

Ryzen 6000シリーズ搭載のモバイルノートやミニPCの発売が楽しみです。

5.関連リンク

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