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PCを自作しよう!(その2)- パーツを選ぶにあたって大事なことって?

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こんにちは。ひつじです。今回は自作パソコン(自作PC)の連載2回目です。多分知識としては一番大切な各パーツの代表的な規格について記事にさせて頂きたいと思います。

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とはいえ、各パーツの細かい規格を全て記載してしまうと「初心者お断り」になるので必要最低限のみに絞らせて頂きたい、と思っています。初心者向けを意識したいので「分からないことを自分で調べる時にどう当たりをつけるか」みたいなところを優先させて頂きたいですし、そういう観点を前提に代表的な情報のみをお伝えいたします。

1.パソコンパーツの規格概要

古い自作PC
自作パソコン(自作PC)はパーツのサイズや端子(ソケット)の形状が規格化されています。というのも各メーカーが好き勝手なサイズや端子で製品展開をしてしまうと「A社のケースにB社のパーツを組み入れる」みたいなことが出来ないからです。

勿論規格化されていても大型の冷却ファンと小型のパソコン用ケースの組み合わせはダメ、といった相性や規格の取捨選択は当然あります。また、統一された規格といってもある程度の振れ幅があります。個別的な相性、あるいは同一規格でも大型のパーツや小型のパーツがあります。もちろんこれらは搭載可否に関わるので注意が必要です。

とはいえ「やってみる」ことが大切。購入店舗によってはパーツの相性が悪い場合に返金や交換に応じてくれる保険があったり、組み合わせ上問題が起きないかアドバイスをしてくれる場合があります。(特に自作パソコンに特化したショップならば色々教えてくれる場合が多いです)そういったサービスやお話も参考にすればそこまで大きなトラブルにはならないはずです。

一応、自作パソコンを初めて組み立てるならば以下の流れでパーツを検討していくと迷いづらいと思います。

1.パソコンケースの決定(ただしGPUを搭載するならばタワー型が基本)
2.ケースに合うマザーボードの決定(INTELにするかAMDにするかもここで決まる)
3.マザーボードに合うCPUの決定(Core i7かi5か…。あるいはRyzen7か5か、等)
4.メモリやストレージの決定(搭載本数と容量、ストレージならM.2にするか等)
5.他パーツの決定

2.組立に必要な道具

パーツの規格とは別に組立に用いる道具についても事前に解説しておきます。といっても基本的には一般的なプラスドライバーがあれば大丈夫。できれば先端がマグネットタイプで軸が長め、持ち手部分がしっかり握れるものを選びましょう。

構成によっては使わない場合もありますが精密ドライバーのセットも合わせて用意しておいた方がいいです。

また、あると良いものとして「インシュロック」または「不導体で出来たケーブルタイ(※イヤホンなどに付いているモールだと内部が針金の場合が多いのでNG)」「ネジなどを入れられる小さいケース」を、更に任意ですが「アルコール含有タイプのウェットティッシュ」「ボックスティッシュ」「絆創膏」「不要なプラスチックカード(使わないポイントカード等)」「磁石もしくはマグネットシート」も用意しておくと活躍の場があります。

3.ケースの規格

パーツの規格を確認する場合にまず最初に見たほうが良いのは「自作パソコンのケース(パソコンの筐体)側が対応する規格」です。

パソコンのケースには当然全てのパーツを組み込むことになるので、パーツの大きさ等を決める上で一番大切な要素となります。

勿論慣れてくれば組み入れたいパーツの組み合わせに合致するケースを選ぶことも出来ますが、初めてパソコンを組み上げたい場合、まずはケースから選んでおけば失敗が少ないですし、見た目に直結するのでモチベーションも高くなりやすいです。

ケース形状の種類

ケースの形状は3つの種類で分けられていることが多いです。これは規格というより俗称のようなものだと思ってください。

・タワー型
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ゲーミングパソコンなどでも良く見る典型的なデスクトップケースです。なお、タワー型には「フルタワー」「ミドルタワー」「ミニタワー」といった区分けがあります。筐体も大きいので設置性は良くないですが一般的に拡張性が高く、組み立ても「小さいスペース」に起因した苦労が少ないです。

ケースの容量に余裕があるので冷却を阻害するケーブル類等も邪魔にならないよう配置を工夫することが出来ます。組み上がった本体をデスクの上に置くのはやや厳しいサイズであることが多く、床置きして使用している方が多いのではないでしょうか。

初めてパソコンを組み立てる場合にオススメしたいケースです。

・小型ケース(ITXケース)
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タワー型と比較して高さの低いものが多いです。より小型さを追求しているものは奥行きも削減されておりA4レターケース位の大きさ~ミニコンポのセンター部位の大きさの筐体サイズを実現しているものが多いです。

小型であるため設置性が良くデザイン性が高いものも多いのですが拡張性に乏しい製品、あるいは拡張性は多少あるとしても、それ以上に組み立てのスキルを要求する製品が多いですね。また、筐体が小さいためパーツの密集性が高く、通気性を損ねやすい傾向があるので高性能な構成を実現するのはやや難しい場合も多いです。

初心者にはオススメ出来ませんが玄人な方には魅力の多いケースでもあります。

・ブック型(スリムタイプ)
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名称の通り奥行きや高さはタワー型とそう変わらないことが多いですが横幅が狭いケースです。多くの場合横置きも可能で、モニタの下やオーディオラックなどにパソコン本体を設置したい場合にも適しています。パーツの配置を工夫するなどして設置性は向上しています。

拡張性で見ればタワー型と小型ケースの間位のイメージですが、グラフィックカード等は「ロープロファイル」という規格のものを使用しなければならないことが多いです。

また、手元が狭くなるような小さいスペースはあまり無い一方で、ケーブルの処理に困るケースがやや多いですね。タワー型と小型ケースの中間的な内容になっているものが多いですが、極稀にかなり癖の強い設計の製品もあります。

他にもややニッチなジャンルですがHTPCケース等のオーディオとの併用を想定したケースなども存在しています。多くの場合タワー型を横倒しにしたような設計のものが多いですが、筐体デザイン等にこだわりのある傾向が強いですね。

ケースで見るべきポイント

実際に組み合わせるパーツを検討する場合に見るべきポイントは以下の部分ですね。

・対応するマザーボードの大きさ
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主にATX、Micro-ATX、Mini-ITXの3つのうちどれに対応するかが記載されています。後述しますがメジャーな流通品のうち「ATX」がもっとも大きい規格で「Mini-ITX」が最も小さい規格です。なお「ATX」や「Miro-ATX」に最大対応幅等の注釈がある場合はとりあえず「対応しない」と読み替えてOKです。

ケース形状にもよりますが、タワー型はATXもしくはMicro-ATX、ブック型はMicro-ATX、小型ケースはMini-ITXが最大サイズとされている場合が多いですが、ケースによって異なるのであくまでもケースの販売ページや公式サイトの製品情報を参照してください。

確定は出来ませんが当たりを付けたいくらいであれば、ケースの画像におけるPCIスロットの本数である程度対応するマザーボードの最大サイズは類推出来ます。5本よりも多ければATX、5本~4本ならMicro-ATX、それより少なければMini-ITXの可能性が高いです。

マザーボードを選ぶ場合、このうち「最大サイズ」に該当するものを選んでおくと良いですね。勿論より小さいものも搭載できる場合が多いですがそこまで大きなメリットはないです。パーツが安い、あるいは組み立てを少しでも楽にしたいならば最大サイズより小さいものを選ぶメリットはあります。

・対応する電源の大きさ
主にATX、SFX(Micro-ATX)のどちらかに対応していることが多いです。なおマザーボードの規格名とよく似ていますが「別物」な点に注意。また、初心者のうちから覚える必要はないと思いますが「EPS」「FlexATX」「SFX-L」「TFX」といったものもあります。

それとは別に「ケースに電源が標準で付属している」場合も多いです。必ずしも良い電源が搭載されているとは限らない、というのが難しいところなのですが価格を抑えてパソコンを作りたいとか、サブ用途のパソコンを作りたい、なんて場合には良い選択です。

基本的にタワー型ケースの多くはATX、小型ケースはSFXに対応していることが多いかと思います。またブック型ケースはTFXに対応していることが多いのですが多くの場合は電源が付属しています。

なお、SFX電源はATX電源より小型。よってATX電源をSFX電源の代わりに取り付けることは出来ませんが逆は大丈夫。「SFX→ATX変換マウント」が売っています。

また、電源の規格は基本的に「ケースに固定する面の縦横サイズ」以上を保証しないものだと思っておく方が色々楽です。「ATX電源に対応」と言っていても奥行方向の余裕度合いによってはかなり取り回しに苦労する場合もあります。

大容量の電源を搭載したい場合は「電源の取り回しに苦労した」といったレビュー等がないか購入前に確認しておきましょう。もし苦労が見られるようならば、前述の「変換マウント」を使えば電源が専有するスペースを小型化出来ますし、ATX電源でも比較的奥行が短い製品が存在しています。そういったパーツ選びの工夫で乗り切る考慮が必要です。

・搭載できるHDD、SSD、光学ドライブについて
各ドライブに関して、搭載可否と個数はパソコンケースによって制約されます。具体的には「3.5インチ」ならば3.5インチHDD(※ケース外側からもアクセスできる場所ならFDDドライブ等が搭載可能ですがほぼ壊滅)、「2.5インチ」ならばSSDや2.5インチSSD、「5.25インチ」ならば光学ドライブの搭載が可能です。ただし「シャドウ」と書かれている、あるいはケースの画像をみた場合に「開口部になりそうな場所」が無いならば光学ドライブの搭載は諦めましょう。

また、光学ドライブはノートパソコン等に搭載されているような「スリムタイプ」も存在します。同じ5.25インチでも「スリム」と表記があるかどうかで全く違うサイズになるので気をつけてください。(ただし、非スリム→スリムの変換マウンターはややマイナーながら存在しています)

また、搭載可能数も見ておくといいかと思います。特に3.5インチと2.5インチのドライブベイは「排他」仕様のものが多いのでお気をつけを。もちろん搭載しなくても問題ないので「使えるかどうか」位で考えておくといいかと思います。

なお、3.5インチ→2.5インチの変換マウンター等は市販されています。更にSSDであればそもそも振動などもしないので両面テープで貼り付けてしまう、みたいな強引な手段も取れなくは有りません。

・PCIスロットについて
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グラフィックカードや一部のネットワークカード(無線LANや10G超LANポート等)を搭載する場合はマザーボードにパーツを追加で差し込むことになりますがそれらの機器は外部入出力端子を有するため、その端子にアクセスするための「切り抜き」がパソコンケースには用意されています。この切り抜き部分にも気を配る必要があります。

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まず、小型ケースにはこのスロット(切り抜き)が無い場合があります。そうなると追加のカードを差し込むことは出来ません。それとスロットがあっても1スロットだけの場合、3Dゲームの動作に対応出来るようなグラフィックカードには対応出来ない場合が多いです。というのも高性能なグラフィックカードは2スロットを使用する場合が多いからです。

また多くのブック型や小型ケースの一部は2スロット以上に対応している場合でも「ロープロファイル」という規格を採用している場合があります。この「ロープロファイル」というのは「ローハイト」ともたまに表現されますが、いわば「一部の横幅の狭いカードしか使えない」仕様です。高性能なグラフィックカードはロープロファイルに対応していませんし、勿論各グラフィックカード等のロープロファイルへの対応可否は製品によっても違うので購入時に確認が必要です。

とりあえず現行製品だとGTX1050ti等が対応可能な上限だと思ってください。ざっくり言うなら「Geforceのミドルクラス以上は使えない」「RADEON系はゲームが出来るような対応品はほぼ無い」と思っておいて頂ければ。

・冷却ファンなどについて
パソコンケースには冷却のために給排気を行うファン等を取り付ける必要があります。多くの場合は標準で添付されている物があるのですがこだわる場合や追加でファンを搭載したい場合、その搭載可能数やファンの口径はケースによって対応が異なります。

また、それとは別に「CPUクーラーで対応可能な高さ」や「水冷タイプのクーラーを取り付けられるか」はケースによって対応が異なるので確認をしておく必要があります。

更にCPUクーラーは「上部に別のパーツが搭載されるような製品」だとギリギリの高さのものを取り付けても満足に冷却が出来ない場合も。更に最大対応可能サイズとして表記されている高さが「上部のパーツを取り付けない場合」という前提で記載されている場合もあります。レビュー等を見て搭載可否を考えておく必要はあります。

不安であればCPUクーラーは「冷却性能が許す範囲でなるべく高さの低いトップフロータイプのもの、もしくは標準添付品」を、ケース用の冷却ファンは「追加をせずに動作をさせてみる」ということでいいと思います。

4.マザーボードの規格

ケースの説明でかなり分量を割いてしまいましたが、そこでは説明できていない部分に絞って記載をさせてください。

・サイズの規格について
前述の通り「ATX」「Micro-ATX」「Mini-ITX」が主です。ただし「XL-ATX」といった派生規格もあったりしますし、「Micro-ATX」でも少しサイズを小さくした仕様などが存在します。

初めてパソコンを組み立てるならば個人的には不安要素が少ない「Micro-ATX」をオススメしたいです。(もちろんケース次第ではあります。ATX対応ケースならば「XL-ATX」等、トリッキーでない確証さえ得られたなら普通の「ATX」を選んでも問題有りません)

・対応するCPUの規格について
CPUは一般的にINTELとAMDの2社が存在します。更にINTELとAMDはCPUを色々販売していますが自作パソコンではメインストリームとしてINTELだと第10世代~11世代のComet LakeもしくはRocket Lake、AMDだとRyzen5000番台や3000番台を発売しています。これらはそれぞれ「LGA1200(INTEL)」「AM4(AMD)」というソケットを採用しています。

なお、厳密にはハイエンド向けのXeonとかRyzen Threadripperなんかもいるのですが「最初に作るのはやめとけ」って内容になってしまうのであくまで「現行最新はLGA1200とAM4」だと思っていてください。

その上で気をつける必要があるのは2つ。

1つ目にLGA1200もAM4も共通で「最新のCPUに対応するかどうかはUEFIの更新状況による」ということです。どちらも初期の第10世代、あるいは古いRyzenシリーズから継続採用されているソケット規格なので、物理的には最新のCPUが少し古いマザーボードにも搭載出来てしまいます。しかし物理的に搭載できても動作するかは別。制御出来なければ正常に認識しないし動作もしません。この動作可否を決めるのが「UEFIの対応状況」です。

なお、UEFIを最新に更新する場合は基本的にCPUが必須なので、「現状のまま動作するCPU」の準備が必須となります。それが出来ない場合は「アップデートサービス」を行なっている販売業者にアップデートを依頼して製品購入をするか、正式対応している最新のマザーボードを購入する必要があります。

ただ、運が良ければ「マザーボードがCPUを勘違いして動き、UEFIをアップデート出来る」というパターンもあります。勘違いして動作する状況を推奨はしかねるのでオススメはしませんがやむを得ない場合、試さずに諦める必要まではないかな、といった感じです。

2つ目に「同じソケットを採用していても内部的には違う場合がある」点です。これは現行のLGA1200ではないINTEL製品で良くある、はっきり言って「悪癖」だと思っていますが、最近だと第6世代~9世代で採用されていた「LGA1151」というソケットについて、同じ「LGA1151」ではあるのですが第8世代~9世代と第6~7世代で互換性がありません。UEFIのアップデートでもどうにもならない「物理的に搭載出来るが電気的互換性がない」仕様です。このため購入を間違えると動作しないし、どう足掻いても動作する見込みはありません。

近いことが「LGA2011」でも言えます。一応あちらは「LGA2011」と「LGA2011-v3」と表記が違うのでまだ大丈夫だとは思いますが…。

・対応するメモリ(RAM)について
現行のLGA1200もしくはAM4対応製品だとDDR4というメモリを採用していることが多いです。ただし搭載可能なメモリ本数はマザーボード次第ですね。(2本か4本の場合が多いですね)

一般論としての説明ですが一応マザーボードによってはノートパソコンで採用されることが多い短い丈のメモリ(S.O.DIMM)を選択する必要もあります。また、サーバー用のマザーボードの場合「ECC対応メモリ」が利用可能なことも。

LGA1200もしくはAM4でパソコンを組み立てるなら「通常サイズ(DIMM)のDDR4メモリ」を2本、ECC非対応品で揃えるのがベターでしょう。不安なら相性保険に入っておくと良いと思います。特にメモリは他のパーツと比較して割と「相性問題でトラブルが発生する」可能性が高い傾向にあります。初心者の方が初めて自作される場合、この点で加入をしておいてもいいかな、と思いますね。

・対応するストレージ(ROM)等について
※ROMという表現について前回記事でコメント頂いていますが、初心者の方が「ROMってストレージとは違うらしいが色々調べる中では同じようにも見える。分からなくなった!」みたいな事態は避けたいので併記は続けます。気にされる方には不快かもしれませんがご容赦ください。(この辺の単語のチョイスは一定考えた上で採用しています。)

現在、2.5インチのSSDやHDD(更に光学ドライブも)は「SATA」という端子でデータをやり取りする場合がほとんどです。ですのでこの端子数がこれらの最大搭載可能数、ということになります。(といっても使い切ることは殆どないと思います)

なお、M.2タイプのドライブはケーブルを経由せずマザーボードに直接取り付けますが、このM.2には「SATAタイプ」と「PCIEタイプ」が存在します。高速なのは後者です。M.2タイプのストレージを検討されているならばどちらのタイプが使用可能なのか確認しておきましょう。またパーツの配置(特にM.2搭載位置がマザーボードの裏面にある場合やマザーボード側がM.2のヒートシンクを有している場合)次第ではヒートシンク付きのM.2は搭載が出来ない場合もあります。この点はちょっと気を配る必要があるので、初めてM.2タイプのSSDを購入される場合、発熱そのものが小さいヒートシンクがないものを購入しておくと失敗が少ないですね。流用もしやすいですし。

・PCIスロットの数等について
グラフィックカード等を差し込むPCIスロットはマザーボードの大きさによって使用可能な本数が異なります。本来の規格を説明するならばATXが7本、Micro-ATXが4本、Mini-ITXが1本までの対応、ということになるのですが、最近はGPUが2スロットを専有(使用するスロットは1本だが干渉する形でスペースを2本分使用)するので、一部のスロットは物理的に省略されている場合があります。逆にMini-ITXの場合、1スロットしかなくともGPUは2スロットのスペースを求めるので、パソコンケース側が2スロット分のスペースを用意していたりする場合もあります。

大型のCPUクーラー等を使用すると一番CPUに近い側のスロットが使えないとか、他のパーツやパソコンケースの構造体が干渉して一部のスロットに長尺のものや幅のあるものが差し込めない、みたいな事態になることも時々あります。

また、PCIスロットの多くは現在PCIE(PCI Express)を採用していますが、このPCIEは×1~×16と、スロットによって転送速度が異なる(更にCPU直結のスロットかどうか等、もっと細かい仕様の違いもあったりします)ため同じ形状のスロットでも発揮する性能が異なる場合もありますし、そもそもスロットの長さそのものが一部省略されている場合も。大抵のマザーボードは×16のスロットがありますし、そこにGPUを差し込む使用方法が一般的かと思いますがAPUの搭載を想定している製品は×8までのスロットしか用意されていないマザーボードもあったりするので一応覚えておきましょう。

5.他パーツの規格について

ケースとマザーボードを押さえておけば、規格周り大きな事故は防げますが、各パーツについても細かい部分のみピックアップしておきます。

・CPUについて
ブック型ケースは排熱が良いものでも65W位のTDPのCPUが使用可能な上限、といった場合が多いです。(厳密にはTDPで測るものではないのですが、おおよそで捉えてください)

また、CPUの名称上、Ryzenだと「G」が付かないものやINTELで「F」が付くものは内蔵GPUが搭載されていません。この場合外部GPUの用意が必須です。そうなるとグラフィックカードの搭載が出来ないケース等を用意するのは失敗になるので注意が必要ですね。

・電源について
電源の規格は既に記載した通りですが、電源には「モジュラータイプ」とそうでないタイプのものがあります。違いとしては電源と各パーツをつなぐケーブルを電源側で着脱が可能かどうか、という点にあります。

着脱が出来ない仕様だと使わないケーブルをパソコンケース内の空きスペースに退避させておく必要がありますが、小型なケースやブックタイプのケースだとこれがとても難しかったりします。

そのため、基本的に予算が許すならばモジュラータイプの電源を個人的にはオススメしたいです。

また、電源は概算で「記載のあるワット数の8割」位が実態の出力となります。つまり600Wであれば480W位が実効上の出力、ということになるんですよね。GPU、マザーボード、CPU、SSD等はそれぞれ電力を要求しますが、この8割位が実態だと考えた上で必要な容量を計算しておく必要があります。

この計算はGPUの推奨電源容量(大抵各メーカーの製品紹介ページに記載有り)をベースに、定格100Wを超えるようなCPUならその余剰分を、更にSSD等をかなり搭載するならば多少余力を加えて(といっても30W位見ておけばかなり余裕有り)おけばだいたい問題ないかな、といったところです。

GPUを搭載しない場合、CPUの定格+50W(マザーボード)+5W×SSD搭載分+15W×HDDや光学ドライブ搭載分、位が電源容量の8割以内に収まる位、と私は極めてざっくり計算していますね。

基本的にはGPUを複数使用したりしない限り、かなり高性能な構成でも700W位あればまず不足することは無いと思います。更にハイエンドな構成にしないならばCore i7+RTX3060+SSDを等位でも650W程度で事足りることが多いです。とは言えコツとしては今後の拡張性も考えて「ちょっと余裕をもたせる」ことをおすすめします。

また、GPUやストレージの搭載数やケース内での電源の位置次第では「電源側が持つ給電の端子数が足りない」とか「ケーブルの長さが足りない」みたいな事態は起こりえます。どちらかと言うと自作パソコンに慣れていないうちは「必要以上にGPUやストレージ数を増やさない」ようにしておくほうが良いですね。

・GPUについて
GPUの性能はCPUの性能にも影響されます。極端な話「Core i3」位のCPUに「RTX3090」を搭載してもGPUの性能を発揮させるにはCPUがボトルネックとなります。また、グラフィック負荷を軽くしても非映像面のCPU側処理はグラフィック設定とは独立して求められます。つまり「とても重い映像処理を求める設定」にした方がGPU側の負荷が増えるので、CPU性能の不足は目立ち辛くなります。

基本的にゲーミングPCを作る場合「GPUへの予算を多めにする」ことがコツにはなるのですが、極端な構成はあまり良くありません。ただ実際のプレイ環境次第な面はあるので、その前提でGPUを選定したほうがいいですね。

・CPUクーラーについて
前提として「LGA1200」「AM4」等のCPUソケット名でクーラーも対応要否を判断擦る必要があります。例えば「LGA1200」に対応という表記があり、AM4対応とは表記がなければそのCPUクーラーは「AM4」のCPU(マザーボード)では使用できない、ということになります。

また、CPUクーラーには水冷、簡易水冷、空冷(トップフロー)、空冷(サイドフロー)が存在しますが、水冷だとCPUの温度上下はゆったりしています。また、簡易水冷はCPUの冷却に特化しており、他のパーツの冷却にはあまり意味を成しませんが、簡易でない水冷はM.2等を冷却することも構成次第では可能なので、より高性能で高発熱なパーツを取り入れやすい特徴があります。

空冷の場合、サイドフローの方が大型なCPUクーラーとなる可能性が高く、CPUの冷却には適している場合も多いのですが、メモリ等の冷却は不得手であることが多いです。トップフローだと周辺のパーツの冷却に適している場合が多いのですが、「CPUに風を当てる」か「CPU付近の風を飛ばす」という構造なので、パソコンケース全体の空気を一方向に流して効率的な給排気を行う、ということには不向きな場合が多いです。

なおCPUクーラーはAMDの場合、純正添付品が比較的優秀なので追加購入を検討せず、まずはそのまま使ってみてもいいと思います。INTELも最低限の性能は持っていますが、余裕がないため別途良い製品を導入する価値はあるかと思います。また標準でCPUクーラーが添付されていない場合もあるので注意が必要です。

それと、上記純正品を初めて使用する場合は大丈夫ですがCPUクーラーはCPUとの密着性を高めて効率よく熱交換を行う目的で、CPUとの接着面に熱伝導率の高いグリスと塗布する必要があります。このグリスはCPUクーラーに添付されていることがほとんどですが、高性能なグリスを単品販売している会社などもあります。高性能を狙いたいならばアリでしょう。

6.まとめ

少し長くなってしまいましたが、パソコンケースとマザーボードを中心に、規格周りで知っておいたほうが良いことなどをお伝えしました。今後は実際にパーツの組み合わせ例と組み立てまで紹介するので、そこでもう少し突っ込んだ「実践例」に触れていきたいと思っています。

それでは、また次回更新も読んで頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。

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