こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。2015年8月版といいながら、9月になってしまいました。一応シリーズものという位置づけなのでタイトルはこのままにしておきます。今回はその7回目「10インチ、5万円オーバー」をテーマとしています。最初に書いておくと「5万円」を基準にして記事を分けてしまったのは失敗だったかな、と。対象機種を見てみると「同じ土俵で比べちゃイカンでしょ」という機種が混在してます。なお、今回も在庫切れとか、在庫が薄くなっているものは対象から除外しています。具体的にはNECのLAVIE Tab W710シリーズです。この製品は実質的にLenovoのThinkPad 10の姉妹機なのですが、ThinkPad 10のほうが先に新型になってしまったということもあり、LAVIEのほうももうじきモデルチェンジするんでしょうね、直販サイトで「販売終了」になっていました。
目次
1.比較対象機種
EPSON Endeavor TN20E
OS: Windows 10 64ビット/ Windows 8.1 Pro 64ビット
CPU/RAM/ストレージ: Intel Celeron N2807/2GB/64GB
ディスプレイ: 10.1インチ IPS (1,280 × 800)
ポート: microUSB2.0、microHDMI、LTEモジュール
カメラ: イン100万画素/アウト500万画素
Office: なし
サイズ/重量: 258 x 173 x 11 mm / 690g
直販サイト価格: 52,920円
※この記事での価格表記はすべて税込みです
コメント: CPUにCeleron N2807を搭載しており、OSもWindows 8.1 Proが選択できるなど、ビジネス寄りの設計がなされている。重量690gというのは個人向けとしてはやや厳しいか。LTE対応のSIMスロットがあるのは魅力。
ウインタブ紹介記事: なし
直販サイト: Endeavor TN20E
HP Pavilion x2 10-n000TU
OS: Windows 8.1 32ビット
CPU/RAM/ストレージ: Intel Atom Z3736F/2GB/64GB
ディスプレイ: 10.1インチ IPS (1,280 × 800)
ポート: USB2.0、USB2.0 Type-c、microHDMI
カメラ: イン92万画素/アウトなし
Office: なし / Home & Business 2013(量販店モデル)
サイズ/重量: 265 x 175 x 10 mm / 600g
直販サイト価格: 53,784円
量販価格: 69,980円(Officeつき、量販店のポイントがつくことが多い)
コメント: 実売価格が最低でも5万円を超えるため、この記事での紹介となるが、実質的には5万円以下クラスのASUS TransBookシリーズやacer Aspire Switch 10Eなどのライバル機で、価格差も小さい。ヒンジつきのキーボードが付属し、ノートPC形態で真価を発揮する製品。非常に元気のいいカラーが用意されており、製品イメージがよい。なお、直販モデルはOfficeがつかない分安く、量販店モデルはOfficeがつくため価格が高くなっていることに注意。
ウインタブ紹介記事: HP Pavilion x2 10-n000シリーズ - 注目の10インチ2 in 1が日本でも発表されたよ!
直販サイト:HP Pavilion x2 10-n000
量販サイト:HP Pavilion x2シリーズ:ビックカメラ
ASUS TransBook T100Chi
OS: Windows 8.1 32ビット
CPU/RAM/ストレージ: Intel Atom Z3775/2GB/32GB or 64GB
ディスプレイ: 10.1インチ IPS (1,920 × 1,200)
ポート: microUSB3.0、microUSB2.0、microHDMI
カメラ: イン200万画素/アウト500万画素
Office: なし / Home & Business 2013
サイズ/重量: 265 x 174.5 x 7.2 mm / 570g
推奨サイト価格: 45,900円(Officeなし、32GB)~61,812円(Officeあり、64GB)
※価格ドットコムの最安値ではなく、Amazonの価格を使用
コメント:ASUSの大人気シリーズ「TransBook」シリーズの最新型筐体を使用する。デザインが美しく、質感も高い。しかしその反面、キーボードがBluetooth接続となり、フルサイズUSBポートも省略されるなど、犠牲になった部分もあり。Officeなしでストレージ32GB、Officeつきでストレージ64GBの2バリエーションがある。
ウインタブ紹介記事:ASUS TransBook T100 Chi - 既存モデルからの正統進化!この春大本命の2 in 1
販売サイト:ASUS TransBook T100CHI
おすすめサイト:ASUS OUTLET
※ 箱破損(製品は新品未使用、保証も新品同様)でもよければASUS OUTLETが明らかに割安なのでおすすめ。ただし、いつも欲しいモデルの在庫があるとは限らない。また、顧客都合の返品不可なので製品ページのスペック表をよく確認する必要がある。
マイクロソフト Surface 3 64GB SIMフリー
OS: Windows 8.1 64ビット
CPU/RAM/ストレージ: Atom x7-Z8700/2GB or 4GB/64GB or 128GB
ディスプレイ: 10.8インチ IPS (1,920 × 1,280)
ポート: USB3.0、mini Displayポート
カメラ: イン350万画素/アウト800万画素
Office: なし / Office Home and Business Premium
サイズ/重量: 267 x 187 x 8.7 mm / 641g
直販価格: 88,340円(RAM2GB、ストレージ64GB)~99,140円(RAM4GB、ストレージ128GB)
コメント:大人気のMicrosoft Surfaceシリーズの新型で、ディスプレイサイズが10.8インチと小型化し、CPUにCherryTrailを採用することによって購入しやすくなり、タブレットとしての使い勝手も向上している。ただし、SIMフリーモデルしかなく、量販店での価格も硬直化し、横並びとなっている。
ウインタブ紹介記事:Microsoft Surface 3 - 個人向けはLTEモデルのみ、Y!mobile独占販売
メーカーサイト: Surface 3 (4G LTE)
量販店サイト:Surface 3[サーフェス]:ビックカメラ
Lenovo ThinkPad 10 20E3001GJP
OS: Windows 10 Home 64ビット / Windows 10 Pro 64ビット
CPU/RAM/ストレージ: Atom x7-Z8700/2GB or 4GB/64GB or 128GB
ディスプレイ: 10.1インチ IPS (1,920 × 1,200)
ポート: USB3.0、microHDMI
カメラ: イン120万画素/アウト500万画素
Office: なし
サイズ/重量: 256.5 x 177 x 9.1 mm / 597g
販売価格: 76,591円~104,154円
コメント:待望の新型ThinkPad 10。ただし現時点で法人向けモデルしか販売されておらず、OSがPro版主体でOfficeつきモデルもない。法人向けは全部で4バリエーションあり、RAM、ストレージ、筆圧対応ペンの付属有無で価格差がある。価格ドットコムなどで販売店を探し、個人で購入することは可能だが、近日中に個人向けモデルが発売されるはずなので、それを待つのが得策
ウインタブ紹介記事: Lenovo ThinkPad 10 - CherryTrail搭載!常にクラス最強が宿命の10インチタブレット
メーカーサイト: ThinkPad 10
販売サイト: 価格ドットコムで検索すれば見つかります。
TOSHIBA dynabook N40
OS: Windows 10 Home 64ビット / Windows 10 Pro 64ビット
CPU/RAM/ストレージ: Atom x5-Z8300/2GB or 4GB/64GB
ディスプレイ: 10.1インチ (1,920 × 1,200)
ポート: microUSB2.0、microHDMI、USB2.0(キーボード側)
カメラ: イン200万画素/アウト800万画素
Office: なし
サイズ/重量: 258.8 x 178 x 9.1 mm / 552g
価格:96,984円(RAM2GB)~102,600円(RAM4GB、バッテリー内蔵キーボード付属)
コメント: 東芝の最新鋭2 in 1。製品名に「Tab」がついていないので、ノートPCとしての扱いになるものの、タブレットとしてのサイズ感も優秀。ハードウェアの基本構成は最新といえるものながら、Office付モデルは存在しない(販売サイトでOfficeつきなどと書かれているが、もともと無料のOffice Mobileがインストールされているだけ)。なお、量販店モデルと直販モデルにスペック差があるので注意。
ウインタブ紹介記事: TOSHIBA dynabook N40・N29 - ヒンジつき2 in 1に強力なニューフェース登場!
メーカーサイト: dynabook N40・N29 製品情報
直販サイト: 東芝dynabook ノートPC製品 ラインアップはこちら!
量販サイト:dynabook N40/TG:ビックカメラ
2.スペック比較
記事の冒頭書いたんですけど、今回は対象機種が2つのグループに分かれてしまいます。EPSON、HP、ASUSとMicrosoft、Lenovo、東芝です。前者の3機種は前回の「キーボードつき5万円以下クラス」と前々回の「キーボードなし5万円以下クラス」に入れるべきものでした。実売価格が微妙に5万円以上なのでこっちに書いてしまいました。
とりあえず前者の3機種で比較してみます。CPU性能はASUSがもっとも優れています。ついでHPとなり、EPSONのCeleronはInstant Goにも対応せず、タブレット用のCPUとして、そして個人向けとしては微妙な感じです。昨年だとCeleron N2807を搭載したタブレットは数機種ありましたが、現在ではほぼすべてAtomもしくはCoreシリーズに置き換わっています。EPSONの場合、LTE対応のSIMがついている、というのが大きなメリットになりますが、OSにPro版が選択できることからも個人向けとしてはあまり向かないような気がします。
ASUSとHPですが、CPU性能には差があっても、実際の処理速度差はあまり大きくならないはずです。もちろんAtom Z3775を搭載したASUSにしといてよかった、という場面がないとは言えないので、それを理由にASUSを選ぶという考えを否定するつもりはないですけど、ウインタブとしてはあまりおすすめしない考え方です。また、ASUSはTransBookシリーズの一員でも筐体がより新しい「Chi」で、ディスプレイ解像度が1,920 × 1,200となっており、この点でHPよりも上です。また、Chi筐体はカメラ性能にも優れていて、2 in 1としてはカメラ性能はかなり高くなっています。逆にHPのほうが優れているのは筐体まわりで、ヒンジが非常にしっかりしていますし、入出力ポートでもUSB Type-Cを採用するなど先進性があります。また、ASUSのChi筐体でイマイチと思えるのが「キーボードがBluetoothであること」とUSBポートが従来のTransBook筐体よりも少なくなっていることです。microUSBだけでも使えるといえば使えますが、2 in 1ならフルサイズのUSBは欲しかったと思いますね。
次に後者、Microsoft、Lenovo、東芝です。ともにコミコミ10万円を超えそうな価格になります。この3機種はCPUにCherryTrailのAtomを搭載しており、その中でもMicrosoftとLenovoはハイエンドのものが使われています。そしてOSは64ビットですね。この構成を受け止めるRAMは4GBは必要になります。したがってRAM2GBのローエンドモデルはあまりおすすめできません。
東芝に採用されているAtom X5-Z8300とMicrosoft、Lenovoに採用されているX7-Z8700ですが、残念ながら現時点でどのくらい処理速度に差があるのかははっきりしません。ですがこれらのCPUは特にグラフィック機能が強化されているとの情報があるので、予算があればCherryTrailを選ぶという考えはいいと思います。ただし東芝のCPUは性能が低く、MicrosoftとLenovoのCPUは性能が高い、というのは事実なんでしょうけど、「高い」とか「低い」の程度がはっきりしないので何とも言えないところです。
Lenovoは今回対象機種としましたが、現時点で法人向けモデルしかなく、OSが最下位グレードを除いてWindows 10 Pro版のみとなり、Officeも選べず、キーボードも付属しない(ただし別売りで素晴らしい純正品はあります)ため、「個人向けが出るまで待ちましょうよ」ということになります。あと、東芝とMicrosoftですが、いい勝負というか、筐体の好みが機種選択の決め手になるのではないか、と思います。Microsoft Surfaceは独特なデザインコンセプトで、見た目は素晴らしいのですが実用性がどこまであるのか、ということには若干疑問が残ります。一方東芝はしっかりヒンジつきのキーボードを備えているので、ほぼ間違いなく期待通りの使い勝手になるでしょう。そのかわりSurfaceよりは見た目地味ですね。
3.サイズ感の比較
EPSON:
タブレット本体: 258 x 173 x 11 mm / 690g
キーボード込み: キーボード付属せず
HP:
タブレット本体: 265 x 175 x 10 mm / 600g
キーボード込み: 265 × 183 × 20(最厚部) mm / 1.19kg
ASUS:
タブレット本体: 265 x 174.5 x 7.2 mm / 570g
キーボード込み: 265 x 174.5 x 13.2 mm / 1.08kg
Microsoft:
タブレット本体: 267 x 187 x 8.7 mm / 641g
キーボード(別売)込み: 268 × 188 × 13.7 mm / 不明
Lenovo:
タブレット本体: 256.5 x 177 x 9.1 mm / 597g
キーボード込み: キーボード付属せず
TOSHIBA dynabook N40
タブレット本体: 258.8 x 178 x 9.1 mm / 552g
キーボード込み: 258.8 x 185 x 21.6 mm / 1.094kg
最初に注意事項です。今回の比較対象機種のうち、EPSON、Microsoft、Lenovoはキーボードが別売りとなります。ですが、Microsoft Surfaceを購入するなら純正のタイプカバー(16,934円)をつけることは間違いないでしょう。じゃないとSurfaceっぽくなりませんから。そのため、上の表ではMicrosoftのみタイプカバーを接続する前提で記載しています。
縦・横のサイズはMicrosoftのみちょっとだけ大きめに見えますけど、Microsoftはディスプレイサイズが10.8インチと大きく、アスペクト比も3:2となっていることから、若干大きくなる理由はあると言えます。すごいのはASUSで、とにかく薄いです。タブレット本体が7.2 mm というのはiPadに近い数値で、Windowsでありながらここまで薄くしたということは評価してもいいでしょう。重量では東芝が大健闘ですね。タブレット本体で552gというのは対象機種中で最も軽いし、10インチタブレット全体で見ても最軽量クラスです。これより軽いのは前回記事にしたLenovo Miix 3くらいだと思います。EPSONはここでもちょっと重すぎな印象がありますね。
4.実売価格比較
EPSON: 52,920円(Officeなし)
HP: 53,784円(Officeなし)~69,980円(Officeつき)
ASUS: 45,900円(Officeなし、32GB)~61,812円(Officeあり、64GB)
Microsoft: 88,340円(RAM2GB、ストレージ64GB)~99,140円(RAM4GB、ストレージ128GB)
Lenovo: 76,591円(RAM2GB、ストレージ64GB)~104,154円(Pro版OS、RAM4GB、ストレージ128GB)
TOSHIBA: 96,984円(RAM2GB)~102,600円(RAM4GB、バッテリー内蔵キーボード付属)
EPSON、HP、ASUSの3機種の中ではASUSが割安に見えます。「Officeあり、ストレージ64GB」という条件で比較するとASUSはHPよりも8,000円くらい安い、ということになりますね。この8,000円が絶対なのか、それとも筐体構造の方向性の好みによって逆転できるのかということは個人の好みの問題でしょう。
Microsoft、Lenovo、TOSHIBAの3機種に関して、まずLenovoはもともと法人向けモデルなので除外するとして、MicrosoftかTOSHIBAか、ということの比較では見た目Microsoftのほうが割安に見えますが、タッチキーボードが別売りで16,934円するので、実質的な差は大きくありません。そのため、ここでも筐体の好みというのが影響すると思います。この2機種に関しては支払額の差よりも、ファッション性をとるのか、ノートPCとしての使いやすさをとるのか、という選択になると思います。あ、そうそう、Microsoftは好むと好まざるとにかかわらずLTE対応のSIMスロットがついているので、この点も重要です。
5.結論
EPSON、HP、ASUSの3機種ではASUSを選びたいと思います。キーボードがBluetoothになり、USBポートの数が少ないというデメリットはありますが、洗練されたChiのデザインが魅力なのと、裏技ともいえる「ASUS OUTLET」の存在が大きいです。ASUS OUTLETではいつでもT100 Chiが買えるとは限らず、場合によっては少し待つ必要がありますけど、この記事で紹介した価格からさらに3割引くらいの価格で購入できるんです。もちろん外箱が破損しているとかの事情はありますけど、ウインタブの読者の方々もASUS OUTLETを活用しているみたいです。体裁を気にしないなら本当にお買い得です。
Microsoft、Lenovo、東芝の3機種については、法人向けモデルしかないLenovoは別とすると、残りの2機種は非常に悩んでしまいますね。Microsoftを選ぶ場合、独特のデザイン、LTE対応というあたりが魅力ですが、私はやっぱ東芝ですね。どちらも2 in 1なので、タブレットとしては軽く、ノートPCとしてはヒンジがついて不安定な場所でもしっかり打鍵できる東芝のほうが好みです。
今回は対象機種の選定がうまくいかず、あまりまとまりのある記事にできませんでした。きっと読みにくかったと思います。すみませんでした。
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