こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。「マウスコンピューター m-Tab iCE1000WN-BG(以下、本機といいます)」実機レビュー、今回が最終回となります。初回(その1)では筐体について、2回め(その2)では性能面特にソフトウェアの使い勝手について書きました。
マウスコンピューター m-Tab iCE1000WN-BG - 実機レビュー(その1)
マウスコンピューター m-Tab iCE1000WN-BG - 実機レビュー(その2)
今回は誰もが気になるはずの「Microsoft Officeの使い勝手」について説明し、そのほか数日間いろいろ使わせていただいた感想を描きたいと思います。
1.Officeは使いやすいか?
はっきりいって書くことがありません。つまり、「全然問題なく普通に使える」ということです。もちろん、本格的にはマウスとキーボードが必要です。ただ、タブレットとソフトキーボードでも以前試した8インチタブレットの時よりは使いやすかった、というのはあります。
8インチのWindows タブレットでExcelを使ってみた(1)-簡単な編集
8インチのWindows タブレットでExcelを使ってみた(2)-業務用ファイルの操作
しかし、これだと面白くないので、ちょっと意地悪なテストをしてみました。
ファイルサイズ13MBのExcelのファイル(シート4枚、各シートに大量のデータあり、最大で26万行)を開き、26万行のデータと別なシートのデータをひとつひとつつけ合わせ、必要に応じて別シートに抜き出すマクロというのを実行してみました。私、プログラマーとしての職歴はなく、スキルのある人ならAccessで処理すべき内容であってもVBAで強引に処理してしまう、という使い方をよくします。事務系の人ならこんな感じでExcelを使うことも多いんじゃないでしょうか?
結論を言うと、本機はちょっと時間がかかりましたがフリーズしたりエラーを出したりすることなく、数分で正常に処理を終えました。このマクロ、Core i5のデスクトップPCだと1分かからずに終了するので、作業時間は数倍かかったことになりますが、ここは正常終了できた、ということを評価すべきだと思います。
2.数日間使った感想
実機レビューということで、初めて10インチタブレットと数日間付き合うことができました。私は個人としては8インチタブレットユーザーなわけで、初めてタブレットを購入する人とは少し感覚が違っていると思いますが、感じたことをいくつか挙げてみます。
ノートPCとしての使い勝手は素晴らしい
8インチと10インチ、数字で表すとその差はわずかに見えます。しかし、PCとしてデスクトップ画面を操作する際、この2インチの差は非常に大きいものがあります。もちろん8インチでもキーボードとマウスを接続すれば完全な「パソコン」になるのがWindowsタブレットのメリットですが、長時間使うとさすがに目が疲れます。目が疲れると肩もこりますし、しまいに頭痛が…、あ、ちょっと言いすぎですね。でも私の場合1時間くらいなら大丈夫ですが、それ以上、ましてや丸一日とか8インチのデスクトップ画面と付き合うのは厳しいです。
本機で丸一日デスクトップ画面を操作してはいないのですが、試用した限り、目の疲れとかの疲労感はすごく小さいものでした。画面サイズだけでなく、付属のキーボードが非常によくできていたことも大きいです。私、外付けキーボードを2つ持っていますが、本機の付属キーボードはキーピッチ、打鍵感とも非常によく、長時間のタイピングも難なくこなせます。見た目は薄っぺらくてちょっと不安になるのですが、使ってみると大違いでした。
性能面ではOfficeはほぼ問題なく使え、画像加工もフリーソフトを使って簡単な処理をするくらいなら全然問題ありません。もちろん動画視聴とかWebブラウジングも難なくこなします。標準的なホワイトカラーの人がビジネスで使うぶんには十分なスペックであると判断できます。ただし、上に書いたような巨大なExcelファイルをバンバン使うとか、手の込んだ画像加工をする場合にはちょっと苦しいと思います。そういうニーズがある場合は、本機ではなく、Core M搭載の上位機種にすべきです。
タブレットとしては大きく、重い
私は8インチタブレットを毎日使っているので、この項目はどうしても厳しくなってしまいます。やはり10インチというサイズはタブレットとして気軽に使うには大きすぎますし、重すぎます。電車の中で使うことを想定すると、座席に座れるときは本機を使って楽しめます。ただし長時間になる時は片手で持って使うのはしんどいです。ゲームをする時などはちょっと苦労するでしょう。また、立って吊り革につかまっているときは本機を使う気にはなれません。
御城ブロジェクト(城プロ)や艦隊これくしょん(艦これ)は遊べます。タッチ操作は割と快適です。でも戦闘画面の挙動がPCに比べると遅いので、人によっては不満が出るかもしれません。具体的には遠征(探索)に出したり迎えたりとか、入渠(修繕)の管理をしたりとかのメンテナンス作業、サブ機的な使い方になりそうです。
細かい不満はある
画面ですが、自動調整の明るさだと日中は少し暗すぎます。これ、自動調整をオフにすればそれほど問題ではありません。でもそれに付随して、バッテリーの持続時間が少し短めです。公称で4.5時間となっていますが、ほぼそんな感じです。城プロを長時間やるとそれよりも短くなると思います。なので、外出時はACアダプター(本機に付属しています)も忘れずに持ち出す必要があります。
それともう一つ、Bluetoothの付属キーボードですが、たまにペアリングのやり直しをしなくてはなりませんでした。コツを掴めば大丈夫なのかもしれませんが、ちょっと面倒でした。個人所有のBluetoothマウスの方は全然そんなことはなく快適に使えていたのですが、純正品のキーボードが切れる、というのは少し気になりました。
3.結局これって買いなの?
本機の価格は税込で64,584円となります。Office Home&Businessが付属し、もちろんキーボードも付属しているので、これ以外に購入したほうがいいのはマウスだけです。私は裸族(タブレットカバーを使わないという意味)ですが、人によってはタブレットカバーも必要かもしれません。キーボードはカバー付きですが、タブレット本体のカバーは付属しませんから。
これまでウインタブでは「コストパフォーマンス至上主義」という論調で記事を書いてきました。同じ性能なら少しでも安いことが正義、ということですね。この考えで言えば本機は最安値ではありません。コストパフォーマンスはイマイチ、ということになります。下記の比較記事を参照してください。
Windows タブレット & 2 in 1 スペック比較 (2014年11月:10インチ版、エントリークラス)
この記事を読んでくれている人のPC知識は人それぞれでしょう。PC上級者もいれば、普段あまりPCを使うことがなく、タブレットを購入するのも初めて、という初心者もいると思います。中級者、上級者の人はコストパフォーマンス至上主義、という考え方でも問題ないと思うし、そもそもそういう人は経験豊富なので、自分で機種選びくらいできると思います。どんなパーツが必要なのかも理解しているし、オプション選びも自由自在でしょう。でも、初心者の人にしてみれば、「安かろう悪かろう」的な機種選びはしたくないし、どうやってカスタマイズしていけばいいのかなんてわからないと思います。うまく使えなくても、それが故障なのか、単に使い方を間違えているだけのか、わからない場合もあるでしょう。
ここでマウスコンピューターのサポート体制を1行で書きます。
「24時間×365日電話サポート」
です。本機を含めアウトレット品を除く全機種で1年間無償保証がつき、上記の24時間365日電話サポートが受けられます。私の知る限り、24時間365日の電話サポートというのは他にありません。中国大陸系、台湾系のメーカーではこういうわけに行きませんし、日本の大手メーカーでも無理です。これって初心者にはすごく安心できるサポート体制です。
それともう1つ、ウインタブでメーカー様から実機をお借りしてのレビューは今回が初めて、と書きましたよね。実は私、いろんなメーカー様に実機貸出のお願いをしています。現在交渉中のメーカー様もありますが、「原則として大手法人メディアにしか貸しません」という返事はまだマシで、「メールしても無視」「貸すと言っておきながらフェイドアウト」という対応を普通に受けています。
メーカーにしてみれば当たり前です。大手のメディアとウインタブじゃ、実機貸出のPR効果は全然違うでしょうから。ウインタブに力がない以上、文句をいう筋合いのことではありません。
でも、マウスコンピューターは実機を貸してくれました。弱小サイトをきちんと相手にしてくれたわけです。これって本当にうれしかったし、企業風土というか姿勢を表してるんだろうなあ、とも思いました。
そんなわけで、コストパフォーマンス至上主義じゃなく、タブレット初心者でも安心して使える機種、余計なオプションを買わなくてもすぐ使える機種、という意味では本機はおすすめですし、購入した後でもしっかりと面倒を見てもらえると思いますよ。