Lenovo ThinkPadシリーズのフラッグシップモバイル「X1 Carbon」の最新モデル「X1 Carbon Gen 13 Aura Edition」の実機レビューです。その名の通り2012年に発表された初代ThinkPad X1 Carbonから数えて13代目となります。IBM時代からずっとThinkPadシリーズを愛用しているかのあゆにとっても憧れのモデルです。
X1 Carbonシリーズは歴代モデルすべて魅力的です(かのあゆ個人の感想です)。今回は通常の実機レビュー・・・ではなく、実際にかのあゆがメインPCとして使用しているGen 9との比較をしながら最新モデルならではの魅力をご説明したいと思います。正直、このニューモデルも一発で大好きになりました(笑)
・“いつも通り”のデザイン
・入力していて楽しくなるキーボード
・グラフィックを調整すればAAAクラスのゲームも楽しめる
・さらに軽くなった筐体
ここがイマイチ
・フラッグシップモデルなので仕方ないが、高い・・・
・電源ボタンが押しにくい(左側面に移動)
・ThinkPadユーザーなら気になる左CTRLキーの位置
販売サイトはこちら
ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition:Lenovo
1.スペック
スペック表
ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition | |
OS | Windows 11Home / Pro |
CPU | Intel Core Ultra 7 258V |
RAM | 32GB(CPUにパッケージ化) |
ストレージ | 1TB SSD(PCIe-NVMe Gen 5) |
ディスプレイ | 14インチOLED(2,880 × 1,800) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac/ax/be、Bluetooth 5.4 |
入出力 | USB-C(USB 4 Thunderbolt 4対応) × 2 USB 3.2 Gen 1、USB 3.2 Gen 1 HDMI、3.5 mmイヤホンジャック |
カメラ | Webカメラ(100万画素) |
バッテリー | 稼働時間 約1時間 |
サイズ | 312.8× 214.75×14.37mm |
重量 | 967 g |
コメント
ThinkPadシリーズは注文の際にCPUやメモリなどを細かくカスタマイズできますが、このX1 Carbon Gen 13 Aura Editionは構成が一つだけに絞られています(日本語・英語キーボードの変更やMicrosoft Office 2024の有無の選択、OSのエディション変更は可能です)。
CPUはCore Ultraシリーズ2(Lunar Lake)のCore Ultra 7 258Vです。Core Ultraシリーズ1(Meteor Lake)と比較すると、ハイパースレッディングが廃止されたためマルチコア性能が低下しているものの、NPU、内蔵GPUの性能は大幅に向上しています。
特にNPUは最大47TOPSと大幅に性能アップしたため、Copilot+ PCの性能要件を満たし、Windows 11 2024 Update(バージョン24H2)からサポートされている「Copilot+ PC限定のローカルAI生成技術を活かした機能」も利用できます・・・。ただし、Copilot+ PCで推している機能がかのあゆ個人としては「いまいち」に感じていて、積極的に使いたいとは思えないので今回のレビューでは一切試していません。
RAMは32GBです。Lunar LakeではCPUとRAMが一体化しているため、購入後の増設や換装はできません。ストレージは1TB PCIe-NVMe SSDです。RAMについて、かのあゆの用途だと現状8GBでも足りていますが、将来のことも考えると多いに越したことはありません。
もともとX1 Carbonはカーボン素材を筐体に採用することでThinkPad伝統である「ハードな環境でもガンガン使える堅牢性」と、毎日持ち運んでも苦にならない軽量さを両立していましたが、X1 Carbon Gen 13 Aura Editionではついに1kgを切ってしまってしまいました(約986 g)。
2.筐体
付属品は65W出力対応USB PD ACアダプター、電源ケーブル、マニュアル・保証書などのペーパー類です。ACアダプターは前世代のものよりコンパクトになり、リュックに常備しても苦にならないサイズになりました。旧モデルのユーザーとしてはうらやましくなってしまいますが・・・実は単体でも購入可能です。

天板にはIBM時代からずっと継承されている、「日本のお弁当箱」から構想を得た黒の筐体と左上に「ThinkPad」ロゴが配置されたデザインです。2022年モデルから採用されているインカメラ部の出っ張りは当初かなり違和感を感じましたが、使っているうちに慣れました(笑)
底面です。デフォルトのストレージ容量が「盛った」ものになっている(1TBあります)ので、よほど大容量データを取り扱うような方でもない限りSSDの換装は必要はないかと思われますが、裏蓋のネジ4本を取り外すだけで容易にNVMEスロットにアクセスできます。
薄型軽量でありながら拡張性もしっかり確保されているのがThinkPad X1 Carbonの魅力の一つです。左側面にはUSB 3.2 Type-Aポート、USB-C(USB4・Thunderbolt 4)ポート×2。
右側面には電源ボタン、3.5 mmイヤホンジャック、USB 3.2 Type-Aポート、HDMIポートがあります。有線LANポートはX1 Carbon Gen 5以降から非搭載となり、X1 Carbon Gen 13 Aura Editionでは純正USBイーサネットアダプターの同梱もなくなっているので、有線ネットワークに接続したい場合は別途アダプターの購入が必要になります。
電源ボタンはキーボード右上から右側面側に移動していますが・・・配置的にわかりづらいのでこの点は少し不満に感じました。
従来のモデルと同様、ディスプレイは最大180度まで開口できるので、ビジネスシーンでプレゼンテーションする際に重宝します。
3.使用感(手持ちのX1 Carbon Gen 9との比較)

正直どちらも最高すぎる・・・
レビュー期間は一週間と短く、可能であればもうちょっと長く、じっくり使ってみたかった・・・というのが正直な気持ちだったりしますが、仕事の時もかのあゆのX1 Carbon Gen 9と一緒にリュックに入れて記事作成やメールチェックなどを行っていました。感覚的にGen 9も最近のモデルと思っていたのですが、発売からもう4年が経過しているんですよね・・・
左がかのあゆのGen 9、右がGen 13です。筐体のデザインは前モデルのX1 Carbon Gen 12と共通です。弁当箱から構想を得た伝統的なデザインは継承されていますが、実はモデルごとに細かい部分が異なっていたりします。全体的にGen 5~8までのデザインに戻った印象ですね。X1 Carbon Gen 9~11までの、キーボード左右にスピーカーが配置されたデザインが個人的に気に入っていたのですが、すっきりとした印象のX1 Carbon Gen 13 Aura Editionも素敵です。
・・・本音を言ってしまうとどちらもかっこいいんですけどね!この2台をリュックに入れて持ち歩いても苦にならないのもX1 Carbonならではの魅力と言っても良いでしょう(笑)
キーボードはいつも通りの配列ですが、Gen 13では左CTRLキーの配列が変更されているほか、右Altキーの隣にCopilotキーと電源ボタンから移動した指紋認証センサーが新たに配置されています。
Copilotボタンは1995年にリリースされたWindows 95の登場とともに登場したMicrosoftの「Natural Input Keyboard」で初めて登場した「メニューボタン」を置き換えるものですが、ThinkPadではIBM時代からLenovo時代に至るまで長年メニューボタンが配置されていなかったことを考えると「Copilot+ PCの要件としては必要」という理由があるとはいえ、いろいろ感慨深くなってしまいます(以前務めていた会社に「キーボードは素晴らしいけどメニューボタンがないから俺はThinkPadを選べない!」という仲のいいPCマニアがいました)。
打鍵感はX1 Carbon Gen 9とほぼ同等で、Gen 8以前のモデルと比較するとキーストロークが若干浅くなった印象はあるものの、いつも通り文章を打ち込むのが楽しくなる「最高」のキーボードです。やっぱりいいなぁThinkPadのキーボード・・・
今年の1月に発表された「X9」シリーズでは廃止されてしまったThinkPad伝統の「トラックポイント」も健在です。X9シリーズはあくまで他社ノートPCからの乗り換えユーザーを対象にした新モデルという位置づけのようで、X1 Carbon含む他のモデルに関しては(ユーザーが必要としている間は)トラックポイントを搭載し続けるようなので、ひとまず安心です。

左:X1 Carbon Gen 9 右 X1 Carbon Gen 13 Aura Edition
一つだけ気になってしまったのは左CTRLの配列が「Fnキーの右隣」から「一番左端」に変更されている点です。他社と同じ配列に統一されただけなので、本来であればむしろ使いやすくなっているので歓迎すべき点・・・なのですが、X1 Carbon Gen 9を普段使っているため、間違ってFnキーを押してしまうことが多々ありました。
Fnキーの右隣に左Ctrlキーが配列されているのはLenovo以外ではPanasonicのLet’s Noteシリーズしか知らないので、他社メーカーのノートPCからの乗換であれば問題はありませんが、X1 Carbonを含むThinkPadの旧モデルから乗り換えた場合、慣れるまで違和感を覚えるかもしれません。ただし、一応BIOSからFnキーとCtrlキーを入れ替えることは可能です。
ディスプレイ
上記画像では撮影環境などの関係上青っぽくなってしまっていますが、X1 Carbon Gen 13 Aura Editionでは標準で14インチ2.8K(2,880 × 1,800)OLEDパネルが搭載されています。
フラッグシップモデルということもあり、X1 Carbon Gen 12以前で選択できた、一番安価な14インチWUXGA(1,920 × 1,080)IPS液晶パネルの品質も素晴らしかったのですが、有機ELならではの引き締まった黒の美しさは本当に見ていて惚れ惚れしてしまいます。一度家電量販店などに展示されているデモ機でその美しさを体感してみてください。
スピーカー
ビジネスマシンたるThinkPadですが、内蔵スピーカーにも力を入れていて、X1 Carbon Gen 13 Aura EditionではDolby Atmosをサポートしているため迫力のあるサラウンドサウンドを楽します。モバイルノートとしては高価格帯の製品になるので当然と言えば当然かもしれませんが、ビジネスノート(あるいは法人向けノート)に見られる薄っぺらいで音質はなく、音楽や動画、ゲームなどのコンテンツも楽しむことができます。
SSD

X1 Carbon Gen 9

X1 Carbon Gen 13 Aura Edition
X1 Carbon Gen 13 Aura Editionに標準搭載されているSSDは最新のNVMe Gen 5に対応しています。かのあゆが愛用しているX1 Carbon Gen 9ではNVMe Gen 4までの対応で、これでも圧倒的に高速と感じていたのですが、X1 Carbon Gen 13 Aura Editionの読み書き速度はもはや「異次元」レベルとも言えてしまうほど、圧倒的に高速です(ウインタブ注:これ、「鬼速」です。ウインタブ史上最速。以前試したRAID0より速い)。
OSやMicrosoft Officeなどのビジネスアプリだと体感的な差は感じづらいのですが、大容量データを取り扱う動画編集・ゲームプレイ時などではこの高速さが活きてきます。さすが最新のフラッグシップモデルですね!
ゲーム
X1 Carbon Gen 13 Aura Editionに搭載されているIntel Core Ultra 7 258Vは内蔵GPUとしてIntel Arc Graphics 140V(Xe2アーキテクチャ)が採用されています。近年のCPUに搭載されている内蔵GPUは性能の進化が著しく、グラフィック設定を調整すればAAAクラスのタイトルもプレイ出来るようになりました。
同名のデスクトップPC向けdGPU(外付けGPU)も販売されていますが、発表当初ドライバーの調整不足でNVIDIAのGeForce RTXシリーズやAMDのRedeonシリーズと比較して十分な性能を発揮できていないことが報じられていたのと、一世代前のIris Xe Graphicsが途中でゲームの最適化をやめてしまったこともあり、レビュー前は不安だったのですが、実際にいくつかかのあゆが普段プレイしているゲームをプレイしてみたところ、予想以上の性能を発揮してくれました。
発売から今年で8年を迎えた今でも比較的ハイスペックなCPU・GPUが必要になる「ファイナルファンタジー XV」ベンチマークでは設定を「軽量品質」に設定すれば解像度FHD設定でも「やや快適」という結果になりました。実際のゲーム本編ではより詳細なグラフィック調整を行えるので、ファイナルファンタジーXVクラスのタイトルであればX1 Carbon Gen 13 Aura Editionでも楽しむことが出来そうです。

これだけグラフィック設定が高ければ仕事の合間にゲームを楽しむことも出来そう・・・ということで、実際にかのあゆが現在プレイしている「バーチャファイター R.E.V.O」、「首都高バトル」をX1 Carbon Gen 13 Aura Editionでプレイしてみました(バーチャファイターはウインタブのライターにガチプレイヤーがいますし、かのあゆ自身本格的にプレイするのは1998年にリリースされた「3tb」以来なのでまだオンライン対戦を楽しめる腕前ではありません・・・・)。上にリンクしたのはバーチャファイター R.E.V.Oのプレイ動画です。動画時間が長いので適宜飛ばしてご覧ください。
いずれも最高画質設定にしてしまうと動作が重くなってしまいましたが、「首都高バトル」はグラフィック設定デフォルト(変更なし)、バーチャファイター R.E.V.Oはグラフィック設定を「低」まで下げれば快適にプレイできました。「コンシューマー機と同等、またはコンシューマー機よりもさらに美しいグラフィックでプレイしたい!」という方はそもそもこの製品を購入対象に入れることはないでしょうし、かのあゆ個人としてはここまで動いてくれれば十分だと感じました。
4.まとめ
ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura EditionはLenovo公式サイトで販売中で、価格は299,970円からです。フラッグシップモデルのX1 Carbon最新モデルということもあり、外部GPU非搭載のモバイルノートとしては手軽に購入出来る値段ではありませんが、ThinkPadならではの堅牢性の高さ、快適に文章を打ち込めるキーボード、スペックの高さもあってその分長いあいだ使っていける相棒になってくれると思います。
レビューする前からわかりきっていたことですが、やっぱり触っているとほしくなってしまいますね。現在使用しているGen 9も最高のパートナーですし、大事に使っていきたいと思っていますが、最新世代のX1 Carbonは「さらに素晴らしく」なっていました。
5.関連リンク


コメント