ThinkPadシリーズはレノボのビジネスノートPCです。もともとはIBM製で、レノボがIBMからPC事業を買収したことにより、現在はレノボのブランドになっています。とはいえ、現在でも日本のレノボ大和研究所(旧・IBM大和事業所)が製品企画・開発に深く関わっています。
ThinkPadシリーズはビジネスPCとして非常に高い評価を受けており、「真っ黒な筐体」「キーボードに赤いデベソ(トラックポイント)」「頑丈な筐体」など、独特のデザインや特徴を備えています。「ThinkPadしか使わない」というベテランPCユーザーも多いですね。実は私(ウインタブ)もThinkPadの熱狂的なファンで「(ウインタブのサイト運営と関係なく)私的に使うノートPCはとにかくThinkPad」です。
これだけだと「ThinkPadを礼賛するだけ」になってしまうので、(不本意ながら)ThinkPadの悪口も書いておきます。
ThinkPadシリーズは基本的なデザインが長年変わらず「無骨で古臭い」と感じられることがあります。また、スペックの割に価格が高く、コストパフォーマンスはあまり良くありません。ビジネス向けという特性上、ディスプレイの品質は平凡で、発色や輝度が控えめなもの(45% NTSC)が多い点も気になるところです。ThinkPadファン(私なんですけどね…)にとって「神」と思えるトラックポイントも、人によっては使いづらく、不要に感じることもあるでしょう。さらに、最近のモデルは中国製造が主流となり、「IBM時代の品質とは違う」と指摘する声もあります。
ウインタブでは「これから買うなら絶対にCopilot+ PC!」とは考えていません。現時点でCopilot+ PCが得意とされる「オンデバイスAI」はソフトウェア側の対応が全く進んでおらず、2025年中にオンデバイスAI対応のソフトウェアが激増するという見通しも立てにくいためです。しかし、Microsoftが定めたCopilot+ PCの要件を満たすPCは「間違いなく高性能」ではあるので、「高性能PCとしてのお墨付き」という観点で、いい目安になると思っています。
目次
Copilot+ PC対応のThinkPadモデル一覧
では本題に入ります。2025年4月6日現在、「ThinkPadシリーズのCopilot+ PC」は下記の7機種です(国内で購入できるものに絞っています)。
製品 | ディスプレイ サイズ |
CPU | 価格の目安 |
X1 Carbon Gen 13 Aura Edition | 14インチ | Core Ultra(Lunar Lake) | 25~32万円 |
X1 2-in-1 Gen 10 ILL | 14インチ | Core Ultra(Lunar Lake) | 28~34万円 |
X9 15 Gen 1 Aura Edition | 15.3インチ | Core Ultra(Lunar Lake) | 20~27万円 |
X9 14 Gen 1 Aura Edition | 14インチ | Core Ultra(Lunar Lake) | 19~27万円 |
T14s Gen 6 ILL | 14インチ | Core Ultra(Lunar Lake) | 23~26万円 |
T14s Gen 6 Strix Point | 14インチ | Ryzen AI 300(Strix Point) | 22~28万円 |
T14s Gen 6 Snapdragon | 14インチ | Snapdragon X | 20~27万円 |
※製品名をクリックするとレノボの製品ページが開きます。
※注文時に構成のカスタマイズが可能です。カスタマイズによっては「目安」より安くも高くもなります。
※Copilot+ PC以外にも多数のモデルがあります。モデル一覧と価格情報はこちらをご覧ください。
現時点だと、「14インチのモバイルノートがほとんど」ですね。15.3インチのThinkPad X9 Gen 1 Aura Editionもキーボードはテンキーレスですし、筐体重量も1.4 kgと軽いので、モバイルノートと言ってしまってもいいでしょう。
搭載CPUはIntel Core Ultraシリーズ2(Lunar Lake)が5機種、AMD Ryzen AI 300(Strix Point)が1機種、Qualcomm Snapdragon Xが1機種で、Core Ultraシリーズ2搭載の3機種については製品名にIntelとの共同開発であることを示す「Aura Edition」というのがついています(他のCore Ultraシリーズ2搭載機は「Intel Lunar Lake」を意味する「ILL」がついています)。なお、搭載CPUについての解説はこちら(CPU一覧表、Core Ultra、Ryzen AI 300)をご覧ください。
では、各機種の寸評を記載します。
X1 Carbon Gen 13 Aura Edition
モバイルノートの購入を考えていて、予算にある程度の余裕があるのなら、5機種の中でX1 Carbonがベストです(キッパリ)。まず、ウインタブとしては「モバイルノートではCPUの性能よりも『軽いこと』のほうが重要である」と考えていて、重量1キロを切る(986 g)X1 Carbonはそれだけでも超魅力的です。
また、X1 CarbonはThinkPadモバイルではフラッグシップという位置づけなので、筐体品質も最高水準ですし、機能面にも優れます。超軽量に仕上げたことによる耐久性の劣化もありませんし、上で「悪口」として書いたディスプレイ品質も決して低くはなく、低価格モデルでも100%sRGBの色域を確保し、上位モデルだと2.8K解像度の有機ELパネルを搭載していますので、ビジネス以外の場面でも美しい画面が楽しめます。個人的にはこれが「現時点で選びうる最高のThinkPad」だと思います。
レノボ製品ページ:
X1 2-in-1 Gen 10 ILL
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Lenovo ThinkPad X1 2-in-1 Gen 10 ILL - ThinkPadシリーズのフラッグシップ2-in-1、CPUにLunar Lakeを搭載
X1 2-in-1 Gen 10 ILL
X1 2-in-1 Gen 10 ILLは「X1 Carbonの2-in-1版」という感じの製品です。システムスペックはX1 Carbonに近いですが、コンバーチブル2-in-1筐体のため、X1 Carbonほど軽量ではありません。また、筐体も「黒くない」です。
タッチ対応するディスプレイを搭載しており、筆圧に対応するペン入力も可能、ペンも付属します(カスタマイズ画面でペンなしにすることもできます)ので、ビジネスマシンたるThinkPadシリーズの製品ながら、クリエイターの利用にも向く製品です。
レノボ製品ページ:
X1 Carbon Gen 13 Aura Edition
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X9 15/14 Gen 1 Aura Edition

ThinkPad X9 14 Gen 1 Aura Edition
X9シリーズ(X9 15とX9 14)は「全く新しいThinkPad(all-new ThinkPad)」です。筐体は「黒くない」ですし、キーボードにも「デベソなし」です。よってThinPadユーザーの中でも賛否両論が渦巻いていて、ある意味「問題作」とも言えますねw
要はThinkPadらしくないから否定的な評価が出てしまっているんですけど、ディスプレイは下位グレードであっても有機ELですし、特に15インチモデルの方は標準で2.8K解像度です。また、これも15インチモデルのほうですが、筐体重量も1.4 kgとサイズの割に軽く、モバイルノートとしても使えます。なので、ThinkPadの伝統に強い思い入れがない人やThinkPadファンでも「そろそろ目先を変えて欲しい」と思っている人には歓迎されるんじゃないでしょうか。
また、5機種中で最も価格設定が低くなっているのも特徴です。下位グレードであれば20万円前後から購入できるのは「ThinkPadとして」というより「Copilot+ PCとして」割安感があります。私がX9を買うとしたら「ディスプレイ品質がいいこと、サイズの割に軽いこと、スペックの割に安いこと」から15インチモデルを選ぶと思います。
レノボ製品ページ:
X9 15 Gen 1 Aura Edition
X9 14 Gen 1 Aura Edition
T14s Gen 6 ILL/Strix Point/Snapdragon
ThinkPad TシリーズはThinkPadの中でも上位モデルと位置づけられ、スタンダードノートがメインですが、T14sは14インチで薄型・軽量なモバイルノートです。
このT14s、PC市場の中でも非常に珍しい存在と言え、同じ筐体に異なるブランドのCPU、それもCopilot+ PCの性能要件を満たすCPUを搭載するモデルがあり、Core Ultraシリーズ2(Lunar Lake)、Ryzen AI 300(Strix Point)、Snapdragon X(X PlusあるいはX Elite)を選べます。
3つのCPUブランドのいずれを選ぶかは人それぞれですが、ウインタブとしては「ThinkPadならSnapdragonはやめとけ」と言っておきます。
CPUがSnapdragonである、ということはOSが「ARM版のWindowsである」ことを意味します。ウインタブでもARM版Windowsを搭載する製品を何度もレビューしていて、以前と比べると劇的に使いやすくなっていることは認めます。普段使いでは「ほとんど普通」です。ただし、ARM版Windowsの欠点として指摘される「アプリの互換性(一部のアプリが動作しない)」という点は完全には解消されていません。
ウインタブのARM版Windows搭載機のレビュー経験に照らすと、「メジャーなアプリは問題なく動作する」ものの、「Google 日本語入力」が正常に動作しないとか、ベンチマークテストの「PC Mark」が動作しないといったことを確認しています。Google日本語入力が使えないのならMicrosoft IMEを使えばいいわけで、致命的な問題とまでは思いませんが、それでも「いつも使っているIMEが使えない」ストレスは大きいです。
「ビジネスでガッツリ使うために買うのがThinkPad」なので、PCの都合で常用しているIMEを変えざるを得ないというのは個人的にはちょっと許せないですね。
ここではIMEについて触れましたが、ビジネスで使っていれば他のアプリで同様の事態に遭遇する可能性がないとは言えません。よって、SnapdragonやARM版Windowsを否定するつもりはありませんが、ThinkPadシリーズに搭載するには時期尚早と思います。
T14sはディスプレイサイズが14インチで薄型・軽量なモバイルノートという点でX1 Carbonと製品特性がかぶる部分もありますよね。私の意見ですと、個人利用の場合、X1 CarbonよりもT14sを選ぶ理由として挙げられるのは「Intel CPUではなくAMD CPUにしたい」「価格を低く抑えたい」という2点だけです。「筐体がちょっと重くてもいいので、少し安く上げたい」という人にはおすすめです。
レノボ製品ページ:
T14s Gen 6 ILL
T14s Gen 6 Strix Point
T14s Gen 6 Snapdragon
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関連リンク
Lenovo 公式サイト
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