こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は中国タブレット「Teclast Tbook 10」の実機レビューとなります。実機は中国の通販サイト「Banggood」からお借りしました。また、今回は専用のキーボード(別売り)も合わせて送ってもらいましたので、試用機の2 in 1としての「あるべき姿」を試すことができました。Teclastらしい、高い質感と安定性を兼ね備えた製品だと思います。
Teclast Tbook 10:Banggood
Magnetic Docking Rechargeable Keyboard:Banggood
1.スペック
OS: Android 5.1、Windows 10
CPU: Intel Atom X5-Z8300
RAM: 4GB
ストレージ: 64GB
ディスプレイ: 10.1インチIPS(1,920 x 1,200)
ネットワーク: 802.11 b/g/n/、Bluetooth
カメラ: インのみ2MP
入出力: microUSB、miniHDMI、microSD、オーディオ
バッテリー: 6500mAh(キーボード3500mAh)
サイズ:
(タブレット)246.5 x 165.9 x 8.7 mm / 567 g
(キーボード込み)246.5 × 177 × 19 mm / 1,253 g
最初にスペックの確認です。この製品は10.1インチタブレットで、OSはWindows 10 64ビットとAndroid 5.1のデュアルブート機です。CPU、RAM、ストレージの構成は最新の10インチクラス中国タブレットの標準と言えるもので、もちろんAtom機としては文句は出ませんね。ディスプレイも1,920 × 1,200ですから、高精細な部類に入ります。
そして、別売りではありますが、専用のキーボードが用意され、なんとバッテリー内蔵です。つまり、キーボード接続時には本体内蔵のバッテリーだけでなく、キーボードからも給電を受けられる、ということです。そのため、キーボードは見た目よりも重く、実測値で686 gありました。
2.筐体
この製品の配送状況については別記事を書いていますので、詳しくはそちらをご覧ください。
まずはタブレット本体とその同梱物です。USB(オス)-microUSB(オス)のケーブル、USB(メス)-microUSB(オス)の変換ケーブル、そして日本のコンセントに使えるACアダプターが同梱されていました。マニュアル類は2冊あり、それぞれWindows、Androidの基本操作説明が記載されていました。英語もありますよ。でもTbook 10固有の機能説明とか、ハードウェアの各部名称とかはありませんでした。それと、保証書がついてます。
こちらが別売りのキーボード。ケーブル類はついておらず、保証書関係の用紙が2枚(英語なしなのでよくわかりませんでした)が同梱されているのみでした。なお、この製品はバッテリー内蔵ですが、ACアダプターはタブレット本体のものがそのまま使えます。
さっそく本体から見ていきます。まずは左側面。この面には画像右端にスピーカーがついていて、ボタン類やポート類はありません。
右側面です。ポート類はすべてこちらの面にあります。画像左から、DC-IN、miniHDMI、microUSB、microSDスロット、オーディオジャックです。また、画像左端にはスピーカーの穴が見えます。
筐体上部には電源ボタンと音量上下ボタンがついてますが、注意したい(と騒ぐほどでもないですが)のは、Teclast以外の製品は通常この位置で撮影するとこれらのボタンは画像の右側にあるのだ、ということです。Teclastだけはなぜか反対なんですよね。
底面です。キーボード接続用のコネクターと、ヒンジの「ツノ」をはめ込む穴が開いています。
背面です。お借りしている製品なので透明な保護カバーはついたままにしています。筐体素材はアルミ合金製で、質感はかなりいいです。私が知るかぎり、Teclastは中国メーカー(深センメーカー)の中で筐体の質感は最も高いと感じます。この製品も安っぽさとか雑な感じは全くありません。
続いてキーボードです。右側面ですね。フルサイズのUSBポート、それとDC-INがついてます。上にも書きましたが、DC-INにはタブレット本体のACアダプターをそのまま接続して充電できます。
左側面にもフルサイズUSBポートがついています。左横にあるボタンはバッテリーチェッカーです。後述しますが、キーボード面の右上にLEDランプがいくつかあり、このボタンを押すとバッテリー残量に応じて光るようになっています。
ヒンジのある背面です。ヒンジ部分は筒状の独特な形状をしていますが、それほど目立ちません。キーボードとタブレット本体はマグネットで接続しますが、磁力はそれほど強くはなく、着脱が大変、という感じではありません。もちろん接続が弱くて意図せずに脱落する、という心配もなさそうです。要するに適度な力で接続されます。
キーボード面です。キーのサイズは大きめにみえますが、じつはそうでもありません(後述します)。ただし、キーサイズが大きいため、省略されてしまっているキーもあります。また、FキーはFnキーとの同時押しになります。あと、画面右上にある4つの穴みたいなのがバッテリー残量のLEDインジケーターです。
キーボードのアップです。キーの表面はフラットで、特に何かしている、ということはないですね。
タブレットを接続してみました。基本的にこの状態だとほぼ完全なノートPCとして使えそうです。しかし、そんなに大きく開口はしてくれません。上の画像が最大開口です。まあ、これでも実用性には問題ないレベルだと思います。
キーボードを接続し、閉じたところです。見た感じ完全にノートPCですね。
手持ちの10.1インチ2 in 1「acer Aspire Switch 10」とのサイズ比較です。ご覧のように一回り小さいですね。キーボードにバッテリーが内蔵されているため、重量は重くなりますが、サイズはかなり小さいということがわかると思います。
見た感じの質感は相当に高く、「どこに出しても恥ずかしくない」くらいですね。
3.使ってみた
まず、システム情報の確認をしてみます。デュアルブート機なので、ストレージ64GBでもアンドロイド側に割り当てる分というのがあり、空き容量は20GB弱、ということになります。オリジナルの(中国語の)Windowsアプリもいくつか入っていました。
Android側のストレージは20GBを確保し、空きは15GB強ですね。Androidであればこのくらいで十分快適に使えると思います。なお、例によってプリインストールアプリは多めなので、購入後不要なものを削除すれば数百MBくらいは空きが増えると思います。
いつものようにテキスト入力や簡単な画像加工など、私が日常的にやっている、比較的軽めの操作をしてみました。今回はキーボードも一緒にお借りしたということもあり、ちょっと順序がおかしいかもしれませんが、まずはキーボードの使い勝手について書きます。
このキーボードは思ったよりもクセがあります。キー配列が日本語ではない、というのは仕方ないのですが、結構重要なキーが省略されてしまっていて、実用上少し困る場面がありました。英語配列のキーボードの場合、「~(チルダ)」キー+「ALT」キーでIME切り替え(日本語入力と英数入力の切り替え)を行いますが、「~」がFnキーと同時押しになるためIMEの切り替えに使えません。そのため、MS-IMEにせよGoogle日本語入力にせよ、IME切り替えのショートカットを登録してやる必要があります。
次に、記号キーの中で使用頻度が多いと思われる「+」「-」「=」「/」などがFnキーと同時押しです。なので、数式の入力が多い場合は別途外付けのテンキーが必要になりそうですね。また、ちょっと面白いのは「バックスペース」キーとFnキーと同時押しで「DELETE」になる、というものです。
それと、キーは見た目余裕がありそうな大きさに見えるのですが、実際は思ったよりも小さく、タイピングはかなり窮屈です。上の方でacer Aspire Switch 10との大きさ比較をし、「一回り小さい」と書いたのですが、それがキーボードの大きさにダイレクトに響いている、という印象です。ただし、この点は慣れてくるとある程度問題にはならなくなるでしょう。
Windowsの操作感は割と快適です。私がこれまで試用してきたCherryTrail機とそんなに変わりません。キーボードには慣れが必要、と書きましたが、慣れたという前提ならタブレットとしてもノートPCとしても快適に使えると思います。
次にAndroidです。日本語化も設定画面から簡単にできましたし、ごく軽快に動きます。CPUがIntelのため、ゲームアプリなどの一部に動作しないものがあると思いますが、それ以外に懸念すべきことはほとんどないと思われます。
この項の最後にバッテリーについて。この製品はバッテリー内蔵のキーボードが用意されています。このキーボードを接続して使っていると、タブレット本体は常に「電源に接続した状態」となり、キーボード側のバッテリーが切れるまでタブレット本体のバッテリーは消費されません。しばらく使ってみたのですが、キーボード側のバッテリー(3500mAh)は1時間程度使ったくらいだと切れたりはせず、したがってタブレット側のバッテリーは全く消費されませんでした。
このキーボードを分離し、タブレットのみでしばらく使ってみましたが、30分ゲームをした場合、バッテリーの減りは10%弱でした。そのため、タブレット本体で5時間程度、キーボードを接続すれば終日(つまり8時間程度)の作業には使えると思われます。ただ、バッテリーに関してはどのくらい節約機能を使うのか、どんなアプリを使うのかによって実績が大きく異なると思いますので、あくまで参考程度にご理解ください。
4.性能テスト
デュアルブートのAtomタブレットということで、「ドラクエ X ベンチマーク」「ドラゴンズドグマオンライン ベンチマーク」、そしてAndroidでは「Antutu」をやってみました。
Cube iWork 11 Stylus(Atom X5-Z8300): 1,817
ONDA V919 Air CH(Atom Z5-Z8300): 1,801
Chuwi Hi 10(Atom x5-Z8300):1,658
ドスパラ Diginnos DG-D10IW3(Atom x5-Z8300): 1,570
Chuwi HiBook(Atom x5-Z8300): 1,504
Teclast X98 Plus 3G(Atom x5-Z8300): 1,464
Cube iWork 8 Ultimate(Atom x5-Z8300): 1,448
DELL Inspiron 11 3000(Celeron N3050): 1,446
ドスパラ Diginnos DG-D09IW2(Atom x5-Z8300): 1,241
PIPO W9S(Atom x5-Z8300): 1,136
acer Aspire Switch(Z3735F): 1,101
Diginnos DG-D08IWB 32GB(Z3735F): 1,097
ドラクエベンチについてはAtom Z8300機としては「ぼちぼち」というところだと思います。実際の使用感というか体感的な操作感もそんな感じでしたね。決して悪くない、という意味です。
参考:
Teclast X98 Pro(Atom X5-Z8500): 1,048
Cube iWork 11 Stylus(Atom X5-Z8300): 911
ONDA oBook 10(Atom X5-Z8300):908
Chuwi Hi 10(Atom x5-Z8300):876
ONDA V919 Air CH(Atom X5-Z8300): 819
Cube iWork 8 Ultimate(Atom x5-Z8300): 774
Teclast X98 Plus 3G(Atom x5-Z8300): 705
ドスパラ Diginnos DG-D10IW3(Atom x5-Z8300): 692
ドスパラ Diginnos DG-D09IW2(Atom x5-Z8300): 601
PIPO W9S(Atom x5-Z8300): 474
acer Aspire Switch 10(Atom Z3735F): 469
次にDDONです。これもコメントに苦しむくらいに「ぼちぼち」ですなあ。要するにカタログスペックを裏切るようなものではなく、一方でサプライズもない、ということで、ある意味信頼感のあるデータだと思います。
参考:
Chuwi HiBook(Atom X5-Z8300): 56,728
Teclast X89 Kindow(Atom Z3735F): 47,495
Teclast X10(MediaTek MT8392): 31,561
Cube T8 Super Version(MediaTek MTK8735P): 23,925
続いてAndroidのAntutuです。Atom Z8300搭載のタブレットだと、50,000台の半ばくらいになるんでしょうかね?ハイエンドのスマホには負けますけど、このくらいのスコアなら多くの人にとって不満は出ないように思われます。
5.まとめ
Teclast Tbook 10は中国の通販サイト「Banggood」にお借りしての実機レビューとなり、そのBanggoodで販売中です。6月30日現在の価格は159,99ドル(16,565円)、別売りのバッテリー内蔵キーボードが59.99ドル(6,211円)となっています。ただし、キーボードの方はまだ「Alert Me on Arrival」というステイタスになっており、販売が開始されていません。
試用してみた感想として、タブレット単体としては非常に素晴らしい製品だと思います。処理性能は十分に合格点をあげられると思いますし、筐体の質感も高く、ディスプレイもきれいです。2万円以下で購入するタブレットとしてはあまり文句はでないですね。
問題なのはキーボードをどう評価するか、ということです。短時間の試用ではあまり厳しいことを書くべきではないですが、配列のクセは気になってしまいます。キーのサイズについては使っているうちに慣れるでしょうが、Excelで数式の入力が多い、という場合は少し苦戦すると思います。一方でバッテリー内蔵の効果は非常に高く、この価格帯の2 in 1としては画期的と言えるくらいにバッテリーが長持ちします。そして、本体の美しいデザインと調和の取れた、高い質感の外観も魅力ですね。「製品デザイン優先で作業はテキスト入力メイン」ならあまり心配いらないだろう、とは思いますが。
キーボードがBanggoodで販売開始となるのはもう少し先だと思うので、購入を検討する場合、とりあえずタブレット本体だけ、ということにならざるを得ませんが、しばらく外付けのキーボードで使って様子を見る、ということでもいいかもしれません。
結論として、Teclast Tbook 10はTeclastらしい高い質感、美しいデザインを備え、処理性能も期待を裏切らない、価格以上の価値があると評価します。しつこいですが、キーボードについては長所短所が混在していて、ちょっと考えどころではありますけどね。
6.関連リンク
Teclast Tbook 10:Banggood
Magnetic Docking Rechargeable Keyboard:Banggood
Banggood トップページ
Banggood タブレット一覧
コメント
参考になるレビューをどうもありがとうございます。
キーボード、配列といいキーピッチといい、写真見る限りはVoyo vbook v1とまるで同じですよね、これ。
Chuwi hibookとCube iWork10FSのキーボード配列がまったく同じなのと似たようなもんで
生産元の工場かなんかが一緒なんでしょうか。
こんにちは、コメントありがとうございます。キーボードについて別記事を書きましたのでご確認ください。
DC-INがタブレットにもキーボードにもついていますがどちらに差しても両方充電出来るのですか?
それともタブレットとキーボードそれぞれを別に充電するのですか?
掲示板の噂程度で申し訳ないのですがキーボードのバッテリーがタブレットに供給されないという噂聞いたのですがタブレットの電池無くなるとちゃんとキーボードから電源供給されます?
こんにちは、コメントありがとうございます。試してないですが構造上はキーボード側に電源を挿しておけば両方充電されるはずだと思います。掲示板の話はわかりません。記事にある以上のことはわからないですね。
キー配列だけじゃなく、タッチパッドが一体成型なところもいっしょです。
省かれているキーもいっしょですし
shiftキーと組み合わせて入力する文字
Fnキーと組み合わせて入力する文字
なにからなにまでおなじで~す。
ブログ書きのさいにhtmlコード、、、というか
StyleSheetコードを書いて画像表示をコントロールするタイプなので
記号系がshiftとFnのどっちにも分散していてとても辛いです。
サンデープログラマにも向かないキーボードだと思います。
miyukiさん、こんにちは、いつも運営にご協力いただき、ありがとうございます。一応キーボードをテーマに別記事を書いてみましたが、いかがでしょう?