HPが13.3インチモバイルノート「Pavilion 13」をリニューアルしました。この製品の従来モデルはHPいわく「鉄板構成」になっていて、「Core i5/RAM8GB/256GB SSD」という、ビジネスマシンとして必要十分なスペックだったのですが、ニューモデルではCPUの換装だけにとどまらず、「さらなる鉄板構成」と言いたくなるような改善がなされています。
1.スペック
従来モデルは単一スペックでしたが、ニューモデルでは3つのバリエーションモデルが存在します。
ベーシック:Core i3/RAM8GB/256GB SSD
スタンダード:Core i5/RAM8GB/256GB SSD
スタンダードプラス:Core i5/RAM8GB/Optane+512GB SSD
CPUは第10世代のCore i5に加え、Core i3が追加されました。また、第10世代でもノートPCによく使われている開発コードネームComet Lake(Core i3-10110U/Core i5-10210Uなど)ではなくIce Lakeが採用されています。Ice LakeのCPUは上位型番だと内蔵GPUに「Iris Plus」という高性能なものが使われていますが、Pavilionに搭載されているCore i3-1005G1/Core i5-1035G1はいずれもIrisではなく、Intel UHD Graphicsなので、Comet Lakeと比較して顕著な性能差(グラフィック性能差)はないものと思われます。Passmarkが公表しているベンチマークスコアを比較してみましょう。
Core i5-10210U(Comet Lake):8,450
Core i5-1035G1(Ice Lake):8,833
※12月28日現在のPassmark公表値。数値が大きいほうが高性能
Passmarkのスコアを確認する限り、Core i5-1025G1のほうが若干高性能に見えますが、おそらくComet Lakeとの体感差はほとんどないものと思われます。ただ、Passmarkスコアで8,000点台というのは十分に高性能だと言えます。
RAMは全モデル8GBで共通、ストレージは上位モデルが512GB SSDと大容量になっているのに加え、HDDキャッシュとして機能するIntel Optaneメモリーが搭載されます。個人的にはSSDだけでもビジネス利用には十分な速度になると思っていますが、さらなる高速化が期待できますね。
ディスプレイは、なんとタッチ対応になりました!個人的にはCPUの換装よりもディスプレイのタッチパネル化のほうが大きな改善だと思います。また、通信まわりでもWi-Fi 6(ax規格)に対応しました。最近Wi-Fi6対応のPCがどんどん出てきていますが、これからPCを購入するのならWi-Fi6対応のほうがよさそうですね。
入出力ポートに関しては従来モデルから変化ありません。13.3インチノートとしては標準的な構成になっていると思います。しかし、SDカードリーダーがmicro規格ではなくフル規格である、というのがうれしいところです。
また、地味にサイズもちょっと変化しています。タテ・ヨコサイズは従来モデルと変わりませんが、厚さがちょっとだけ変わり、少し薄くなりました(従来モデルは15.5-17.5 mm)。とはいえ、最厚部で1.7 mmの差なので、筐体が新設計になったのかどうか、というのはわかりません。というか、基本的には変わっていないと思います。また重量も1.26 kgと、従来モデルから変わってはいません。
2.筐体
この製品の筐体は従来モデルとほぼ同一であると推定しています。そのため、従来モデルの実機レビュー記事も合わせてご覧いただくとわかりやすいかと思います。
HP Pavilion 13-an0000 レビュー - スペック・品質・そして価格、どこをとっても「鉄板構成」の13.3インチモバイルノート(実機レビュー)
この製品の横幅は310 mmなので、2019年に発売された13.3インチモバイルノートとしては特に小さいほうとは言えません。しかし、左右のベゼル幅は十分に細く見えます。
天板です。ここも従来モデルから変化なしと思われます。筐体素材はアルミで、天板ロゴはプレミアムPC用のものではなく、オーソドックスにHPロゴが使われています。
筐体色も従来と変わらず「モダンゴールド」と「SAKURA」の2色。特にSAKURAのほうは可愛らしい色になっていますので、女性ユーザーにも人気がありそうです。
キーボードです。おそらく従来モデルと仕様は変わっていないと思われます。「キーピッチ:約19.0×18.7mm、キーストローク:約1.3mm、JIS標準準拠89キー」と開示されています。ウインタブで従来モデルの実機レビューをした際、気持ちよく打鍵できるキーボードであると評価しています。
側面と入出力ポートの配置です。ここも従来モデルから変化はありません。指紋センサーが側面にある、というのが面白いですね。
3.価格など
HP Pavilion 13-an1000はHP Directplusで販売中で、12月28日現在の価格はCore i5と256GB SSDのスタンダードモデルが68,000円(税込み74,800円)、Core i5と512GB SSD + Optaneのスタンダードプラスモデルが76,000円(税込み83,600円)となっています。また、ウインタブ注目のCore i3モデルは現時点で発売されておらず、2020年1月中旬の発売予定となっています。
もともとシンプルでクリーンなデザインで良スペック、というのがPavilion 13の魅力でしたが、ニューモデルではCPUの世代が新しくなっただけでなく、ディスプレイがタッチパネルになり、Wi-Fi 6にも対応するようになりました。特にディスプレイのタッチパネル化は利便性を大きく高めてくれると感じます。また、価格のほうも他社の競合製品と比較しても割安だと評価しています。個人的には「RAM8GB/ストレージ256GBなのであればCore i3モデルでも十分なのでは?」と思っていますので、Core i3モデルの実売価格がとても気になります。