ここのところ、ウインタブで中国タブレットの紹介記事を書く機会が増えていますし、私自身2機種中国タブレットを試用した経験があります。中国タブレットの魅力は「カタログスペックが高く、価格が安い」ということで、こう表現する場合の比較対象は日本メーカーの製品です。しかし、PCやタブレットはカタログスペックが高ければ無条件に評価していい、というものではありません。筐体の質感とか耐久性、いざというときに安心なメーカーのサポート体制…、そういったカタログに現れないものまで含めて評価すべきです。その観点では中国製品というのはまだまだ日本メーカーの製品には遠く及びません。
今回は「ド日本」な製品「富士通LIFEBOOK WS1/W」を紹介します。13.3インチのハイスペック・モバイルノートPCで、富士通らしくメイド・イン・ジャパンです。表示価格だけ見ると「高い」んでしょうけど、少なくとも私が先入観を抱いていたようなことはなく、じっくり調べてみると「さすが富士通」って思える製品でした。
2015年10月モデル カスタムメイドモデル LIFEBOOK WS1/W:富士通WEB MART
1.スペック
OS: Windows10 Home/Pro 64ビット
CPU: Intel Core i5-6200U / Core i7-6500U
RAM: 4GB / 8GB / 12GB
ストレージ: 500GB / 1TB / 256GB SSD / 512GB SSD
ドライブ: スーパーマルチ / BDXL対応 Blu-ray
ディスプレイ:13.3インチ
1920×1080 タッチ非対応 ノングレア /
2560×1440 タッチ非対応 ノングレア IGZO /
2560×1440 タッチ対応 IGZO/
カラー: スパークリングブラック / アーバンホワイト
ネットワーク: 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth、NFC
Office: なし / Office Home and Business Premium
入出力: HDMI、アナログRGB、USB3.0 × 3、SDカード
サイズ: 315.8×214×11~19.8mm(突起部含まず)/重量1.2kg~1.6kg
この製品はカタログモデル(SH90/W)とカスタムメイドモデルがあり、型番WS1/Wというのはカスタムメイドモデルで、富士通直販サイト(富士通WEB MART)限定販売となります。上に記載したスペック表を見ると各種パーツに非常に多くの選択肢がありますが、これらは購入時に顧客が構成を選択することが可能です。OSは64ビットのWindows 10でHome/Proが選択できますし、CPUは最新のSkylake世代のCore i5もしくはi7となります。RAM、ストレージの選択肢も広いですね。また、ディスプレイは3種類用意されており、最上位のものはタッチ対応でIGZO技術が投入されています。
あと、興味深いのがディスクドライブを備えているところで、いつもウインタブで紹介しているモバイル製品としては珍しいと思います。また、このドライブベイは面白いギミックもありますので、後述しますね。
2.筐体
実機を確認しましたが、富士通らしく質感は非常に高いです。アルミ製の筐体で、実寸サイズだけ見てしまうと群を抜いて小さいとか、群を抜いて軽いとかはなく、地味な印象がありますが、これこそカタログスペックには現れない部分で、品質の良さが伝わってくる感じです。
筐体色は2色あり、上の画像が「アーバンホワイト」です。天板の色とキーボード部分の色が変わります。
キーボードもパッと見た感じは普通ですが、キーピッチは横方向19mm、縦方向18mm、キーストローク1.2mmのJIS配列となっており、打鍵感も文句なしです。アップで見ると質感の高さが伝わりませんか?
これがキー配列です。方向キーの位置が少し面白いですが、悪い意味ではなく、使い勝手はかなりいいでしょうね。
この製品には「重いキー」と「軽いキー」があります。画像のようにどの指で打鍵するのか、というところまで考えて重さを設定している、ということですね。また、打鍵音を30db以下に抑えている静音設計です。30dbと言われてもピンと来ないのですが、少なくとも富士通が静音設計だと言ってるので信用していいでしょう。
また、この製品、タッチパッドのところにNFC(非接触ICカード用の近距離無線通信)がついていますし、指紋センサーもあります。ビジネス向けには安心のセキュリティですね。指紋認証が可能なことにより、「Windows Hello(Windows 10の生体認証システム)」にも対応しています。
そして、質感が高い、ということだけでなく、「頑丈」です。日本メーカーの製品らしく、結構ハイレベルな耐久テストに合格してます。
落下試験(約76cm)
机の上から落とした場合を想定した、高さ76cmからの落下試験です。常識的に十分起こりうるトラブルだと思うので、意義のあるものでしょう。
全面加圧試験(約200kgf)
満員電車などでの持ち運びを想定した、天板全体に加重を行う試験です。あまり考えたくはないですが、都内とか大阪圏とかだと想定せざるを得ませんね…。
1点加圧試験(約35kgf)
閉じた状態でひじをついたりする状況を想定した、天板の一点に加重を行う試験です。これは自分の私物だとやりませんけど、そうじゃないとついやってしまうかも。
これら細部に至るこだわりこそメイド・イン・ジャパンの真骨頂であり、こういうことにしっかりお金をかけるのが日本の伝統大手メーカーなんですね。尊敬できます。
3.モバイル・マルチベイ構造
この製品はモバイルPCですがディスクドライブ・ベイがついています。確かに「あると便利」ですが「使わないなら重いだけ」でもあります。しかし、WS1/Wはドライブベイを着脱可能にした(使わないなら外しておける)上、ディスクドライブの代わりにハードディスクあるいはバッテリー(ともに別売り)を装着することができます。これらのパーツは当然別料金ですけど、ビジネス利用には間違いなく便利だといえます。
上の画像の(1)はベイを使わない時のダミーカバー、(2)はスーパーマルチドライブ(標準装備で、オプションとしてBlu-rayドライブあり)、(3)が増設用HDD(オプション)、(4)が増設用バッテリー(オプション)です。ちなみにスペック表の重量が「1.2 kg~1.6 kg」と、やたら幅がありますが、これはドライブベイに何を装着するかによって変わってくるためです。
4.価格
ここまで読んでいただくと「いやでもこれ高いだろ?」となりますね。そうでもないです。ベースモデルの価格は155,667円から、もちろんフルオプション、最上位構成だとギリ30万円を切るくらい(私が試したら292,240円でした)です。現在富士通の直販サイトでクーポンセールをやっている関係で、通常よりも20%安くなっています。
中国製品には中国製品の魅力がありますが、富士通という日本の看板メーカーの製品も「さすが」といいたくなるような魅力があります。13.3インチのモバイルノートですが、品質面、性能面いずれを見ても十分メインマシンとなりうる内容だと思いますし、じっくりチェックすると欲しくなっちゃいますね。やっぱ日本製っていいですよねー。