記事にアフィリエイト広告を含みます

IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー ― 巨匠の楽想をタブレットに、フリーの巨大楽譜ライブラリー(natsuki)

IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー
こんにちは、natsukiです。タブレットPCの普及は、電子書籍の普及とリンクしてはじまったわけですが、中でも相性がいいのは楽譜です。なにしろ、実際に曲を再生しながら閲覧できるわけですからね。それに、一般的に言ってタブレットはラップトップよりもディスプレイの質に注力していますが、特にオーケストラスコアなどの大規模編成の譜面だと、高解像度ディスプレイの恩恵を実感することができます。

スポンサーリンク

ということで、今回は世界最大規模のフリーの楽譜ライブラリー「ペトルッチ 楽譜ライブラリー」を紹介したいと思います。ただし、フリーということは、当然、著作権の問題がありますので、そこに収録されている楽譜のほとんどは作曲者の没後50年以上を経過した、クラシック音楽やさらにそれ以前のものとなりますが。クラシック音楽ファンやアマチュア楽団にとっては、神様のようなサイトですね。

1.利用方法

基本的には、サイトにアクセスして利用するだけです。うん、特段複雑なことはなく、見れば分かるのであんまり説明の必要性を感じないのですが、いちおう。

IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー 検索
膨大な楽曲から検索するには、ホーム画面からキーワード検索をかけてもよいし、「作曲家」「人名(編曲家・編集者なども含む)」「国」「時代」「編成」といったものからも検索できます。最も使うのは作曲家からでしょうか。なお、検索メニューに出てくる「WIMA蔵書」とは、これもフリーの楽譜ライブラリで、かつては独立していたものの、現在ではIMSLPに合併吸収されたものです。

IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー 音源
なかには、音源もあります。ただし、演奏そのものにも著作権はありますから、楽譜に比べてその総量は少なくなります。基本的には、「楽譜」ライブラリであると理解しておくとよいでしょう。少数ですが、有志の打ち込んだMIDIファイルがある場合もあります。

IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー ZIP形式で保管
楽譜は、基本的にPDFファイルで収録されています。まれに、Finaleの「.mus」ファイルなど、編集可能な楽譜作成ソフトの形式でも収録されていることもあります。メジャーな曲はパート譜まで入っているものも多く、そういったものは「.zip」形式でまとめてダウンロードすることも可能です。

IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー ダウンロード
利用は無料ですが、ダウンロードにあたっては1回あたり15秒待たされます。会費を払って有料会員になれば、待ち時間無しでダウンロードできます。この辺の仕様は、今までも試行錯誤があったので、今後も変更があるかも知れません。

2.便利なツール

録音・出版検索機能

IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー 音源検索
楽譜はどこまでいっても楽譜、やはり、音源を聴きたいもの。ということで、音源検索機能も備えています。NAXOSレーベルだけですけどね。

あと、紙媒体で欲しいとき、数枚程度の楽譜ならプリンターで印刷すればいいんですが、大規模な管弦楽曲のスコアなんかになるとそうはいきません。製本の手間もありますし。それで、出版楽譜検索機能も付いているんですが、残念ながら検索対象は基本的に海外のAmazonばっかです。それでも、そもそも出版されているのか、ということについての確認はできますね。早く日本のAmazonにも対応してくれるといいんですが。

スポンサーリンク

パート譜作成ツール

実際に自分が演奏する人向けの機能です。ちょっとマイナーな曲になると、フルスコアはあるものの、パート譜までは手に入らない場合も多いですよね。アマチュア楽団をやってきた人なら、フルスコアのコピーを切り貼りしてパート譜を作るという、地道な作業に勤しんだ経験があるんじゃないでしょうか? なんと、これをデジタルでやってしまうツールが付いています。

IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー パートの抽出
画像のように、フルスコアの歯車マークから「Extract Part」を選択します。

IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー 外部ツール
すると、外部ツールの「Partifi」に飛びます。無駄に凝ったフォントで非常に見づらいのですが、飛んだ段階で自動的に楽譜が設定されていると思いますので、右下の「Import score」を押します。

IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー 外部ツール2
すると、こんな感じ。非常に分かりやすいインターフェースで、あとは直感的に操作できると思います。これは楽しい! まあ、交響曲レベルのパート譜をこれで作る気にはなりませんが、室内楽曲やオーケストラでも短い曲なら十分実用的です。

3.著作権上の問題のクリア

こういうサイトを利用する際、気になるのが著作権上の問題です。IMSLPも、楽譜をダウンロードしようとすると仰々しい警告文が出てきますので、初めて使うときはビビってしまうかも知れません。念のため、そのあたりを確認しておきますね。

まず、IMSLPのサーバーは、基本はカナダにありますが、一部はEUにあるようで、そのどちらかによって警告文も異なります。で、サーバーのあるカナダおよびEUの著作権の要件を満たさないものは収録されません。そして日本の著作権は没後50年、カナダも50年、EUは70年(ちなみにアメリカも70年)ですので、日本から利用するにあたって日本の著作権法にひっかかかることはありません。

それから、コピーすることそのものについてですが、JASRACとも連携して楽譜のコピーについての啓発活動を行っている「楽譜コピー問題協議会(CARS)」ホームページの、「Q&A」のQ9に「古い時代の楽曲は著作権が消滅していると聞きました。著作権が消滅した楽曲であれば、楽譜をコピーしても問題ありませんか? > はい、コピーできます。」と明記されています。細かい法的解釈はキリがありませんが、楽譜のコピーについてもっともうるさく言う立場のCARSがOKと言っている以上、問題はないでしょう。なお、著作権がらみでは比較的有名な話ですが、日本では紙媒体の著作物に対して、出版社には「版面権」を含む「著作隣接権」は認められていません。

ということで、法的問題もきちんとクリアされているので、安心してご利用ください。

著作権の理念やその恣意的な運用、著作隣接権の是非などについての話題は、ここではやめてくださいね。確実に荒れるので、主に私が(笑) よろしくお願いいたします。

4.まとめ

ちょっと前までは、楽譜はミニスコアでもやたらと値が張っていたもので、特に輸入物となると1冊数千円は当たり前で、1万円超えなんかもざらにありました。パート譜に至っては、さらに高価だったりそもそも購入手段がなかったりで、専門の図書館を回ったり、楽譜を持っている楽団から借りてコピーしたりと大変な苦労をしたものです。それがAmazonの普及でどんどん安く手軽に手に入るようになり、さらにこうして無料で利用できるようになるというのは、隔世の感があります。

Spotifyなどで次々と曲を流しながら、IMSLPからダウンロードしたスコアを追う、……なんたる至福!! これが1台のタブレットで、しかもタダでできてしまうわけですから、本当に時代は変わったものです。

5.関連リンク

ペトルッチ 楽譜ライブラリー

スポンサーリンク

コメント

  1. クロエ より:

    IMSLPはクラシック愛好家の強い味方ですよね。
    本当に神様のようなサイトです。

    数年前までiPadやiPhoneでIMSLPを見てましたが、
    Windowsタブレットとかなり相性が良さそうですね。

  2. natsuki より:

    コメントありがとうございます。曲を再生しながら閲覧できるってのが素晴らしいです。欲を言えば、どこかに音楽プレーヤーとpdfリーダーを統合したソフトがないかな? と思うんですが、無いですねぇ。ニッチな需要はありそうなんですが。