こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。先日「はじめてのゲーミングノート」という連載記事をご執筆いただいた読者のtakumiさんに、ライターをお願いすることになりました。takumiさんはご自身がオンラインゲーマーなので、ゲーマー目線で楽しい記事を書いてくれるものと期待しております。
今回の記事もゲーマー目線で書かれていて、もともとは音響系のお話なのですが、読んでいるうちに「ゲームやりてー!」と思ってしまう、そんな内容になっています。では、takumiさん、よろしくお願いします!
目次
0.はじめに
こんにちは、takumiです。最近は映画鑑賞などの用途に向けてか、バーチャルサラウンドを搭載した筐体が増えてきているように感じます。Windows 10自体にも、独自のバーチャルサラウンド技術「Windows Sonic for Headphones」が搭載されています。ただ、ゲーム用途に関して言えば、バーチャルサラウンドというのは大抵、音の方位がメチャクチャだったり、音が通常よりも篭った音になってしまって大事な音が聞こえなくなってしまったり、音の遅延が酷くてそもそも使い物にならなかったりと、あまりいいイメージを持たれませんでした。自分でも、USBタイプのサウンドカードのバーチャルサラウンドは無効化して、ステレオ音声でゲームをしています。その方が逆に音の方向が分かりやすいんですよね。
そんな最中、とあるサイトのゲーミングノート記事を眺めていたところ、「Dolby Atmos for HeadphonesをFortniteで使うと音の方向が明確になる」という文章を見て、「おっ」となりました。というわけで、「ゲーミング用途でのDolby Atmos」がどれ程の能力を発揮するのか検証していきたいと思います。
1.そもそも「Dolby Atmos for Headphones」とは?
もはや知らない人はほぼいない、音響技術最大手のDolby社が開発した新しい音響効果が「Dolby Atmos」で、映画館向けの「for Theater」、多数のスピーカーで再生させる「for Home」があり、これらの技術をバーチャルサラウンドとして落とし込んだのが「for Headphones」です。
「for Headphones」の導入ハードルは非常に低く、14.99ドル(1,680円)の初期コストを払えば基本的にどのヘッドホン/イヤホンでも恩恵が受けられる(一部、for Headphonesをバンドルした対応ゲーミングヘッドセットやゲーミングノートもあります)というものです。「Dolby Atmos」に対応した映像、ゲームは基本的に決まっており、対象外の作品では効果がないのではと思っていました。
しかし、今回テストされたFortniteはDolbyのサポートを受けていないにも関わらず(もしかしたらゲーム内のサウンド部分でDolbyの何かしらのコンポーネントは含んでいるかもしれないが、少なくともフォーラムを見た感じはそのような記述は見当たりません)、明確な効果が期待できるとのことで、「これはもしかしたら他のタイトルでも効果を実感できるのでは?」と思い、今回のテストに至った次第です。因みに、「Dolby Atmos」に対応した映像作品は、勿論「for Headphones」にも対応しており、NetFlixプレミアムプランやAmazonビデオなどのプラットフォームで配信されています。
2.いくつかのゲームでの性能テスト
それではいよいよ性能テストに入っていきます。今回は比較対象として、全てのゲームで外付け(USBタイプ)サウンドカード「Creative SoundblasterX G5」を使用し、「サウンドカードのバーチャル7.1サラウンド」「Windows Sonicを使ってのバーチャル7.1サラウンド」「Dolby Atmosを使ってのバーチャル7.1サラウンド」での音の鳴り方を比較していきたいと思います。SonicとAtmosの使用時は、サウンドカードの設定を「ステレオ、ダイレクトモード」に変更しています。また、接続するヘッドセットは「Kingston HyperX Cloud Revolver」を使用します。
Dolby Atmos公式サポートゲーム「オーバーウォッチ」
まずは公式サポートのOverWatchですが、サウンドカード、Sonicと比較して銃声の方向が非常に分かりやすくなり、集団戦で敵の方向が判別しやすくなりました。また、音の鳴り方も鮮明になり、臨場感が高く感じられました。但し、ゲームそのものが足音が聴こえにくい事もあるのですが、通常では聴こえない、聴こえづらい足音が聴こえるということは無いので、過信は禁物です。
非公式サポート、バトルロイヤル「Fortnite」
参考記事内で言及されていたFortniteでは、サウンドカードの7.1サラウンドと比較して、SonicやAtmosだと上下方向の足音が認知しやすくなり、建物内での戦闘がかなりしやすくなりました。但しOverWatch同様、遠くの足音がより聴こえやすくなるということはありません。また、SonicとAtmosに聞こえ方の差はあまりないので(Atmosだと足音の方向が鮮明に分かるが、Sonicでもそれなりに分かる)どちらを使うかは貴方次第です。
非公式サポート、FPS「Counter-Strike:Global Offensive」
世界的に有名なFPS、通称CSGOでは、ゲーム側の音の出力設定で「5.1サラウンド」に設定した状態だと、サウンドカード、Sonicと比較してAtmosは音の方位がはっきりと分かり、壁越しでも相手がどの辺りにいるのかがしっかり確認出来ます。音の遅延や篭りも感じられず、自分としてはほぼ理想的な音の鳴り方をしてくれました。
非公式サポート、FPS「Quake Champions」
歴史の深いアリーナ系FPS、Quake Championsでは、そもそも敵の足音が非常に非常に近い距離でないと聴こえないという問題もあり、サウンドカード、Sonic、Atmosの3つの音の鳴り方の違いは感じられませんでいた。QCは音の方向がゲーム側で非常に分かりやすく、サウンドカードが用意出来なくてもSonicを有効にしてしまえば音の方向がある程度分かるかと思われます。但し、音の臨場感は遥かに高く、武器の銃声や環境音はかなり際立ち、あたかも自分がその場にいるかのような感覚になります。
非公式サポート、レースゲーム「Forza Motorsports7」
XboxOneとPCで発売されているレースゲーム、Forza7では、サウンドカード、Sonic、Atmosのどれも音の鳴り方に関しては大差ないのですが、Atmosが前2つと比較して音の鮮明度が高く、臨場感が遥かに高くなります。自分はハンドルコントローラーと組み合わせてプレイしてみましたが、正直没入感がとんでもないです。
3.使ってみて
Dolby Atmos for Headphonesは、Microsoft Storeにて入手出来ます。Window10とXboxOne合わせて10台までライセンス登録が出来ます。
Dolby Atmos for Headphonesをいくつかのゲームで試してみましたが、他のバーチャルサラウンド技術と比較して、音の方向がより分かる(特にFortniteやバトルフィールドのような上下の概念が多いタイトルはより効果的です。一般的なバーチャルサラウンドは横の音に特化しており、上下の音には弱い傾向にあります)ようになり、また音の出力がより鮮明になります。ただしこれは、あくまで体感であり、音の感じ方には個人差が出てきます。またプレイするタイトルや出力機器によって差が出てきます。一般的に、劇的に変化するというわけではなく、「あれ、ちょっと変わったかな?」って感覚のものが殆どです。このわずかな差に価値を見いだせるのは本当に人それぞれなので、一度試用期間(30日程度)で一通り試し、最終的な判断(購入するかどうか)を下したほうが良いかと思います。自分の考えとして、対応解像度の高いハイレゾ対応機器やハイエンドなオーディオアンプならより効果を発揮してくれる気がします。個人的には解像度の高いSteelSeriesのArctis Proとかで試してみたいなあ・・・と思ってます。
コメント
とても参考に成りました。ありがとうございました。
今ApexLegendsを楽しんでいますが、DolbyAtmosを試したら、今までの世界が2次元であったのが、3次元に変わったと感じます‼️
これは凄いアプリですね。