こんにちは、ゆないとです。ASUSのゲーミングブランドROG(アールオージー)から最新のゲーミングノートが発売されています。今回はその中から15.6インチサイズのハイエンドマシン「ROG ZEPHYRUS S GX531GWR」をご紹介します。なお、同時発売の17.3インチモデルについては、この記事に先立ち、紹介記事を掲載済みなので、あわせてご覧ください。
ASUS ROG ZEPHYRUS S GX701GXR – NVIDIA GeForce RTX 2080 Max-Q搭載!超個性的な17.3インチハイエンド・ゲーミングノート。
ROG ZEPHYRUS Sは、デザインが個性的なのはもちろんのこと、高性能な外部GPUを搭載するハイエンドマシンで、BTO製品ではないため主要構成のカスタマイズはできませんが、システム構成の異なるモデルが用意されています(正確には「既存モデル」です)。今回はこの中から、第9世代のCore i7とGeForce RTX 2070 Max-Qを搭載する、最も新しいものを紹介します。
スペック
OSはWindows 10 Homeのみで、Pro版は用意されていません。CPUは第9世代の「Intel Core i7-9750H」が搭載されていて、モバイル向けプロセッサーとしてはトップクラスの性能がありますが、高性能なCPUである一方、発熱しやすく、消費電力は他のモバイル向けよりも高くなってしまっています。こういったゲーミングノートに搭載される場合は、そのあたりの制御をどうするかが大切になります。
外部GPUとして、最新のリアルタイム・レイトレーシングに対応した「NVIDIA GeForce RTX 2070 Max-Q」が搭載されています。レイトレーシングとは、簡単に言うと、実際の光の動きを物理法則に従って描き出す処理のことです。この処理には膨大な計算が必要で、それをリアルタイムで描き出すことは難しかったのですが、GeForce RTXシリーズはそれをリアルタイムで処理できるのがすごいところです。実際に私達が目にする光の反射や当たり方をゲームの世界で表現できるので、一段とリアルなシーンを見ることができるようになります。
後ろについている「Max-Q」は、ノートPC向けに最適化されているということを表しており、通常モデルである「NVIDIA GeForce RTX 2070」よりも軽量薄型化されていて、Max-Qがつかないものよりも若干性能が落ちますが、発熱量は抑えられ、結果として静音化にも寄与します。
RAMは24GB、ストレージに1TB SSDが搭載され、ゲームをするためには十分な構成となっています。ストレージはNVMe SSDなので高速なアクセスが可能です。ゲームのロード時間などにも恩恵があります。
ディスプレイはリフレッシュレートが144Hzです。ゲーム側が対応している必要はありますが、非常に滑らかな表示が可能です。視点移動をしたり自分も相手も速い動きがあるようなゲームでは、リフレッシュレートが低いとカクカクとした表示が不利になることもあるので、144Hzは大きなアドバンテージを得られます。さらに、色が切り替わる時間を表す応答時間が3ms(ミリ秒)で、より残像感の少ない表示が可能です。
解像度はFHDで、ノングレア(非光沢)となっています。外からの光の映り込みが少なく、ゲームプレイに集中できると思います。
入出力ポートは、USB Type-Cが2つ、Type-Aが3つ、HDMIにオーディオジャックが付いています。Type-Cの内1つはデータ転送だけでなく、映像出力、本体への給電をサポートしています。USB PD規格に対応しますので、対応製品であれば充電が可能です。他製品への高速充電にも対応し、最大3Aの電流で給電できます。
バッテリー稼働時間ですが、どこのメーカーにせよ、公称値よりも実際の稼働時間は短くなるのが一般的です。よって、約5.1時間だとバッテリー駆動での長時間利用は難しいかもしれません。ブラウジングや文書作成であればある程度もちそうですが、現実的にゲームプレイはほぼ無理だと思います。ただゲームプレイの場合は常時電源につないでの使用になると思うので、あまり気にしなくても良い部分だと、個人的に思います。
厚さは最厚部で16.15mm、最薄部では15.35mmを実現しています。ゴツくなりやすいゲーミングノートですが、製品画像を見る限りではとても薄くスタイリッシュです。重量は2.1kgと気軽に持ち運べる重さではありませんが、横幅も小さめなので、バッグに入れて持ち運び、場所を変えてプレイするということは可能でしょう。デスクトップではそういったことはできないので、この点でゲーミングノートは強いと思います。
筐体
天板です。ROGのブランドロゴが赤く光り、斜めに横切る線が2つの表面処理を引き立てる、特徴的なデザインが目を引きます。表面はアルマイト処理が施されており、ロゴ側はヘアライン加工がされています。エッジはダイヤモンドカット加工がなされていて滑らかで、よりデザインが映えますね。
ディスプレイ部分は、上部と左右のベゼルがとても狭くなっており、ゲームプレイ時には画面への没入感が高そうです。ノートPCは台に置くなどしないと、どうしても目線が下がり過ぎて首への負担が大きくなってしまいますが、このように下部ベゼルが太く、結果としてディスプレイが上部へ寄るレイアウトだと多少なりとも負担が軽減されそうです。上部のベゼル部分にはWebカメラが搭載されていますが、ギリギリまでディスプレイの端が寄っていることがわかります。下部は広くスペースが取られ、そこにはブランド名の”ROG”と製品名”ZEPHYRUS”が刻印されています。
キーボード部分です。ひと目で「極めて個性的なレイアウト」であることがわかります。まず、奥(ヒンジ側)のスペースが気になりますよね。ここは冷却のためのヒートパイプや強力なファンなどが設けらたスペースです。外部GPUが搭載されている関係上、その性能を発揮するためには冷却性能が重要ですが、冷却性能を高められるよう工夫が凝らされています。この特徴的な冷却機能はROG Active Aerodynamic Systemと呼ばれています。
この製品には5本のヒートパイプが付いています。それらはGPUやCPUの周りに配置され、4つのヒートシンクに接続されています。ヒートシンクは筐体側面に配置され、0.1mmという薄さのフィンが250枚も並びます。こうすることで表面積が稼げるので、より冷却性能が向上するようです。さらなる工夫で、側面のヒートシンクは、マウス操作をする手に熱風が当たらないようやや後方に向けられるといった工夫があります。さらに、ヒートシンクにホコリがつかないよう、ホコリだけを捕まえて専用のトンネル部分で外へ逃がすような設計がなされています。
もう1つ冷却性能を高めるための機能で、とても「かっこいい」機構が備わっています。それは、ディスプレイを展開すると、本体後方にあるエアインテークが展開するというものです。こうすることでエアフローの効率の向上を狙っています。
キーボードのFN+F5か、Armoury Crateホットキーを押すことでHyperFanというファンの回転数を変えられるシステムへのアクセスが可能で、全部で5種類のモードから選択できます。徹底した冷却システムを備えています。
話をキーボードに戻します。ゲーミングデバイスらしく、キーボードにも様々な機能が付いています。バックライトはRGBで、色や発光バターンを変更することが出来ます。キーボードだけでなく、筐体後部にあるエアインテーク周辺にもLEDを搭載しており、この部分もライティングの変更ができます。そして、「Aura Sync」という機能を使うことで、対応する周辺機器(マウスやヘッドセット)とカラーやライティングパターンを同期させることも可能です(ただし、対応製品のみ)。もちろんNキーロールオーバーにも対応します。
エンタキーの右隣はタッチパッドになっており、ここはテンキーも兼ねています。タッチパッドが右側に寄っている、というのはデザインアクセントとしては超個性的で、興味深いものではありますが、使いやすさという点では賛否が分かれるでしょう。また電源ONのボタンは右のヒンジ付近に配置されています。
特徴的なヒンジも備えています。個人的には片手のみでディスプレイを開けるかが気になるのですが、特徴的な形状で引っかかりなく滑らかに開くことが期待でそうです。
入出力ポートは使いやすい配置だと思います。この画像の下辺は筐体後部です。左右の排気口の間にHDMI端子とケンジントンロックが付いています。個人的のは外部ディスプレイポートは本体後部に付いていると配線がごちゃごちゃとせず、他のUSB系統のケーブルとも絡みにくいので使いやすいと思っています。HDMIケーブルって意外と太くて邪魔じゃないですか?このHDMIはHDMI2.0bで、最大60Hzの4K UHDディスプレイ出力に対応しています。
画像の右側は右側面ですね。こちら側にはUSB3.1 Gen2 Type-CとUSB3.1 Gen2 Type-Aが1つずつ配置されています。ここも良いなと感じているのですが、右側はマウスを使用することが多いと思うので、なるべく配線が少なくスッキリとしていると便利です。そしてこちら側のType-CではUSB-PDに対応しています。
左側面にはポートが豊富です。オーディオジャック、USB2.0 × 2、USB3.1 Gen1 Type-C、DC INが付いています。なお、こちら側のType-Cはデータ伝送専用で、充電やディスプレイ出力には対応しません。
ここまでスペックと外観などを見てきましたが、ディスプレイやキーボード、冷却性能に至るまで、様々なシステムや機構が用意されていて、ゲーマーのための端末だということがよくわかります。この製品でゲームをする上で、自分好みの設定を探していくという楽しみ方もできそうです。
価格など
ASUS ROG ZEPHYRUS S GX531GWRは9月9日現在、ASUSオンラインストアで、299,800円(税込323,784円)で発売中です。ゲームをするには少し小さい気もする15.6型ディスプレイではありますが、応答速度3msで144Hzのリフレッシュレートによる滑らかな表示、厚さ最薄部15.35mm、NVIDIA GeForce RTX 2070 Max-Qというレイトレーシングも実行できるハイエンドなGPU、そして高い冷却性能は、小さなサイズでも妥協をしていないということを感じさせてくれます。最近の重量級のゲームでも快適にプレイが可能な実力はあるでしょう。なお、この製品は同じデザインで型番末尾が異なるものも継続販売されていて、多少安価にはなっているものの、CPUが第8世代にとどまっていますので、スペックにこだわりのあるゲーマーなら、最新モデルの型番末尾「GWR」を選ぶのがいいと思います。
ディスプレイが小さいと言いましたが、このサイズだからこそできる「場所を選ばない」ことがアドバンテージな製品だと思います。また、結果として「素晴らしく個性的」な筐体もまたゲーマーにとってはたまらない魅力となるでしょう。
関連リンク(ASUS)
ROG Zephyrus S (GX531)シリーズ 製品紹介
ROG ZEPHYRUS S GX531GWR(GX531GWR-I7R2070Q)