ASUS Chromebook Flip C434TA レビュー - ASUSのChromebookのトップモデルをChromeOS初体験者がレビューします(実機レビュー後編)

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どうも。ひつじです。私事で結構ドタバタしていたこともありリリースが遅れてました。申し訳ないです。昨年末に公開したChromebook Flip C434TAですが1ヵ月程使い続けて見えてきたことがちらほら。

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前編では「ネット端末以上の立ち位置が見いだせていない部分もある」と言いましたが、もう少し突っ込んだインプレッションをお届けできたらな、なんて思っています。と言ってもハードウェア面についてはほぼ前編で書いてしまったので、ChromeOSってどうなの?ってところに焦点を絞った方がいいのかなーなんて思っています。実際購入を悩んでいる人もハードというよりはソフトウェア面での不安が大きいでしょうから。

1.ChromeOS界隈で感じること

そもそも端末の話の前にこれは伝えておいた方がいいのかな、と。私自身もChromeOSの勝手を知りたいため多方面で情報を拾ったりしているのですが、ある種Linux界隈と同様の難しさを感じました。その難しさとは「最新情報なのかが分からない」ことと「そもそもの情報量が少ない」の2点です。

今後ChromeOS搭載機種を手にされる方は少なからず何が出来るのかを調べられると思うのですが(ウインタブの記事も含めて)「いつ時点の記事か」を意識された方が良いと思います。機能の拡充や変更がWindowsに比べてもペースが速く、現状のユーザー層がコアな人が多いこともあり、「初心者お断り」感のある情報が増えてきていることは正直憂いを感じます。最新の記事でない場合、しばしば難しい作業をサラッと伝えてしまっていたりするんですが、別に今はそんなことをしなくても出来るよな…。みたいな情報もチラホラあります。

もちろんこれは個人の記事リリース者の問題というわけではなく、「そういうユーザーが今の支持層」だからなんだろうとは思いますが、基本的な使い方を伝えているサイトがとにかく少ない。OSそのものはすごくシンプルなので初心者にうってつけなんですけどね…。逆に我々がそういったところに手を入れていけたらいいのかもしれません。

2.ハードウェア面総括

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ディスプレイやスピーカーの印象は前編から変わることなく良い印象です。特にディスプレイは何度見ても美しいと感じさせます。筐体のデザインや質感の良さも相まって、長期使用をしても所有欲が褪せない点は個人的に非常にありがたいです。専用のスタイラスがない点はある意味残念ではありますが、市販されているタッチペンとの親和性も十分に高いです。重量がそこそこある端末でかつ画面がフリップできるものの場合、タッチペンがあることでいわゆる「テントモード」の使い勝手が向上するんですよね。画面汚れないし。この辺りはWindowsよりタッチ操作に最適化されているUIの良さも影響しているんでしょうけど。

不満としてはやっぱりキーボード。バックライトの色は本当に変更してほしいです。それからDELETEキーがない点はちょっとだけ辛いところ。それ以外はもう少し重量が軽ければ言うことがない、という程度で大きな不満は出てこないだけにこれが本当に惜しい。

持ち運ぶにあたっては重量だけはもう少し軽い方が良かったかな、という点はあるものの、さっとバッグに入れられる大きさは非常に良いですね。頑丈な印象も強く、混雑した電車内などでも不安が少ない点はありがたいです。

3.ソフトウェア面総括

正直ChromeOSが「過渡期」だと感じさせる点がかなり多いです。実際に過渡期なんだから、仕方ないんですけどね。

ChromeOSの基本部分について

(ブラウザの)Chromeに最適化されている、という点はブラウザの起動速度だけで感じられる位に違います。このサクサク度合は本当に癖になりますね。往年のガラケー全盛期のころは「携帯サイト」と「PC向けサイト」はデザインが分かれていましたが、最近は近しい事象がスマホとPCでも起きてしまっています。そんな中で、開いて2秒でgoogleのトップ画面が出せる機動力とPCと同等の内容を表示出来るブラウジング能力は当面ChromeOS以外では存在し得ないんじゃないかなと思います。

ただ一方、画像を含むメディアファイルが多数配置されているようなサイトの場合はハードウェアの性能が見え隠れすることも。はっきり言えば「Atomでは重たかったあの動画サイトの読み込みがサクサク!」みたいなことにはならないだろうな、と。もちろんテキストベースのサイトであればはっきりとOSによる快適性の違いが出てくるとは思います。

また、ネットサーフィン端末以上を求めた時には応えきれない点もあるなとは正直思いました。例えばAndroidでの資産を元に膨大なソフトウェアが提供されているGooglePlayストアですが、ChromeOSに最適化されたアプリも最近では増えている一方で、そもそも起動してもまともに使えないソフトもそれなりにあります。問題はそういった最適化有無が極めて分かりにくい点です。せめてChromeOSに正式対応しているアプリだけを抽出出来れば随分違うと思うんですけどね…。

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USBでの接続機器などもまだまだ初心者には難しいポイントはあるかなと思います。USBオーディオデバイスだと専用ドライバ等を必要としない機器(USB Audio Device Class対応)であれば基本的に使用できるようではあります(Roland Rubix24で確認)。ただ、実際にどう動いているかまではいまいち分からないのは辛いところ。一応USB Audio Device class2まではいけるような気はしますが…。確証がないです。

一方でWindowsでは専用ドライバーが必要だったようなレガシーなデバイス(手持ちだとE-MU 0404USB)でも差し込めば音が鳴ったりするので、ある程度有名なものは使用できる可能性があります。Quad Captureは動かなかったけどなあ…。可能ならapple製品よろしく「ChromeOS ready」みたいな対応状況表記が製品に付されるようになればいいですね。

Linuxについて

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ChromeOSではLinuxの端末(ターミナル)がベータ版ながら使用可能です(有効化する方法等、使い方は別記事で紹介することがあるかも)。この点は素直に歓迎したいです。また、ターミナルはどうやらサンドボックス内で実行されているようですが、これも致し方ない点だと思います。サンドボックスにしていなかったらそもそもChromeOSが破損したりしかねませんから。

ただ、その代償は勿論あります。大きく分けると2点。まず1点目としては「一部ハードウェアを使える下地がない」ことでしょう。例えばオーディオで言えばALSAやPulseAudioといったLinuxにはあって当然だと思っていた諸々が満足に使用できない点に引っかかりました。PulseAudioは「存在はしている」ようではあるのですが…。思えばGooglePlayストアでもChromeOSに最適化されていない音楽ソフトなどが動かない様子もあったので仕方ないのかな。

また、2点目として「動作が緩慢」であること。恐らくリアルタイム性を求められるソフトウェア群は使用し難いかと思います。こういった点から動画や音楽を作成するようなソフトウェアの動作を期待するのはなかなかにハードですね(REAPERが完璧に動けばWindowsのノートPCは捨てても良いんだけど…。笑)。

それでもLibreOfficeやGIMPをスタンドアローンで使用可能な点は決して小さくないメリットです。それにまだ「ベータ版」ですから。逆に正式機能でないにも関わらず大きな拡張性を期待させるだけの実用性を持っているのがありがたい位です。それにサンドボックス故、ボタン一つでキレイさっぱり環境掃除が出来る点も大変ありがたいです。特に通常使用においてLinux系アプリケーションはアンインストールの概念がないようなものなので。

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なおソフトウェアのインストールですがapt-getコマンドだけでなく、各種サイトでDLしたものもshコマンドが使用可能なので一部は活用できるんじゃないかなと思います。

おすすめサービスやソフトウェア

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ついでに触っている中で知っておくと便利なサービスやソフトウェアをいくつか紹介します。導入無料のものをチョイスしていますよ!

●libreoffice
無料のオフィス系ソフトウェアでは一番有用だと思います。スタンドアローンで動作可能。ただブラウザのChromeにもオフィス系の機能は揃っているので必要になったときに導入、で良いように思います。apt-getで入手可能。OpenOfficeもあるとは思うのでその辺りはお好みでどうぞ。

●box
クラウドストレージとしてはDropboxやgoogleドライブ程有名ではないものの、個人的には一番推したいサービスの1つ。無料で10GB利用可能ですがDELLのPCユーザーは昔アカウントを登録していたりするかもしれません。お勧めする理由として、office系ファイルをそのままWeb版officeで編集できる点が挙げられます(一応chromeウェブストアにもマイクロソフトのofficeがいるんだけどね)。もちろん機能制限はそれなりにあるのですがlibreofficeやOpenOfficeで編集したファイルの互換性チェックなどは行えるはず。ChromeOSと相性は良いと思います。GooglePlayストアのアプリだけでなく、ブラウザ上でも動作します。

●Wicked Good Unarchiver
わざわざ勧めなくても書庫ファイルを解凍する中で入手する人もいそうですが…。tar.gzファイルを扱う人は必携かなと。「読み取り専用」で書庫ファイルの中身を確認できるソフトですが、フォルダコピーが有効なので解凍も出来ます。chromeウェブストアで入手可能。

●GIMP
画像編集をしたい人向け。apt-getコマンドで入手可能ですしスタンドアローンで動作もします。どちらかというと「唯一解」に近いという意味でのおすすめではあります。

●Zenbeats
DTMをしたい人向け。Roland謹製のDAWです。GooglePlayストアから入手可能。こちらもREAPERやLinux系の有名どころがなかなか使えない中でそれなりに高機能なもの、そしてChromeOSで動くものと考えれば選択肢は少ないので…。拡張機能が結構高いんだよね…。

●Soundtrap
すみません。ちゃんと試せてはいませんが多分使えるので。ブラウザ上で使用可能なDAWです。Windows環境下では数トラックでリアルタイム再生が厳しくなるサーバー側の性能不足からちょっと使用は厳しい、と判断したのですが、選択肢として知っておくのはいいように思います。私は使ったことないですがスコアエディタのflatと連携も可能。DAWとしてはaudiotoolの方がいい、なんて人もいるかもしれませんけど。

●CrossOver on Chrome OS Beta
これはあくまで紹介。Wineは現状ChromeOSで利用できないですが、それに代わり使用可能になるかもしれないアプリです。GooglePlayストアにて提供されています。動作可能であるかどうかは別として、アプリとして大変使い勝手も良く、アプリ名を検索するだけでwine対応アプリはDLしてセットアップまで簡単にできてしまいます。前述のREAPERであれば完璧な動作とまでは言わずとも、バージョン5.99の32bit版+DirectX9の導入で起動等は出来るようになりました。

4.ChromeOSに感じる今後

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はっきり言ってしまうと「初心者歓迎の高速ネット端末」としての側面と「(一般的に)上級者向けと言わざるを得ないトリッキーなLinux」としての側面を併せ持つ、中級者にとってはちょっと悩ましいOSだな、と感じます。ここに「ハードウェアのわりに安い」みたいな要素も噛んでしまい、後者の可能性に惹かれる人が集まっているのが今なのかなあと思います。それこそ強引に別OS入れちゃったりする層ね。初心者への訴求がより強まればもっともっと普及する気がします。

使用感としてはインターネットブラウジングにおいて今回の端末を超えて快適だったものは過去一度も手にしたことはありませんでした。HDDがSSDになったような体感差を感じます。ゲームをしたいとか事務作業をしたいとかでない限り(といいつつsteam対応などが取り沙汰されていますが)androidタブレットより便利かもしれません。色んな作業に使いたいとなると話は変わってくるんだとは思いますが。

あ、あと個人的にはChromeOSがメイン、Windowsをサブとした方がストレスフリーだろうな、なんてことは思っていたりしますね。この起動の速さやブラウジングの快適性が常時享受可能なら随分とストレスは減るだろうなと。意外とWindowsでしかできないことって、PCを使っている中の比率としては小さいものです。なので許されるならぜひ「メインがChromeOS、サブとしてwindowsが入ったデュアルブート可能な端末」を作ってほしいです。叶わぬ夢かもしれませんがandroidとWindowsのデュアルブートタブレットなんかは過去に存在したわけですし、出来ないはずがない。

それとこのChromeOSですが2 in 1が一番便利だろうな、と思いますね。Windowsをサブとした方がいい、という感想と同様の理由で、「ChromeOSがノートPCの形態である必要性」が薄いんですよ。インターネットブラウジングはキーの存在よりハードの取り回しの良さが大切な気がするんですよね。そのためあくまでハードウェア側も「普段は軽量なタブレットだけどノートPCの姿だと多少制限はあるもののデスクワークも出来ちゃいます」位のスタンスでいいんじゃないかな、と。ASUSでいうTransBookのようなChromeBookが出たらかなり便利に利用できそうです。

ちなみにすっごい個人的には古いネットブックに入れてみたいOSでもあります…。Vaio TYPE-Pとか転がってたら絶対試してます。

5.まとめ

ASUS Chromebook Flip C434TAはASUS Storeで販売中で、2月1日現在セール価格になっていて、63,454円(税込み69,800円)から購入が可能です。

Chromebook Flip C434TAに対して感じることはとにかく「質感やデザインが良い」ということ、それと「キーボードを除けば総じてレベルの高い端末である」ということです。14インチとは思えない筐体の大きさにも驚きますし、華奢な見た目に似つかわしくない剛性感にも舌を巻きます。細かい点では充電がUSB Type-Cに対応している点も大きいですね。大げさなACアダプターを持ち歩かなくともなんとかなってしまう点はありがたいです。一方でこの製品に限らず、ノートブックという形態がChromeOSの最適解かと言われれば、少し首を傾げたくなる部分もあります。

ChromeOSそのものに対しては圧倒的だと感じさせる強み(ネットサーフィンの快適さ)と、まだまだそれ以外の活用機会が乏しいという弱みがあるということ、それからおおよそ初心者向けの顔をしつつもLinuxという玄人向けの要素を内在している点にややこしさを感じます。良くも悪くもまだまだ発展途上、といったところでしょうか。ただ、Linuxのターミナルはそもそもがかなりパワフルです。今でこそWindowsはPowershellが扱える等、比較しても遜色ないものになっていますがノウハウや実戦での力はLinuxの方が上といってもおおよそ反論は出ないと思います。そういう意味では「ネットしか出来ない」と表現して終わらせるのはあまりにもったいないです。たとえこのLinuxがサンドボックスの中でしか動かない制限付きのものであったとしても、です。

またパソコンというジャンルから目を離せばChromeOSの強みは違って映るように思います。例えばスマートスピーカーとしての側面を有し、android系ではあるもののスマートフォンとも親和性のある点はWindowsや他のLinux系OSより進んでいると言えます。この親和性が強化されればgoogle系の製品から逃げ出せない環境に身を置かざるを得ないでしょうし、そのようなOSが教育機関で流行るというのは実にプランニングがしたたかだなあと。

今後初心者でも出来ることが増えて行けば、「第3のOS」となれるだけの下地はあるように思います。現状であれば「良いOSです!」とまでは言えずともはっきりと「将来が良い意味で怖いOS」です。

6.関連リンク

ASUS Chromebook Flip C434TAicon:ASUS Store

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