こんにちは。かのあゆです。今回は12月に発表されたばかりのMediaTek製ハイエンドCPU「Helio x27」を搭載した最新スマートフォン「UMI Z」の実機レビューとなります。中国の通販サイトで2万円台で購入可能な製品ですが、日本の4万円クラスのSIMフリースマートフォンと同等以上の性能を誇り、液晶にもシャープ製のIGZOを採用するなど極めて高品質な製品になっています。
なお、この製品は中国の通販サイト「Banggood」に提供していただきました。Banggoodにはこの場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。
1.スペック
OS: Android 6.0(Android 7.0へのOTAアップグレード予定あり)
CPU: MediaTek Helio X27(10コア Cortex Z72 2.6GHZ)
RAM: 4GB
ストレージ: 32GB
ディスプレイ: 5.5インチIGZO(1,920 x 1,080)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n、Bluetooth 4.1
入出力: USB Type-C、オーディオジャック
カメラ: イン1,300万画素 / アウト1,300万画素
バッテリー: 3,780 mAh
サイズ: 154.6 x 76.8 x 8.2 mm / 175 g
最初にスペック表の確認から。この製品のスペック表で最も注目すべきなのは、前述のとおり12月に発表されたばかりのMediaTek製の最新ハイエンド向けCPU「Helio x27」を搭載していることです。
このCPUは省電力用のコアと高速処理用のコアを状況によって使い分けることによって最適なパフォーマンスを提供するのが特徴で、Qualcommの最新ハイエンドCPUであるSnapDragon 82xシリーズに迫る性能をたたき出します。
MediaTekといえば、かつてはローエンド~ミッドレンジクラスのスマートフォンに搭載されているCPUといった印象でしたが、HelioブランドのCPUに関してはそれを覆す高性能CPUとなっています。性能面的に十分ハイエンドの部類に入る性能ですのでメイン端末として利用しても十分活躍できるでしょう。
UMI公式サイトでも謳っている通り液晶はシャープ製のIGZOを採用、カメラはアウト、インともに1,300万画素のSamsung製CMOSセンサーを搭載しており、バッテリーはソニー製セルを採用した3,780mAhという大容量バッテリーを搭載。
中華スマートフォンでありながらその部品は国内メーカーでも採用されている一流の部品で構成されています。ここまで使用している部品をアピールしているメーカーもそうそうないのではないでしょうか。
2.デザイン
筐体デザインは最近のスマートフォンではよくあるホームボタンに指紋認証センサーを内蔵したものとなっています。正直このデザインは、最近のスマホの「一種のテンプレート」になっているような面もあり、説明に困るところではあるのですが…
また特にキー表記がなくわかりづらいですがホームボタン左右にはハードウェア式のタッチキーを内蔵しており、設定メニューからソフトウェア式のナビゲーションバーと切り替えて利用可能となっています。
液晶はシャープ製のIGZOディスプレイを採用。シャープ製AQUOSスマートフォンなどにも搭載されている高精細ディスプレイで、正直一時期の中華端末を想像していると驚いてしまうほどその液晶表示は美しいです。
左側面にはSIMスロットがあります。
デュアルSIM対応機でSIMトレイはnanoSIMが2枚挿入可能となっていますが、先日レビューを取り行ったZUK Z2とは異なり、nanoSIM一枚分との排他利用という形にはなるもののmicroSDカードによるストレージの拡張も可能になっています。より多くのコンテンツを保存したいときはやっぱりmicroSDカードスロットがあるといろいろと便利ですよね。
右側面には電源キーとボリュームキーがついています。
下面です。USBポートはUSB Type-Cを採用。中華端末でもType-C搭載機が増えてきたようです。急速充電にも対応しており、UMIの公式サイトなどでも「QuickCharge」対応と記載がありますが、これはQualcommの「QuickCharge」のことを指しているわけではなく、MediaTek CPUが対応しているPumpExpress+のことを指しているようで、残念ながら付属のACアダプタ経由でないとその真価を発揮できません。
また、スピーカーも下面にあり、ステレオですね。
上面にはオーディオジャックがあります。このあたりの配置はごくオーソドックスなものです。
ホームボタンは上に書いたように、指紋認証センサーを内蔵したセンサー式のものを採用。一般的なAndroid端末で採用されている押し込み式ではなくiPhone 7/7Plusと同じセンサー式であるため慣れないうちは違和感を覚えるかもしれません。
指紋認証の精度は個人差があるかもしれませんが自分が試用した限りでは認識率がよくない印象で、指紋認証でうまくロック解除ができないケースが多々ありました。
背面デザインはかなりiPhone 6/6sに似ています。正直遠目で見たらiPhoneと間違えてしまいそうなデザインですよね。
カメラはデュアルカメラ…ではなくメインカメラとレーザーAF用センサーという構成になっています。
3.システム概要
OSは現時点ではAndroid 6.0″Marshmallow”を搭載。中華タブレットの場合はセキュリティパッチやメジャーアップデートに関しては消極的な印象を受けますが、本製品のファームウェアは今年最初のセキュリティパッチが適用済みでリリースされています。
また搭載されているAndroid OSがGoogleがソースコードを提供している素のAndroidそのものに近い構成になっているため、Xiaomi端末やZUK Z2など独自UIを搭載した機種などとは異なり、ショップカスタムROMではなくUMIオリジナルROMが搭載されており、OTAアップデートも受け取ることが可能です。
本機は将来的にAndroid 7.0″Nougat”へのアップグレードも予定されており、元のROMに書き戻すことなくショップから購入した状態でもセキュリティアップデートやOSアップグレードを受け取ることができるため、初心者の方でも安心して使うことができると思います。
OSのUIは完全に素のAndroid 6.0″Marshmallow”そのもので、メーカーによるUIのカスタマイズも最低限のものとなっています。
プリインストールアプリはGoogleサービス関連はGoogleマップ、GMail、Google検索アプリ、Google Play Storeのみと最小限のもの。ブラウザはGoogle ChromeではなくAndroidのオープンソースコードに含まれているいわゆる「AOSPブラウザ」が標準搭載されています。
ただしGoogle関連のアプリは必要なものは後から追加できますし、機種によっては不必要なアプリがプリインストールされているものも多いですからこれくらい最低限でも困ることはないかと思われます。もちろんGoogle ChromeやGoogleフォトなどのアプリもあとから追加することが可能です。
MediaTek CPU搭載機にはプリインストールされていることが多い「ターボダウンロードモード」は本機にも当然搭載されています。
これはWi-Fiと4G回線を同時利用してファイルのダウンロードを高速化する機能です。Samsung Galaxyなど一部の機種にも似たような機能が搭載されていますが、MediaTek CPU搭載機はこの機能が標準で搭載されていることが多いです。残念ながら諸事情でこの機能をテストすることはできませんが…
ナビゲーションボタンはハードウェア・ソフトウェアを設定から切り替え可能で、ナビゲーションボタンをハードウェアに設定した場合は画面をより広く利用することが可能になります。またナビゲーションボタンの配置を使いやすいよう入れ替えることも可能となっています。
「Harlequin LED Notification」では通知LEDの色の変更を行うことが可能です。
バッテリーは細かい設定が可能になっており、時間によって設定したプロファイルに切り替えることも可能になっています。
Android 6.0には標準で「Doze」というバッテリー節電機能が搭載されるようになりましたが、本機ではより細かい設定を行うことが可能となっており、状況によって無線LANを無効化したり最低限のネットワーク機能のみを有効化してバッテリーを長持ちさせる設定に変更可能となっています。
またこれらの設定は通知領域からワンタッチで呼び出すことも可能となっています。
4.カメラやスピーカー
カメラUIはiPhoneなどのiOS搭載機とよく似たものとなっており、良くも悪くもiPhoneを使っていた方であれば特に違和感なく利用することが可能です。この価格帯でありながら4K動画撮影もサポート。
また写真に各種エフェクトをかけるモードや自分撮りに便利な「フェイスビューティモード」なども搭載しています。
Samsung製CMOSセンサーを採用した1,300万画素のカメラを搭載。画質のほうは若干ディティールが弱い印象を受けますが十分きれいに撮影可能でした。
スピーカーはステレオスピーカーです。プリインストールされている着信音を試しに鳴らしてみたのですが、ボリュームを上げると音が結構割れるため、音質に過度の期待はしないほうがよいでしょう。
5.性能テスト
ベンチマークテストはAntutuで行いました。
スコアに関してはZUK Z2などに搭載されているSnapDragon 820搭載機に近いスコアが出ています。GPUの差異から3D周りのスコアに関してはAdreno 530を搭載したSnapDragon 820のほうが倍以上のスコア差となってしまっていますが、UXのスコアに関してはSnapDragon 820よりも高いスコアをたたき出している点にも注目です。
3Dのベンチマークスコアも低いわけではなく十分すぎる性能で、3Dゲームのプレイも基本的にはこなせますが、MediaTek系CPUは一部のゲーム、具体的に言えば「アイドルマスター シンデレラガールズ(通称”デレステ”)」などで一部互換性の問題が発生するようですので、その点のみ注意が必要かもしれません。
参考
Lenovo ZUK Z2(SnapDragon 820): 132,410
BungBungame KALOS 2(Samsung Exynos 7420): 88,439
Chuwi Vi 10 Plus(Remix OS、Atom X5-Z8300): 64,259
Teclast TBook 16 Pro(Atom x5-Z8300): 58,578
Onda OBook 20 Plus(Atom x5-Z8300): 57,378
Cube iWork 8 Air(Atom x5-Z8300): 55,918
GOLE 1(Atom x5-Z8300): 55,436
マウス MADOSMA Q601(SnapDragon 617): 48,008
Teclast X89 Kindow(Atom Z3735F): 47,495
Wink Pax G1(MediaTek MT8783) : 38,553
YOKA KB2(Amlogic S912): 36,679
マウス MADOSMA Q501(SnapDragon 410): 35,663
Teclast X10(MediaTek MT8392): 31,561
Cube WP10(SnapDragon 210): 29,273
Cube T8 Super Version(MediaTek MTK8735P):23,925
ドスパラ Diginnos Mobile(Snapdragon 210): 23,785
FREETEL KATANA 01 (SnapDragon 210) : 22,724
基本的にハイエンド向けスマートフォンのCPUの性能は年々向上していく一方ですが、すでにミッドレンジクラスでも通常利用では十分快適に利用できるレベルになってきています。
それでもハイエンド機であればより長い期間運用してもパフォーマンス不足に悩まされることなく利用できるのも事実で、本機であれば長期間メイン機として運用しても十分満足できるものになっているはずです。
6.まとめ
Banggoodでは現在グレー、ゴールドともに219.99ドル(25,410円)で販売中。指紋認証周りが弱い弱点はあるものの、美しいIGZO液晶やハイエンド10コアCPUを搭載し、メイン端末として長期間利用しても十分満足できるクオリティの高い一台に仕上がっていると感じました。
また癖のあるオリジナルUIではなく素のAndroidで日本語ロケールにも標準対応しており、Androidセキュリティパッチやメジャーアップグレードも問題なく受け取れることから、中華スマートフォンを初めて輸入して購入する方も安心して使えると思います。
本当にこの機種を触っていると中華スマートフォンも品質が向上してきたと感心してしまいます。中華端末を初めて購入する方にも、長く使っていけるハイエンドスマートフォンを探している方にもおすすめできる一台です。
7.関連リンク
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コメント
外装デザインと各種配置がFREETEL Reiとめちゃくちゃ同じだね
同じ製造元のベースモデルなのかな
こんにちは、コメントありがとうございます。ホントですね!いま気づきました。FREETELはもともと中華製品をローカライズしているので、ひょっとしたらUMI製なのかもしれませんね!