ソニーがスマートフォン2機種、最新フラッグシップモデルとなる「Xperia 1 VI」と比較的購入しやすい価格帯に設定されるミッドレンジモデル「Xperia 10 VI」を発表しました。キャリア版とオープンマーケット版が同時に発売されます。
1.Xperia 1 VI
スペック
Xperia 1 VI(オープンマーケット版) | |
OS | Android 14 |
SoC | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3 |
RAM | 12/16GB |
ストレージ | 256/512GB |
ディスプレイ | 6.5インチ(2,340 x 1,080)OLED 120Hz |
LTEバンド | 5G:n1/3/5/28/41/77/78/79 LTE:B1/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/21/26/28/38/39/ 40/41/42/66 |
SIM | nanoSIM × 2/eSIM |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac/ax/be、Bluetooth 5.4 (802.11 beは2024年秋以降のアップデートで対応予定) |
入出力 | USB Type-C、MicroSDカード、3.5mmイヤホンジャック |
カメラ | イン12MP/アウト48MP + 12MP + 12MP |
バッテリー | 5,000 mAh |
サイズ | 162 x 74 x 8.2 mm |
重量 | 192 g |
コメント
フラッグシップモデルXperia 1 VIは従来モデルから大きく変更されました。OSはAndroid 14で、OSアップデート期間は最大3回、セキュリティアップデートは4年に延長されています。Xperia 1 VまではOSアップデートが2回しか提供されておらず、他社フラッグシップと比較すると短すぎる印象があったので、アップデート保証期間が延長されたのは喜ばしいことです。
SoCはSnapdragon 8 Gen 3です。現時点でトップクラスの性能を有しているのでゲームも含め、あらゆるタスクをストレスなくこなすことができます。
RAMは12/16GB、ストレージは256/512GBです(RAM 16GB、ストレージ512GB構成は※オープンマーケット版のみ)。他社フラッグシップモデルでは搭載されなくなってしまったMicroSDカードリーダーも装備しています。
ディスプレイは6.5インチ、解像度はFHD+(2,340 × 1,080)です。パネルは引き続きリフレッシュレート120Hz表示をサポートする高品質なOLED(有機EL)ですが、2019年発売のXperia 1から長らく採用されてきた縦横比21:9、解像度4K(3,880 × 1,440)から縦横比19.5:1に変更されています。
21:9という縦横比は映画とほぼ同じサイズとされていて、Xperia 1 Vまでは上下に黒帯が入ることなく動画コンテンツを楽しめることを売りにしていたので、この変更は賛否がわかれるかもしれません。
カメラはイン12MP、アウト48MP(メイン) + 12MP(広角) + 12MP(広角)という構成で、アウト側にはカメラメーカー、ZEISSのT*コーティングが施されています。
望遠光学ズームがXperia 1 Vの125mmから175mmまで向上し、あらゆる画角で美しい写真を撮影でき、テレマクロ撮影も可能になっています。
一方カメラアプリはソニーの一眼レフカメラ、「α」の操作性を再現した「Photo Pro」ではなく、一般的なUIのカメラアプリに変更されています。Photo ProはXperia 1ではじめて搭載された頃は良くも悪くもマニア向けという印象が強かったのですが、バージョンアップするたびに使いやすくなっていたので、前述のディスプレイの仕様変更も含め「Xperiaらしさ」が薄れてしまい、個人的には残念に感じました。
筐体はXperia 1 Vのデザインを踏襲していますが、縦横比が変更されたことに伴い「横長」ではなくなっています。筐体色は「ブラック」「プラチナシルバー」「カーキグリーン」「スカーレット」で、このうち「カーキグリーン」と「スカーレット」はオープンマーケットモデルのみ選択可能です。
2.Xperia 10 VI
スペック
Xperia 10 VI(オープンマーケット版) | |
OS | Android 14 |
SoC | Qualcomm Snapdragon 6 Gen 1 |
RAM | 6GB |
ストレージ | 128GB |
ディスプレイ | 6.1インチ(2,520 x 1,080)OLED 60Hz |
LTEバンド | 5G:n3/28/77/78/79 LTE:B1/3/4/5/8/12/18/19/21/28/38/41/42 |
SIM | nanoSIM × 2/eSIM |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.2 |
入出力 | USB Type-C、MicroSDカード、3.5mmイヤホンジャック |
カメラ | イン8MP/アウト16MP + 12MP |
バッテリー | 5,000 mAh |
サイズ | 155 x 68 × 9.3 mm |
重量 | 164 g |
コメント
Xperia 1 VIと比較すると購入しやすい価格帯に設定されているミッドレンジモデルです。OSはAndroid 14で、4年間のセキュリティアップデートが保証されていますが、Xperia 1 VIとは異なり、OSアップデートは2回に留まっています。差別化する理由はありませんし、Xperia 10 VIもOSアップデート提供期間を延長しても良かったのではないでしょうか。
SoCはXperia 10 IV〜VではSnapdragon 695を搭載していましたが、Xperia 10 VIではAQUOS sense8でも採用されたSnapdragon 6 Gen 1に変更されています。Snapdragon 695と比較してCPU性能は最大20%、GPU性能は最大35%向上しているので、グラフィックが凝ったゲームも設定を調整すれば十分楽しめます。RAMは6GB、内蔵ストレージは128GBで、MicroSDによるストレージ拡張もサポートしています。
ディスプレイは6.1インチサイズで、解像度はFHD+(2,520 × 1,080)、パネルはOLED(有機EL)です。Xperia 10 VIでは従来通り縦横比は21:9となっているので、動画やゲームなどのコンテンツも大画面で楽しめます。
カメラはイン8MP、アウト48MP(メイン) + 8MP(超広角)です。Xperia 10 IVで用意されていた望遠レンズはなくなりましたが、メインレンズと超広角レンズを組み合わせることで光学2倍相当のズーム撮影を実現しています。
これまではXperia 1・5シリーズでのみ利用可能だった「Video Creator」もプリインストールされているので、動画を選択するだけで簡単にSNSやメールで共有できるショートムービーを作成できます。
内蔵ステレオスピーカーはソニー独自のチューニングが施されています。3.5 mmイヤホンジャックもあり、既存の圧縮音源やストリーミング音源をハイレゾ相当にアップコンバートしてくれる「DSEE Ultimate」により、お気に入りのヘッドフォンで好きな音楽をクリアな音質で楽しむことができます。
バッテリー容量は5,000 mAhです。
筐体はXperia 5 Vによく似た見た目に一新しています。素材は難燃性再生プラスチック、SORPLASが採用されています。マッド加工が施され、Xperia 1 VIとはまた違った魅力的なデザインに仕上がっています。筐体色はブラック、ホワイト、ブルーです。
3.まとめ
Xperia 1 VIは6月21日に、Xperia 10 VIは7月上旬に販売開始となり、オープンマーケット版の市場想定価格はXperia 1 VIが税込195,000円〜215,000円、Xperia 10 VIが税込70,000円です。
フラッグシップモデルのXperia 1 VIは事前にリークされていた情報通り、Xperia 1から長らく続いていた縦横比21:9をやめ、他社フラッグシップモデルとほぼ同じ19.5:1に変更され、Photo Proアプリを廃止するといった大胆な路線変更が行われています。SNSでも賛否両論となっていますが、個人的には「Xperiaらしさ」が薄れてしまったように感じられて少し寂しく感じています。
一方Xperia 10 VIはディスプレイの縦横比は21:9のまま、ハードウェアスペックが強化されるなど、順当にモデルチェンジした印象です。ほとんどのユーザーにとってSnapdragon 6 Gen 1でもパフォーマンス不足に感じる場面は少ないでしょうし、比較的購入しやすい価格帯でありながらXperiaらしさもしっかり詰まっていて、個人的にはXperia 1 VIより魅力的なのではないかと思っています。
4.関連リンク
Xperia 1 VI:SONY
Xperia 10 VI:SONY