2020年12月に立ち上がったOUKITELのサブブランド「iiiF150」よりタフネススマホ第2弾となる「R2022」が発表されました。初代モデルとなる「B2021」のタフネス性能はそのままに、CPU性能とディスプレイ解像度、カメラ機能を強化した上位モデルとなります。
初代モデルはエントリークラスの性能でしたが、R2022はミッドハイクラスの製品に生まれ変わり、メイン端末としても十分活用できる性能となっています。そんなiiiF150 R2022を今回メーカーよりサンプル提供していただきましたので、実機レビューさせていただきます。
なお、この製品のブランド名は「iiiF150」ですが、販売サイトでは単に「F150」と表記されていたりもしますので、この記事ではこれ以降「F150」と表記します。ご了承ください。
1.スペック
スペック表
iiiF150 R2022 | |
OS | Android 11 |
CPU | MediaTek Helio G95 |
RAM | 8GB |
ストレージ | 128GB |
ディスプレイ | 6.78インチ(2,400 x 1,080) リフレッシュレート 90Hz |
LTEバンド | FDD-LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/25/26/28A/28B/66 TDD-LTE:B38/40/41 |
SIM | nanoSIM x 2 |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.0 |
入出力 | USB Type-C、MicroSDカード、3.5mmイヤホンジャック |
カメラ | イン16MP/アウト64MP + 20MP + 2MP |
バッテリー | 8,300 mAh |
サイズ | 175.7 x 84.5 x 15.5 mm |
重量 | 350 g |
ポイント
B2021ではAndroid 10が搭載されていましたが、R2022では現行バージョンとなるAndroid 11がプリインストールされた状態で出荷されています。独自UIではなく、素のAndroid準拠のソフトウェアが採用されています。
CPUはMediaTek Helio G95です。B2021ではエントリークラスのHelio G25が採用されていたので、大幅にスペックアップしたことになります。性能としてはSnapdragon 700番台に近く、性能テストの項目でも後述しますがAntutu Benchmark v9の総合スコアは35万点を計測しています。もともとMediaTek Helio GシリーズはHelio Pシリーズをベースにゲーミング機能を強化したCPUとなっていますが、R2022で搭載されているHelio G95ではGPU性能もかなり高くなっているため、(タイトルによってはグラフィック調整が必要になる場合もありますが)3Dゲームも快適にプレイ可能です。RAMは8GB、内蔵ストレージは128GBという構成で、MicroSDカードによるストレージ拡張にも対応します。
ディスプレイは6.78インチでIPSパネルを採用しており、解像度はFHD+(2,400 x 1,080)です。こちらもB2021のHD+(1,520 x 720)からスペックアップしたほか、Helio G95を搭載したことによりリフレッシュレート90Hz表示にも対応しています。
カメラはイン16MP、アウト64MP + 20MP + 2MPという構成です。夜景モードを備えていますが、暗所での撮影に関しては同価格帯のスマートフォンと比較すると厳しいものになっています(後述します)。そのかわり先日実機レビューをしたAGM H3と同じく赤外線暗視カメラを搭載しており、これを活用することで白黒撮影にはなりますが光が少ない場所でも明るい写真を撮影可能です。
ワイヤレスネットワークは802.11 a/b/g/n/acとBluetooth 5.0に対応します。モバイルネットワークに関してはVoLTEも使用可能です。バッテリー容量は8,300 mAhで、18W出力の急速充電をサポートしています。またNFCも搭載されているため、海外旅行時にGoogle Payなどを活用した決済サービスも利用可能です(おサイフケータイには非対応です)。
タフネススマホとしてはMIL-STD-810G準拠の堅牢性を備えているほか、IPX68/69K準拠の防塵・防水性能を備えています。
2.筐体と使用感
付属品はマニュアル類、USB-A to Cケーブル、SIMピンです。「ケースなぞつけるな、漢なら裸で使え!」というスタンスのタフネススマホということで、専用ケースは付属していません。今回レビューしているF150 R2022ではサンプル機ということで付属していませんが、ショップ購入時にはガラスフィルムが別途付属しています。
またPDA工房でも前面とカメラレンズ部の保護フィルムが製品化済みです。いつもながらフィルムの精度に関しては非常に高く、ぴったりとフィットしてくれます。写真に写っている衝撃吸収タイプのほか、9H硬度フィルムやプライバシーカットフィルムなど、ニーズに合わせて好みのフィルムを選択可能です。
前面です。初代モデルB2021ではiPhoneシリーズで見られる大型ノッチを採用していましたが、R2022ではパンチホールノッチを採用しています。タフネススマホながらなかなかスタイリッシュなデザインに仕上がっていると思います。
背面です。筐体色は「ボルカニック・ブラック」「サハラ・イエロー」「304スティール」の3色展開で、今回のレビュー機は「ボルカニック・ブラック」です。背面デザインに関してはB2021のデザインをほぼそのまま継承しています。サンドブラスト加工が施されており、いかにもタフネススマホ!と言えるデザインとなっていて、所有欲を満たしてくれます。
左側面にはSIM/MicroSDカードスロット、プログラムキーが用意されています。プログラムキーの動作は設定から変更が可能です。
右側面にはボリュームボタン、電源ボタンがあります。
本体上部には何もありません。
本体下部にはUSB-Cポート、3.5 mmイヤホンジャックがあります。
重量は実寸で355.9 gでした。
システム
工場出荷時にプリインストールされているOSはAndroid 11です。カスタムUIは搭載されておらず、素のAndroid OSベースのソフトウェアが搭載されています。先日実機レビューを行ったAGM H3も含め、中華スマートフォンでもAndroid 11が普及してきた印象を受けます。まもなくリリースされるAndroid 12へのOTAアップデートが行われるかどうかは不明ですが、最新のシステムにこだわらない限り問題なく使っていけるでしょう。
工場出荷時にインストールされているアプリです。こちらもシンプルな構成で、後述する独自アプリ「ツールボックス」を除けばAndroid OS標準アプリとGoogle関連のアプリのみプリインストールされています。
F150 R2022では独自アプリとして「ToolBox」がインストールされています。アウトドア利用時に便利な分度器、コンパス、歩数計、拡大鏡などをまとめたものになります。これ自体は中華系アウトドアスマホでもよく見られるものなのですが、F150シリーズ独自機能として「サウンドシミュレーション」という機能があり、4種類(警報、犬の鳴き声、エンジン音、SOS)の音を鳴らすことが出来ます。正直通常シーンではあまり利用することはないでしょうが、アウトドアシーンではいろいろと活用できるかもしれません。
左側面にあるプログラムキーの割り当ては設定から変更できます。シングルクリック時の動作は「ToolBox 」アプリ内の各ツールを、ダブルクリック時の動作はアプリ起動に割り当てることが可能です。
工場出荷時のストレージ使用量です。128GB中OSなどのシステムデータが使用している領域は9.54GB程度となっており、空き容量は十分確保されています。またMicroSDカードの増設にも対応しており、外部ストレージとして使用できるほか、内部ストレージとの統合機能も搭載されているので容量に関してはさらに拡張可能です。
初期ファームウェアのAndroidセキュリティパッチは「2021年8月5日」と新しいものが適用済みでした。
ディスプレイ
ディスプレイサイズは6.78インチサイズで解像度はFHD+(2,400 x 1,080)です。前述の通り初代モデルとなるB2021では5.85インチHD+(1,520 x 720)という構成だったので、ディスプレイサイズが大きくなっただけでなく、解像度に関しても大幅にスペックアップしたことになります。
視野角が広いIPSパネルを採用しており、表示品質も綺麗です。またCPUにHelio G95を採用したことにより、リフレッシュレート90Hz表示にも対応しました。デフォルトでは「自動」に設定されており、使用状況によってリフレッシュレートを60Hzと90Hzに切り替えるようになっています。ミッドレンジクラスでも高リフレッシュレート表示に対応する端末が増えてきましたが、タフネススマホとしての対応はR2022が「世界初」となります。
スピーカー
スピーカーはモノラル出力です。Dolby Atmosなどのサラウンド機能は非対応となりますが、音質に関しては十分クリアな印象です。音楽を本格的に楽しむのであれば別途有線イヤホンやBluetoothイヤホンを併用した方がいいと思いますが、動画コンテンツやゲームを楽しむ分には十分な音質を確保していると感じました。
カメラ
標準カメラのUIです。超広角撮影には対応していませんが、64MP撮影モード、スローモーション動画撮影機能、QRコード読み込み機能など機能は充実している印象です。
明るい場所での撮影に関しては若干ディティールが微妙な印象は受けますが概ね綺麗に取れている印象です。サーモン丼の写真に関してはなかなかおいしそうに映っているのではないでしょうか。
一方暗所での撮影に関しては夜景撮影モードを搭載しているものの、上記のように光がほぼない場所ではほぼ何も見えない写真が撮影できてしまいます。アップデートである程度改善される可能性もありますが、この点に関してはかなり残念に感じられました。
そのかわりAGM H3と同じくR2022では赤外線暗視カメラが搭載されており、「ナイトビジョンモード」で撮影すると光がほぼない場所でもモノクロではあるもののはっきりとした写真を撮影可能です。使い方によってはかなり面白い写真が撮影できるのではないでしょうか。
3.性能テスト
参考:
ASUS Zenfone 8(Snapdragon 888):785,280
Realme GT Master Edition(Snapdragon 778G):542,182
Xiaomi Mi 11 Lite 5G(Snapdragon 750):500,573
Samsung Galaxy Fold SCV44(Snapdragon 855):414,302
OnePlus Nord CE 5G(Snapdragon 750):384,505
OnePlus Nord N10(Snapdragon 690):342,506
POCO M3 Pro 5G(Dimensity 700):330,303
CHUWI HiPad Plus(MT8183):172,713
OUKITEL C22(Helio A22):99,664
AGM H3(Helio P22):84,184
今回も性能テストはいつも通りAntutu Benchmark v9.1.1で実施しています。前モデルとなるB2021に搭載されていたCPUはMediaTek Helio A22のマイナーチェンジ版となるHelio G25でしたが、R2022ではHelio G95に変更されたことにより、性能は大幅に向上しています。
総合スコアとしてはOnePlus Nord N10に搭載されているSnapdragon 690やNord CE 5GのSnapdragon 750に近い数値を計測していますが、GPU性能に関してはSnapdragon 750の数値(94,418点)を上回っています。現時点で最新のハイエンドCPUとなるSnapdragon 888はまさにモンスター級の性能を誇るものの、その分発熱も気になる印象でしたし、個人的にはオーバースペックに感じられる部分もあったのでHelio G95位の性能が多くの人にとって「ちょうどいい」ものなのではないかと思っています。
「原神」を実際にR2022でプレイしてみました。プレイ開始時はグラフィック設定が標準となっているのですが、動画キャプチャーを撮影しながらのプレイと言うこともあり、さすがにHelio G95では荷が重いのかフレーム落ちが目立つ場面も見られました。Lv.3になるとグラフィック設定を行えるようになるので「最低」まで落としたところ、画質は落ちてしまうものの快適にプレイできるようになりました。もともとSnapdragon 888でも重さを感じる印象を受けたタイトルでしたが画質設定を調整すればR2022でも十分プレイすることが出来そうです。
4.まとめ
iiiF150 R2022は9月6日よりAliExpress内OUKITEL Authorizing Storeにて販売開始となり、通常価格は399.99ドル(45,466円)ですが、発売日となる本日から12日までの間に購入するとセール価格として199.99ドル(22,723円)で購入可能です。
初代モデルのF150 B2021はスペック的にエントリークラスのタフネススマホでしたが、2世代目となるR2022では一気にミッドレンジクラスまで大幅にスペックアップしました。搭載されているHelio G95はパワフルな性能で、アウトドア用のサブ機として使うにはもったいない・・・メイン端末としても十分活躍できる一台となっています。
大容量バッテリーを搭載している分、重量はそれなりにある点や暗所での撮影性能が非常に弱い点が弱点ではありますが、赤外線暗視カメラを活用したナイトビジョンモードはなかなか面白い機能ですし、ツールボックスアプリのサウンドシミュレーション機能もなかなか個性的だと思います。
iiiF150ブランドのスマートフォンはまだ2台しか投入されていませんが、今回実機レビューを行ったR2022は満足度の高い端末に仕上がっており、5G対応モデルが登場するのであればそちらにも期待したいところです。個人的にもかなり気に入っています。
5.関連リンク
iiiF150 R2022 64MP+20MP AF Night Vision 6.78” FHD 90Hz Smartphone G95 8GB+128GB 8300mAh NFC Rugged Phone:OUKITEL Authorizing Store
iiiF150 R2022:Banggood
コメント
こんにちは。この記事を読んでこの機種に興味を持ちました。
そこで教えていただきたいのですが、USB-Cでチャージが9V 2AになってますがUSB-PDやQuickCharge3.0に対応してるのでしょうか?それとも専用アダプタ以外では5V 2Aくらいになってしまうのでしょうか?
あとデュアルSIMはSDカードと2枚目のSIMは同時に使用可能でしょうか?
それとAliExpressの注文画面でのロシアとヨーロッパとその他のエリアの選択肢はなんの違いでしょうか?充電器ですか?
いろいろ質問してすみません。ご回答いただけると嬉しいです。
>>たむたむさん
PD周りの挙動に関しては測定する器械を所有していないので厳密なアンベア数はちょっと確認できません・・・SDカードに関してはトリプルスロット仕様となっておりSIMと共存可能です。
エリアの方はおそらく発送地域かと思われるなので日本であれば「Other Area」を選択すると良いかと思われます。
スピーカーがモノラルとなっていますが、イヤホンンもモノラルと言う事になるのでしょうか?
すみません読み返したら誤字っててわかりづらかったですね、イヤホンはモノラル音声しか聞けないと言うことですか?
>>匿名さん
イヤホンジャックはちゃんとステレオ出力に対応してますよー!
はじめまして
私 この商品か
wP17 どちらか欲しいのですが
理由がありまして
AU キャリアのsimだけしか
使えません
AUは、設定が 難しい又は
通信できないのですか?
技適マークのあるWP17も
同じでしょうか?
お返事
宜しくお願いします
>>ひーさん さん
auと楽天モバイルの場合、バンドが対応していても実際には通信できない場合があります。
auに関しては公式サイト内の「IOT完了製品」で相互接続試験を通過した端末が掲載されています。auが取り扱っていない端末だとPixel 6シリーズとかZenfone 8、ROG Phone 5s等が通過していますね。
https://open-dev.kddi.com/information
海外メーカーの場合相互試験認証は行っていない可能性が高いので、おそらくOULITEL WP17にしてもiiiF150 R2022にしてもauでの利用は厳しいと思います・・・