こんにちは、ゆないとです。今回はAmazonで購入ができて1万円台の価格が魅力なAndroidタブレット「DragonTouch MAX10 Plus」の実機レビューをお届けします。この製品の特徴は、比較的安価な製品ながら「量子ドット」技術を採用したディスプレイを搭載する点です。スペックとしてはエントリークラスですが、高精細で広色域なためYouTubeや電子書籍を楽しむメディア用端末として考えれば優秀だと感じています。
実機についてはメーカーがサンプル品を提供してくださいました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
1.スペック
DragonTouch MAX10 PLUS | |
OS | Android10 |
SoC | UNISOC SC9863A |
RAM | 3GB |
ストレージ | 32GB |
ディスプレイ | 10.1インチIPS(1,920×1,200)QLED |
ネットワーク | Wi-Fi5(802.11 a/b/g/n/ac)、Bluetooth 5.0 |
入出力 | USB Type-C ×1、オーディオジャック |
カメラ | リア:8MP、フロント:5MP |
バッテリー | 5,000mAh |
サイズ | (実測値)242 × 167 × 10mm |
重量 | (実測値)574.8g |
やはりこの製品の一番の特徴はディスプレイです。製品ページの方でもディスプレイが推されています。DragonTouch MAX10 Plusのディスプレイには量子ドット技術が採用されていて、通常のディスプレイよりも色再現性が高く低消費電力であることが特徴です。製品ページには「QLED」というように表記されていますが、調べたところ、LEDという文字が入っていますが有機ELではなく、量子ドットの液晶ディスプレイというものが近いイメージとなります。
仕組みとしては、バックライトの光源に青色LEDを使い、量子ドット技術による波長変換をすることで実現しています。サイズは10.1インチ、WUXGA解像度のディスプレイであるため、動画や電子書籍などのコンテンツを楽しむのに十分なサイズ感です。
RAMは3GB、ストレージが32GBで、SoCについては、最近の中華Androidタブレットで採用されているUNISOC製の「SC9863A」というエントリークラス向けのものを搭載しています。このことから、処理・描画能力が必要なゲームやその他のアプリについては厳しいと思いますが、ブラウザで情報を検索したりYouTubeやKindleアプリ、TwitterやInstagramを見たりするなど基本的な使い方であれば問題ないでしょう。
サイズと重量に関しては、Amazonの製品ページに記載されている数値(27 x 20 x 5 cm、550g)が異なるように感じましたので、自分で測定をしてみました。結果としては「242 × 167 × 10mm、574.8g」となりました。実際の数値よりもややコンパクトですが重量が重いです。
2.外観
付属品は取扱説明書類とACアダプタ、USBケーブルです。ACアダプタは日本仕様なので、別途変換アダプタなどを用意する必要はありません。
ディスプレイです。5MPのフロントカメラの配置を見る限り、横持ちで使用することが想定されているようですね。ベゼル幅は太すぎず(まあ、太いですけどね…)邪魔に感じるほどではありません。光沢のあるディスプレイのため自分の顔など写りこみはありますが、その分綺麗で発色の良さがわかります。
ディスプレイで1つ気になったのは「少し奥行きを感じること」です。ディスプレイ一番外側の面と、映像が出力されている面の間にスペースがあり、真正面からディスプレイを見ると気になりませんが、やや角度がつくと奥行きを感じてしまいます。個人的にこのような製品は使用したことが無く、高精細でクオリティの高いディスプレイだと思いますが、ディスプレイで唯一気になる点と言えばここだと思います。
背面です。こちらも横置きを想定した配置になっています。背面カメラは左側のレンズが8MPで右側はフラッシュライトです。中央には”DragonTouch”とロゴが印字されています。下部にはモデル名や各種証明に関するマークなどが印字されています。また、金属のような光沢のある背面ですが、触れた印象では樹脂製だと思います。指紋は目立ちやすいです。
技適マークと番号が記載されているため検索をしたところ、それらしいものがヒットしました。日本のAmazonで販売しているだけあり証明は取得しているようですね。「工事設計認証を受けた特定無線設備の型式又は名称」の項目にTablet PCとしてこの製品(Model Number:MAX10)が記載されています。ただし、「工事設計認証を受けた者の氏名又は名称」には「Proexpress Distributor LLC」という表記となっていて、DragonTouchという名称は見当たりませんでした。
背面カメラの左側、エッジ部分はカバー状のパーツとして分かれており、爪を入れて簡単に外せます。なお、カバーは爪で引っ掛けるタイプであるため、頻繁に取り外しする場合は破損しやすいことは考えられます。
左から、microSDカード、SIMカード ×2の計3スロットありますが、SIMカードスロットについては塞がっています。ストレージは32GBとやや物足りないため、例えば電子書籍を大量にダウンロードするなどの場合はmicroSDカードで追加可能です。
上部側面には、右端にUSB Type-Cポートが搭載されています。上部にあるため横持ちした際に邪魔にはなりませんし、下部に配置されているよりも使いやすいと思います。私はよく横になりながらタブレットで電子書籍を閲覧するので、もし充電しながら使用する際は、この配置のおかげで変にケーブルに負荷がかかるような曲がり方をしなくて済むので助かる仕様です。
下部側面にはスピーカーが配置されています。スピーカーグリルは2門ありますが、2門になっているだけで実際に出力される音は一緒(つまり、モノラル)です。そのため動画などでサラウンドを感じることはありません。音質については使用感のところで後述します。
左側面は特にボタンや入出力ポートはありませんが、右側面には(画像左から)イヤホンジャック、電源ボタン、ボリュームボタンと並んでいます。各ボタンはクリック感が良好で、安価な製品によくある取り付けの甘さはありません。
3.動画視聴時の使用感
Netflix/Prime VideoはHD画質での使用不可
まずは肝心の動画視聴についてです。高精細ということで、せっかくならNetflixやPrime VideoなどをHD画質で楽しみたいところです。そこで大切なものは「WideVine」でしょう。WideVineとはGoogle独自のデジタル著作権管理テクノロジーのことで、Androidで上記のサブスク形式の動画コンテンツを”HD画質”で楽しむ場合には大切な要素です。
Widevineに関しては詳細な情報が少ないのですが、ウインタブでは過去にライターの輪他さんが『WideVineについて』をまとめてくださっています。WideVineとは何か知りたい場合は是非御覧ください。
今回DragonTouch MAX10 PLUSのWideVine情報(セキュリティレベル)を調べるために、「DRM Info」というアプリをインストールしました。HD画質で楽しむためには「L1」である必要がありますが、この製品は「L3」です。そのため、Netflix、Prime VideoではHD画質で試聴することができません。
NetflixだとHD画質かどうかは表示されませんが、Prime Videoだと上記の画像のように”HD”という表示自体がありません。もしWideVineがL1の端末であれば、左下の経過時間の隣に”HD”という表示になります。
ディスプレイは寒色寄りだが、緑色や黄色の発色が豊か
さて、WideVineについては残念ながらL3ということで、この製品はどちらかというとYouTubeやニコニコ動画をよく利用される方に向いていると思います。
試しにYouTubeで、私のレビューでは毎度おなじみ、映画「TOPGUN MAVERICK」の予告動画を視聴してみました。高精細と謳っているだけあり、1080pで視聴した際は登場する俳優や戦闘機の輪郭がハッキリとしていて粗さは全く感じません。全体的な色味としては寒色寄りですが緑色や黄色の発色が良く、物足りなさや違和感は全くありません。1080pまたはHD画質で視聴ができないと納得がいかない私個人としても、十分に満足できるクオリティで楽しめています。本当にNetflixやPrime VideoがHD画質で楽しめないことが唯一悔やまれます。
また、安価なAndroidタブレットによくある要素として、ドットが肉眼でもわかる製品がありますが、この製品は全く目立ちません。カメラで撮影をして拡大をすればやっとわかる程度です。
音質は高音・低音のバランスが良くクリア!しかし、サラウンド感はなし
音質ですが、高音・低音ともに動画を楽しむために必要なくらいにはバランスの良いクオリティです。低音がスカスカであったり高音が耳に刺さる、あるいはシャリシャリと掠れるということはありません。また、ボイスも十分前に出てくれ、高音・低音に埋もれることなくセリフが聴き取りやすいです。
横持ちの際に下を向くスピーカーですが、例えばDolby Atmosやその他の独自のサラウンド技術は搭載していないため、本体下部から鳴っていることがハッキリとわかります。音量はやや小さめですが、インジケータの中央より上に持ち上げれば、隣室に届くくらい爆音にはなりますので、手元で聞く程度あれば問題ないと思います。
YouTubeヘビーユーザー、あるいはながら視聴に向いている!
結論として、YouTubeやニコニコ動画といったWideVineが関係ないコンテンツであれば画質・音質ともに満足のいくクオリティです。YouTubeがメインの動画視聴、あるいは「ながら視聴」している場合は非常におすすめです。ボイスが十分前に出てくれるので、トークがメインのコンテンツなら最適だと思います。
4.電子書籍閲覧時の使用感
描写の細かい漫画、文字サイズ変更不可の書籍は高精細が活きて見やすい
個人的には動画視聴よりも電子書籍を楽しむことに役立っています。10インチというサイズはほとんどの本の閲覧では困らないです。
例えば漫画であれば、非常に細かいところまで描かれて、この作品以上に細かいものは見たこと無いと驚いた「乙嫁語り」ですが、拡大せずとも細かい描写を見ることができます。
また、通常、参考書や技術書、雑誌などは文字サイズ変更ができませんが、そうした作品でも10インチというサイズ、高精細さが活きて少し離れていても見やすいです。
画面の最低輝度は気になるところ。自動調整機能は無し
これは個人的な理由に寄るところが大きいですが、私は夜間、暗い部屋で就寝前に電子書籍を楽しむことが多いのですが、その時に気になるのが画面の最低輝度です。
DragonTouch MAX10 Plusの最低輝度は、大半の製品とほとんど変わらないという印象ですが、普段使用している端末(Xperia 1 II)よりは最低輝度が高いです。比較する端末が最適ではありませんが、自分の使い方に合うかどうかという点では大切だと思っています。ただし、「Darker」のような輝度調整アプリでもっと暗くすることはできるので支障はありません。欲を言えば、標準機能として輝度の自動調整設定があると嬉しいですね。環境光センサーを搭載する必要があるなどコストは掛かってしまうので、エントリークラスのタブレットでは仕方のないことだとは思います。
また、輝度の自動調整機能が付いていないこともあり、調整を手動で行う必要があります。日中も夜間も使うとなると、都度調整しなければならずやや面倒に感じることもありますね。
5.ゲームプレイ時の使用感
ゲームプレイは厳しいが、あえて使うならオート周回やテーブルゲーム系タイトルで!
スペックとしては、最近人気のゲームなどは厳しいと感じます。動作を直接見て頂いたほうが良いと思うので実際のゲームプレイ(ウマ娘/ミリシタ)を撮影してみました。
まず、ウマ娘ですが、読み込みやボタンのタップ、画面遷移でさえカクカクしています。また、デイリーレースでもフレームレートが低いことがひと目でわかるほどです。
音ゲーでは、画質を下げればたくさんのキャラクターが出るシーンで、カクつく部分があるもののなんとか見ることができるという印象です。さらにプレイではノーツの動きも滑らかさはあまり感じません。ただし、タップの感度は良好なのでタイミングの調整次第ではカジュアルに楽しむ程度であればプレイできるでしょう。
他にもプレイをしてみましたが、オート周回機能(今回はアークナイツの殲滅作戦をトライ)があるようなゲームであれば処理能力はあまり気になりません。そうは言ってもエントリークラスのSoCですので、ゲームプレイは厳しくて当然だと思います。あえてゲームプレイ用に使用するのであれば、オート周回以外では簡単なテーブルゲーム系で暇つぶしをすることには向いています。
カメラのUIは必要最低限で、メモ程度の用途が向いている
UIはシンプルで必要最低限という印象です。設定についても解像度の設定しかありません。拡大と縮小はピンチイン・ピンチアウトで行います。
明るいところでもやや暗めに写ります。今回はフラッシュをONにして撮影をしてみました。全体的にノイズが多いため綺麗な写真とはいかず、メモ程度に使用するのが良さそうです。フロントカメラについてもほとんど同様ですので、例えばこの製品でZoomやGoogle Meetのようなビデオ通話をする場合には向かないと思います。
バッテリー
①YouTube(約1時間): 約80%→約65%
②ゲーム(約40分): 約65%→約48%
③電子書籍(約1時間30分): 約45%→約26%
④充電(約1時間45分): 約26%→約92%
バッテリーは、動画視聴または電子書籍であれば半日使い続けることができると思います。ゲームの場合は3~4時間が限界でしょう。充電は問題ない速さです。ただし充電は注意が必要で、手持ちの高いW数で充電が可能なAnkerの充電器では充電ができず、付属のACアダプタでないと反応しませんでした。
動画(操作性)
簡単に操作をしてみました。(動画は無音です。)如何でしょうか。個人的にはエントリークラスとしては十分な反応速度だと感じています。
6.まとめ
「DragonTouch MAX10 PLUS」はAmazonにて19,999円で販売中です。また、5月17日まで4,000円OFFクーポンが利用でき15,999円というお得な価格で購入可能です。
エントリークラスの性能ではありますが、量子ドット技術を採用したディスプレイのおかげでコンテンツを高精細で楽しむことができます。WideVineがL3でNetflixやPrime VideoをHD画質で楽しめないことが残念ではありますが、YouTubeをよく使う方や電子書籍をよく見る方には非常におすすめです。比較的安価に購入ができて、「綺麗な映像でコンテンツが楽しめる」Androidタブレットを求めていた方は是非検討してみてください。私の場合、家での使用が捗っていて、作業しつつYouTubeをながら視聴したり空き時間に電子書籍を楽しんでいます。
7.関連リンク
Dragon Touch MAX10 PLUS:Amazon