こんにちは。かのあゆです。今回は中国メーカー「CHUWI」の8.4インチAndroidタブレット「CHUWI HI9」の実機レビューです。メーカーが「ゲーミングタブレット」を謳っている通り、重量級3Dゲームも十分こなせる高性能なCPUとJDI(ジャパンディスプレイ)製の高解像度・高精細な液晶ディスプレイを搭載しており、コストパフォーマンスにも優れたタブレットです。また近年CHUWIは日本市場向けにも力を入れているようで、本製品も中華タブレットでありながら、なんと「技適マーク」もついています。
なお、この製品は中国の通販サイト「banggood」にご提供頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
1.スペック
搭載CPUのMediaTek MTK8173は日本では採用タブレットが存在しませんが、中華タブレットとしてはCHUWI HI9のほかONDA V10 ProやALLDOCUBE Freer X9などに採用されています。性能的には以前レビューさせていただいたXiaomi Mi Pad 3に搭載されていたMTK8176からコア数を減らしたものとなっており、MTK8176がヘキサコア(6コア)だったのに対しMTK8173ではクアッドコア(4コア)に変更されています。
ただし性能的にはMTK8176とMTK8173の差はそれほど大きくはなく、後述するベンチマークスコアもAndroidタブレットとしては十分ハイエンドクラスといっていい結果を記録しています。
搭載OSはAndroid 7.0”Nougat”。先日レビューしたPIPO N8同様、メーカーによるカスタマイズが行われていない素のAndroid OSそのものですが、本製品に関しては技適を通して日本人ユーザー向けにも売り込むためか、中華タブレットでは基本的にはプリインストールされていない日本語IMEまでインストール済みの状態で出荷されています。
液晶には2,560×1,600(WQHD)という超高解像度のものを搭載しています。液晶パネルに日本メーカーであるジャパンディスプレイのものを採用し、とにかくその表示は非常に美しいものになっています。
実際に電子書籍をダウンロードしてCHUWI HI9で読んでみましたが、高精細なディスプレイのおかげで文字も読みやすく、快適でした。
ネットワーク面では5GHz帯のWi-FIネットワークにもしっかり対応しており、高速な無線環境で快適にWEBブラウジングやネットゲームを楽しむことができるようになっています。画像の通り「技適」マークもしっかり取得しているため、日本国内でもネットワーク機能をフル活用できるのは非常にうれしい限りです。
一方でカメラ性能に関しては残念ながらそこまで力は入れていないようで、先日レビューしたエントリークラスのPIPO N8同様インカメラが2.0MP、アウトカメラが5.0MPと控えめなものが搭載されています。
タブレットで写真撮影をすることは少ないかもしれないですが、せっかくならカメラに関してももう少し力を入れてほしかった、というのが正直な感想だったりします。
2.デザイン
CHUWI HI9の実機を手に取った時に真っ先に感じたのは「あ、これNexus 7の2013年モデルにそっくりだ」ということです。背面がどちらもマットブラックでメーカーロゴのみが配置されているデザインになっており、かつてかのあゆがNexus 7(2013)を所有していたこともあって非常に懐かしい気持ちになりました。
付属品はACアダプター(海外仕様)、microUSBケーブル、マニュアル類となります。またbanggoodで購入するとサービス品としてガラスフィルムをつけてくれます(2月23日現在)。
前面デザインは標準的なAndroidタブレットのものとなっていますが、ベゼルが非常に狭く2.5D加工されていることもあって非常に高級感があり、所有感を満たすものだと思います。個人的にはこのデザインだけでも十分魅力的に映りました。おそらく自分が所有してきたAndroidタブレットも含め一番好きなデザインかもしれません。
背面は樹脂素材を採用しており、マット加工が施されています。前述の通りこのデザインはNexus 7(2013)の背面デザインに非常によく似たものとなっています。また、技適マークも背面の下部に配置されています。
スピーカーはモノラルです。音質的には十分きれいに再生できている印象でした。ただ贅沢を言うのであればせっかくのゲーミングタブレットなのでステレオ出力に対応してほしかったところではありますが…。
左側面は何もありません。
右側面は電源ボタン、ボリュームボタンが配置されています。
本体上面にはmicroSDカードスロット、3.5mmイヤホンジャック、microUSBポートが配置されています。
下面には何も配置されていません。
3.使用感
システム
前述の通り搭載OSはメーカーによるカスタマイズが一切行われていないAOSP版Android 7.0となっています。先日レビューしたPIPO N8同様ローカライズが行われていない、メーカー独自の要素も一切なく、機能的にも素のAndroidそのものとなっているため、完全な日本語化が可能です。
プリインストールアプリは素のAndroidに含まれているアプリ群とGoogleアプリ、ファイラーの「ES ファイルエクスプローラー」がありました。
また日本人ユーザーにも配慮しているためか、システムアプリとして「OpenWnn」がプリインストールされているため、購入したその時点で日本語入力が可能です。CHUWI製品は現時点ではまだ日本のショップで販売されていませんが、これは非常にうれしい配慮です!!
初期状態でのストレージの使用量は64GB中220MB程度。OS自体が素のAndroidそのものでプリインストールアプリも少ないこともあってシステムのサイズは非常にコンパクトに抑えられており、大容量ゲームのインストールも十分可能です。
またmicroSDカードによるストレージ拡張も対応しているため、容量不足に困ることはまずないはずです。
レビュー機にインストールされていたファームウェアのAndroidセキュリティパッチレベルは「2017年11月5日」のものでした。
ビルド番号は「20180104」となっており、今年の1月4日に開発が完了したファームウェアであることが確認できます。
またOTAアップデートの項目も存在しているので、今後セキュリティアップデートやシステムアップデートがリリースされればWi-Fi経由で更新することも可能です。
CHUWIに関しては今後Android 8.0”Oreo”を搭載したCHUWI HI9 Airを発売する予定で、HI9もAndroid 8.0へアップデートされる可能性があります。
ゲームプレイ
今回技適を通過して日本国内でも無線通信環境のテストが行えるため、Android向け3Dゲームでは重量級クラスのオンラインRPG「リネージュ2・レボリューション」や「Fate/Grand Order」の動作も検証してみました。
まずPIPO N8のテストでも利用した「Need For Speed No Limits」ですが、フレーム落ちを起こすことなく快適にプレイすることができました。
WQHDという高解像度ディスプレイも相まってプレイ感覚的には家庭用ゲーム機と同じような感覚でプレイできます。スマートフォンでプレイするよりもかなり快適かもしれません。
オンラインRPGの「リネージュ2・レボリューション」もキャラが多数動いている状況でも特に処理落ちが発生することはありませんでした。Wi-Fi経由でのデータのダウンロードも非常に高速で快適なプレイが可能です。
ただし「リネージュ2・レボリューション」の場合、より高画質なグラフィックを実現する「Vulcan API」には非対応のようで、グラフィック設定で選択することができませんでした。
処理が重いといわれており、エントリークラスのスマートフォンやタブレットでは快適なプレイが困難といわれている「Fate/Grand Order」もインストールして序盤までプレイしてみましたが十分快適にプレイ可能なレベルでした。
メーカーが「ゲーミングタブレット」と謳っている通り、またストレージも64GBと大容量なこともあって、アップデートで容量が増加していく近年のAndroid向けゲームにも十分対応可能で、3Dゲームも十分快適に動くスペックになっています。
カメラ
アウトカメラは5.0MPと前回レビューしたPIPO N8と同じスペックになっており、「明るい場所での撮影は十分きれいで、暗い場所での撮影は苦手」という点に関しても似たようなカメラ性能となっています。
カメラのUIはGoogleがAOSP版Androidに含んでいるものと同じものになっており、HDR撮影モードこそ搭載されているもののフィルター機能などは一切搭載されていない非常に「シンプル」なアプリとなっています。
PIPO N8同様、明るい場所ではブログやSNSなどでの利用では十分な写真を撮影できますが、暗い場所での撮影はノイズもかなり乗ってしまい、苦手な感じです。
4.性能テスト
今回もAntutu v6.2.7とAntutu v7.0.4の両方でベンチマークテストを行っています。
- Antutu v6.2.7
参考:
LeEco Le Pro 3(Snapdragon 821): 161,331
LeEco Le Max 2(Snapdragon 820): 135,484
Lenovo ZUK Z2(SnapDragon 820): 132,410
UMI Z(Helio X27): 110,070
Vernee Apollo(Helio X25): 93,251
Elephone S7(Helio X25): 92,543
Ulefone T1(Helio P25): 67,409
Ulefone Armor 2(Helio P25): 66,331
Ulefone T1 Premium(Helio P25): 64,775
Xiaomi Mi A1(Snapdragon 625): 63,577
Blackview BV8000 Pro(Helio P20): 63,473
DOOGEE MIX(Helio P25): 61,975
DOOGEE Y6 MAX(MT6750): 45,070
CoolPad Max A8(Snapdragon 617): 43,832
Elephone P8 Mini(MT6750T): 42,593
VOYO i8 Plus(MT6753): 39,030
Nomu S10 Pro (MT6737T) : 37,349
Xiaomi Redmi Note 5 (Snapdragon 435) : 36,439
※マウス MADOSMA Q501(Snapdragon 410): 35,663
PIPO N8 (MTK8163A): 32,223
ZOJI Z7(MT6737); 30,616
Ulefone U008 Pro(MT6737): 30,103
※Cube WP10(Snapdragon 210): 29,273
VKWorld Mix Plus(MT6737):27,127
※ドスパラ Diginnos Mobile(Snapdragon 210): 23,785
※FREETEL KATANA 01 (Snapdragon 210) : 22,724
※印はWindows 10 Mobile機
- Antutu v7.0.4
参考 :
Samsung Galaxy S8 Duos SM-G950FD (Exynos 8895) : 194,363
Samsung Galaxy S8 SC-02J (Snapdragon 835) : 194,096
Sony Xperia X Performance F8132 (Snapdragon 820) : 157,502
Huawei P10 Lite(Kirin 658) : 78,986
Nomu S10 Pro (MT6737T) : 51,425
VKWorld Mix Plus (MT6737) : 44,558
PIPO N8(MT8163A):39,785
Antutu v6.2.7、v7.0.4ともにベンチマークスコアは現在のミッド~ミッドハイのスマートフォンと同等のスコアをたたき出しています。近年ではQualcomm Snapdragon 820以降を搭載したタブレットが存在しないこともあってAndroidタブレットの中では日本国内で正規流通しているものも含め十分高性能なクラスになるのではないでしょうか。
実際WEBブラウジングやTwitter、FacebookなどのSNSアプリはもちろんのこと、上記性能テストで試した重量級ゲームなども快適にこなしてくれます。
5.PDA工房製「9H高硬度 アンチグレア仕様保護フィルム」について
今回もPDA工房にCHUWI HI9専用液晶保護フィルムを制作していただいております。試用機に装着されている製品は「高硬度 アンチグレア仕様保護フィルム」で、PETフィルムでありながらガラスフィルムと同じ9Hという高硬度を実現しています。フィルムに傷が入りづらいだけでなく、画面の反射を抑えてくれるアンチグレア加工がなされているのが最大の特徴となっています。
ガラスフィルムと異なりあくまでPETフィルムなので割れに強く、なおかつガラスフィルムと同じ高度を誇るこのフィルムはPDA工房ならではのフィルムで、毎度のことながらその技術力の高さには非常に驚かされます。アンチグレア加工が施されているおかげで画面の反射も抑えられており、快適にCHUWI HI9を使用することができました。
6.まとめ
CHUWI HI9は中国の通販サイト「banggood」で販売中で、2月23日現在の価格は169.49ドル(18,553円)で販売中です。
解像度WQHDの美しい液晶と高性能CPUを搭載し、ほとんどのアプリを快適に利用できるだけでなく、技適も取得しているため、日本でもしっかり利用できるタブレットがこの価格で購入できてしまうのは、すごくお買い得感があるのではないでしょうか。筐体の質感もかつてのNexus 7(2013)によく似たものになっており、毎日外に持ち出したいAndroidタブレットに仕上がっていると思います。
CHUWIに関しては近年日本人ユーザー向けの製品展開に力を入れ始めたようで、今回のCHUWI HI9に限らずWindowsタブレットなどでも技適を通過させた製品の販売を開始しており、中華タブレットながら日本でも無線ネットワーク機能を利用できるのはありがたい限りです。
現時点では日本のストアでの正規販売は行われていませんが、いずれTeclastのように日本市場への正式参入も検討しているのかもしれませんね。CHUWI端末を使用したのは今回のHI9が初めてでしたが、非常に高品質な製品となっていたこともあり、今後のCHUWIの製品展開に非常に期待したいところです。
7.関連リンク
CHUWI Hi 9 - 8.4インチ「ゲーミングタブレット」が登場!中華の小型Androidタブレットが盛り上がってきた!?
CHUWI Hi9 : Banggood
コメント
高解像度ディスプレイのゲーミングタブレット、ほんとはSnapdragonのハイエンドシリーズを搭載したのが欲しいですけどこれも面白い製品ですね
“搭載CPUのMediaTek MTK8173は日本では採用タブレットが存在しません”
微妙ですけど、日本で手に入るMT8173タブレットとしてHD10(2017)があるのですがライターさん的にはどうなんでしょうかね?
技適の認証番号が無いんですけど問題ないんですかね?
この件に関しては現在メーカーのほうに問い合わせ中です…
Teclastのt8と競合するスペックですねー。技適をとるかUSB-typeCとカメラをとるか悩ましい…
カメラも物足りないのでしょうが
個人的には指紋認証が欲しかったかな。
外出で使うのなら指紋認証は必須かと思います。
デュアルOSがChuweiの特徴だったんですけどね。
Chiwi Hi9とAllDoCube Freer x9を比較検討してFreer x9を購入しました。
Freer x9は3.5㎜オーディオプラグ出力はノイズが乗ってしまいます。
マイクも音が割れて使い物にはならない。
ディスプレイも揺らぎが出る。正直造り込みが甘いと感じました。
Hi9はディスプレイが青みを帯びている以外、3.5㎜オーディオジャックからのノイズ、マイク等はどうなのか気になります。
>>匿名さん
そういえばFire 10も搭載SoCはMT8173でしたね…
Fire OS搭載タブレットは最近チェックしていなかったので…(汗
>>@tkg5thさん
そういえばT8もスペック的には近いんですよね。
こちらも質感は高そうなので確かに迷っちゃいそうですよね…
>>mさん
個人的にはタブレットに指紋認証は不要かなぁとは思っているのですが、確かにセキュリティ面ではついていたほうが安全ですよね。HuaweiのMediaPad M3などにも搭載されてますし…
>>SZWindさん
とりあえずイヤホンジャック出力のほう確認してみましたがノイズは特に発生していませんでしたね…
PIPO N8と比較すると価格がほぼ倍でこのスペックであれこっちに手を出してもいいかなあと思います。
長期に渡って使っていくならば尚更かなあ。
メーカーの回答が何であれ、実際の製品に付されている技適マークに問題があるのは事実なのですから、タイトル及び本文を即刻修正すべきではないでしょうか
この手のコメント初めてじゃないんですけど、毎回海外のIPアドレスなんですよね。