KHADASの超薄型ポータブルヘッドフォンアンプ「Tea」の実機レビューです。2022年に発売されたニューモデルで、スマートフォン、特にiPhoneとの相性がいい製品です。近年スマートフォンの音質も向上してきていることや、かのあゆ自身ワイヤレスイヤホンを利用する機会が増えており、ポータブルヘットフォンアンプのレビューはこれが初めてとなります。
Androidスマートフォンとももちろん接続できますが、今回はiPhone 12 miniと組み合わせてレビューを進めます。なお、レビュー機はKHADASよりサンプル提供していただきました。この場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。
1.KHADAS Tea スペック
入力端子:USB-C端子
出力:3.5 mmイヤホンジャック
DACチップ:ES9281AC Pro
対応ビットレート:PCM 32bit/384Khz MQA,(Renderer)、DSD256
Bluetoothチップ:QCC5125
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX LL、aptX HD、LDAC
アンプ:RT6863D
出力レベル:165mW(2.3 Vrms)@32Ω
S/N比:116 dB
再生時間:最大8時間
対応OS:Android、iOS、iPad OS、macOS、Windows、Linux
KHADASは2016年に中国で設立され、シングルボードコンピューター、ヘッドフォン、ヘッドフォン用アンプ、DACを中心に開発・販売を行っているメーカーです。日本国内での販売にも積極的で、最近はPR TIMESなどの媒体でプレスリリースを見かける機会も増えています。
「Tea」は薄型筐体を採用したポータブルヘッドフォンアンプで、DACチップとしてESS社の「ES9281AC Pro」を搭載しています。付属するUSB-C to Cケーブル、USB-C to Lightningケーブルを接続するだけで高音質なサウンドを楽しむことが出来ます。
対応しているOSも幅広く、PC用OSであるWindows、macOS、Linux、モバイルOSのAndroid、iOS、iPad OSをサポートしています。Teaを購入すればスマホやタブレットだけでなく、パソコンの音質もパワーアップできるのはうれしい限りです。また、Teaは「Magsafe」に対応しているため、特にiPhoneとの相性はバッチリです。
このほかBluetoothにも対応しており、ハイレゾ音源をそのまま転送できる「apt-X Adaptive」や「LDAC」も利用可能です。ただし、「相性バッチリ」のiOS、iPad OSではLDACやapt-X Adaptiveなどの高音質コーデックを利用することは出来ません(現状OS側でサポートされておらず、専用アプリもリリースされていないため)。
2.KHADAS Tea 筐体
付属品はマニュアルなどのペーパー類(日本語表記あり)、Androidスマートフォン/タブレットやPCと接続するためのUSB-C to Cケーブル、iPhone、iPadと接続するためのUSB-C to Lightningケーブルです。
前面です。ポータブルヘッドフォンアンプというと「分厚くてかさばる」というイメージが強かったのですが、Teaはスマートフォン本体と一緒にポケットに一緒に入れてもかさばることがない薄型筐体を採用しています。これなら毎日持ち出してもかさばることはありませんね!
レビュー機の筐体色は「ブルー」ですが、このほか「グレー」も用意されています。メタリック加工が施されており高級感があるのですが、裸で使っていると傷が気になってきそうなのでポーチなどに入れた方が安心できるかもしれません。
背面は「KHADAS」ロゴが配置されています。
左側面には電源ボタンが配置されています。
右側面にはボリュームボタンが配置されています。スマートフォンやタブレット本体のボリュームボタンだけでなく、Tea側でもボリュームコントロールが行えます。
下面には3.5 mmイヤホンジャック、USB-Cポートが配置されています。
上面にボタンやポート類はありません。この写真を見てもその「薄さ」がわかると思います。
3.KHADAS Tea 使用感
端末との接続について
今回はiPhone 12 miniで有線接続を試してみました。Amazon.co.jp製品ページ内のQ&Aコーナーを見ると専用アプリは準備しているようですが、現時点ではまだAndroid、iOS/iPad OS向けアプリともリリースされていません。
本体への給電はスマートフォン経由で行う形となっており、iOS 16にアップデートしたiPhone 12 miniでは接続するだけですぐに利用可能でした。また前述の通りBluetoothレシーバーとしても利用可能で、この場合は電源ボタンを6秒以上長押しすることでペアリング可能です。
TeaはMagsafeに対応しているため、iPhone 12以降のモデルであれば簡単に本体に装着できます。TPUケースを付けた状態でも装着することが出来ましたが、磁力が弱まる関係でずれやすくなるのでTeaを装着する場合はケースを外すほうがいいでしょう。
音質
2005年に購入したiPod Shuffleを使い始めてから構築してきた音楽ライブラリは現在Walkman NW-A100に移行しており、普段はAndroid環境、iPhoneともにApple Musicで音楽を楽しんでいます。かのあゆが普段よく聞いているEric ClaptonやThe Beatles、Queenなどの洋楽アーティストはほとんどの場合すべてのアルバムがストリーミング配信されています。父がレコードコレクターでよく西新宿などにレコードやCD等を購入していたことを考えると本当にいい時代になったと感じます。
iPhone 12 miniでは普段AirPods Pro(初代)で音楽を楽しんでいます。ワイヤレスイヤホンとしては元々高価格帯の製品で音質にも力を入れていることもあり、普段外出先などで音楽を気軽に楽しむ分には満足しているのですが、Apple Musicでは2021年7月よりロスレス、ハイレゾ音源の配信も開始されており、AACまでのサポートとなるAirPods Proでは楽しむことが出来ません。今年の9月に発売した第2世代AirPods ProではBluetooth LE Audioのサポートとともに「LC3」コーデックをサポートするというリーク情報も報じられていましたが、残念ながら現状サポートされていないようです。
ということでTeaの出番となります・・・が、その前にApple Musicであらかじめハイレゾロスレス音源を聞けるように設定しておく必要があります。「設定→ミュージック→オーディオの品質」よりストリーミング、ダウンロードする際の音質を設定できるので「ハイレゾロスレス」に変更しています。なおファイルサイズが大きいのでモバイルネットワークでは「高音質」のままにしておくことをおすすめします(この設定でも256kbps AACと高ビットレートなので十分高音質です)。
すべての配信アルバムがハイレゾロスレスに対応しているわけではありませんが、今回はEric Claptonのライブアルバム「LIVE IN SAN DIEGO」をiPhone 12 miniに接続したTeaとFinalの「E1000」の組み合わせで視聴しました。
かのあゆが普段使用しているAirPods Proと比較すると「ライブ感」が強くなっており、ヴォーカルやギターの音がより「前に出ている」印象を受けました。利用しているヘッドフォンの組み合わせによっても印象は変わるかと思われますが、エントリー向けハイレゾ対応有線ヘッドフォンのE1000でも「その場にいる感」を体感することが出来ました。このライブ音源は2006年に録音されており、かのあゆも同じ年に武道館で行われたライブに行っているのですが、そのときの感動がよみがえりました。リリース当時から聴いていたアルバムですが、Teaを接続することでより臨場感が高まった印象です。
Bluetoothで利用する場合はAAC接続になるため、ハイレゾ音源の魅力をフルに生かすことは出来ませんが、こちらも有線と同じく臨場感のあるサウンドを楽しむことが出来ました。
4.KHADAS Tea レビューまとめ
KHADAS Teaは9月23日現在、Amazon.co.jpにて28,000円(税込)で販売中です。前述の通りスマートフォンでも近年高音質な音質で音楽を楽しめるようになってきたほか、近年ではイヤホンジャックを搭載しない端末が増えてきたことにより、ワイヤレスイヤホンを利用することが多くなってきたため、「わざわざ大きくてかさばるポータブルヘッドフォンアンプなんて接続しなくても・・・」と思っていました。
ところがTeaはスマートフォンと一緒にポケットへ入れてもかさばらない薄さで、なおかつワイヤレスイヤホンよりクオリティが高いサウンドを楽しむことが出来ました。今回はMagsafeで装着できるiPhoneで実機レビューを行いましたが、AndroidスマートフォンやPCの音質も向上することが出来るので、現在使用している端末の音質に満足できなくなった方におすすめです。
5.関連リンク
KHADAS Tea ポータブル ヘッドホンアンプ:Amazon.co.jp