こんにちは、natsukiです。今回は、2021年のスタンダードともいうべきFPVドローン、65mmフレームサイズの超軽量機「Happymodel Moblite6」を実機レビューします。手軽に管理できる1Sバッテリーで飛ばせて、撮影などの特殊な機能は無いドローンですが、それだけに「飛ぶこと」そのものを存分に楽しむとともに、技術の進歩による性能の向上を実感できます。間違いなく、今年のFPVドローンの基準となる機体でしょう。以前に紹介記事も書いているので、そちらもご参照ください。ちなみに、「モブライト」と発音するらしい。レビュー機は、Banggoodよりサンプル提供していただきました。まさかこんな目玉製品のレビューを任せていただけるとは!いつにも増して、テンション上がっております!!ありがとうございました。
1.スペック
Happymodel Moblite6 |
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フレームサイズ |
65mm |
モーター |
EX0802 KV19000 |
プロペラ |
Gemfan 1219 31mm 直径31mm、シャフト径1.0mm、3枚羽根 |
FC |
DiamondF4 (VTX・ESC・レシーバー内蔵) |
受信機 |
FC内蔵レシーバー、Frsky / Flysky選択可能 (レビュー機はFrsky) |
VTX |
25mW~200mW(FC内蔵) |
カメラ |
Runcam Nano3(800TVL) |
対応バッテリー |
1S、PH2.0コネクター |
重量 |
18.5g (実測18.4g) |
付属品 |
1S LiHV 300mAhバッテリー(30C/60C)×2、 予備プロペラ、プロペラ外し、 予備フレーム、予備ネジ、輪ゴム、 ドライバー、専用キャリーケース |
スペックです。みどころは、特に2点。まず1点目は、圧倒的な軽さ。1Sバッテリーは、管理のしやすさの一方で、どうしても非力なので、軽さはそのまま運動性能とスタミナに直結します。2点目は、VTX出力。1Sバッテリーでありながら、200mWまで出る。これで、多少障害物の多いところでも怖くない!?
2.筐体
専用ケースに入っています。前世代機のHappymodel Mobula6およびMobula6 HDは、紙箱だったので、これだけでも嬉しい。
しかもこのケース、本体収納部分と蓋裏ポケットだけでなく、周囲にも収納スリットが。FPVドローンって、本体だけじゃなくって、バッテリーに、バッテリーチェッカー、充電器、工具、予備パーツなどなど、飛ばしに行くにもついでに持ち歩く小物が多いんですよ。必要なら、穴を拡張してもいいし。このケースはとてもいい!
同梱品です。予備パーツは、プロペラとネジだけでなく、フレームまで。予備フレームまでついているドローンは少ないので、これもかなり嬉しい。プロペラとフレームは消耗品ですから。ちなみに、レビュー中のフライトで、案の定フレームは1回折れて交換しました。でも、このフレームはたくさん買い貯めてあるので大丈夫(笑)。前世代機Mobula6のフレームと同じものでOKです。付属バッテリーは2本です。
小さな輪ゴムは何に使うかというと、こんな風にかけてやれば、バッテリーをぐらつかないようにしっかり留めることができます。引っかけ方は我流なんで、留まれば何でもいいです。
機体は実測18.4gと、スペック表記よりもさらに軽い。付属のバッテリーと合わせても、ご覧の軽さです。
カメラを固定するのは、キャノピー……というより「帯」ですね。カメラの角度は、帯の尻尾のネジ穴で調整します。屋内のんびり飛行向けなら、1つ緩めて真ん中の穴でちょうどいいくらい。FCは、ダイヤモンド型の独特の形で、限界まで軽量化がなされています。奥に見える短いのがVTXアンテナ。軽く立ててあげた方が、電波状態は良くなります。もっとも、こんなむき出しなんで、クラッシュするとすぐ倒れてしまう。なんか、保護と固定を両立するいい方法ないかな? 手前右側は操縦電波の受信アンテナ。FC内蔵レシーバーの場合、アンテナが取り外し可能になっているのはめずらしい。エイの尾びれのように後ろに伸びています。また、LEDとブザー端子もあります。
FCの裏面です。モーターは、コネクタ接続ではなくはんだ接続。さすがにカメラは、コネクタ接続です。IR端子も備えているので、いちおう外部レシーバーも装着可能。
モーターがはんだ接続のため、フレーム交換は、いったんプロペラを全部外す必要があります。プロペラを、モーター軸に完全に押し込んじゃったりすると、大変です。画像は、実際にフレームが折れたので、交換しているところ。ハンダをつけ直す必要はありませんが、それなりにめんどくさく、モーターのケーブルを傷めないように神経は使いますね。
アサイン表です。小さいながらも、端子は一通りそろっていて、その気になればいろいろできます。まあ、拡張性を重視したいなら「CrazybeeX V2.2」を使った方がいいと思いますけど。ただ、外で飛ばすなら、重量増になってでもブザーをつけるかは悩みどころです。
で、結局、ブザーはつけました。0.8g増。うーん、しかしこの構造だと、どうしてもブザーのケーブルにダメージがいきやすい。実際、クラッシュ時にちぎれました。絶縁テープとかで覆っておくだけでも違うかな?
バインドは、ボタンでもコマンドでもOK。なお、レビュー機のプロトコルはFrskyです。私は手軽にボタンでバインドしました。
モーターは、EX0802 KV19000。KV20000越えの選択肢は用意されていません。まあ、飛ばしてみると分かりますが、この軽量さならKV19000でも運動性能は十分です。
3.Betaflight設定
Betaflightの設定を、ポイントだけ見ておきます。Betaflightのバージョンは、「3.5.7」。Happymodelはこの辺、妙に保守的なんですよね。と、いうことで、最新のBetaflight Configuratorでは設定できません。Betaflight Configuratorの方は、バージョン「10.4.0」を使いましょう。この辺の話は、こちらの記事をご参照ください。
「基本設定」では、アーム最大角ははじめから180になっていたのでOK。「その他の機能」の「エアモードを常時使用」は切っておいた方がいいですかね。その他はお好みで。
バッテリーは、はじめからHVバッテリーを想定した設定となっていました。いじらなくてOK。
PIDチューニングです。とりあえずこの値で十分飛びます。その他、受信機、モード、OSDは各自に応じて設定しましょう。
4.開局(変更)申請
系統図はCrazybeeX V2.2と共通
このMoblite6のVTXは、FCに内蔵してあるため、日本での使用には新たな無線局の開局(変更)申請が必要です。系統図については、私は例によって戸澤事務所にお願いして購入しました。これ自体が商品価値を持つ情報なので、公開は控えさせていただきます。ただ、ほぼ同時期に発売したFCの「CrazybeeX V2.2」と同じ構造のようです。CrazybeeX V2.2や、搭載ドローンの系統図をすでに持っている場合は、それをそのまま使えます。もちろん、同じFCを使っているHappymodel Moblite7も、同じです。
無線局事項書及び工事設計書
「無線局事項書及び工事設計書」については、私が実際に開局した書類の情報を公開しておきます。記入の参考にしてください。開局手続きを行う保証機関としては、TSSとJARDがありますが、私はTSSの方で手続きを行っているので、TSSでの書式となります。TSSのユーザーサポートページから関係書類をダウンロードしてください。なお、各自の状況や、法令の改変、保証機関の手続きの変更などにより変わる部分は出てくると思うので、その点はご了承ください。
青色の項目は、だれでも共通の項目です。1枚目は、他のVTXでも変わりません。2枚目の「工事設計書」が、Moblite6固有の情報になります。黄色の項目は、TSSのユーザーサポートページの注意書きに従って、各自の情報を記入してください。ピンクの項目は、「変更」の手続き時のみに記入が必要な項目です。「免許の番号」「呼出符号」は、「無線局免許状」記載の情報を記入すること。「無線従事者免許」のものではないので注意。また、「呼出符号」とは、「無線局免許状」に「識別信号」として記載されているものです。「変更する欄の番号」は、「16」をチェック。その16の「工事設計書」項目では、開局済みの送信機の番号とかぶらないように「第○○送信機」の番号を記入し、「増設」にチェック。以上の記入は、TSSのユーザーサポートページの注意書きも、ご確認ください。
5.実際の飛行
いよいよ実飛行。動画でご覧ください。
いや、本当に軽い。何というか、Mobula6もどき(23.6g)を、カブトムシを飛ばしてる感覚とするなら、これは、ハチやトンボのイメージ。鳥居でパワーループ(縦に円を描く様に1回転する飛行)は、このMoblite6で初めてできました。私の腕だと、他のドローンの場合は、下降時に立て直せずに、地面に激突しちゃうんですよ。
多セルバッテリーのパワーでカッ飛ぶ感じではなく、ふわっと舞い上がる、今までの操縦感覚とはかなり違った未知のスティック感。なので、緻密な操作をしやすいように、操縦機の方でかなり補正をかけています。もちろん、BetaflightのPID調整から補正してもいいんですが、操縦機の方が現場で手軽に修正できるんで。基本的に、「スロットル」は中央前後の傾斜をかなりゆるく、「エレベーター」「ロール」はスケールをあげて端の変化を激しく、としてやると、扱いやすくなるかと。もちろん、このあたりは相当に腕や好みの部分です。
なお、エイのような操縦電波受信アンテナは、受信感度の向上を期待しちゃいますが、これは従来の内蔵レシーバーと同じくらいか、むしろ少し弱いくらいでした。上がMoblite6、下はBETAFPVの1-2S用レシーバー内蔵FC。いずれも、離れた部屋からの操縦です。
FPVドローンにとって、高度のコントロールは、腕の磨きどころであると同時に、特に不自由な部分でもあります。このMoblite6は、実際に操縦してみると、その軽量さゆえに高度コントロールやトリックからの立て直しがやりやすく、ますます「思うがままに飛行できる」ドローンとなっています。屋内で緻密な操縦を楽しむも良し、屋外を自由に飛び回るも良し。スタミナも余裕の5分越え、それから、ややヘタりはじめて電圧が上がりにくいバッテリーでも十分に飛んでくれる。まさに、2021年の技術水準を堪能できるドローンです。もう、飛ぶことがひたすら楽しい。
6.価格など
価格は、Banggoodで、記事執筆現在、パソコンからの購入だと89.99ドル(9,574円)の送料3.83ドル(407円)。これは特別セールなどではない素の価格なので、各種クーポンやポイント割引も適用可能で、例えば、ポイントだと最大1350ポイント(1,436円)引きが可能です。この他にも、いくつかの汎用クーポンが適用可能なのを確認しています。アプリからの購入だと、元値がもう少し安くなりますが、なぜかポイント割引対象外だったので(汎用クーポンは使えました)、ポイントがあるならパソコンから買った方がお得です。EachineブランドやHappymodelブランドの1SバッテリーFPVドローンは、性能がアップしてもじわじわ高くなったりせずに、新製品をおおむね10,000円以内の価格に収めてくれるのは、毎度ありがたい。期待通りの、今年のFPVドローンの世界を楽しむなら、持っておいて絶対損はない1台です!
7.関連リンク
「法令遵守でドローン」記事一覧
18.5g Happymodel Moblite6 65mm1S:Banggood
Happymodel Moblite6:Happymodel(メーカーサイト)
スペアパーツ
65mm Wheelbase Frame Kit For 1S Indoor Micro Whoop(スペアフレーム):Banggood
4 Pairs Gemfan 1219 1.2×1.9×3 31mm 1mm Hole 3-blade Propeller(スペアプロペラ):Banggood
(プロペラは、軸1.0mm、直径31mmのものならなんでもいけます)
Moblite6 Moblite7 Spare Part 3D Printed TPU Camera Fixing Mount(スペアカメラマウント):Banggood
EX0802 19000KV 1S Brushless Motor(スペアモーター):Banggood