こんにちは、natsukiです。今回は、2万円台で手に入るポータブルプロジェクター、「EKASN C900」をレビューします。この製品は、ジュース缶サイズのコンパクトな筐体でバッテリー駆動でありながら、十分な出力を持ち、スピーカー付きで、Android OSを搭載するなど「できること」の幅が非常に広くなっています。これだけで単独で運用してもよし、スマホなどの他の機器で再生したものを投影してもよし。ホームプロジェクターとしても、ビジネス用途としても、多様な場面での活躍が期待できます。
なお、レビュー品は、AKASO楽天市場よりサンプル提供していただきました。この機会をいただいたことに、この場を借りてお礼申し上げます。
目次
1.スペックと特徴
EKASN C900 |
|
ディスプレイ解像度 |
854×480ピクセル |
ディスプレイ技術 |
DLP |
光源 |
LED |
輝度 |
4500ルーメン |
投光サイズ |
30-120インチ |
投影比率 |
1.4 : 1 |
自動台形補正機能 |
あり |
OS |
Android 9.0 |
CPU |
MTK9632 |
RAM |
2GB |
ストレージ |
32GB |
入出力ポート |
USB、DC-IN 12V HDMI 2.0、3.5mmオーディオジャック |
ネットワーク |
2.4G/5G WiFi、Bluetooth 5.0 |
バッテリー |
5,200 mAh (公称4時間使用可能) |
サイズ |
140 × 78 × 78 mm |
重量 |
550g(実測526g) |
付属品 |
リモコン、スタンド、 電源アダプター、HDMIケーブル |
保証 |
1年 |
まずは、プロジェクターとして基本となる、投影性能。投影解像度は854×480ピクセル、つまりDVD相当となります。入力解像度も1080pが上限となります。ただ入力解像度に関しては、ブラウザやアプリを通しての再生の場合は自動で適当な解像度に落としてくれるし、スマホやパソコンなどからHDMIやWi-Fiで投影する場合も、再生しているのはスマホやパソコンなので、元の解像度に関係無く投影できます(確認済みです)。実際に入力解像度が関係するのは、元の動画ファイルをこのプロジェクターで直接再生する場合などでしょうか(本体に動画ファイルを保存してからの再生で、1080×1920ピクセル/60FPSのmp4ファイルは問題なく再生できることを確認)。1080pを越える動画の再生は、スマホなどから行うとよいでしょう。
投影形式はDLP。DLPが何かとか、プロジェクターのスペックについての基礎知識は、こちらの記事をご参照ください。明るさを示す輝度は、4500ルーメン。ホームプロジェクターとして十分な数値で、実際に使ってみても、3m程度の距離ならば光量不足を感じることはありません。面白いのは、映像の台形補正が自動であること。プロジェクターというと、台の角度やレンズの具合などを調整して、まず映像が「長方形」になるように調整するところから、というイメージがあるので、これは、どんなものか気になりますね。
そして、システム面での最大の特徴は、Android 9.0を搭載していること。この利点は、大きく、2点あります。第1に、パソコンやスマホなどの映像を再生する「本体」がなくても、これだけで独立して使えること(もちろん、「本体」から映像を送って投影することも可能です)。第2に、アマゾンプライムやNetflixのような、著作権のある映像を投影することが可能だということ。環境やつなぎ方にもよるので、詳しい説明は省きますが、アマゾンプライムやNetflixなどは、スマホなどで再生した映像をプロジェクターに送って投影しようとしても、著作権がらみのプロテクトがかかって投影不可能な場合があります。はじめからプロジェクター内で再生してしまうことで、この問題を解決できるわけです。
UPCはMTK9632だそうですが、スマホなどと比較しても意味は無いでしょう。RAMは2GB、ストレージは32GB。動画再生のみを想定したスペックなので、これでOK。当たり前ですが、ゲーム用ではないということです。ストレージは動画の保存には少なめですが、ストリーミング再生なら容量を喰わないのでこれでよいでしょう。
ネットワークについては、5G WiFiに対応しているのかどうか、商品ページの表記に揺れがあります。結論を言えば、WiFiは、5G WiFiでルーター側から検出を確認したので、対応しています。
重要な点として、本体内にバッテリーを搭載して、電源につながなくても駆動が可能なことがあります。電源コードに制限されずに置く場所を選べるので、これは非常に大きなメリットです。稼働時間は、公称4時間となっています。また、ステレオスピーカーも付いています。
サイズは、350ml缶よりちょっと大きいくらい。重量は公称550g、実測526gだったので、500mlペットボトルと思えばいいですね。手軽に持ち運べるコンパクトさです。
2.筐体
では、開封です。
本体、付属品一式は、このように、すべてキャリーバッグに収納されています。なにげに、これはとても便利。説明書は多言語で、日本語もありますが、内容は最小限で、起動するまでの基本的な操作と、「詳しい説明書は投影してマニュアルを見てね」というくらいです。
スタンドです。後述のように、水平に置いただけでも、やや上方に投影してくれるので、スタンドがなくても十分に実用的ですが、もちろん、スタンドを使った方が、投影位置を自由に調節できます。
リモコンです。電池は単4を2本ですが、付属はしていません。自前で用意しましょう。
本体です。向かって左側面にあるダイヤルは、焦点調整。ご覧のように本体上部に操作ボタンがあるので、リモコンがなくても基本的な操作は可能となっています。ただし、もちろんリモコンの方が操作性が高いのと、ブラウザなど、アプリによっては上下左右ボタンが「スクロール」として機能してしまい、リモコン右上の「マウスモード」で切り替えないと「選択」ができないものもあるので、用途によってはリモコンは必須です。
背面です。向かって左から、USB、3.5mmオーディオジャック、DC-IN、電源ボタン、HDMIポート。特に説明は必要ないかと思います。スリットは排熱孔で、本体にも黄色いシールにも、ここを塞ぐように置かないで、という警告が書いてあります。天井に投影する目的で、寝かせて設置するときには気をつけましょう。
3.画質
まずは、実際に投影した画質をご覧ください。ただし、先にお断りしておきますが、どうしても「肉眼で見たまんま」を撮影することができませんでした。まず、暗い環境で撮影したため、動画の場合はある程度ブレが出てしまいます。また、撮影すると、横向きに薄い黄色の帯が重なって写ってしまいますが、これは肉眼では見えないものです。おそらく、DLPの投影形式(別々の色を高速で投影して重ねている)によるものと思われます。この点、ご承知おきください。
暗所で
投影サイズは、投影距離よりやや短めくらい。
これは、壁から2m強の距離からの投影で、横辺のサイズは2m弱です。明るさはオートですが、ご覧の通り、十分な視認性があります。
ウインタブホームページです。文字のコントラストは十分ですね。
動画を見てみます。まずは、YOUTUBEから。ベルリンフィルハーモニー管弦楽団公式チャンネルより、いくつか。
徳島県チャンネルのBeautiful Tokushima(4K)より。
ベルリンフィルの人物は、動きのために、撮影時にある程度ブレが出ているので、実際はもうちょい鮮明に見えます。コントラストが十分に出ている雰囲気が伝わればと思います。徳島県の方は、ゆったりした映像なので、撮影時のブレは比較的少なめ。特に、祖谷のかずら橋のが、解像度の雰囲気が伝わるかと。黄色の帯が思いっきり映ってしまっているのは、先述の通り、撮影の都合によるもので、実際には見えません。
ちなみに、アップで確認すると、こんな感じで菱形のドットになっています。
光の入る環境で
昼間に、居間の遮光カーテンを半分閉めた状態での投影です。
ご覧のように、それなりに光の入る環境でも、色味にこだわらなければ十分な視認性があります。これなら、ビジネス用途にも十分使えそうですね。
WideVineのレベルはL3
アマゾンプライムやNetflixを単独で投影できる本機ですが、WideVineのレベルはL3でした。WideVineが何かということについては、こちらの記事をご覧ください。ともかく、これらの動画ストリーミングサービスを利用する場合は、画質はDVDクラスとなります。ただし、投影解像度が854×480のため、影響はありません。
4.使用感
操作や設置についての使用感です。先に結論を言うと、操作が分かりやすいだけでなく、ストレス無く使えるような工夫が随所に光ります。うーむ、これはよくできている!
ユーザーインターフェース
ユーザーインターフェースは、直感的に操作できるようにシンプルにまとまっていて、操作に迷うようなことはありませんでした。
設定メニューから手動で設定可能な項目も多くありますが、基本的にデフォルトで問題なく、また、それぞれのメニューを開いても、何を調整するものなのか、分かりやすく整理されています。なお、メニューの日本語はほぼ完璧ですが、電源を切る(電源ボタン長押し)ときの確認など、ごくまれに英語が残っているところもあります。
はじめから入っているアプリは、この通りです。
スタンド要らずの投影角度
投影角度ですが、本体よりやや上方に投影するような調整がなされています。これによって、スタンドを付けなくても、一般的な高さのテーブルにポンと置くだけで、見やすい高さに投影されます。もちろん、付属のスタンドを使えば、より思い通りの高さや角度で投影できます。
自動台形補正機能
色々と本体を移動させて、チェックしてみました。縦方向に関しては、かなり正確に台形を補正してくれます。一方、横方向の補正は効きません。まあ、斜めから投影するというのはかなり邪道ですから、これは責める部分ではないでしょう。縦方向の自動補正はかなり優秀なので、正面に配置すれば、何も考えることなくそのまま使えます。なお、設定メニューから手動での調整も可能です。
また、寝かせて置けば、天井への投影も可能。換気口を塞がないようにすきまを空けてやる必要がありますが、これも台形補正がしっかり効くので、適当にペンや消しゴムでも枕にしてあげれば十分です。細かい角度の調整とかは必要ありません。快適!
スピーカーは音量十分、外部への拡張性もよし
スピーカーの音量は、家の居間で聴くなら十分すぎるくらいの音量が出ます。この音量なら、多少広いところでも大丈夫でしょう。音質も、アニメなどを見る分には十分なものがあり、動画メインの用途なら、これ1台で十分。
もちろん、このサイズなので、ステレオ感には限界がありますし、本格的な音楽鑑賞となると物足りなくなってきます。その場合は、外部スピーカーをつなぎましょう。これも、Bluetoothで接続してもよし、遅延が心配なら(どの程度でるかは再生するコンテンツによる)、ちゃんと3.5mmオーディオジャックがあるので有線で接続してもよし、拡張性は十分です。
スマホとの接続は超簡単
スマホとの接続も、非常に簡単で、直感的にできます。条件として、同一のWi-Fiに接続している必要はあります。私はAndroidスマホしか持っていないので、Androidでの操作になりますが、iPhoneでも基本的なことは変わらないはずです。まず、プロジェクター側のホーム画面でAndroidなら「Miracast」、iPhoneなら「Airplay」を選択。すると、プロジェクターが受信可能状態になります。
次に、スマホ側で「キャスト」など、映像出力を選択。これは、機種によって名称が違うと思いますが、たいていはステータスバーに格納されているはずです(非表示の場合は表示させておく)。
すると、接続可能な機器が表示されるので、選択するだけ。ここでのプロジェクター名は「CC」と表示されました。たったこれだけです。超簡単。
動作音は、かなり静か
プロジェクターというと、冷却ファンがブゥーンとうるさいイメージがありますが、この製品はかなり静かで、BGM付きの動画などを見ている分には、ファンの音はほとんど気になりませんでした。ちなみに、設定からファンの強度を調整することも可能です。
5.まとめと価格など
この製品のポイントとしては、
・Andoroid OS搭載
・十分な音量の出るスピーカー搭載
・バッテリー搭載
・台形ゆがみを自動で補正(縦方向のみ)
と、ホームプロジェクターの「欲しい機能」が全部そろっています。使ってみて、「できること」の面で物足りなさや不便を感じることがない全方面対応。
スペックもさることながら、なんといっても「扱いやすさ」が優秀。単独で使うにしても、有線・無線で外部から映像を入力するにしても、操作は簡単。投影は、ゆがみを自動で調整してくれるので、置くだけでよし。バッテリー駆動で、電源コードのわずらわしさは無し。その他、リモコンにも本体にも操作ボタンが付いている、そのまま置いても付属スタンドを使ってもよい、本体スピーカーでも十分に音量が出る、などなど、幅広い使用環境にこれ1つで対応できます。それでいて、空き缶サイズの取り回しのよさ。あと、付属品を全部入れられる収納ケースが付いているのは、かなりポイント高い部分だと思います。
このEKASN C900は、販売店よりクーポンを発行していただいていて、それを使うと22,640円で購入できます(下記にクーポンページへのリンクを張っています)。これだけの機能がそろっていて2万円台前半のこの価格は、競争の激しいホームプロジェクター界隈をざっと見回してもそうそうなく、文句なしでお買い得と言えると思います。スペックはもちろんのこと、この製品の真価は、簡単な操作と高い汎用性、そして小型の筐体で、ともかく手軽に使えるということにこそあります。ありがちな、買ってみたけど使用環境と合わなくって、とか、操作や設置が面倒で、ということにはまずならないでしょう。初めて買うホームプロジェクターとして、文句なしにお勧めできますよ。
コメント
TVerとDMMのアプリ使える?
TVerは、問題なく使えることを確認しました。DMMは、私がアカウントを持っていないため、再生の確認はできていないのですが、インストールまでは問題なくできたので、多分大丈夫かと思います。
DLP方式と言えどリアル解像度は854×480みたいなので競争の激しい中華プロジェクターではおすすめできないかもしれません。
解像度表記に勘違いがあったので、修正いたしました。失礼しました。実際の投影解像度はおっしゃるとおり854×480ピクセルとなります。
プロジェクターは仕事で時々使うのですが、たまにしか使わないために、使うたびに機種も違ったりして、操作や設置、接続、投影映像の微調性などでたびたび悩まされてきた経験もあって、本機の取り回しのよさと操作の簡単さには、ちょっと感動しました。この扱いやすさこそ、この製品の最大の売りかと思います。単に今どきのプロジェクターはこれが当たり前で、私が使ってきたのが古い機種ばっかというだけかもしれませんけれど……