こんにちは、natsukiです。アクティブスピーカー「EDIFIER D12」のレビューをお届けします。EDIFIER といえば、すでに一定の評価を得ているオーディオブランドですね。アクティブスピーカーとは、アンプを内蔵したスピーカーで、要するに、スマホでもパソコンでもテレビでも、ともかく「つなげば鳴る」というものです。この製品単独での再生能力は持ちません。バッテリーを積んでいないので電源接続が必須になりますが、その分パワーに余裕があり、実際、サイズの割には音質を崩さずに相当な大音量を出せます。1万円台の手頃な価格で、シンプルな操作性を持つので、誰にでも扱いやすく、手軽に高音質の音楽を楽しめる製品です。
なお、5月26日に新色が追加され、メーカーよりレビュー用に新色「ブラック」をサンプル提供していただきました。今回の機会をいただいたことにお礼申し上げます。
・1万円台の手頃な価格
・オールマイティーに活躍できる、全音域バランスの良いクリアな響き
・パワーがあるので広い部屋でも十分使える
・左右一体型なので接地面積が少なくてすむ
・操作性や接続がシンプルで、難しいことを考えずに使える
・出力端子があるため、こだわるならサブウーファーを追加することも可能
ここは注意
・形状から、ステレオ感は薄め
・Bluetoothの接続コーデックはSBCのみ
・純粋なアクティブスピーカー(アンプ+スピーカー)で、単独での再生機能などはなし
・広い部屋で使う場合、リモコンの通信距離が短い
目次
1.EDIFIER D12 ― 仕様と製品特性
まず、EDIFIER D12の仕様と特性をまとめておきます。
音響スペック
・ステレオ
・高音スピーカーユニット×2、φ3/4インチ、15W
・中低音スピーカーユニット×2、φ4インチ、20W
・再生周波数帯域:54Hz~20KHz
筐体
・左右一体型
・電池は非搭載
・インテリアとしてどこにでも調和しやすい木調の外観
・サイズ:359mm×159mm×203.5mm
・重量:4.6Kg
接続・操作性
・無線接続:Bluetooth 5.0(SBC)
・有線入力:AUX(3.5mm)、RCA
・有線出力:3.5mmオーディオジャック
・本体ノブ:音量、高音、低音
・リモコン付き
まず、電池非搭載ということからも分かるように、屋内での据え置き運用を想定した製品です。また、総出力70W、個別スピーカー出力で15W×2と20W×2という、屋内用スピーカーとしてはかなりの出力を誇ります。
そして、一体型のスピーカーは、しっかりステレオになっています。ただし、広い空間で十分なステレオ感を得るならば、左右分離型や、いわゆるサウンドバーのような横に長細い形が有利です。もちろんEDIFIERのラインナップには左右分離型の製品もあるので、このEDIFIER D12は、あえてステレオ感よりも取り回しの良さを優先したタイプと言うことができます。
2.EDIFIER D12 ― 筐体
それでは開封していきましょう。
同梱品一覧です。接続ケーブル、リモコン、取り扱い説明書、サポート連絡先。です。
説明書は多言語で、ちゃんと日本語もあります。
接続ケーブルには、「RCA(いわゆるピンジャック) ― RCA」と、「RCA ― 3.5mmオーディオジャック」の2本が付属します。
本体正面です。木製の筐体で、安っぽさは全くありません。比較的、どんな場所にもなじむデザインだと思います。
なお、EDIFIER D12は、発売自体は1年半ほど前なのですが、従来版が明るい木調の外観だったのに対して、5月26日に新色「ブラック」と「ホワイト」が追加されました。今回レビューした版は「ブラック」で、ご覧のように全面黒色のカラーリングです。サイズ感は、奥行きのあるラジカセといったところでしょうか。重量は約4.6Kgと、相応にあります。
ガパッと開けたところ。ご覧のように、高音スピーカーと中低音スピーカーが並びます。
正面右上には、接続状態を示すインジケータがあります。
背面です。入力端子と主電源はこちら側。出力用3.5mmジャックを備えるので、必要であれば、重低音増強のためにサブウーファーを追加することもできます。
本体で操作する部分は、主電源を除けば上部の3つのノブだけ。音量、低音、高音です。音量ボタンがやや多機能で、「短押し」で入力切り替え、「長押し」で電源ON/OFF(もちろん主電源がONになっている場合)ができます。
リモコンです。こちらも、ご覧のようにシンプルで分かりやすい操作性になっています。
3.EDIFIER D12 ― 接続・操作性
接続
接続は非常に簡単。「つなぐだけ」です。Bluetoothの場合は、製品名そのまんま「EDIFIER D12」と検出されます。なお、コーデックはSBCのみです。接続の切り替えは、先述のように、音量ノブを「押す」か、リモコンで行います。特段、迷うようなところはありません。
操作性
利用時の本体の操作は、音量、高音、低音しかないので、迷いようがありません。強いて言えば、主電源は裏側でなく上部かサイドにあったほうが操作しやすかったかもしれませんが、据え置きでの通常の使用の場合、主電源は入れっぱなしで、音量ノブ長押しやリモコンで電源ON/OFFを行えば十分でしょう。
リモコン
リモコンも、ボタンアイコンが分かりやすく、必要な機能がシンプルにまとめられています。特に、実際に使ってみると便利なのが「ミュート」ボタンで、スマホやパソコンからYOUTUBEやSpotifyなどを聴く場合に、広告などの関係ない音声のときだけ音を消すことができます。
リモコンで1点だけ惜しく感じたのは、操作距離です。おそらくリモコンは赤外線センサーを使っていると思われ、数メートル程度しか操作が届きません。一方、このEDIFIER D12は非常にパワフルで、広めの部屋でも十分使える出力があります。後述のように、実際に広めの空間で使ってみたのですが、音源のスマホを手元に持ち、10mほど離れて再生する場合、(電波状況がよっぽど悪くなければ)スマホからの接続は問題ないのに、リモコンはまったく通じません。これは、比較的狭い空間で使用する場合においては、もちろん問題になりません。パワーがあるゆえの行き違いですね。まあ、スマホ側で操作すればいいんですが。
4.EDIFIER D12 ― 音質
評価は、自宅のリビングと、普段アマチュア楽団の練習で使用している壁に最低限の吸収材が使われている(一般的な会議室のようにグワングワンにはならない)10m×15mくらいのスペースでも行いました。
サイズに似合わぬパワー
まず、やはりパワーに余裕があり、小さい音から大音量まで均等にしっかりと鳴ってくれます。上述のように、そこそこ広い空間でも鳴らしてみたのですが、正統ロック系の響きのAlexandros「閃光」、音の要素が多いAimer「残響散歌」、テクノ系のSawanoHiroyuki[nZk]「Into the Sky」、曲の途中で響きの方向性が大きく変わるYOASOBI「アイドル」などをバリバリ流しても、音の潰れや割れは見られず、ヴォーカル、楽器ともに輪郭のはっきりした音色で聴けます。あるいは、音量差といえばやはりクラシック音楽ですが、ベートーヴェン交響曲第9番第4楽章のメインテーマがささやくように低弦に現れて最終的にトゥッティまで至る盛り上り、シューベルト交響曲「未完成」第1楽章再現部の長大なクレッシェンド、チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」第1楽章半ばの消え入るようなファゴットから突然の爆発的な展開部へ、などの音量の差で聴かせる部分を、やや低音の響きに弱さがあるものの、両端ともに破綻なく表現できます。やはり、音量の表現力があると、もう聴いただけでテンションが上がるし、理屈抜きで感動できますね。
バランスよくクセの無い響き
音の響きは、高音から低音までバランス良く鳴り、堅実な造りであることをうかがわせます。特に中音域のヴォーカルは男声女声とも芯のある豊かな響きで、米津玄師「M八七」やRADWIMPS「すずめ feat.十明」といった伴奏の薄い曲では息づかいの描写力が十分にあり、また、さだまさし、鬼束ちひろ、THE PINBALLSのような声質にクセの強いヴォーカルも個性を楽しめます。低音については、オーケストラのティンパニやバスドラムをボワつかせずに飛ばす表現力があります。総じて、残響感は薄く「色づけ」のないクリアで再現力の高い響きなので、私のような生演奏至上主義者も十分納得できるでしょう。
「動画モード」「音楽モード」について
リモコンで、「動画モード」というモードに切り替えが可能です。このモードは、「立体音響、映画鑑賞に最適」とのことですが、また「動画モードでは立体音響により音質が変化または歪んでしまいます。ですので、音楽を聴く際は、音楽モードを有効にしてください。」との注記もあります。これは、音源に強制的にモワッとした響きを付けて空間の広がりや迫力を強引に付加するモードになっています。なので、ハリウッド的アクション映画のような、音楽を演出として聞く分には有用ですが、説明書にあるとおり、音楽そのものに集中するには向きません。
空間表現は苦手
形状から当然なのですが、どうしてもステレオ感は弱く、包み込むような空間表現は苦手としています。
また、重低音専用ウーファーがないため、全体的にスッキリしたやや固めの響きとなる傾向はあり、それは低音で顕著です。パワフルで表現力はあるものの、「腹に響くような」重量感はあまり出ません。ただし、この辺をこのサイズのスピーカーに求めるのは、そもそもが酷です。公称スペックでの最低音は54Hzで、これは低価格帯のブックシェルフタイプのスピーカーであれば、一般的かむしろ優秀な数値です。幸いにして、出力端子を備えているので、重低音や空間表現をブーストしたい場合は、サブウーファーを追加でつなぎましょう。
コーデックがSBCまでということについて、もちろん上位コーデックに対応しているに越したことはありませんが、その差が明確に分かるくらいの音響は、視聴環境も含めて、はじめから想定する予算が違ってくるでしょう。ここは、ランク相応かと思います。
5.まとめと価格など
販路は、Amazonか楽天市場が購入しやすくなっています。価格は、いずれも16,999円で、Amazonには製品ページに20%OFFクーポン「EDIFIERD12」があり(クーポン有効期限は5月30日23:59まで)ます。クーポン適用後の価格は13,599円です。
このEDEIFIER D12は、1万円台という価格ながら、十分に豊かな表現力を実現した製品です。全音域バランスよく鳴るクセのない音響で、クリアかつ自然な響きを聴かせてくれます。パワーに余裕があるため、広めの空間でも十分に使用でき、また音量の差による破綻もありません。要するに、穴のない堅実な音響で、このクラスのスピーカーとしての満足度は非常に高いと思います。クラシックからポップスまで、オールジャンルで活躍できるでしょう。操作性は接続も含めて非常にシンプルで分かりやすく、オーディオにあまり詳しくなくて、難しいことを考えず「とりあえずつないで鳴らせばいい音」というのを求める人にもお勧めです。
6.関連リンク
D12:EDIFIERメーカーサイト
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