こんばんは。ひつじです。昨日は仕事が研修でして。未来志向で物事を考えよう、みたいな話をふんふん聞いてきました。ただこういうガジェットを追いかける機会が多い身としては「将来こんな製品とかも出るよ!」って言われても「もう出てますけど」みたいな反応をしちゃいがち。私は目立たず生きていきたい。
そんなわけで今回の製品はイヤホンなんですが、なんと再生方式が「骨伝導式」なんです!なんだそれ?って人もいるかもしれません。メタ〇ギアソ〇ッドの主人公がなんか使ってたみたいですね。やったことないから知らんけど。技術的には随分前から存在しますがSFなんかにも登場しちゃったりと、なぜだか未来感に溢れた不思議な方式です。目立ってないけど未来的!素敵!
なお、今回の製品はAFTERSHOKZより提供頂きました。ありがとうございます!
1.スペック
再生方式: 骨伝導式
周波数特性:20Hz~20KHz
Bluetoothバージョン: Bluetooth 5.0
対応コーデック: SBC
最大通信距離: 約10m (障害物なし)
待機時間: 最大10日間
再生時間: 最大8時間
防水防塵規格: IP67
イヤホン本体バッテリー容量 : 145 mAh
一番面白いのは再生方式が骨伝導式という点でしょう。通常のイヤホンであればドライバーユニット(スピーカーでいうコーンに相当)が音を発し、その音は外耳と中耳を経由して内耳へ届きますが、骨伝導式は音ではなく振動を頭部等の骨に伝えることで、外耳や中耳を一部介さずに内耳へ届けます。要は耳を塞がずとも音が聴けるので接客業や周辺の音を把握することが極めて重要な人にとってメリットが大きい方式だと言われています。また「耳疲れ」も発生しにくい、とのことです。
再生方式以外に向けると、良くも悪くも「普通」なスペックです。周波数特性も一般的なイヤホンと同等ですし、バッテリー持ち等も特に問題はなく、対応コーデックもSBCのみと最小限です。一方で防水防塵に対してはIP67対応であるため、多少の水や粉塵には十分対応が可能。またマイクも搭載しているため音声通話も対応可能ですしマルチポイント接続(2機種)もサポートしています。
操作は本体そのもののボタン配置が明瞭であるため使い勝手が良く、機能も多いです。音声アシスタント呼び出しなどは出来ませんがイコライザ―を2種類本体が有していたりとなかなか面白いです。
2.筐体
まずは外箱と付属品から。ありがたいのは独自仕様の充電ケーブルを2本標準で添付してくれていることでしょう。他にもマニュアル、ケースや耳栓が同封されています。
イヤホン本体です。真ん中の写真には(装着時における位置関係として)左側手前部分に曲送り等のコントロールなどが可能なマルチボタンが写っており、下の写真では右側下部に充電端子(マグネット式)と電源ボタン兼用のボリュームボタンを写しています。
装着したらこのような感じに。耳を塞ぐようなデザインでないのが分かりますね。ただ耳掛け部分があるので眼鏡との相性は悪いです。
3.使用感
音質
はっきり表現すればAEROPEXは「普通のイヤホンとして使える」レベルの音質です。一般的なイヤホンと比較した場合「比較的低価格帯のイヤホンがライバルになる」といったイメージ。音調としてはやや暗めで付帯音が多いかまぼこ型に仕上がっています。音場表現は独特です。左右にパンが振られているパートなどは少し前方に定位していることもあり印象がよいのですが、パンが振られていない音声は頭内定位します。そして解像度も仕方ないんですが少し不足しがち。
上記のレビューだけだと音質が良くないように見えてしまいますが骨伝導方式としてはかなり音質にこだわっているモデルです。「安物のイヤホンと同じ音質」ではなく「なんと通常のイヤホンと比較できるだけの音質を備えている」とするのが正しい評価だと言えます。骨伝導方式その仕組み上、本来音質に期待をしてはいけないというのが前提なのですがそこのラインは明確に超えています。これは画期的なことなんですよね。
また、ボリューム大小2つのボタンを同時に長押しすることでイコライザ―変更が可能です。個人的には初期設定の方が好きですが是非両方試してみてください。
一方で、これだけ再生能力があるのならばbluetoothに関してSBCコーデック対応のみだった点は少し残念。恐らくAACやaptXを採用していても聴き分け出来るだけの性能はあったように思います。
接続関係
まず良い点だと思えるのが、電源オンオフ時やペアリング時などのガイダンスが全て日本語であることです。何気ないですがきっちりとローカライズされていることが企業姿勢そのものを表していると思います。
接続後の通信強度も良好です。さすがに朝ラッシュ時の大阪駅なんかだと通信途切れは頻発しますが、それを除けば途切れることは殆どありませんでした。通信強度に起因するストレスは殆どないのではないでしょうか。
音漏れ
これは勘違いしやすい点なのですが、骨伝導式は音漏れしやすいと理解しておいた方が良いように感じます。というのもイヤホンのドライバーに当たる部分が振動するので、筐体そのものもその振動の影響で音を発してしまうんです。また振動が伝われば骨以外でも音が出てしまうことから、壁などに寄りかかるのも少し危険かもしれません。ただ、通常利用において音漏れのせいで使用が出来ない、というシーンは少ないでしょう。特にこのイヤホンの売りが「耳を塞がない」点である以上、大きなボリュームで音楽を聴く想定はそもそも必要ないと思いますし。
装着感
装着してしまえば、そうそうずれ落ちたりすることはありませんし耳を塞がないため大変快適です。ただ装着時の本体角度などで結構音質が変わるため、こだわり始めると結構気がかりになっていくかもしれませんね。個人的に不満を挙げるなら本体のループ部分でしょうか。装着の角度次第ですが基本的にスーツ等の襟付きの服とは相性が悪くなりがちです。あと繰り返しますが眼鏡と同時使用は出来ないと思っておいた方が良いと思います。
その他
音質には直接関わりないのですがボリュームを上げると本体がピクピク動いていることが体に伝わるため、少し気になる人がいるかもしれません。あと通常のイヤホンと異なり、再生中に机の上などに置くと音が響いてしまう点に注意。
また、耳を塞がない状態で音楽が鳴っている状況というのが想像しがたいかと思いますが大きな音が鳴れば音楽は普通に掻き消されます。
4.まとめ
AFTERSHOKZ AEROPEXはAFTERSHOKZ公式サイトにて18,180円(税別)にて販売されています。
単純な価格対音質で見れば一般的なイヤホンに分はあるものの、骨伝導式であれば恐らく非常に音質の良い製品に仕上がっていると思われますし、充電ケーブルが2本付属していたり、ローカライズがきっちりなされている点など、非常に良心的なメーカーである点も感じ取れます。音質面での作り込みも含めて「妥協をしなかったんだな」と感じさせてくれる点が一番うれしいですね。またそもそもとして「耳を塞がずに音楽が聴ける」ことや「耳疲れの発生を防ぐ」といった点は一般的なイヤホンでは享受できないメリットです。こういったポイントを勘案すれば音質だけで価格を判断するのは尚早と言えます。それに外耳や中耳を使わずに音が聴けるという点は一部の難聴の方でも音楽が聴けるかもしれない、ということでもありますから、そういった意味でも意義のある製品だと思うんですよね。
未来感もあって、社会的な意義もあって、メリットだってちゃんとある。いい製品の要素がちゃんと詰まっています。手に取ってみれば魅力的だと思う方、結構いらっしゃると思います!
5.関連リンク
AEROPEX販売ページ :AFTERSHOKZ
コメント
BOSE FRAMES ALTO ワイヤレスオーディオサングラスを買ったけど思った以上に音漏れが大きくて外で使えなかった。骨伝導は意外と厄介。
コメントありがとうございます!
骨伝導、なんとなく音漏れしにくいというイメージはあったのですが実態は結構違いますよね。本体の処理次第で多少改善ははかれるのかもしれませんが…。
自転車用に買いました。風切り音に負けずにPodcastが聞き取れます。電車でも便利。その前に買った別の骨伝導イヤホンと比較して音漏れ小さく音質よくて満足してます。
コメントありがとうございます!
恐らく骨伝導系のイヤホンではかなり音質が良い方だと思うんですよね。
元々そういった部分で力を入れづらい機構のはずなので。この機種は他の部分も含めかなり丁寧に製品を作ったんだろうな、というポイントが見て取れて本当に頭が下がります。