この記事、書こうか書くまいか、数日間悩みましたが、知りえたことを隠すのはよくないと思い、書くことに決めました。
スマートフォンや携帯電話も電波法上は無線機器となります。無線機器を使うためには免許が必要ですが、携帯電話やスマートフォンの場合は、通信キャリアが包括的に免許を取得しているため、私達一般のユーザーは免許は必要ありません。ただし、前提条件として「技適マーク」がついていることが必要です。
日本国内向けに販売されている電波を発信する製品は、すべて総務省の認定を受けた機関が「電波法などの技術基準に適合性を確認した無線機ですよ」と一部の例外を除き認証を与えたものになっています。その印が、「技適マーク」と呼ばれるものなのです。(中略))一部例外とされているカテゴリの無線機や、電波法上の例外規定が適用されるケースを除き、無線局免許もしくは包括免許(技適マーク)のない無線端末を国内で運用するのは違法です。(出所:教えてgoo SIM通)
技適マークは3GやLTEの他、Wi-Fiも拘束するものなので、タブレットで無線LANを使うときにも適用されます。手持ちのASUS Vivotab Note 8を確認してみたところ裏側に技適マークがついています。
日本で売っている3GやLTE、Wi-Fiで使えるスマホやタブレットには必ず技適マークがついているので、日常私達が特別な注意を払う必要はありません。しかし、並行輸入される海外のスマホには技適マークがついていないことのほうが普通です。例外としてiPhoneは海外向けのものにも技適マークがついています。また、日本で技適マーク付きで売られているGALAXYなどのスマホでも、海外向けの型番には技適マークがついていないことが多く、こちらも日本での利用は難しくなります。
WindowsPhoneの場合はどうでしょう?日本で最後に販売されたのがauのIS12Tで、2011年のモデルです。これを中古で購入してauのSIMを挿して使うことはできますが、OSがWindowsPhone7.5、アップデートしても7.8までなので、最新の8.1を使うことはできません。調べてみましたが、海外向けのWindowsPhoneについては、現在までのところ技適マーク付きのモデルを確認できていません。
ということで、単にAmazonやeXpansysでWindowsPhoneの最新式を購入しても、日本国内でスマホとして通話したり、Wi-Fiにつないで通信したりということができない、ということになります。
技適マークがついていないスマホやタブレットを使う上で、合法となる場合として「海外のSIMを使う」方法が挙げられます。海外SIMフリー端末+海外SIMの場合、「外国無線局」となり、電波法の適用除外となります。ただし、この場合でも公衆無線LANなどでは使えません。日本でも海外キャリアが発行するプリペイドSIMを購入することは可能ですが、もともと外国人が日本に旅行する際に使用する前提なので、料金が非常に高く、日常の使用には現実的ではありません。
私としてはWindowsPhoneを並行輸入で購入し、使い勝手を試したり、アプリを入れてみたりして、記事にしていきたいと思っていたので、普通の人の一般的な利用とは著しく離れちゃいますが、「有線で自宅の回線に接続する」という方法を考え、関東総合通信局に電話してみたところ、
「技適マークのついていない端末で電波を発することは違法。電波を発しない状態での使用であっても、通信事業者(固定回線を含む)の回線に(有線で)接続する場合は電気通信事業法の定めにより、使用する前に通信事業者の検査を受けなくてはならない。これを怠った場合の罰則規定もあり。」
という回答でした。せっかくなので、難しい法解釈の話でなく、「技適マークのついていないスマホって日本じゃ使えないんですよね?」という明確な質問をし、「はい、電波を発する使い方はできません。飾り物にするとか、電波を出さない状態で通信回線にも接続せずにコンテンツを楽しむのは大丈夫です。」という明確な答えを得ています。本題の有線接続も勝手にはできない、ということです。買えませんね、並行輸入のWindowsPhone…
技適マークのついていない機器を有線で使用するのは問題ないはず、というご指摘をいただき、調べてみました。電気通信事業法第52条で、通信事業者から接続を拒否される可能性がある、というリスクはあるものの、法的には問題がないことがわかりました。従って、例えば技適マークのないタブレットやスマホを有線でモバイルルーターと接続しても違法にはなりません。お詫びして訂正いたします
モバイル機器に関するブログメディアなどでは、技適マークについて「触れてはいけない話」という不文律があるような記述を見かけました。あるいは「グレーである」という表記も見かけます。しかし、普通の人に情報を提供する目的でブログを書いているわけですから、話を曖昧にしたり、無視したりというのは正しい姿勢じゃありません。この記事を書いたことにより、私は並行輸入モノのWindowsPhoneの購入を諦めることになります。残念ですが当分の間WindowsPhoneの日本販売を期待しながら海外メディアの情報を記事にするくらいのことしかできなくなります。
技適マークのないスマートフォンを使ったことによって実際に逮捕されたとか、罰金を払ったという実例はないようです。こっそり使うぶんには見逃される可能性が高いです。多分賭けマージャンよりは安全でしょう。あとは使う人のモラルの問題です。
AndroidやiPhoneであれば、日本でSIMフリー機がいろいろと発売されているので、並行輸入品でないことを確認すれば何にも気にしなくて大丈夫です。また、技適マークのついていない機器の利用について利用者を攻撃したいと思いません。無知で使ってしまっている場合もあるでしょうし、知っていながらやむを得ない事情のある人もいるでしょう。その類いのブログ記事などに対する批判もしません。そうしたい気持ちはよくわかります。ウインタブではやりません、ということだけです。
私がこの記事を読んでいただいているWindowsファンにお伝えしたいのは、「WindowsPhoneの日本発売を信じてもうしばらく待ちましょうよ」ってことです。信ずるものは救われる。
技適マークに関する参考記事
技適マーク、無線機の購入・使用に関すること:総務省 電波利用ホームページ
これがないと違法? 「技適マーク」とは?:教えて!goo SIM通
海外スマホを日本で合法的に使っちゃうよ:週アスPlus
海外スマホ、多くは国内Wi-Fi使用で法律違反に ―技適と法律の壁:ATRPG
↑地方自治体の興味深い反応
海外製携帯電話端末の国内利用を巡る誤解 ~技適マークと電波法~:BLOGRAM
↑辛辣だが最も信頼性の高い記事だと思います