こんにちは、かのあゆです。2020年4月24日よりSIMフリーモデルが販売開始となり、その後5月11日よりドコモ、au、ソフトバンク向けキャリアモデルも販売開始となったAppleの最新スマートフォン「iPhone SE(2世代目)」をレビューしたいと思います。2016年から2018年まで販売されていたコンパクトモデル「iPhone SE(初代)の後継モデルで、初代iPhone SEがiPhone 5sの筐体を流用していたのに対し、2世代目ではiPhone 8と共通の筐体に変更されています。これに伴い4インチサイズから4.7インチサイズに大型化したものの、現在販売されている端末としてはコンパクトなサイズ感を実現しています。
ウインタブでは基本的にiOS端末は取り上げないのですが、フラッグシップモデルと同じCPUを搭載しながら5万円台で購入できるコストパフォーマンスに優れたモデルとなっており、同価格帯のAndroidスマートフォンの強力なライバルになることから今回実機レビューしたいと思います。
1.スペック
iPhoneの場合販売される期間がAndroidスマートフォンと比較して長いこともあり、初期搭載されているOSに関しては発売時期によって異なりますがiPhone SEにはiOS 13.4が初期搭載されています。iOSを搭載しているiPhoneやiPadに関してはOSのアップデート期間がAndroid端末と比較して異様に長いため、iPhone SEに関しても長い間最新OSを受け取ることができそうです。
搭載しているCPUは現行フラッグシップモデルであるiPhone 11シリーズにも搭載されているApple A13 Bionicです。このCPUはAndroidスマートフォンに搭載されているQualcomm Snapdragon 855と同等の性能となっており、このCPUが5万円で購入できるiPhone SEに搭載されていることには驚かされます。RAMは3GBで、ストレージは64/128/256GBです。初代iPhone SEに用意されていた16GB/32GBモデルはさすがに廃止されており、一番安価に購入できるモデルでも64GBと必要十分な容量です。サブ機として使うのであれば64GBモデルでも十分ですが、iPhone SEでは4Kビデオ動画撮影にも対応しているため、よりがっつり使っていくのであれば128GBモデル、できれば256GBモデルを選択したほうが良いかと思われます。
ディスプレイは4.7インチサイズで、解像度は1,344 x 750です。この辺のスペックに関してはiPhone 6からiPhone 8までの4.7インチモデルのスペックを継承しています。上位モデルであるiPhone 11シリーズでは有機ELが採用されており、解像度もより広くなっていますが、iPhone SEもディスプレイの美しさで劣ることはありません。ただし高解像度のスマートフォンに慣れた今となってはWEBブラウジング時に若干表示が狭く感じられるかもしれませんが、個人的にはあまり気になりませんでした。iPhone 6sからiPhone 8まで対応していた「3D Touch」は廃止され、代わりにiPhone XRから採用された「触覚タッチ(Haptic Touch)」が採用されています。できることは変わらず画面を長押しした際にサブメニューを呼び出すことができますが、「3D Touch」とは異なり「Taptic Engine」による画面を押し込んだ時の振動はなくなっているのでiPhone 8以前からのモデルの乗り換えの場合少し違和感を覚えるかもしれません。
カメラはiPhone 11シリーズとは異なりシングルレンズ仕様となっており、イン7MP、アウト12MPというスペックです。カタログスペック上ではiPhone 6s以降のモデルとあまり大きく変わっていませんが、CPUにApple A13 Bionicを搭載したことにより画像処理性能が向上しており、人物を撮影した時のポートレートモードや自動的に明るさや輪郭のトーンを調整してくれるスマートHDRに対応しています。ただしiPhone 11シリーズとは異なり暗い場所でも明るく撮影できる「ナイトモード」は残念ながらiPhone SEでは実装されていません。
ネットワーク面でもiPhone 8以前のモデルより強化されており、物理SIM(nanoSIM)と本体に内蔵されている組み込み型SIMカード「eSIM」を同時に利用できるデュアルSIMに対応したほか、無線ネットワークに関しても「Wi-Fi6」(802.11 ax)を新たにサポートしたため、対応するルーターと組み合わせて使えばより高速にデータのダウンロードを行うことができるようになりました。
バッテリー容量はApple公式サイトでは公表されていませんが、海外サイト「iFixit」の分解情報からiPhone 8と同じ1,821 mAhのバッテリーが搭載されていることが明らかになっています。
Here Are the Parts You Can Swap Between the New iPhone SE and iPhone 8:iFixit
iPhone 8と同じくqi規格のワイヤレス充電に対応するほか、別途USB PD対応ACアダプター/モバイルバッテリーとLightning to USB-Cケーブルを組み合わせることで急速充電を行えます。またIPX5/7準拠の防塵・防水機能とおサイフケータイ(Felica)にも対応します。
2.筐体
付属品はマニュアルなどのペーパー類、Appleロゴステッカー、ACアダプター、EarPods(Lightningコネクタ版)、USBケーブルです。また今回かのあゆが選んだモデルは購入した金額の一部がエイズやコロナウイルス対策の募金に寄付される「(PRODUCT)RED」モデルのため、専用のカードも付属します。付属しているACアダプターは1W出力のものとなるため、急速充電を行うには別途USB PD対応ACアダプターなどを用意する必要があります。
前面です。良くも悪くも「昔ながらのiPhone」そのままのデザインで、指紋認証センサー(Touch ID)を兼ねたホームボタンも搭載されています。iPhone X以降のモデルではノッチ搭載によるベゼルレス化が進んだほか、ホームボタンも廃止されたため今となってはいろいろな意味で「懐かしい」と感じる方も多いかもしれません。フィルムはPET/TPUタイプのものに関しては従来のiPhone 7/8用のものが流用可能ですが、ガラスフィルムに関しては微妙にフロントガラスの形状が変わっている関係で流用できないのでその点に関しては注意が必要です。
背面もiPhone 8のデザインをそのまま継承していますが「Apple」ロゴマークが中央に移動しています。基本的にケース類はiPhone7/8用のものがそのまま流用可能です。
左側面はマナーモードに切り替えるためのサイレントスイッチ、ボリュームボタンが配置されています。
右側面はSIMトレイが配置されています。
上部には何も配置されていません。
下部にはステレオスピーカーとLightningコネクタが配置されています。iPhone 7以降のモデルでは3.5 mmイヤホンジャックが廃止されているため、有線ヘッドフォンを接続するには別売のLightning – 3.5 mmヘッドフォンジャックコネクタを購入するか、Lighningタイプの有線ヘッドフォンを選択する必要があります。ただ近年Apple純正の「AirPods」シリーズを含むワイヤレスイヤホンが普及してきているのでもはやそこまで気にする必要もないのかもしれません。
3.使用感
システム
iPhoneに搭載されているOSはmac OSから派生したAppleのモバイルOS「iOS」が搭載されています。現在の最新バージョンは「iOS 13」となりますが、間もなく開催される開発者向けイベント「WWDC 2020」で次期バージョンとなるiOS 14が発表される予定です。Androidとはまた違ったUIですが非常に使いやすく、完成度の高いモバイルOSだと思います。Apple製品ということでMacintoshやiPadとの親和性が高いのはもちろんのことですが、母艦環境としてはもちろんWindows搭載PCも音楽管理ソフトのiTunesをインストールすることで利用できます。またiOS 5以降ではそもそもiPhone単体でアクティベーションから端末データのバックアップ、OSのアップデートまで自己完結できるようになったため、必ずしもパソコンが必須ということはなくなりました。
Androidの場合OSのメジャーアップデート期間はおおむね2年(Pixelシリーズなど一部機種は3年)となっていますが、iPhoneやiPadではハードウェアがサポートされる限りアップデートが提供されます。実際に2016年に登場したiPhone 6sや初代iPhone SEに関しても最新バージョンのiOS 13を導入可能で、このライフサイクルの長さはiOS端末ならではといえます。IPhone 11シリーズと同じ最新CPUであるApple A13 Bionicを搭載する新型iPhone SEに関しても長く使っていくことができるでしょう。
iPhone X以降のモデルではホームボタンが廃止されたことに伴い、生体認証も指紋認証(Touch ID)から顔認証(Face ID)に移行しましたが、iPhone 8の筐体デザインを継承しているiPhone SEでは従来通り指紋認証センサーが利用可能です。認証精度も高く、マスクが必須となった現在の状況を考えると顔認証よりもこちらのほうが使いやすいかもしれません。
今回かのあゆが購入したiPhone SEは128GBモデルです。データ通信専用SIMをさしてのサブ機運用なのでより安価に購入できる64GBモデルでも十分用途は果たせるのですが、今回カメラ機能が強化されていることからある程度余裕のある容量のモデルを選択しました。メイン機として使うのであればより大容量となる256GBモデルを選択してもよいかもしれません。
ディスプレイ
iPhone SEのディスプレイサイズは2014年に発表されたiPhone 6以降のモデルと同じ4.7インチサイズで、解像度は1,344 x 750です。また上位モデルとなるiPhone 11シリーズでは有機ELを採用していますが、iPhone SEではIPS液晶が採用されています。最上位モデルであるiPhone 11 Proが2,436×1,125という高解像度のディスプレイを搭載していることを考えるとカタログスペック上では劣っている印象を受けてしまうかもしれませんが、実際に使用してみるとiPhone SEのディスプレイも十分美しい表示です。
初代iPhone SEは4インチサイズだったので大型化してしまったことを嘆く方も多いかと思われますし、かのあゆ自身4インチモデルのiPhone 5/5s/SEのサイズ感は気に入っていたのですが、文字入力を行う際に窮屈さを感じてしまう場面も多かったため、新型iPhone SEの4.7インチというサイズは手に収まる小型さと使いやすさを両立した、ちょうどよいサイズ感だと思います。
スピーカー
初代iPhone SEではモノラルスピーカーが内蔵されていましたが、iPhone 8をベースにしている新型iPhone SEではステレオスピーカーにアップグレードされています。iPhone 11 Proとは異なりDolby Atmosや空間オーディオには対応していませんが、スマートフォンに搭載されているスピーカーとしてはきれいな音質で、Apple MusicやApple TV、YouTube、Spotifyなどの定額配信サービスを十分楽しむことができます。
カメラ
Androidスマートフォンでは低価格なミッドレンジモデルでもトリプルカメラ、クアッドカメラ構成のものが増えてきていますが、iPhone SEではiPhone 8以前のモデルと同じくシングルレンズ構成のカメラを搭載しています。スペックもイン7MP、アウト12MPと前モデルのiPhone 8から数値上は変わっていませんが、CPUにiPhone 11シリーズと同じApple A13 Bionicを搭載したことにより画像処理がアップグレードされています。
超広角レンズが搭載されていないことに若干物足りさは感じますが、画質に関しては5万円台で購入できる端末であることを踏まえても満足度の高いものになっています。ただしiPhone 11シリーズとは異なりポートレートモードは人物撮影時のみのサポートとなり、暗所でも明るく撮影できる「ナイトモード」は搭載されていません。そのため極端に暗いシーンでの撮影に関しては手持ちのGalaxy S10やPixel 3よりも落ちてしまう印象です。とはいえいつも通り簡単にきれいな写真を撮れる完成度の高いカメラ性能に仕上がっています。
バッテリー
iPhoneに限らず、Apple製品に関してはあまりバッテリー容量などの細かいスペックを公開していないのですが、iPhone SEに関しては前述のiFixitによる分解レポートからiPhone 8から据え置きとなる1,821 mAhのバッテリーが内蔵されていることが判明しています。Androidスマートフォンでは4,000 mAh越えの大容量バッテリーを搭載する端末も多数存在するため、心ともないと感じるかもしれませんがiOSのバッテリー管理が優秀なこともあり、一回の充電で1日は持たせることが可能です。また付属しているACアダプターだと1W出力となっていますが、別途USB PD対応ACアダプター/モバイルバッテリーとLightning to USB-Cケーブルを組み合わせることで急速充電を行うことも可能です。またqi規格のワイヤレス充電にも対応しています。
4.性能テスト
AndroidとiOSではGPUのテストに利用しているAPIが違う関係で単純比較はできないのですが、いつも通り今回も定番ベンチマークソフト「Antutu Benchmark v8.2.1」を利用して性能テストしてみます。
参考:
nubia RedMagic 5G(Snapdragon 865): 610,070
nubia RedMagic 3S(Snapfragon 855+): 497,776
ASUS Rog Phone 2(Snapdragon 855+) : 487,784
Xiaomi Mi 9(Snapdragon 855): 414,693
Samsung Galaxy S10e SM-G9700(Snapdragon 855) : 410,899
Sony Xperia XZ2 Compact SO-02K(Snapdragon 845) : 289,484
Samsung Galaxy S8 SC-02J(Snapdragon 835) : 237,841
Huawei Mate 10 Pro(Kirin 970) : 210,485
Apple iPhone SE(Apple A9): 193,246
Blackview BV9800(Helio P70):188,265
Sumsung Galaxy A51(Samsung Exynos 9611) :184,566
UMIDIGI S3 Pro(Helio P70):179,103
CUBOT X20 Pro(Helio P60) :170,560
Smartisan U3 Pro(Snapdragon 660) : 167,968
Teclast M30(Helio X27) : 116,771
UMIDIGI Z2(Helio P23): 107,355
Ulefone Armor X5(Helio P23) :102,062
Rakuten Mini(Snapdragon 439):94,364
Xiaomi Redmi 6(Helio P22) : 83,181
OUKITEL WP5(Helio A22):75,720
CUBOT King Kong Mini(Helio A22) :74,165
KYOSERA Android One S4(Snapdragon 430): 68,802
同じCPUを搭載しているiPhone 11 Proでは53万点程度のスコアを計測するようですが、iPhone SEではRAMが3GBに減らされている関係か419,634点とベンチマークスコアが落ちる結果になりました。ただしCPU自体はiPhone SE用にダウンクロックされているわけではなく、iPhone 11シリーズと全く同じ仕様のものが搭載されており、昨年のAndroidフラッグシップモデルに搭載されていたQualcomm Snapdragon 855とほぼ同じスコアを計測しています。iPhone SEが5万円台から購入できるスマートフォンであることを踏まえるとこの性能はかなり「良い」といえるのではないでしょうか。
フラッグシップモデルと同じCPUが搭載されているため、現在リリースされている「Asphalt 9」「PUBG Mobile」といったiOS向け重量級ゲームはストレスなく動作します。Appleは現在定額ゲーム配信サービス「Apple Arcade」を展開していることもあり、安価なゲーミングスマートフォンとしても非常にコストパフォーマンスに優れていると思います。
5.まとめ
iPhone SE(国内SIMフリー版)は現在Apple Store、およびビックカメラ、ヨドバシカメラの一部実店舗、オンラインストアにて44,800円(税抜、64GBモデル)で販売中です。かつては携帯キャリアの大幅な割引もあり、フラッグシップモデルでありながら安価に購入できたiPhoneですが、現在では一番廉価なiPhone 11でも約8万円、最上位モデルとなるiPhone 11 Proに至っては約11万と手が出しづらい値段になってしまいました。そんな中投入された新型iPhone SEは上位モデルと同じハイエンドCPUを搭載しながら5万円台から購入できるお買い得な価格で投入されました。
デザインが今となっては「懐かしい」デザインである点やカメラがシングルカメラ仕様であることなどはこの価格と性能の前には些細のことにすら感じられます。新しいiPhone SEは誰にでもお勧めできる、満足度の高い良コストパフォーマンスモデルに仕上がっており、個人的にも満足しています。
6.関連リンク
iPhone SE:Apple
コメント
今のところ購入予定はありませんが、楽天モバイルのesimで使えるのかは気になります
ttps://network.mobile.rakuten.co.jp/product/sim/esim/
付属の充電器が1W出力→1A出力ですね。
5V/1Aなので5Wだと思います。
おかげてR miniが1円になってしまった…
サイズはこれまで通りにしてほしかったですね