こんにちは、ちょっと思うところがありまして、Microsoft Officeの互換アプリの導入を検討しています。つい先程公開した記事「Microsoft 365 Personal / FamilyでCopilot Pro関連の機能が利用可能に、その代わり30~40%値上げへ」で取り上げた話も「一つのきっかけ」ですが、ここ数年のMicrosoftのやり口に不満が募っている、というのも大きいです。
具体的には「スマホ向けOSのWindows 10 Mobileからの撤退」や「Windows 11のシステム要件のハードル上げ」「Copilot+ PCの導入と厳しい要件(特にCPUジャンル)」「過剰に感じられるOneDrive/Copilotの押し付け」などがありまして、これらの施策がすべて悪いとは決めつけられないとしても、個人的にはユーザーだけでなくベンダー(ハードウェアやソフトウェアのメーカー)も困らせているように感じられます。
このサイトは「ウインタブ」 ですし、ご紹介したりレビューしたりしている製品はWindows PCが多いです。また、個人的にもMicrosoftの製品やサービスを愛用していますので、「もうMicrosoftはイヤ!」とまでは思っておりません。ただ、この調子だと「今のうちに代替になるもの(OSやアプリなど)を探しておく」のは読者にとっても自分自身にとっても有益だと考えます。
この先、「Office互換ソフトの評価」や「OneDriveの引っ越し先の検討」を始めることにしました。おいおい読者の方々にもその模様をお伝えする予定ですが、今回は読者の方々や私が愛用している「Officeアプリ」について再確認してみます。ちなみに私は以前からMicrosoft 365 Personal(旧・Office 365 Solo)を契約しています。
1.Officeのラインナップ(2025年1月現在)
製品名 | アプリ | ユーザー数 | 価格 |
Office Home & Business 2024 (買い切り版) |
Word、Excel PowerPoint OneNote |
1 | 34,480円(PC2台にインストール可) |
Microsoft 365 Personal (サブスクリプション版) |
Word、Excel PowerPoint Access OneNote Outlook |
1 | 21,300/年(デバイス5台に同時にサインイン可) ※OneDrive 1TB |
Microsoft 365 Family (サブスクリプション版 |
Word、Excel PowerPoint Access OneNote Outlook |
1-6 |
27,400円/年(デバイス5 台に同時にサインイン可) ※OneDrive 最大 6 TB(ユーザーあたり 1 TB) |
2.サブスクリプション版の特長
買い切り版とサブスクリプション版の違いとして、もう少し注意したいことがあります。
まず、上の表に記載済みですが、サブスクリプション版ではOneDrive 1TB(1ユーザーあたり)が使える、というのが大きいですね。MicrosoftではOneDrive1TBのみのプランはなく、他のクラウドストレージでも1TBプランというのはあまり見かけません。Googleドライブ(Google One)には2TBプランがあり、細かい特典が異なりますが、年額13,000円です。また、Dropboxの2TBプランは、やはり細かい特典が異なりますが年額14,400円です。
非常に乱暴な話、この半額である6,500円から7,200円くらいがOneDrive 1TB分の年間使用料と考えられます(…あくまで乱暴な計算です。それぞれのサービスの種類や特典が異なるので、決して正確なものとは言えず、目安程度に考えて下さい)。
この仮定で話を進めると、Microsoft 365 Familyだと「めちゃめちゃお得」になってしまいますね。実際、ユーザーごとの上限が1TBというのがありますけど、家族トータルでOneDrive 6TBが使えて年額27,300円というのは鬼安です。Google Oneの5TBプランでも年額32,500円なので。…まあ、とりあえずここではPersonalに絞って話を進めていきます。
Microsoft 365 Personalの年間料金21,300円のうち、7,000円弱くらいが「OneDrive分」と考えると、OneDrive以外の部分で年額14,500円くらいを支払う、ということになります。それと、今回サブスクリプション版が値上げされたわけですが、その理由は「Officeアプリやその他のWindowsアプリで使えるAIクレジットが毎月60回分もらえる」ようになったためです。
このAIクレジットによる値上げ分ははっきりわかっていて、年額6,400円です。既存のMicrosoft365ユーザーはAIクレジットなしのバージョン(年額14,900円)にダウングレード出来ますので、AIクレジットを使わない場合は「年額14,500円くらい」ではなく「年額8,000円くらい」となります。AIクレジットの6,400円については個人的には今のMicrosoftのAI品質なら高すぎると思っていますが、それ以上は特にコメントしません。
で、それ以外の「年額8,000円くらい」「AIクレジット込みの場合は14,500円くらい」で何が使えるのかというと…
・買い切り版のOffice 2024 Homeのすべてのアプリ
・データベースアプリのAccess
・動画編集アプリのClipChampのフル機能、(基本無料で使えますが、無料だと機能制限があります)
・メーラーのOutlook Classic(無料版のOutlook Newと若干インターフェースが異なりますが、機能面で優れているとは思いません)
・WebコミュニケーションアプリのTeams(無料版だと最長1時間までの会議時間が無制限となり、1会議で最大300人まで参加可能になります)
・Windowsの標準セキュリティ(Windowsセキュリティ)よりも高度なセキュリティ機能、Defender
・文章作成アシスタントのMicrosoftエディター(基本無料で使えますが、Microsoft 365のユーザーはより高度な機能が使えます)
・アンケート、テスト、投票が作れるMicrosoft Forms
・継続的な技術サポート
こんな感じです。現行の買い切り版OfficeにはAccessがないため、個人としてAccessを使っている方は、サブスクリプション版から買い切り版に変更するとマズイことになります。しかし正直なところ、それ以外の特典は「あると便利だが、別になくても困らない」ようにも思われます。
例えばClipchampの無料版は動画制作時のエクスポート(エンコーディング)で1080p(FHD)までは「透かしなし」、4K解像度にする場合は「透かしあり」になってしまいますが、Microsoft 365ユーザーは4K解像度にしても透かしが入りません。…4Kって必要ですか?
あと、Teamsについても無料版だと1回の会議は最長で60分までという制約がありますが、Microsoft 365ユーザーは会議の時間が無制限となります。まあ、これは人によっては60分以上の会議(あるいはWeb飲み会)にニーズがあるかもしれません。
3.まとめ
私を含めた既存のMicrosoft 365ユーザーが「OneDrive分を除くと年額8,000円くらい」で買い切り版のすべてのOfficeアプリが使え、(多くの人には不要かと思いますが)Accessも使え、さらにこまごまとした特典がある、というのは個人的にはそんなに悪くないと思います。もちろん、大容量のクラウドストレージが不要、という方には「年間8,000円くらい」というのは意味をなさない試算ですけど。
一方で、8,000円くらいというのは買い切り版の4分の1弱くらいですから、「WordとExcelとPowerPoint以外は使わない、使えても意味がない」と考える方なら、Officeアプリはメジャーアップデートなしでも4年以上はラクラク使えるくらいに「機能が煮詰まっている」ことを考慮すれば、買い切り版でいいんじゃないか、という気もします。OneDrive1TBが不要な人ならなおさらですね。
これも個人的な感想ですが、「この先もずーっとAIクレジットを強要されないのであれば、引き続きMicrosoft 365 Personalを使い続ける」と結論付けてもいいと感じます。ただし、冒頭に書いた通り「最近のMicrosoftのやり方はちょっとなあ…」と思ってもいますし、2年後くらいにCopilot Proに強制的に高いお金を支払わされるようなことになるのはゴメンです。
それと、MicrosoftのAI技術を高く評価している方であれば、これまで書いてきた「8,000円くらい」というのが「AIクレジット込みで14,500円くらい」になっても歓迎できるのかもしれません。AIクレジットをどう評価するかは人それぞれです。
ともあれ、Microsoft 365という商品は「セット商品」です。セット内容が魅力的に映れば契約する意味がありますが、使いもしない機能を満載にされて価格が上がっても「福袋じゃねえんだよ!」といいたくなります。
そんなこんなで、代替案(Office系の互換アプリとOneDriveの引っ越し先)を考えておこうと思いました。みなさんはいかがですか?
4.関連リンク
Microsoft 365:Microsoft
Office Home & Business 2024:Microsoft
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。
コメント
まぁ前の記事からの続きという話ですが、私はAccessを仕事で使ってるので、さすがにMicrosoft 365 Personalから離れるわけにはいかないのです。これがAcccessが別料金になるというのならすぐにでも契約は切りたいところですが。というわけで、この記事の続報を楽しみにしています。
Office代替アプリについては無料のLibre Officeと、Open Officeをインストールしてみましたが、Open Officeはもはや古臭い印象があって、Libre Officeが代替候補になりうるかな、というところ(ただし、マクロは記述方法が致命的に違う)。あとはWebアプリのGoogle Workspaceと比較してどうか、という感じですね。有料版のWPS OfficeやPolaris Officeについては無料版の評価を終えてから試す予定です。あと、ウインタブではAndroidタブのPCモードの特集もやるつもりなので、Androidアプリがあるかどうか、というのも重視しています。順当だとWPS Officeが強そうな気もしますけどねえ。