ノートPCジャンルでは「RAM(メモリ)は16GBが標準」という認識が定着してきたように思います。SNSなどでも「8GBでは足りない」「最低16GB」という声が見られますし、ウインタブでも「Intel CoreやAMD Ryzenを搭載するノートPCを買うのなら、16GBにしておくほうが安心」という論調で記事を書いています。
「RAMは多ければ多いほどいい」というのは事実ですが、容量あたりの価格が高いので、ストレージのように「512GBや1TB」というのは現実的ではありません。また、正直なところ、ウインタブの記事執筆程度(Webでの調べもの、簡単な画像加工、ブラウザー上でテキスト入力など)であれば大容量RAMの必要性は感じません。
一方、昨年ウインタブがレビューしたポータブルゲーミングPC(ゲーミングUMPC、Core Ultra 5 135H+RAM16GB)では、ゲーム中にRAM使用率が100%に張り付くという状況が発生しており、RAM16GBであっても不足を感じる場面を体験しています。
この記事では、RAM16GBが標準とされる背景、RAM8GBを選ぶ意味はあるのか、そして用途別のおすすめ容量について整理してみたいと思います。
目次
1. メモリはなぜ16GBが標準と言われるようになったのか?
・OSやブラウザの使用メモリが年々増加:Windows 11やEdge/Chromeなど、特にChrome?
・常駐アプリの肥大化:クラウド同期・セキュリティソフト・コミュニケーション(チャット)アプリなどが裏で動き、メモリを消費。
・「8GB=エントリー機」という印象:最近の大手メーカー(Lenovo、ASUS、DELLなどの外資系)では、10万円前後のPCでもほとんど16GB搭載(ただし、国内大手メーカーではまだRAM8GBの上位モデルも見受けられる)
このように、「最低16GB」には一定の理由があります。実用面でも言える話ですし、「競合製品との横並び」を意図している面もあるでしょう。
2. 今でも8GBメモリで足りる用途は?
現時点で私の手元にRAM8GBのWindows PCはありません。個人の体験としては1年以上前のものになってしまいますが、その経験と、Webで使っている人の感想を確認してみると、こんな感じです。
・Officeソフト+ブラウザ10タブ程度 → 問題なし
・ZoomなどWeb会議ツール単体 → 快適。ただし他アプリとの併用で遅延を感じる場合あり
・動画視聴(YouTube/Netflix) → フルHD再生程度なら問題なし
・画像編集 →フリーソフトのGIMPで比較的軽めの作業はOK。Photoshopなどは厳しそう
つまり、「作業を同時にこなす(マルチタスク)」ような使い方をしなければ、8GBでも不満なく使えるケースは少なくありません。冒頭に書いた通り、ウインタブの記事執筆程度であればRAM8GBでも別に問題はないです。
3.「使い方」と「寿命」を踏まえた選択が重要
現時点で8GBで困っていない人でも、以下の理由から「16GB」が推奨されるケースが増えていると思います。これはウインタブが「日頃言っていること」でもあります。
・Windows OSの肥大化:今後のOSアップデートでさらにメモリ使用量が増える可能性
・アプリの肥大化:ChromeやEdgeのAIアシスタント機能など、重い処理が増えてきている
・長期利用:買い替えまで4〜5年使うなら、余裕を持たせた方が安心

dynabook AZ/LY 底面にRAMスロットがあり、簡単に増設できる
なお、RAMが増設できる構造のノートPCなら「とりあえず8GB→足りなくなったら16GBに増設」という選択肢もあります。ただし、特に薄型のモバイルノートではオンボードメモリのものが多く、そもそも増設可能な構造になっていない、と考えるほうがいいかもしれません。
また、IntelのLunar Lake(Core Ultra 7 256Vなど)は「CPUとRAMがパッケージ化」された構造のため、購入後のRAM増設はできません(ただし、Lunar Lakeがパッケージ化しているRAMは最低でも16GBあります)。
4. 用途別に見る!おすすめメモリ(RAM)容量の目安
用途 | 最小メモリ | 補足 |
---|---|---|
文書作成 / 学習用途 | 8GB | ブラウザのタブが増えるなら16GB推奨 |
動画視聴 / SNS / Web会議 | 8GB | 動画編集・画面共有を頻繁にするなら16GB |
画像編集(Photoshopなど) | 16〜32GB | 画像解像度や編集内容によって変動 |
動画編集 / DAW | 32GB以上 | FHDなら16GBでも可。4K以上で32GB以上推奨 |
ゲーミングPC | 16〜32GB | iGPUのみの機種では、RAMとVRAMの共有に注意 |
オンデバイスAI / LLM | 32GB以上 | 画像生成・AIチャット利用などで使用 |
先日、某メーカーの方とお話をした際に「オンデバイスAIが一般化すると、RAMは16GBでも足りないんですかね?」と聞いてみたところ、「そのように言われています。しかし、実際私達もオンデバイスAIを十分試せる環境にないので、16GBだと厳しい、とも言えないんですよね。」とのことでした。冒頭に「RAMは多ければ多いほどいい」と書きましたが、「安全を見て」32GBにしとけ、と皆さん考えているのだと思います。
5. まとめ
PCのもっさり感や不安定さの原因がメモリかCPUかを見極めるのは難しい、と私は思っています。しかし、一般に「購入して日が浅いのに動作にカクつきが出てきた」場合、メモリ不足の影響が大きい可能性がありますね。
とはいえ、全ユーザーに一律「16GB以上が正解」と言い切るのも乱暴です。現状、8GBでまったく困っていない人もいますし、用途が限られるならそれでも問題ないからです。
重要なのは「自分の用途」と「PCの寿命の見込み」を踏まえて、流されず冷静に判断することです。賢いPC選びは、スペックの数字よりも「自分に合っているかどうか」で決まります。
コメント