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無料のWebサービスやストアアプリに思うこと

無料サービスには代償が
こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は趣向を変えて個人的な意見を書きます。

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1.無料だけでは商売できない?

eコマース革命
先日、Yahoo!ショッピングの中の人とお話する機会がありました。みなさんご存知だと思いますが、Yahoo!ショッピングは1年前に「eコマース革命」と称して、出店手数料を無料にする、という改革をしています。その結果、個人・法人ひっくるめて出店者が激増しました。Yahoo!ショッピングのネットモールとしての流通額(モール全体の売上)も右肩上がりになっていて、2014年度第2四半期(7月~9月)は前年比10%の伸びとなっています。

私「出店者ってみんな売上増えてるわけじゃないでしょ?」
Y「以前から出店していて、ある程度以上の売上規模のお店が伸びています。しっかり広告を打ってますからね。新規出店者は苦戦しているところも多いです」

Yahoo!にかぎらず、楽天でもAmazonでも月商が億単位の大規模な出店者もいれば数万円、数十万円といった零細な出店者もいます。インターネット・ショッピングモールは月額で固定費(システム利用料とか基本料金とか呼び方は様々です)がかかることが多いのですが、月商数万円とかだと固定費を賄うことができません。でも、Yahoo!のように月額固定費とか売上ロイヤリティを無料にするというのは出店者にしてみれば損益分岐点を劇的に押し下げることになります。当然みんな飛びつきますよね。

あ、ちなみにAmazonはちょっと特殊で、月額固定費はたったの4,900円ですけど、売上の10%から15%(商品種別によって異なる)の販売手数料(売上ロイヤリティですね)がかかります。つまり売上に応じた変動費が発生し、結構なパーセンテージになります。でも変動費は売れないと発生しないし、固定費部分が非常に小さいので、スタートアップ出店者にはありがたい仕組みですね。

話をYahoo!に戻します。要するに売れているお店というのはこれまでバカにならない額だった固定費や売上ロイヤリティがなくなった分、広告費を上積みしている、ということなんですね。つまり、eコマース革命以後、むしろ販促費を増やしているわけです。

ショッピングモールのトップページに自分のお店のバナー広告を掲載しようとすると、かなり高額な広告費を支払わなければなりません。その代わり、自分のお店に大量の訪問者を獲得することができます。「楽天イーグルス優勝セール」とか「ソフトバンク・ホークス優勝セール」なんかだと、みんな広告掲載をしようとするので限られた枠に対して競争率が高くなり、単にお金を払うだけじゃなくモールの担当者に「自分のお店を選んでもらう」必要があります。

ここはYahoo!の中の人が言っている話じゃないんですが、こういうイベントのとき、普段からしっかり広告にお金を落としてくれている出店者に優先的に広告枠を割り当てる、くらいのことは当然していると思います。公平性とか公益性とか言葉はカッコいいですけど、楽天もYahoo!もAmazonも営利を目的とした法人なので、売れる店を目立たせるとか、普段からいいお客さんになってくれているところを優先するのは当たり前です。営利法人である以上、利益を出すことが株主に対する義務でもありますから。

Yahoo!ショッピングは手数料を無料にしました。でも慈善事業をしているのではなく、利益を追求しているわけです。利益の源泉は広告費であることは明らかなので、出店者に広告出稿を働きかけます。

「うわー、無料だ!出店しよう!」と張り切る気持ちはよくわかります。私だってそういう立場なら同じように考えます。そして「広告を出せ出せってうるさいなあ。出店したばかりでお金がないんだから、無料で広告してくれるとか、少しは便宜を図ってくれよ!」なんて甘えたことも考えるかもしれません。でも、Yahoo!だって儲けたいし、儲けなくちゃいけないんです。

話を単純化すると、Yahoo!ショッピングがこれまでと同じような収益を上げるためには、無料にした固定費と売上ロイヤリティと同額以上の広告費を出店者から獲得する必要があります。古参の大型店舗はそれを理解しているし、売上を増やすチャンスと捉えているので広告費を大きく増額します。でも新規出店者はせっかく手数料を払わなくて済むのに、広告費なんてできるだけ使いたくありません。節約しないとやっていけませんから。

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一方Yahoo!ショッピングはモールとして顧客の流入は増加しています。Yahoo!ショッピングの広告枠は古参の大型店舗が独占します。その結果、古参の大型店舗は従来以上の売上を獲得し、細々と商売を始めた新規出店者は思うように売れません。そういうことでしょう。

「無料」サービスというのはなにがしかの代償が発生することが多いし、それがむしろ自然だよね、ってことを言うために長々と前振りのようなことを書いてしまいました。そういえばアイテム課金型のソーシャルゲームなんかは、アプリそのものは無料ですが、課金しないと先に進めなかったり、レアキャラを入手できなかったりで、小中学生が依存状態になって大量に課金してしまう、なんて問題もありましたね。これは代償というよりはなにか別なもののような気がしますが、ここではあえて触れません。

2.無料のアプリやサービス

スマートボール
で、本題です。ウインタブでも無料のWindowsストアアプリとかOneDriveのような無料のクラウド・ストレージを取り上げて記事を書いています。ブラウザゲーム「御城プロジェクト」も基本的には無料ですね。MicrosoftとかGoogleはもちろん、城プロのDMMも立派な大企業ですが、Windowsストアアプリの製作をしているのは必ずしも大企業とは限りません。スタートアップ企業もありますし、個人でアプリを作ってWindowsストアに出品している人も大勢います。ウインタブが過去に取り上げたアプリの中にも個人製作者の手によるものがたくさんあります。

「無料だけど、広告の位置が気に食わない」
「そもそも広告が出るのがウザい」

これ、上の方に書いたYahoo!ショッピングの話と同じです。「無料で広告も出すな」ということを言ってしまうと、、製作者だって収入を得ようと思ってアプリを作っているわけですから、「どうやって収入を得るのか教えてください」といいたくなるでしょうね。たいていの無料アプリは少額の課金をすれば広告は消せるようになっていますから、アプリの出来に満足できて、広告がウザいのなら、黙って課金したらいいんじゃない?と思います。「無料で広告なし」が当たり前という人は社会人じゃないでしょ。

「挙動が不安定なので使いものにならない。だから星1つのレビューを書こう」

「星1つのレビュー」がどんな意味を持つか知ってますか?私は以前勤務していた会社でネット通販を担当していたことがあります。「この秋冬はこの商品を打ち出していこう」と思っていたその商品に最初に星1つのレビューをつけられたら「ジ・エンド」です。狙ったとおりに売ることはできません。みんなレビューを参考にしますから。その商品が星1つしかつかないような粗悪品なのであれば諦めがつきますが、「ちょっとイメージが違うんだよね」くらいの理由でこういう評価をされてしまうと「カンベンしてくれ!」となります。ホント、死活問題です。

星1つのレビューをするな、っていう意味ではありません。アプリのせいでタブレットが壊れたとか、スパムアプリだったとかなら他の人の参考になるように星1つのレビューを書くべきだし、Microsoftに通報すべきです。また、有料アプリなら対価を支払う価値がないと思えばそうレビューしてもいいと思います(ただし影響が大きいことは認識しておく必要あり)。いいたいのは「無料アプリなのに、安易に星1つのレビューを書くのは勘弁してあげて」ということです。レビューの履歴って、上に書いたように製作者にとっては消すに消せない十字架のようなものです。該当のアプリだけじゃなくて、その製作者が作った他のアプリにも影響が及びます。

無料でインストールしたアプリなんだから、気に食わなかったらアンインストールすればいいんじゃない?って思います。もちろん他のユーザーに警鐘を鳴らすべき悪質なアプリなら堂々と星1つのレビューを書くべきですが。

私、アプリを作ったことがないし、作ることもできないんですが、「無料アプリをリリースする」ということの背景に何があるのか、考えてみればわかりますね。広告収入を得る、課金してもらって広告を消す、無料アプリとして多くの人にインストールしてもらい、色んな意味で名を売る、自己満足する…いろいろあるんでしょうけど、無料アプリの背景に何らかの理由があり、無料であることの代償を得ることが目的であるのだったら、無料アプリのユーザーである私達は、気に入ったら正当な代償(対価)を支払うようにしたいものですね。気に入らなかったら代償は必要ないでしょうが、無料なので経済的な損失が発生していないわけですから、製作者にマイナスの代償を与えるようなことはしたくないものです。

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