LenovoがThinkPadシリーズのニューモデル「P53」を発売しました。Pシリーズは他のThinkPadとは異なり「モバイルワークステーション」と位置づけられます。高度な科学技術計算やCADなど、専門的な業務を視野に入れた高性能なコンピューターのことをワークステーションと呼びますが、Pシリーズのうち型番末尾に「s」がつくものは外部GPUのみNVIDIA Quadroを搭載し、あとはThinkPad Tシリーズとほぼ同じ構成、という製品も見受けられます。
一方、末尾に「s」がつかないPシリーズはいろんな意味で他のThinkPadシリーズとは違っていて、私達のイメージする「ワークステーション」によりフィットする製品と言えます。
1.スペック
OSはおなじみのWindows 10 HomeとProのほか「Windows 10 Pro for Workstations」を選択できます。しかし、Pro for Workstationsというのは最大4つまでのCPUをサポートするとか、RAMの搭載可能容量が6TBだとか、よほどのコンピューターマニアか専門家でもない限りオーバースペックなOSなので、個人にはあまり縁のないものと言えます。ウインタブ読者の中には「すごい人」がいるというのは理解していますが、そういう人はご自身でニーズの有無を判定できるでしょうし。
CPUはゲーミングノートにも使われる第9世代Coffee LakeのCore i7-9750Hのほか、vPro(法人など組織でPCを一元管理するのに役立つ機能)に対応するCore i5-9400H、Core i7-9850Hも選択可能です。さらに第9世代となるXeon E-2276MとCore i9-9880Hの選択も可能です。ECC(誤り符号訂正)メモリーを選択する場合はXeonを選ぶことになります。またCore i9-9880Hはなんと「8コア16スレッド」のCPUで、おそらく処理性能が最も高くなりますが、ECCメモリーには対応しません。
GPUはGeForceではなくQuadro(Open GLに最適化されている)となります。最上位のRTX5000(VRAM16GB!)はもちろんハイエンドなものですが、もはやウインタブで「どのくらいすごいのか」ということを説明できるような代物ではないです。また型番名に「RTX」が入っていることからわかる通り、リアルタイムレイトレーシングにも対応しています。
RAMも最大128GBまで搭載可能です。またCPUにXeonを選ぶ場合はECCメモリーも選択可能ですが、この辺もあまり個人には縁がないかもしれませんね。ストレージはM.2 SSDを2つと2.5インチPCIe-NVMeスロット1つを搭載可能で、RAID0、RAID1、RAID5の構成も無料でできます。ECCメモリーにRAID構成と、ワークステーションらしい耐障害性を備えていると言えます。
ディスプレイは15.6インチのIPS液晶でFHD解像度と4K解像度を選べます。また、300nitというのは通常の明るさ、500nitというのは「めちゃめちゃ明るい」です。なお、製品ページでは4KのOLED(有機EL)ディスプレイを選択可能、という記載がありましたが、8月2日現在で選択できるのはIPS液晶のみです。
入出力ポートも充実していますし、Thunderbolt 3を2つ装備するなど、規格も高いものになっています。
サイズは2019年水準の15.6インチノートとしては大きいです。大きいですが、これまで説明してきたバケモノのようなスペックを考慮すれば全然納得できるレベルでしょう。厚さ5センチで重量も5キロくらいあるんじゃないか、と思ってましたからw
2.筐体
正面から見たところです。横幅が377 mmありますので、特にベゼルが細いということもありませんし、キーボード面も分厚い印象です。
キーボードです。テンキーが装備され、パームレスト右側に指紋センサーも備えた、一見すると普通にThinkPadのキーボードですが、タッチパッドの上下にクリックボタンが装備されています。それに気づくと、随分とものものしい感じがしますね。なお、他のThinkPadシリーズと同様、日本語配列と英語配列が選べ、バックライトは標準装備です。
底面です。このようにメンテンス用に底面を開口する前提の設計ですね。最近のノートPCとしては珍しいですが、この製品の特性を考えると当然と言えるのかもしれません。
側面と入出力ポートの配置です。スペック表では厚さ24.5-29.4 mmと表示されていて、これだけ見ると「ちょっと厚いくらいかな」と思ったんですが、全体的にほとんど絞り込み(全部とか後部を薄くする)がなされておらず、画像を見るとかなりの厚みになっていることがわかります。
3.価格など
Lenovo ThinkPad P53はLenovo直販サイトで販売中で、8月2日現在の価格は税込み187,434円から、となっています。なお、この価格はセール価格で、週末(8月3日から)になるともう少し安くなる可能性が高いです。ただ、P53らしい構成(XeonとかQuadroRTXとか)にするとセール価格でも40万円以上にはなります。
また、昨夜(8月2日1:00頃)確認した際は「エクストリーム」という、定価ベースで92万円くらいのモデルがあり、そのモデルだとQuadro RTX5000が搭載可能だったのですが、8月2日12時時点ではこのエクストリームモデルが製品ページから(一時的だと思いますが)消えていまして、RTX5000の選択ができません。
極めて高性能かつ高耐久な製品ではありますが、専門家向けの製品ではありますね。
4.関連リンク
ThinkPad P53:Lenovo
コメント
NVIDIA Studioに対応したRTX Studio認定ノートだからか値段も相応に高いレベルにありますね。