Lenovoが11.6インチ、エントリークラスのモバイルノート「IdeaPad Slim 150」を発売しました。ウインタブが大好きな「小さくて安い」ノートPCです。先日大喜びしながらご紹介した「HP Stream 11」のライバルと言えそうなシステム構成と価格帯になっています。また、この製品は既存モデルの「IdeaPad S130 (11)」の後継機と思われます(CPUのブランドが違うので、「派生モデル」と理解するのが適切かもしれません)。
1.スペック
CPUはIntel製ではなく、AMD製です。A4-9120Eという型番はウインタブではなじみがなく、どのくらいの性能なのか、Passmarkの公表値で確認してみました。
AMD A4-9120:1,956
AMD A4-9120C:1,539
Celeron N4100:2,243
Celeron N4000:1,431
※2月29日現在のPassmark公表値。数値が大きいほうが高性能
まず、「A4-9120E」という型番は2月29日現在Passmarkにデータがありませんでした。「A4-9120」と「A4-9120C」というのがあり、9120はクロックスピードが2.2 GHz・TDPが15W、9120Cは1.6 GHz・TDP6Wという仕様で、A4-9120Eは1.5 GHz(TDPは不明)なので、おそらく9120Cよりも若干スコアが落ちるのではないか、と思います。ただし、その9120Cもスコア算出のサンプル数が「わずか1」なので、信頼できるデータとは言えません。
その前提で無理やり予想すると、「A4-9120EはCeleron N4000と同程度の性能」という感じですね。そして、詳細のスコアはともかくとして、個人的にこの予想はそれほど大きくズレたものではないと思っています。
RAMは4GB、ストレージは128GB SSDです。RAMに関してはもう少し容量がほしいと感じますが、CPU性能も高いとは言えないので、ユーザー側の方でRAM不足に陥らないような使い方を心がければ大丈夫でしょう。具体的にはブラウザーのタブを大量に開かないとか、使っていないアプリはこまめに終了させ、(コントロール可能な)タスクを減らす、とかです。「持ち出し用のサブPC」的な使い方だと問題ないと思います。
ディスプレイは11.6インチ、TN液晶で解像度はHDです。高品質とは言えませんが、実用上困るという感じでもないですね。個人的にはIPS液晶にしてもらいたかったですけど。
USBポートは十分とは言えないものの、11.6インチというサイズと低価格PCであるということを踏まえれば納得できるものにはなっていると思います。HP Stream 11はこの構成にUSB Type-Cがひとつプラスされていますので、拡張性という点ではStreamのほうが上です。
サイズですが、ここもStreamと比較してみましょう。
IdeaPad Slim 150:288 x 200 x 18.8 mm(最薄部)/ 1.2 kg
Stream 11:281 x 194 x 16.5-18.4 mm / 1 kg
このように、サイズは若干Streamのほうが小さいです。そして、特に気になるのが重量ですね。コンパクトなノートPCとして1 kgと1.2 kgの差は結構大きいと思います。参考までにStreamの主要スペックも掲載しておきます。
CPU:Celeron N4000
RAM:4GB
ストレージ:64GB eMMC
ディスプレイ:11.6インチ(1,366 × 768)
上に書いたとおり、IdeaPad Slim 150に搭載されるA4-9120Eの性能はCeleron N4000とほぼ同じくらいと予想していますし、RAM容量とディスプレイ品質も互角(StreamもTN液晶だと思います)です。異なるのがストレージですね。かたや128GB SSD、かたや64GB eMMCですから、速度面でも保存できるデータ容量でもIdeaPadが上です。
あくまでも数値上での比較ですが、「ストレージではIdeaPad、筐体サイズと入出力ポート構成ではStream」が上、ということが言えるでしょう。
2.筐体
タテ・ヨコサイズは既存のIdeaPad S130(11)と同じです。最近の流れから言って、少しベゼルが太く感じられますが、11.6インチノートの場合、キーボード面の面積をあまり小さくできない(キーのサイズやキーピッチが小さくなってしまうので)と思いますので、このへんはやむを得ないです。
天板はIdeaPadそのものですね。シンプルなデザインになっています。筐体色は2月29日現在「プラチナグレー」のみですが、IdeaPadシリーズでおなじみの「ミネラルグレー」とどのくらい色味が異なるのかはよくわかりません。ただ、ノートPCとして常識的な色かと思います。
製品ページにはこんな筐体色も掲載されていました。この色については今のところ情報がなく、発売されるのかも不明ですが、個人的にはいい色だなあ、とは思いますね。
キーボードです。この画像では英語配列になっていますが、日本仕様は「84キーJIS配列」のものが装備されます。見た感じ素直で使いやすそうですが、11.6インチというサイズから、一般的な(13.3インチとか15.6インチ)ノートPCよりもキーピッチは少し狭いと思われます。
側面と入出力ポートの配置です。この配置はIdeaPad S130とは異なります。「イヤホンジャック以外は全部左側面」なので、使い勝手は少々落ちそうですね。右側面にも「マウス用」にひとつポートが欲しかったところです。
3.価格など
Lenovo IdeaPad Slim 150はレノボ直販サイトで販売中で、2月29日現在の価格は27,082円(税込み、送料無料)から、となっています。「から」と言ってもバリエーションモデルがあるわけではなく、Officeソフトの有無だけが選択肢です。また、この製品は「春のPCご購入 応援フェア」の対象になっていて、応援フェア用のクーポンコードを入力することによって27,082円まで価格が下がります。この価格は非常に安いと言え、HP Stream 11の価格(2月29日現在、税込み29,480円)を下回ります。
この記事ではHP Stream 11とシステム構成を比較しながらIdeaPad Slim 150の紹介をさせていただきましたが、おそらく多くの人がこの2機種を比較しながら購入を検討されるのではないか、と思います。どちらもモデルとして新しいですしね。記事中にも書かせていただいたとおり、スペック表を見る限り「ストレージではIdeaPad、筐体サイズと入出力ポート構成ではStream」かな、と思います。ただ、両者の価格差は大きくありませんので、「見た目」で選んでもいいと思いますし「好きなメーカー」というのを購入の理由にしてもいいと思います。
11.6インチの低価格ノートはウインタブ読者のメインPCとしては少々力不足ですが、「メインPCがある」人にとっては気軽に持ち運びができ、ライトな作業をしっかりこなせる有能なサブマシンと言えるでしょう。また、PCの使い道が動画視聴とかネットショッピング、SNSやメールくらい、という人にもおすすめです。
4.関連リンク
IdeaPad Slim 150:Lenovo
コメント
若干青い色のバージョンは量販店モデルの 81VR001DJP だと思われます。
色がアイスブルーである以外に、
・ストレージが PCIe NVMe/M.2 128GB から MMC 64GB に
・APU が A4-9120E から A6-9220E に
・バッテリーの使用時間が JEITA2.0 で約 9.9時間から約 12.2時間に
といった、いろいろな意味で微妙な違いがあるようです。