BeelinkがミニPC「GTi14 Ultra」と専用のドッキングステーション「Multi-Functional EX Docking Station」を発売しました。簡単に言うと「みなさん、こういうの好きですよね?」という製品です(もちろん私も好きです)。9月1日現在、ミニPC単体、ドッキングステーション単体、そしてミニPCとドッキングステーションのセットと、お好みの構成で購入することができます。
1.GTi14 Ultra
スペック表
Beelink GTi12 Ultra/GTi14 Ultra | |
OS | Windows 11 Pro(推定) |
CPU | Intel Core Ultra 7 155H/Core Ultra 9 185H Core i9-12900H |
外部GPU | なし |
RAM | 32GB(DDR5-5600, デュアルチャネル) |
ストレージ | 1TB SSD(M.2 2280, PCIe4.0 ×4) M.2 2280, PCIe4.0 ×4 スロット空き1 |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | なし |
ネットワーク | GTi14 Ultra:WI-Fi 7、Bluetooth 5.4 GTi12 Ultra:Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 |
入出力 | USB4 Type-C (Thunderbolt 4)、USB 3.2 Gen2 Type-C、USB 3.2 Gen2 Type-A × 5、HDMI、Display Port1.4、オーディオジャック × 2、LAN(RJ45)× 2、SDカードリーダー、PCIe x8スロット |
カメラ | なし |
バッテリー | なし |
サイズ | 158 × 158 × 55.8 mm |
重量 | 不明 |
コメント
ウインタブでは以前、「SER8」というAMD Ryzenを搭載するミニPCを実機レビューしています。今回ご紹介するGTi14 Ultraとは別筐体の製品ですが、レビューの際に指摘した事項について最初に触れておきます。まずOSライセンスですが、SER8では個人利用には問題のないOEMライセンスが使われていることを確認しています。また、製品本体には技適マークがありませんでしたが、内蔵していたWi-Fiモジュールは技適マーク付きのもの(Intel AX200NGW)でした。このGTi14 Ultraについても本体に技適マークがない可能性がありますが、内蔵されているWi-Fiモジュール(Intel BE200NGW)は技適があります。
それと、SER8は非常に優れたミニPCでした。パフォーマンスはもちろん、メンテナンスを考慮した設計、発熱と騒音の小ささ、どれをとっても素晴らしい出来だったと思います。詳しくはこちらの記事をご参照下さい。
Beelink SER8 レビュー - Ryzen 7 8845HSを搭載する高性能ミニPC、高いパフォーマンスはもちろん、筐体も改良され、より使いやすくなりました!
では本題に。GTi14 Ultraの搭載OSは開示されていませんでしたが、おそらくWindows 11 Proと思われます。CPUはCore Ultra 7 155H/Core Ultra 9 185H、また同一筐体の製品でGTi12 Ultraという製品もあり、こちらはCore i9-12900H搭載です。GTi12 Ultraは価格も安く、後述するMulti-Functional EX Docking Stationとグラフィックカードの接続を前提とするなら購入の有力な選択肢になるかもしれないですね。
RAMは32GBで2スロット(空きなし)、SSDは1TBで2スロット(空きスロット1)です。
詳しくは上にリンクしたSER8のレビュー記事をご覧いただきたいのですが、最近のBeelink製品は底面カバーを外すと「ダストフィルター」が入っていて、「定期的に掃除してね」などと書かれており、筐体を開口するのは当たり前、という感じになっています。…とはいえ、他社のミニPCと比較して開口が容易、という感じでもないんですけどね(面倒、という感じでもないです)。
「おお!」と思ったのがこの画像。上の2つです。GTi14 Ultraはマイクを搭載しており、ノイズキャンセリング機能もついています。さらに驚きなのが「底面にスピーカー搭載」という点です。マイクやスピーカーを搭載するミニPCは「あることはある」のですが、あんまり見かけません。マイク品質やスピーカー音質についてはなんとも言えませんが、これらの機能は各種AIツールの利用やWebコミュニケーションを念頭に置いたものでしょう。ただし、さすがにWebカメラはついていません。
筐体は金属製で、SER8(これも少し大きめのミニPCでした)よりもさらに一回り大きいです。タテ・ヨコ15.8 cmというのは直近レビューしたGEEKOM製品(タテ・ヨコ11cm台)なんかと比べるとかなり大きく感じると思います。ポート類は充実しています。USBポートは合計で7つ(うち1つはThunderbolt 4)、SDカードリーダー、HDMIにDP、そして2つの有線LANポートを備えています。あと、底面にドッキングステーション接続用のPCIe ×8スロットもついているのですが、それについては後述します。
SER8は発熱と騒音もかなり小さく、好感が持てましたが、おそらくそれはGTi14 Ultraでも同様かと思います。
2.Multi-Functional EX Docking Station
スペック表
Beelink EX Docking Station | |
内部スロット | PCIe ×16スロット(速度はPCIe ×8)、グラフィックカード用8ピンコネクター × 2、アンテナコネクター × 2、USB2.0 Type-A、4ピンFanコネクター |
インターフェース | M.2 2280 PCIe 4.0 スロット、M.2 2230スロット ※M.2 2230スロットはM.2 2280スロットと同時使用不可 |
電源ユニット | 600W(100-240V) |
サイズ | 225 × 179 × 64.7 mm |
重量 | 不明 |
コメント
ウインタブでよくご紹介しているドッキングステーションは「たくさんのポートがついていて、PCの拡張性を高める」ものですよね?でもMulti-Functional EX Docking Stationはそういう芸風じゃありません。USB2.0 Type-Aポートが1つあるだけ…。この製品の最大の存在意義というか存在目的の90%は「デスクトップPC用のグラフィックカードを接続するため」です。そのための必要最低限の装備(各種スロット・コネクター)がついています。
こんな構造です。ついているものは基本的に「グラフィックカードのため」ですよね。
電源ユニットは600Wと、一般的なミニPCの常識を外れた大きさです。デスクトップPC用のグラフィックカードは概して大きな電力を使いますので、多くのグラフィックカードをサポートする上ではこのくらいの電源は必要ですね。たとえばGeForceのハイエンド、RTX4090は消費電力が450Wとされますが、自作PCにRTX4090を使っていて電源が450Wという人はいないと思います。自作PCの場合はCPUなどの消費電力や電源ユニットの電力変換効率も考慮する必要がありますから、多くの場合1000Wクラスの電源を使っていると思います。このドッキングステーションに関しては基本的にグラフィックカードのみに給電する格好になりますので、自作PCの場合とは少し話が変わりますし、メーカーのアピールだと「RTX4090やRadeon RX7900 XTXもサポートする」とのことですが、実際のところはなんとも言えません(そもそもRTX4090なんて高価なのでそうそう買えるもんじゃありません)。
メーカーが公表している対応グラフィックカードの一覧です。
なお、M.2 2280 SSDやWi-Fiモジュール(M.2 2230)、アンテナの接続も可能です。ただし、M.2 2280とM.2 2230は同時に使用することはできません。
さて、「じゃ、どうやってGTi14 Ultraと接続するの?」というお話ですが、こちらの動画を見れば簡単に理解できます。
この動画を観ると「やってみたい!」と思っちゃいますよね。なお、動画に出てくるネジ類やケーブル類はMulti-Functional EX Docking Stationの付属品です。
3.価格など
Beelink GTi14 Ultra / Multi-Functional EX Docking StationはBeelink公式サイトで販売中で、9月1日現在の価格は下記のとおりです
GTi12 Ultra(Core i9):93,404円
Multi-Functional EX Docking Stationセット:107,875円
GTi14 Ultra(Ultra 7):124,100円
Multi-Functional EX Docking Stationセット:138,571円
GTi14 Ultra(Ultra 9):134,332円
Multi-Functional EX Docking Stationセット:148,803円
Multi-Functional EX Docking Station単品:23,241円
GTi12/14とのセット購入だとMulti-Functional EX Docking Stationは15,000円弱になりますので、とりあえず一緒に購入しておいてもいいかもしれないですね。ただ、言うまでもないことですがデスクトップPC用のグラフィックカードは別売りです(例:RTX3050で2万円台、RTX4060で4万円台くらい)。
ここのところウインタブでもスペックの高いミニPCのレビュー機会が増えていて、そのたびに「手軽にグラフィックカード(外付けGPU)を接続できたらいいのに」と思ってしまいます。実際私も検証用にGPU BOXを購入しようかなあ、と考えたことがあるのですが、GPU BOXは安くても5万円程度はしますし、エントリー~中位クラスのグラフィックカードも購入すれば合計で「ざっくり10万円前後」になりますので、ちょっと躊躇していました。しかし、Multi-Functional EX Docking Stationは他のGPU BOXと比べて安価ですし、GTi14 Ultraとの接続性もしっかり考慮されていますので「これはいい!」と思いましたね。ただ、Multi-Functional EX Docking Stationは他社のミニPCには使えないですけど。
4.関連リンク
Beelink GTi Ultra Series & EX Docking Station Bundle:Beelink
Beelink GTi12 Ultra MINI PC(Ultra 7):Beelink
Beelink GTi14 Ultra AI PC(Ultra 9):Beelink
Beelink Multi-Functional EX Docking Station:Beelink
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。