WindowsのゲーミングUPMC「AYANEO AIR」の実機レビューです。最近になってAOKZOE A1も加わり、選択肢が増えたゲーミングUMPCのジャンルにあって、5.5インチディスプレイを搭載し、重さわずか398gと、最もコンパクトな製品がこのAYANEO AIRです。
・5.5インチディスプレイに重さ398gとWindows UMPCとして最小サイズ
・Ryzen 5 5560U搭載、WindowsPCとして高性能
・高い発色品質の有機ELディスプレイ
ここがイマイチ
・アプリ「AYA SPACE」は発展途上
・重量級ゲームでの快適性は低い
・アナログスティックの操作性はいまひとつ
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AYANEO AIR スタンダード国内正規版:ハイビーム
AYANEO 製品一覧:ハイビーム
目次
1.AYANEO AIR スペック
スペック表
コメント
AYANEO AIR(国内正規版)には「Lite」「Standard」「PRO」「PRO ADVANCE EDITION」の4バリエーションがあり、今回のレビュー機は「Standard」です。CPUはZen3アーキテクチャのRyzen 5 5560Uで、最新のRyzen 6000番台ではありませんが、2022年になってからリリースされた新しい型番です。
RAMとSSDは16GB/512GBで、ゲーミングPCとしてはエントリー~中位クラスの容量と言えます。RAMはともかくとして、SSDに関してはたくさんゲームをインストールすると少し不足感があるかもしれません。ただし、microSDカードも利用可能です。
ディスプレイは5.5インチの有機ELで、解像度はFHD(1,920 × 1,080)を確保しています。もちろんゲームタイトルによってはHD(1,280 × 720など)に落とす必要も出てきますが、そもそも5.5インチのWindowsゲーミングUMPCというのは他になく(海外販売されている製品はこの限りではありません)、結果として筐体もコンパクトになっているのがAYANEO AIRの大きな魅力でもあります。
サイズも非常にコンパクトです。特に重量が400 gを切っているので携帯性に優れ、まさに「どこでもPCゲームが楽しめる」サイズ感です。
2.AYANEO AIR 筐体
同梱物です。グリーティングカードや取扱説明書が入っていましたが、日本語表記はありませんでした。なお、取扱説明書はAYANEO公式サイトからダウンロード可能です(ダウンロードはこちら)。画像右下にACアダプターと電源ケーブル、画像右上にはUSB Type-A(メス)- USB Type-C(オス)の変換プラグが2つ、その下に海外用のコンセントプラグがあります。実際に海外でAYANEO AIRを使うかはともかくとして、「海外に持っていける」仕様です。
前面です。よくあるゲーミングUMPC、という感じですが、WindowsのゲーミングUMPCとしては最も小さく、軽くなっています。表面素材は樹脂ですが、ヤワな感じはありません。使用感については後ほど…
背面です。両サイドのグリップ部分は丸みを帯びた形状になっていて、とても握りやすいです。中央右にファンがあり、通気口が開いています。
上側面です。こちらには左右にRB/RT、LB/LTボタンがあり、画像左に指紋センサーを兼ねた電源ボタン、その横に音量ボタン、USB Type-Cポート、通気口があります。…ただ、それだけではなく…
わかりにくいですが、この位置にもボタンがあります(右側をRCボタン、左側をLCボタンと称しています)。後述しますが、この2つのボタンは設定アプリ「AYA SPACE」で機能割当てを変更できます。
下側面です。左右にある溝はスピーカーグリル。画像左にあるカバーに覆われている部分がmicroSDカードリーダー、その横にイヤホンジャック、そしてUSB Type-Cポートがあります。AYANEO AIRは上下の側面にUSB Type-Cポートがありますが、どちらのポートでも充電/給電が可能です。
側面です。左右ともポート類・ボタン類はないので、左側面のみ掲載します。この画像を見ると、やはりグリップ部分が握りやすい形状になっているのがわかると思います。
3.AYANEO AIR 設定アプリAYA SPACE
AYANEO AIRを起動すると、設定アプリ「AYA SPACE」が自動的に立ち上がります(スタートアップアプリに指定されている)。AYANEO AIRの「ゲーミングPC」としての各種設定はここで行います。なお、この画像に写っているFORZA HORIZON 5などのアイコンは私がレビュー中にインストールしたもので、初期状態のものではありません。
パフォーマンスに大きく影響を及ぼす設定項目として「TDPの調整」が挙げられます。デフォルト(バランスモード)のTDPは8W、プロモードで12W、省電力モードだと5Wに設定されていますが、「カスタムモード」にすると最大15WまでTDPを上げることができます。BIOS(UEFI)をいじることなく簡単にTDPを変更できるのがAYA SPACEの大きなメリットと言えます。
パフォーマンスに関係しそうな項目として他に「ファンモード」があります。ひとつ上の画像で「優秀」が選ばれていますが、ファンが最強レベルになるのが「暴れる」という設定で、あとは「省電力」を選べます。それとディスプレイ解像度。こちらもひとつ上の画像で「1,920 × 1,080」が選ばれていますが、高負荷なゲームをプレイする場合は解像度を落としてやる必要があり、その変更もAYA SPACEから可能です。
「筐体」のところでご説明した上側面のカスタム可能ボタン(RC、LCボタン)の機能割当てもAYA SPACEで行います。ちなみに私はレビュー中、必要に迫られて「スクリーンショット」を割り当てていました。
AYANEO AIRの左右のアナログスティックの周囲はLEDライティングに対応しています。特に何も設定していない状態だと、ゲームプレイ中(通電時)に淡いブルーに、充電時には赤に光ります。
今回のレビューでは試していませんが、スティックとボタンのキャリブレーションも可能です。
レビュー機固有の問題である可能性もありますが、はっきり言ってAYA SPACEは「まだ発展途上」です。たまに各種操作を受け付けなくなったりする、もっと言うと全体的に挙動が不安定です。AYA SPACEはAYANEO AIRだけでなく、AYANEO製のUMPCに広く導入されるアプリですから、今後OTAアップデートが繰り返され、より優れたアプリになるものと期待できますが、現時点では高く評価できません(もちろんコンセプトは高く評価できます)。
ここは私の感想で、すべての人に向く話ではないかもしれません。
AYANEO AIRはWindows搭載なので、この画像のようにタッチキーボードが使えます。ただ、私の場合、レビュー初期にAYA SPACEで各種設定をしようとしたところ、上に書いたように挙動が不安定だったり、(これまで掲載した画像からお気づきの人も多いと思いますが)微妙に日本語が怪しかったり、5.5インチの画面で細かい操作をするのが面倒で、ちょっとイラッとしてしまいました。あと、私の視力が悪い、というのもあります。
ちなみにAYANEO AIRは初期状態で表示倍率が175%に設定されており、それを変更するために再起動が必要だったりします。175%だと確かに見やすいと言えば見やすいですけど、表示領域がかなり狭くなってしまうので、それもイラッとする原因だったかもしれません(ただし、ゲームプレイという意味ではなく、あくまでAYA SPACEやWindowsの各種設定をする際、という意味です)。
結局これで初期の設定やシステムの確認をしましたw なので、私のような短気なおっさんはせめて外付けのキーボードを使うようにすると何かとラクです。
3.AYANEO AIR 性能テスト
ベンチマークテストの実施に際し、電源接続、バッテリー駆動の両方を試しました。ただし、この製品は外部GPU搭載のゲーミングPCではなく、TDPの設定が可能なこともあり、電源接続時とバッテリー駆動時のスコア差はほぼありませんでした。また、TDPは15Wに設定しています。
グラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。外部GPU搭載のゲーミングPCでは最も重要になるテストと言えますし、もちろんゲーミングUMPCにとっても最も重要なテスト項目と言えます。
参考(外部GPU非搭載のノートPC):
ASUS Zenbook 14x OLED Space Edition(Core i9-12900H):2,165、5,523、15,596
VAIO SX14(Core i7-1195G7):2,069、5,422、14,536
VAIO SX14(Core i7-1280P):2,016、5,427、14,736
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):1,983、5,150、14,515
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):1,957、5,170、13,807
ASUS ExpertBook B9 B9400CEA(Core i7-1165G7):1,832、5,142、11,928
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):1,814、4,882、12,868
HP Spectre x360 14-ef(Core i7-1255U):1,792、4,719、13,005
Lenovo ThinkPad X13(Core i7-1165G7):1,762、4,785、12,663
ASUS Vivobook S 14X OLED(Core i7-12700H):1,702、3,878、10,476
ONEXPLAYER mini(Core i7-1195G7):1,623、4,222、10,346
Vivobook 15X OLED(Core i7-12700H):1,597、3,933、9,463
VAIO Z(Core i5-11300H):1,571、4,213、11,375
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):1,526、3,664、9,843
dynabook AZ/HV(Core i7-1260P):1,516、3,649、9,019
ASUS M3700WY(Ryzen 7 5825U):1,499、3,650、7,256
MSI Summit E13 Flip Evo(Core i5-1135G7):1,498、4,213、11,048
ONEXPLAYER mini(Ryzen 7 5800U):1,457、3,578、7,422
dynabook SZ/MV(Core i7-1255U):1,334、3,343、9,243
dynabook MZ/MV(Core i7-1255U):1,277、3,254、8,801
Microsoft Surface Laptop Go 2(Core i5-1135G7):1,271、3,607、10,227
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):1,106、2,912、6,173
HP ProBook 430 G8(Core i5-1135G7):999、2,307、6,266
※左からTime Spy、Fire Strike、Wild Lifeのスコア
AYANEO AIRが搭載しているRyzen 5 5560Uの過去データはなく、比較的参考になりそうな過去データはRyzen 5 5500U(Lenovo IdeaPad Slim 550)くらいでしょうか。また、同じゲーミングUMPCでONEXPLAYER mini(Intel版とAMD版)のデータもあります。
GPUがRDNA2のRadeon 680MとなるRyzen 6000番台はともかく、Ryzen 5000番台の3D Markスコアは第11世代以降のIntel Coreプロセッサー(Iris Xe搭載)よりもやや低めになる傾向があります。AYANEO AIRのスコアに関しても、ゲーミングUMPCとしてはやや不本意と言えますね。TDP15Wでもこのスコアなので、「どんなゲームもサクサク動く」というわけには行かないでしょう。
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。どちらかというとビジネス系のPCの性能測定で重視すべきベンチマークテストと言えます。また、このテストではCPU性能の影響が大きいとされますが、テスト内容にグラフィック系のシミュレーションも含むため、外部GPUの性能も少なからず影響します。
参考(過去データから一部抜粋):
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti):7,943
ASUS ROG Strix G15(Ryzen 7 6800H、RTX3060):7,037
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P、RTX3060):6,675
マウス DAIV 6P-RT(Core i7-12700H、RTX3050Ti):6,603
ASUS M3700WY(Ryzen 7 5825U):5,905
ONEXPLAYER mini(Ryzen 7 5800U):5,812
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):5,564
ASUS Vivobook S 14X OLED(Core i7-12700H):5,528
dynabook AZ/HV(Core i7-1260P):5,503
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):5,468
VAIO SX14(Core i7-1280P):5,452
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):5,437
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):5,366
VAIO SX14(Core i7-1195G7):5,278
ASUS Vivobook 15x OLED X1503ZA(Core i7-12700H):5,244
Lenovo ThinkPad X13(Core i7-1165G7):5,205
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):5,076
ASUS VivoBook 15 K513EA(Core i7-1165G7):5,017
ONEXPLAYER mini(Core i7-1195G7):4,996
dynabook MZ/HS(Core i7-1165G7):4,967
Microsoft Surface Laptop Studio(Core i7-11370H、RTX3050Ti):4,955
HP Spectre x360 14-ef(Core i7-1255U):4,834
dynabook MZ/MV(Core i7-1255U):4,924
dynabook SZ/MV(Core i7-1255U):4,902
MSI Summit E13 Flip Evo(Core i5-1135G7):4,572
MSI GF63 Thin 10U(Core i5-10500H、RTX3050):4,201
HP ProBook 430 G8(Core i5-1135G7):4,131
Microsoft Surface Laptop Go 2(Core i5-1135G7):4,066
MSI Modern 15 A10M(Core i3-10110U):3,234
PC MarkのスコアはRyzen 5搭載機としては「かなり高い」です。個人的な見解ですが、動画のエンコーディングとか高度な科学技術演算なんかをしないのであればPC Markのスコアは4,000点もあれば十分だと思っています。AYANEO AIRはWindows PCでもありますので、意外に「オフィスワークもサクサク」だったりしますねw
続いてはCPU性能のみを測定するCINEBENCH R23のスコアです。このテストではGPU(GeForceなど)の搭載有無は影響を受けないとされています。
参考(過去データから一部抜粋):
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H):1,918、17,827
マウス DAIV 6P-RT(Core i7-12700H):1,814、12,873
dynabook AZ/HV(Core i7-1260P):1,809、8,940
ASUS Vivobook Pro 15X OLED K6501ZM(Core i7-12650H):1,806、14,632
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H):1,800、15,593
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):1,797、8,791
ASUS Vivobook S 14X OLED(Core i7-12700H):1,745、11,543
HP Spectre x360 14-ef(Core i7-1255U):1,666、7,671
VAIO SX14(Core i7-1280P):1,661、9,354
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P):1,659、13,793
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):1,655、7,586
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):1,647、8,813
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):1,634、8,524
ASUS ROG Strix G15 G513RW(Ryzen 9 6900HX):1,580、14,830
dynabook MZ/MV(Core i7-1255U):1,558、5,094
dynabook SZ/MV(Core i7-1255U):1,551、5,160
ASUS ROG Flow X16 GV601(Ryzen 7 6800HS):1,543、13,832
ASUS Vivobook 15 OLED K512EA(Core i7-1165G7):1,497、5,555
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H):1,491、12,210
ASUS Vivobook Pro 15 OLED(Ryzen 7 5900HX):1,482、12,108
dynabook MZ/HS(Core i7-1165G7):1,477、5,526
ASUS M3700WY(Ryzen 7 5825U):1,454、9,046
MSI Bravo 15 B5(Ryzen 7 5800H):1,422、11,241
Lenovo Legion 560(Ryzen 7 5800H):1,348、11,419
ONEXPLAYER mini(Core i7-1195G7):1,348、3,717
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):1,170、6,973
ASUS ZenBook 14(Core i5-8265U):1,023、3,691
HP Pavilion x360(Core i5-7200U):790、1,740
過去データがRyzen 7とかCore i7搭載機がほとんどなので、低めのスコアに見えてしまいますが、Ryzen 5搭載機としてはそんなに悪いスコアでもないと思います。
SSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。このスコアはPCIe ×2接続のものと思われ、ゲーミングPCとしてはそれほど高速なものではありません。ただ、ゲームにせよそれ以外の用途にせよ、特に不満に感じられるものではないでしょう。実際、レビュー中にゲームの起動がちょっと遅めに感じられた場面はありましたが、おそらくCPU性能によるものでSSDによるものではないと思われます。
4.AYANEO AIR 使用感
ゲームプレイ
実際にゲームをやってみました。というか、ゲームを試してみたかったからこの製品のレビューをお願いした、ということです。まずは「AYANEO AIRにはちょっと荷が重いんじゃないか…」と思われたAAAゲーム、FORZA HORIZON 5から。
グラフィック設定をいくつか試してみましたが、結局「HD解像度の最低画質」に落ち着きました。「低画質」でも明確にカクカクしたりはしないのですが、コントローラー操作に遅延を感じ、動作も緩慢というか、「なんか重い」と感じられたためです。HD解像度の最低画質であれば割と普通にプレイ可能です。
また、「Wreckfest」というレースゲームもプレイしましたが、Wreckfestも「HD解像度の低画質」が最も快適だったものの、中画質くらいでもそこそこ楽しめました。
レースゲーム(ドライブゲーム)の場合、プレイ中にスティックを最大に傾ける(ハンドルを大きく切る)操作が少なくありません。あくまで私の感想ですが、スティックの可動範囲が少し狭いのではないか、と感じられました。この傾向は、同じレースゲームの「Wreckfest」でも感じられました。イメージしているよりも大きく減速しないとヘアピンなどの急カーブが曲がれない、と感じたんですね。
ちなみに私はこれらのレースゲームを普段XBOXコントローラーでプレイしていますが、スティックの可動範囲についてはXBOXコントローラーのほうが大きいと思いました。
次に比較的シンプルなFPSゲーム「Gunfire Reborn」をプレイしてみました。このゲームであればFHD解像度の中画質くらいでもプレイ可能です。また、挙動面でも遅延のようなものは感じられませんでした。
Gunfire Rebornは、はっきり言ってメジャーなタイトルとは言えず、PUBGやCoD、APEXなどで試せればよかったんでしょうけど、これらのゲームタイトルは私も日頃全くプレイしていないので、他機種との比較ができません。申し訳ありません。ただし、コントローラーの操作感は良好だったので、画質設定次第ではありますがFPSゲームには悪くないと思います(ただし、普段キーボードとマウスでプレイしている人も多いと思いますが、そういう人には結構辛いかも)。
…でもね…、すみません、ネガティブな話ばかりで…。5.5インチの画面で素早いエイム(照準を合わせる)、というのは私には難しかったです。思えばPCゲームって、もともと5.5インチの画面でプレイするようには作られていないはずで、それをAYANEO AIRは「一般的なWindows PCと同じ解像度で5.5インチ」にしてしまっているので、「さすがにこのサイズは厳しくないか?」と感じる人もいるんじゃないでしょうか。
Nintendo Switchは「PCゲームではなく、Switch用に設計されたゲームで遊ぶ」わけですよね?一方でAYANEO AIRは「PC用のゲームを遊ぶために、このサイズにハイスペックなWindows用のパーツをぶちこんだ」わけです。なので、PCゲームの画面がきっちり表示され、きっちり動作するんですけど、「それについていけない人間もいる。それになじまないゲームもある」ということだと思います。
バッテリー駆動時間
皆さん、一回のゲームプレイを何時間くらいされますか?私は1時間程度のことが多いです。1時間程度のゲームプレイであれば、タイトルにかかわらずバッテリー駆動で楽しめると思います。ちなみにTDP15WでFORZA HORIZON 5を40分程度プレイして、バッテリー消費量は70%程度でした(つまり1時間くらいでバッテリーが切れるはず)。FORZA HORIZON 5はかなり重いタイトルですし、TDPを最大まで上げてのプレイだったので、タイトルごとにTDPやディスプレイ解像度を調整すれば、2時間くらいはバッテリー駆動が可能になるケースもあると思われます。
また、この製品はもちろん、充電しながらのゲームプレイが可能です。なので、ご自宅とかお友達の家などでゲームをする場合、バッテリー切れはあまり心配しなくていいんじゃないか、と思います。
ディスプレイの発色
さすが有機EL、発色は素晴らしいです。ただ、ゲームタイトルによって解像度を落としたり、画質設定を落とす必要があるので、その点はちょっと残念ですね。
スピーカー
AYANEO AIRの筐体サイズを考慮すれば、割と健闘しているほうだと思いますが、音がこもり気味で、「よくあるノートPCのスピーカー」と大差ありません。最近レビューした上位クラスのノートPCよりは明らかに劣ります。ただ、ここはある意味想定通りと言うか、この筐体サイズの製品としては納得、と言っていいんじゃないでしょうか。
発熱とファン音
上でご説明した通り、FORZA HORIZON 5をプレイしてみて、手元に大きな発熱を感じることはありませんでした。ただし、筐体の発熱は少なからずあります。上側面の通気口付近とか背面・ディスプレイ面に結構な熱を感じました(要はグリップ以外の部分が結構熱くなる)。ただし、プレイ中に発熱による性能低下を感じることはありませんでした。
また、ファン音やバイブレーションの音はあります。ありますが、過去にレビューしたONEXPLAYER miniほど気になりません。ゲームプレイ中にイヤホンを使う場合はもちろんのこと、イヤホンなしでもファン音で気が散るってプレイできない、というほどではないと思います。
5.AYANEO AIR レビューまとめ
AYANEO AIR(スタンダード版)はハイビーム公式オンラインストアに製品ページがあり、価格は税込み117,000円ですが、11月1日現在は在庫切れです(再入荷を待ちましょう)。
「使用感」のところで述べた通り、私としては正直「イマイチ」の使用感でした。具体的にはキーとなるアプリAYA SPACEの熟成が不足していた、(プレイするゲームによりますけど)アナログスティックの操作性がいまひとつであった、そもそも5.5インチの画面だと視力の悪い私にはPC用のFPSゲームをプレイするのはちょっと厳しい、などの点が挙げられます。また、他のゲーミングUMPCのほとんどが「発売時点で最高性能に近い省電力CPUを搭載している」中、Ryzen 5 5560UというCPUはパフォーマンス面で見劣りする、というのも否めないところです。
一方で、「AYANEO AIRの最大の魅力って何なのよ?」と考えると、やはり「サイズ感」ですよね。そりゃね、Ryzen 7 6800Uを搭載して、一回りも二回りも大きいサイズのゲーミングUMPCのほうが快適にゲームプレイができるのは間違いないですし、もっと言うと外部GPUを搭載する15.6インチとかのゲーミングノートのほうが格段に快適に決まっています。
AYANEO AIRのすごいところは「Windows PCとして、5.5インチサイズで、重さ398 gでここまでやり遂げた」という点だと思います。おそらくAYA SPACEに関しては今後OTAアップデートで熟成が進むと思いますし、すべてのオンラインゲームがサクサク動かないとしても、サクサク動くゲームだってたくさんあるはずですから、まずはそれを楽しめばいいと思います。
AYANEO AIRはパフォーマンスを最優先する人には向きませんが、ゲーミングUMPCが目指す「いつでもどこでもPCゲームを」というコンセプトには最も合致した製品ですね。
6.関連リンク
AYANEO AIR スタンダード国内正規版:ハイビーム
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