HP Pavilion 15-eh(AMD)の実機レビューです。世界最大のPCメーカーの「定番」スタンダードノートで、HPでも「全ての要素を兼ね備えた王道ノートパソコン」と称する15.6インチスタンダードノートです。長年モデルチェンジを重ねつつ、PCとして「安定のパフォーマンスと機能性」を磨いてきた、スペックや機能、デザインのバランスに優れた製品です。
・シンプルでクリーンなデザイン、高い質感の筐体
・クセがなく、使いやすいキーボード
・Ryzen 7 5825U搭載で高い処理性能
・Bang&Olufsenステレオスピーカーによるクリアなスピーカー音質
ここがイマイチ
・PCに「強い個性」を求める人には物足りないかも
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HP Pavilion 15-eh(AMD)製品詳細:HP
目次
1.Pavilion 15-eh スペック
HP Pavilion 15-eh | |
OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen 5 5625U/ Ryzen 7 5825U |
外部GPU | なし |
RAM | 8GB/16GB(DDR4-3200, 最大16GB) |
ストレージ | 512GB/1TB SSD(PCIe NVMe M.2) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 15.6インチIPS (1,920 x 1,080)タッチ |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth5.2 |
入出力 | USB Type-C(10Gbps)、USB Type-A(5Gbps)× 2、HDMI、オーディオジャック |
カメラ | Webカメラ(92万画素) |
バッテリー | 駆動時間 最大 8.5時間 |
サイズ | 360 × 234 × 17.9-20.0 mm |
重量 | 1.71 kg |
バリエーションモデル
・スタンダードモデルG3:Ryzen 5/8GB/512GB
・スタンダードモデルG3:Ryzen 5/16GB/512GB
・パフォーマンスモデルG3:Ryzen 7/16GB/1TB
※左からCPU/RAM/SSD
レビュー機の仕様
「Ryzen 7 5825U/RAM16GB/1TB SSD」という構成の、シリーズ中最上位となる「パフォーマンスモデルG3」というバリエーションモデルで筐体色は「セラミックホワイト」です。
コメント
「どのバリエーションモデルを選ぶのがよいか」ということについて、簡単に意見を述べます。上に記載した通り、Pavilion 15-ehには3つのバリエーションモデルがあり、最も低価格な「Ryzen 5/RAM8GB/512GB SSD」モデルでもすぐに性能面の不満が出るとは思いませんが、購入後数年愛用する(愛用できる品質の)製品ですから、できればRAM8GBモデルは選択されないほうがいいと思います。Windows 11は年に2回程度の大型アップデートがあり、アップデートのたびにシステムが肥大化していくことが想定されますし、ソフトウェアもどんどん高度化・複雑化していくと思います。そこまで想定すると数年後にはRAM8GBでは容量不足を感じることになるかもしれません。
Pavilion 15が搭載するRyzen 5/Ryzen 7は数年間使い続けることができるくらいの性能はありますので、それも踏まえ、ご予算に余裕があるようでしたら、RAM8GBモデルは避けるほうが安心です。
2.Pavilion 15-eh 外観と使用感
同梱物です。ケーブル類は「ACアダプター」「電源ケーブル」「ウォールマウントプラグ」の3つがあり、コンセントから距離がある場所で使用する場合は「ACアダプター+電源ケーブル」を、コンセントが近くにある場合は「ACアダプター+ウォールマウントプラグ」を組み合わせて使います。ウォールマウントプラグはケーブルがないため、省スペースで持ち運びの際に便利です。
ACアダプターは45W出力でサイズは一般的なものよりもコンパクトです。実測重量は「ACアダプター+ウォールマウントプラグ」が201 g、「ACアダプター+電源ケーブル」が272 g、「ACアダプター+電源ケーブル+ウォールマウントプラグ」が313 gで、特にACアダプター+ウォールマウントプラグの組み合わせで201 gというのは15.6インチノート用としては抜群に軽量・省スペースと言えます。
天板です。レビュー機の筐体色セラミックホワイトは、実は特殊な塗装(加工)技術が使われています。アニオン電着塗装(AED)といい、傷や指紋汚れに強く、非常になめらかな手触りです。あくまで個人的な意見ですが、Pavilion 15-ehを購入される際は、この色にすべきではないか、と思っています(他にフォグブルーという筐体色もありますが、こちらにはアニオン電着塗装は使われていません)。
底面です。こちらは天板色とは異なりシルバーです。この画像の下側が手前側(開口部)になるのですが、左右にスピーカーグリルがあります。Pavilion 15-ehはステレオスピーカーを搭載しており、Bang & Olufsen サウンドシステムにより、高品質なサウンドを聴かせてくれます(後述します)。
前面と背面です。ポート類やボタン類はありません。前面(上の画像)を見ていただくと、上面(ディスプレイ面)下面(キーボード面)とも中央に向かって角度がつけられているのがわかると思います。この形状により指のかかりが良くなり、ヒンジ開口が容易になります。
背面の中央の「P A V I L I O N」のロゴ、ちょっと外国っぽくてカッコいいです。
左右の側面です。右側面(上の画像)には左からセキュリティロックスロット、USB Type-A、DC-INジャックがあり、左側面(下の画像)には左からHDMI、USB Type-A、USB Type-C、イヤホンジャックがあります。15.6インチノートとしては標準的なポート構成ですが、できれば有線LANポートとSD(microSD)カードリーダーは装備していてほしかったところです。
キーボードです。「キーピッチ約18.7×18.7mm、キーストローク約1.3mm、JIS標準準拠106キー」と開示されており、バックライト(明るさを2段階に調整可能)も装備しています。配列は素直でクセが小さいと思います。また、キートップはフラットで、指のかかりをよくするためのへこみなどはありません。
キーボードの使用感
打鍵音は静かで、静かな場所でもあまり気を使うことなく使えると思いますが、EnterキーやSpaceキーなど大型のキーはやや打鍵音が大きめです。バックライトはもちろんキートップの視認性を改善してくれますが、もともとキートップの印字が見やすいため、多少薄暗い場所であっても必要性を感じませんでした。
繰り返しになりますが配列も素直で、キー配列を理由としたミスタイプはほとんどありませんでした。しいて言えば右上にあるDeleteキーがちょっと小さくて使いにくかった、というくらいですが、これもすぐになれるだろう、と思えるレベルです。
使いはじめてすぐに思い通りに使える、よく出来たキーボードだと思います。
ディスプレイは15.6インチのIPS液晶、FHD(1,920 × 1,080)と、ごく標準的な仕様ですが、「タッチ対応します」。コンバーチブル2 in 1タイプの製品であればディスプレイがタッチ対応するのは普通ですが、Pavilion 15のような「定番クラムシェルノート」でタッチ対応ディスプレイを採用しているケースは多くはありません。特に初めてPCを購入するスマホ世代の人にとって、ディスプレイをタッチ操作できるというのは「とっつきやすさ」という点では素晴らしいのではないかと思います。
ディスプレイの使用感
ブラウザー上で「花」を画像検索し、手持ちのディスプレイ(27インチIPS液晶、FHD解像度、100%sRGBの発色品質)と発色を比較してみました。Pavilion 15のディスプレイは100%sRGBなどの具体的な数値が開示されていませんが、原色、特に赤系の色味が少し弱く感じられます。要は「赤い花」で比較すると少しくすんで見える、ということです。ちなみに黄色い花と青い花は十分キレイと感じられました。
スタンダードノートとして、お仕事用や学習用として使う場合、発色品質について心配する必要はないと思います。一方で繊細な色の識別が必要な人は、同じHP製品でもPavilion 15ではんく、有機ELディスプレイや4Kディスプレイを搭載する製品を選択するほうがいいかもしれないですね。ディスプレイの発色については上位モデルに一歩譲る、という感じです。
それと、このディスプレイはグレア(光沢)タイプです。より美しい発色、という点では有利なのですが、ノングレア(非光沢)タイプのディスプレイと比較すると、どうしても映り込みが激しくなり、設置場所を選ぶ、というウイークポイントがあります。モバイルノートの場合、外出先などで思い通りの場所に設置ができない場面が想定されますので、ノングレアタイプが好ましい(ウインタブの意見です)ですが、Pavilion 15の場合は据え置きでの利用が多いと思いますので、最初に設置場所を決めてしまえばそれほど問題にはならないかな、と思います。
ヒンジを最大開口したところです。最近増えている180°(水平位置)開口はできませんが、実用面では十分な角度が確保されていると思います。
スピーカー音質
Pavilion 15はBang&Olufsenステレオスピーカーを搭載しています。音質はクリアで、PCの内蔵スピーカーによく見られる、こもった音質ではありません。
音響アプリにB&O Audio Controlがインストールされており、音楽シーンごとのプリセットやマニュアルでイコライザーを操作できますので、好みの音質に仕上げることもできます。
HP製品でBang&Olufsenスピーカーを搭載しているものは、ウインタブの経験上すべて音質が良く、PC用スピーカーとしては非常に高く評価できます。Pavilion 15のスピーカー品質も期待を裏切らないものになっていると思います。
バッテリー駆動時間
Windowsの設定にある電源モード「トップクラスの電力効率」に設定し、ディスプレイ輝度を70%に、音量を30%に設定して実際にPCで軽めの作業をし、バッテリー消費を確認しました。
・画像加工ソフトGIMPで簡単な画像加工(30分)
・ブラウザー上でYouTubeを開き、動画視聴と音楽鑑賞(30分)
・テキストエディターで文章入力(15分)
※合計測定時間は75分
上記の作業(利用)でバッテリー消費量は22%でした。単純計算で1時間あたり約17.5%のバッテリー消費、バッテリー駆動時間は5時間半~6時間程度となります。ウインタブでは特定のソフトウェアを使用せず、実際に日常的な操作を行ってバッテリー駆動時間を測定していますが、ほとんどの場合「メーカー公称値の半分くらい」になります。また、バッテリー駆動時間の評価について他のレビューサイトよりも辛口の評価になっていることも認識しております。ただし、上記の通り、「そんなにPC負荷の高いことはしていない」んですよね。なので、あくまで「ウインタブの評価」としてそのまま掲載するしかないんです。
その前提であっても、Pavilion 15のバッテリー駆動時間は優秀な部類だと思います。出先に持ち出して終日使う場合でも、打ち合わせや昼食、休憩などを挟むことが多いでしょうから、このくらいの駆動時間が確保できているのであれば終日バッテリーのみで使えると思います。
3.Pavilion 15-eh 性能テスト
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。どちらかというとビジネス系のPCの性能測定で重視すべきベンチマークテストと言えます。また、このテストではCPU性能の影響が大きいとされますが、テスト内容にグラフィック系のシミュレーションも含むため、外部GPUの性能も少なからず影響します。
参考(過去データから一部抜粋):
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti):7,943
ASUS ROG Strix G15(Ryzen 7 6800H、RTX3060):7,037
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P、RTX3060):6,675
マウス DAIV 6P-RT(Core i7-12700H、RTX3050Ti):6,603
ASUS M3700WY(Ryzen 7 5825U):5,905
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):5,564
ASUS Vivobook S 14X OLED(Core i7-12700H):5,528
dynabook AZ/HV(Core i7-1260P):5,503
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):5,468
VAIO SX14(Core i7-1280P):5,452
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):5,437
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):5,366
VAIO SX14(Core i7-1195G7):5,278
ASUS Vivobook 15x OLED X1503ZA(Core i7-12700H):5,244
Lenovo ThinkPad X13(Core i7-1165G7):5,205
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):5,076
DELL Inspiron 14 AMD(Ryzen 5 5625U):5,031
ASUS VivoBook 15 K513EA(Core i7-1165G7):5,017
DELL XPS 13 Plus(Core i5-1240P):4,980
dynabook MZ/HS(Core i7-1165G7):4,967
Microsoft Surface Laptop Studio(Core i7-11370H、RTX3050Ti):4,955
dynabook MZ/MV(Core i7-1255U):4,924
dynabook SZ/MV(Core i7-1255U):4,902
HP Spectre x360 14(Core i7-1255U):4,834
MSI Summit E13 Flip Evo(Core i5-1135G7):4,572
MSI GF63 Thin 10U(Core i5-10500H、RTX3050):4,201
HP ProBook 430 G8(Core i5-1135G7):4,131
Microsoft Surface Laptop Go 2(Core i5-1135G7):4,066
MSI Modern 15 A10M(Core i3-10110U):3,234
外部GPU(NVIDIA GeForceなど)を搭載しないPCとしては非常に高いスコアをマークしました。レビュー機の搭載CPUはRyzen 7 5825Uで、最新のRyzen 6000番台ではありません(ただし、現行型番なので、古いというわけではありません)が、PC Markが想定するビジネスシーンでの各種操作は極めて快適にこなせるはずです。
グラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。外部GPU搭載のゲーミングPCでは最も重要になるテストで、外部GPU非搭載のPCでは全体的にスコアは低めとなります。
参考(外部GPU非搭載のノートPC):
ASUS Zenbook 14x OLED Space Edition(Core i9-12900H):2,165、5,523、15,596
VAIO SX14(Core i7-1195G7):2,069、5,422、14,536
VAIO SX14(Core i7-1280P):2,016、5,427、14,736
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):1,983、5,150、14,515
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):1,957、5,170、13,807
ASUS ExpertBook B9 B9400CEA(Core i7-1165G7):1,832、5,142、11,928
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):1,814、4,882、12,868
HP Spectre x360 14(Core i7-1255U):1,792、4,719、13,005
Lenovo ThinkPad X13(Core i7-1165G7):1,762、4,785、12,663
ASUS Vivobook S 14X OLED(Core i7-12700H):1,702、3,878、10,476
Vivobook 15X OLED(Core i7-12700H):1,597、3,933、9,463
VAIO Z(Core i5-11300H):1,571、4,213、11,375
DELL XPS 13 Plus(Core i5-1240P):1,543、4,388、11,687
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):1,526、3,664、9,843
dynabook AZ/HV(Core i7-1260P):1,516、3,649、9,019
ASUS M3700WY(Ryzen 7 5825U):1,499、3,650、7,256
MSI Summit E13 Flip Evo(Core i5-1135G7):1,498、4,213、11,048
dynabook SZ/MV(Core i7-1255U):1,334、3,343、9,243
dynabook MZ/MV(Core i7-1255U):1,277、3,254、8,801
Microsoft Surface Laptop Go 2(Core i5-1135G7):1,271、3,607、10,227
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):1,106、2,912、6,173
HP ProBook 430 G8(Core i5-1135G7):999、2,307、6,266
DELL Inspiron 14 AMD(Ryzen 5 5625U):753、1,764、3,892
※左からTime Spy、Fire Strike、Wild Lifeのスコア
3D Markについても搭載CPUからみて順当なスコアになったと思います。過去データを見ていただくとわかると思いますが、3D Markに関してはRyzenよりも第11世代以降のIntel Core搭載の製品のほうが高いスコアとなる傾向があります。とはいえ、このスコアであれば比較的古いゲームタイトルや軽量なゲームタイトルであれば十分楽しめると思います。
なお、画像にあるNight Raidについては今回のレビューから初採用していて過去データがありませんので、今回コメントは控えます。
SSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。このスコアも十分すぎるくらいに高く、ほとんどの操作でもたつきを感じることはないでしょう。
4.Pavilion 15-eh レビューまとめ
HP Pavilion 15-eh(AMD)はHPオンラインストアで販売中で、12月1日現在の価格は税込み98,000円から、となっています。また、レビュー機の構成「Ryzen 7/RAM16GB/1TB SSD(パフォーマンスモデルG3)」の価格は税込128,000円です。
Pavilion 15はHPの売れ筋・定番の15.6インチノートです。「使いやすいキーボード」「発色面で不満がなく、タッチ操作もできるディスプレイ」「クリアで音楽鑑賞もできるスピーカー」「指紋がつきにくく、手触りの良い天板」「シンプルでプレーン、そして質感の高い筐体」と、思いつく部分すべてが水準以上でした。
一方で、「できれば有線LANポートはほしかった」とか「より高精細で高い発色品質のディスプレイを選べるようにしたい」といった、細かい不満がないわけではありません。ただ、全体的に見て「普段使いのPCとしてのバランス」は本当に素晴らしいものでした。
HPはPavilion 15について、こう説明しています
全ての要素を兼ね備えた王道ノートパソコン
パソコンを選ぶ際に気になるスペックや機能、デザイン、価格といった様々な要素を、高い次元でバランスよく満たすのがPavilion 15-ehの最大の強み。
「パソコンのことは良く分からない」「パソコン選びって難しい」と思っている方にこそ、自信を持って選んでいただける1台です。
レビューを終えてみて、私はこの表現が正しいものであると思います。もちろん「ゲームをしたいのでGeForceなどの外部GPUを搭載するゲーミングノートにしたい」「毎日外出時に持ち出すので、できるだけ小さくて軽いノートPCがほしい」など、明確なニーズのある人にまでPavilion 15が最適である、と主張するつもりはありません。ただ、「迷ったらPavilion」でいいんじゃないか、と思います。
5.関連リンク
HP Pavilion 15-eh(AMD)製品詳細:HP
HPのおすすめノートパソコンはこれ!目的に合わせて7機種を厳選!【2022年12月版】:HPのノートパソコン選びガイド記事
コメント
余計なお世話ですが
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…うわぁ、超恥ずかしい。ご指摘ありがとうございました(指摘されなければ気づかなかった…)。即刻修正しました。