ASUSの、ディスプレイに有機ELを搭載する高性能15.6インチノート「Vivobook Pro 15 OLED M3500QA」の実機レビューです。製品名に「Pro」とあるように、昨年末に実機レビューをした「VivoBook 15 OLED K513EA」よりも高いスペックと、少し異なる筐体デザインになっています。
なお、VivoBook 15 OLED K513EAの実機レビュー記事はこちらです。合わせてご覧ください。
ASUS VivoBook 15 OLED K513EAの実機レビュー - 使いやすいスタンダードノートのディスプレイが有機ELに!
なお、「Vivobook Pro 15 OLED」には今回レビューする「M3500QA」のほか、「K3500PC(Intel Core i7+GeForce RTX3050)」と「M3500QC(Ryzen 7+GeForce RTX3050)」という型番がありますが、ここではM3500QAに絞ってご紹介します
・有機ELディスプレイの素晴らしい発色品質
・Zen3のRyzen搭載、Ryzen 9も選択可能
・「Pro」モデル独自のデザイン
・30日間返品保証(期間限定)
・あんしん保証プレミアム3年パックが無料(期間限定)
ここがイマイチ
・テンキー部分の配列が個性的、少し慣れが必要
販売サイトはこちら(ASUS Store)
Vivobook Pro 15 OLED M3500QA (M3500QA-L1066W)
Vivobook Pro 15 OLED M3500QA (M3500QA-L1043W)
Vivobook Pro 15 OLED M3500QA (M3500QA-L1043WS)
Vivobook Pro 15 OLED M3500QA (M3500QA-L1135W)
目次
1.Vivobook Pro 15 OLED スペック
スペック表
Vivobook Pro 15 OLED M3500QA |
|
OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen 7 5800H / Ryzen 9 5900HX |
外部GPU | なし |
RAM | 8GB / 16GB(DDR4-3200) |
ストレージ | 512GB / 1TB SSD(PCIe 3.0 x4) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 15.6インチOLED(1,920 × 1,080) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.1 |
入出力 | USB 3.2 Gen1 Type-C、USB3.2 Gen1、USB2.0×2、HDMI、オーディオジャック、microSDカードリーダー |
カメラ | Webカメラ(92万画素) |
バッテリー | 稼働時間 約14.7時間 |
サイズ | 359.8 × 235.3 × 20.4 mm |
重量 | 1.65 kg |
バリエーションモデル
・M3500QA-L1066W:Ryzen 7/8GB/512GB
・M3500QA-L1043W:Ryzen 7/16GB/512GB
・M3500QA-L1043WS:Ryzen 7/16GB/512GB/Office
・M3500QA-L1135W:Ryzen 9/16GB/1TB(レビュー機の構成)
※左からCPU/RAM/SSD
※OfficeとはMicrosoft Office Home&Business 2021
※Office付属モデル以外はWPS Office 2付属
コメント
「Pro」ではないVivoBook 15 OLEDが第11世代のIntel Coreプロセッサーを搭載しているのに対し、Vivobook Pro 15 OLEDはゲーミングノートなどにも使われている高性能版(高TDP版)のRyzen 7/Ryzen 9を搭載しています。ただしM3500QAではGeForceなどの外部GPUの設定はありません(M3500QCという型番のモデルはGeForce RTX3050を搭載します)。
RAMは8GBもしくは16GB、ストレージは512GB/1TBで、レビュー機はRyzen 9 5900HX/RAM16GB/1TB SSDと、非ゲーミングノートとしては非常に高いスペックになっています。
そして、この製品の大きなセールスポイントがディスプレイです。15.6インチの有機EL、FHD解像度となっていて、昨年レビューしたVivoBook 15 OLEDと同じ仕様ですが、VivoBook 15 OLEDの発色性能は「絶賛」できるものでしたから、この製品のディスプレイ品質も素晴らしいものになっていると思います。
では、筐体から見ていきましょう。
2.Vivobook Pro 15 OLED 筐体と使用感
同梱物
同梱物です。ペーパー類は少し多めに見えますが、レビュー機にはWPS Office 2が付属しているため、そのライセンスカードもあります。また、ASUSのPCにはしっかりした取扱説明書が付属します。
ACアダプターは90Wと、一般的なスタンダードノートPCよりも高出力なものになっており、実測重量も329 g(電源ケーブル込み)と、やや重くなっています。
VivoBookシリーズのお約束、「元気が出るカード」もありました。これで天板を飾ったりすると楽しくPCを使えそうです。
天板と底面
天板です。天板の素材は金属で、多分アルミ合金でしょう。筐体色は「クワイエットブルー」と言いますが、「ほとんど黒」ですね。角度によって少し青みがかった感じになります。
天板のロゴは「プレート」になっていて、Proではない他のVivoBookシリーズとは差別化され、高級感があります。
底面です。この画像の上側がヒンジ、下側が開口部(手前側)ですが、左右にスピーカーグリルがあります。Vivobook Pro 15 OLEDはharman/kardonチューニングのステレオスピーカーを搭載しています。
側面
前面にはボタン類・ポート類はありません。
背面も同様にポート類やボタン類はなく、ヒンジがあるのみ。
左側面です。こちらにはUSB 2.0ポートが2つとLEDインジケーターがあります。
右側面です。画像左からイヤホンジャック、microSDカードリーダー、USB 3.2 Gen1 Type-C、HDMI、USB 3.2 Gen1 Type-A、そしてDC-INジャックがあります。
キーボード
キーボードです。キーピッチは手採寸で19 mm弱(18.7-18.8 mmくらいかと思います)でキーストロークはノートPCとしてやや浅めから標準的くらい、明るさを3段階に調整できるバックライトがついています。
VivoBook 15 OLEDではEnterキーの側面がイエローに塗られていましたが、Proではそれがなく、Enterキーの下部に控えめに模様が入っている程度です。キー配列は両者同じだと思いますが、個々のキーの形状(サイズ)は微妙に違っていて、例えば左上の全角/半角キーなどはProのほうが少し大きくなっています。
アルファベットキー部分(テンキー以外の部分)については素直な配列だと思いますが、テンキー部分はサイズも小さく、配列も少し特殊です。ASUSのテンキーは最近この配列になっているものがほとんどで、右下のEnterキーが小さく、加減乗除キーが上部に集められているのが特徴です。
キーボードの使用感
アルファベットキーに関しては配列にクセがなく、キーピッチも適正(余裕がある)なので、この製品に慣れていない状態でも快適なテキスト入力ができました。また、打鍵感も気持ちのいいものでした。打鍵音も比較的小さめなので、カフェなどに持ち込んで使っても周囲にあまり気を使わなくていいだろうと思います。
一方で、やはりテンキー部分にはクセを感じます。私は日常的にテンキーを使う頻度が小さいため、特に不自由は感じませんでしたが、お仕事で大量の数値入力をする人には少し慣れが必要かと思います。
キートップはフラットで、特に加工はありません。
ディスプレイ
ディスプレイ面のベゼル幅は「普通に細い」ですね。他社製品と比較しても特筆するような細さではありませんが、2022年のスタンダードノートとしては十分な細さになっていると思います。
この画像の(デスクトップの)壁紙はASUSの有機EL搭載PCでよく見かけるデザインですが、「鮮やかさを強調している」というか、発色の良さが伝わってくるようなものになっています。
このディスプレイはグレア(光沢)タイプなので、このように映り込みは大きめです。発色の良さを十分に活かすためにグレアタイプにしたと思いますので、この点は仕方ないのかな、と思います。この製品はスタンダードノートですが、外出先で(思うに任せない場所で)使う場面もあるかもしれませんので、そのような場合は映り込みの小さいノングレア(非光沢)タイプのほうが望ましいですけどね。
最近のノートPCでよく搭載されているWebカメラの物理シャッターも装備しています。
ASUSのノートPCには「My ASUS」という設定アプリが入っています。このアプリにはディスプレイに関する設定項目もあります。有機ELディスプレイは「焼き付き」が心配という人もいると思いますが、My ASUSには「ASUS OLED care」という項目があり、ピクセルリフレッシュ(一定時間経過後に特別なスクリーンセーバーを起動する)やピクセルシフト(静止映像が固定的に表示されないよう、体感できないわずかなレベルで映像を移動させる)といった機能がありますので、これらを常にオンにしておくと安心です。
「Splendid」という項目もあります。発色を「通常」「ビビッド」「手動(色温度の変更)」「ブルーライト軽減」から選べます。それと、「ターゲットモード」は、「アクティブウィンドウを明るくし、それ以外を暗くする」機能です。
ディスプレイの使用感
この製品のディスプレイ品質については「100% DCI-P3、133% sRGB、PANTONE認証取得、コントラスト比1,000,000:1、液晶モニターの50倍の応答速度(0.2 ms)」という数値が物語っており、私が「いやあ、キレイですねー」ということを書く必要はないかと思います。
手持ちの液晶モニターと発色を比較してみましたが、有機ELの特長である「黒がしっかり黒い」「原色が非常に鮮やかで深みがある」といったことが見て取れました。ウインタブでASUSの有機EL搭載PCをレビューするのはこれで3回目ですが、本当に素晴らしい発色性能だと思います。クリエイターやディスプレイ品質にこだわりのある人にはぜひに、とおすすめしたいディスプレイです。
なお、設定アプリ「My ASUS」の「Splendid」ですが、私の個人的な感想としては「通常」が最も自然な発色で、「ビビッド」にすると全体が明るく感じられ、そのぶん原色の鮮やかさが若干損なわれるように感じられました。
筐体その他
ヒンジを最大開口したところです。このように水平位置(180度)までは開けませんが、普通に作業する上では十分な開口角度を確保しています。
スピーカーの使用感
15.6インチのスタンダードノート(つまり、モバイルノートよりもサイズが大きいので、音質面では有利)ということもあり、自然でクリアな音質です。
設定アプリにDTS Audio Processingが入っており、これをオンにすると全域で活発な音質となり、気持ちよく音楽鑑賞ができます。ノートPCの内蔵スピーカーとしては非常に高く評価できます。少し間が開いてしまいましたが、(Proではない)VivoBook 15 OLEDよりも音がいいように思われました。
バッテリー駆動時間
実際にVivobook Pro 15 OLEDを使って2時間ほど作業をしたり、動画を観たりしてみました。ディスプレイ輝度はほぼ70%(ごく短時間100%にしています)、音量は30%、キーボードバックライトは一番暗いものに設定していました。具体的には、ブラウザーを開き、WordPress上でテキスト入力を1時間半、Webでの調べ物を30分、「ながら」でYouTubeの音楽を40分ほど流しました。
この使い方で2時間で26%のバッテリー消費となりました。単純計算だと1時間あたり13%のバッテリー消費、バッテリー駆動時間は7時間半~8時間、ということになります。ただこれ、先日実機レビューをした「Proがつかない」VivoBook 15の2倍近いバッテリー持ちなんですよね…。VivoBook 15のバッテリー駆動時間公称値は4.7時間、このProの公称値は14.7時間と、確かに「全然違う」ものになっていて、「ASUSの誤記載かな」と思ったのですが、実際の駆動時間にも大きな差がありました。
ともあれ、真面目に測定した結果を記載しているつもりなので、結論としてVivobook Pro 15 OLEDは「出先で終日バッテリー駆動が可能」であると評価します。
3.Vivobook Pro 15 OLED 性能テスト
ベンチマークテスト
スコアの目安(2021年水準)※あくまで「目安」です | |
GeForceなど外部GPU搭載機 | 5,000以上 |
高性能なビジネスノートパソコン | 4,000以上 |
中位のノートパソコン | 3,000以上 |
エントリーノートパソコン | 2,000以下 |
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。CPU性能の差(影響)が出やすいテストですが、テスト項目にグラフィック処理も含んでいますので、外部GPUを搭載する製品のほうが高いスコアが出ます。
スコアのほう、6,157点と、外部GPU非搭載機としては最高水準となりました。さすがRyzen 9 5900HX搭載機です。ちなみにウインタブで過去最高のスコアをマークしたのはMSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H / GeForce RTX3070Ti搭載)の7,417ですが、ゲーミングノートであっても上位モデルでないと6,000点すら越えられませんので、外部GPU非搭載で6,000点オーバーというのは「極めて高い」と言えます。
グラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。残念ながらここでは「低い」と言わざるを得ません。このテストはPC Markとは逆に、CPU性能よりもGPU性能の影響が大きくなります。そのため、GeForce GTX/RTXなどの外部GPU搭載機のほうが圧倒的に高いスコアとなりますが、外部GPU非搭載機の場合は、第11世代(Tiger Lake)のCore i5/Core i7のスコアがRyzenを圧倒します。これは内蔵GPUに「Iris Xe」を搭載しているためで、例えばCore i7-1165G7を搭載するASUS ExpertBook B9のTime Spyのスコアは1,832、FireStrikeのスコアは5,142です。
PC Markでは非常に素晴らしいスコアを記録したVivobook Pro 15 OLEDですが、グラフィック性能はRyzen 9だから高い、という感じではありません。
次にCPU性能のみを測定するCINEBENCH R23のスコアです。このテストはグラフック性能は関係ありませんので、やはり「極めて高い」スコアになりました。特にマルチコアのスコアが非常に高く、この部分では第11世代のIntel Coreプロセッサーよりも数段上、と言えます。
最後にSSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。PCIe 3.0 ×4接続にふさわしい、超高速なものになっています。クリエイターの人が大容量の動画を読み書きする場合などに威力を発揮してくれそうです。ただ、Excelファイルを開く、みたいな一般的なビジネス用途ではその速さを体感できないでしょうね(この半分以下の速度でも十分速いと感じるので)。
発熱とファン音
オンラインゲームや複雑な動画編集などを別とすれば、発熱もファン音も特に気にしなくて大丈夫です。
ただし、ベンチマークテスト中は、(当たり前ですけど)ファン音はします。しかし、ゲーミングノートのように大きな音がするわけではなく、一般的なスタンダードノートとそんなに変わらないか、むしろ静かな部類だと思います。発熱についてはベンチマークテストを意図的に数回連続して実施してもキーボード面上部が多少熱を持つくらいで、「熱くてキーボードが触れない」などということにはなりませんでした。
4.Vivobook Pro 15 OLED レビューまとめ
ASUS Vivobook Pro 15 OLEDはASUS Storeで販売中で、2月12日現在の価格は下記のとおりです。
・M3500QA-L1066W:Ryzen 7/8GB/512GB:129,800円
・M3500QA-L1043W:Ryzen 7/16GB/512GB:139,800円
・M3500QA-L1043WS:Ryzen 7/16GB/512GB/Office:169,800円
・M3500QA-L1135W:Ryzen 9/16GB/1TB:149,800円
※左からCPU/RAM/SSD
※4月30日まで「30日間無料返品保証」
※「あんしん保証プレミアム3年パック」プレゼント
「まとめ」の前にちょっとご案内を。この製品は「30日間無料返品保証」がつきます。初期不良などではなく「イマイチ気に入らない」といった理由でも返品が可能(ただし、製品にキズや汚れをつけない、外箱や同梱物を完備しておく等の常識的なマナーは必要です)です。これは購入時の不安を大きく軽減してくれるサービスだと思います。
また、通常のメーカー保証(初期不良や自然故障の場合に適用)に加え、「あんしん保証プレミアム3年パック」もプレゼントされます(申込みが必要です)。あんしん保証プレミアムは「故障の原因を問わず、1年に1回までは自己負担ゼロで修理してもらえる、というもので、例えば「SSDを交換しようとして内部のパーツを破損した」「不注意で水没させた」などの、通常の保証ではカバーされない故障も保証対象になります。ASUSの方いわく「シリアルNo.さえ識別できればなんでも修理します」とのこと。これが3年間つく、というのは超安心です。
さて、今回レビューしたVivobook Pro 15 OLEDは、ProがつかないVivoBook 15 OLEDのCPU強化版と言えますが、筐体デザインやキーボードに少し違いがあります。他のVivoBookシリーズが「Enterキーのキートップ側面がイエローに塗られている」などの遊び心が感じられるのに対し、Proは天板ロゴにプレートを使用するなど、「ちょっとグレードアップ」した筐体になっていて、ビジネスマシンっぽさが強くなっていると思います。
パフォーマンスに関しては、レビュー機がRyzen 9搭載モデルであったこともあり、PC MarkやCINEBENCHなどで極めて高いスコアをマークしたものの、グラフィック性能に関してはIntel Coreプロセッサー搭載機に一歩譲る、という感じでした。個人的には高度な技術系の演算を意識しないのであればRyzen 7モデルでも十分かな、とは思います。
ASUSの直近リリースされた有機ELディスプレイモデルは、発色性能において期待を裏切りません。繊細な色の識別が必要な人(クリエイターなど)に向くのはもちろん、ディスプレイがキレイだと普段使いでも気持ちよさが全然違いますよね。残念ながら短期間の試用では有機ELパネルの耐久性については言及が難しいですが、上にご説明した「あんしん保証プレミアム3年パック」がありますので、この点についても不安はないでしょう。
5.関連リンク(ASUS Store)
Vivobook Pro 15 OLED M3500QA (M3500QA-L1066W)
Vivobook Pro 15 OLED M3500QA (M3500QA-L1043W)
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