Teclastのタブレット「P50AI」の実機レビューです。この製品はTeclast初、というかウインタブが知る限り国内向けタブレット初の「Android 15」機です。また、SoCにはTeclastがAllwinnerと共同開発したSoC「A733」を搭載、多彩なAI機能が使える、現時点では「革新的」と言っていい製品です。
なお、このレビューはTeclastより実機のサンプル提供を受け実施しています。
ここがおすすめ
・Android 15搭載、タブレット端末では初か?
・Allwinnerと共同開発したSoC、Allwinner A733を搭載
・PCモードに対応、外部映像出力も可能
・独自のAI機能あり
・USB Type-Cポートを2つ装備
・安い。とにかく安い
ここはイマイチ
・ディスプレイ解像度は1,280 × 800と低く、新機能を十分活かせない
・一部のAI機能の挙動が不安定
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TECLAST P50 AI アンドロイド15タブレット:Amazon
1.製品概要
スペック表
Teclast P50AI | |
OS | Android 15 |
SoC | Allwinner A733 |
RAM | 6GB(拡張機能により最大16GB) |
ストレージ | 128GB |
ディスプレイ | 11インチIPS(1,280 × 800) |
LTEバンド | — |
SIM | — |
ネットワーク | Wi-Fi6、Bluetooth5.4 |
入出力 | USB Type-C × 2 、microSDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | イン5MP/アウト13MP |
バッテリー | 7,000 mAh |
サイズ | 厚さ8 mm |
重量 | 530 g |
コメント
冒頭記載の通り、スペック表の上では「OSがAndroid 15」であることと、「SoCがAllwinner A733」であることが目を引きます。また、「USB Type-Cポートを2つ搭載」というのも驚きですよね。しかし、それ以外は特に見るべきところはなく、どちらかというと「エントリータブレット」です。ただ、「目を引く箇所」がどうなっているのかが気になりますよね!
2.外観
同梱物です。画像左上から右に、USB Type-C – USB Type-Aのケーブル、SIMイジェクトピン、ACアダプターです。P50AIはWi-Fi専用機ですしmicroSDもトレイ方式ではないので、SIMイジェクトピンは本来不要ですが同梱されていました。ACアダプターは出力10Wで、日本のコンセントで使えるプラグ形状です。
画像左下から右に、取扱説明書、保証書です。取扱説明書は日本語を含む多言語で記載されており、内容は「平常運転」といいますか、Android 15の独自機能やAI機能についての説明はありませんでした。
前面です。製品価格を考慮するとベゼル幅はやや細めです。Webカメラ(インカメラ)は画像上部中央(横持ち時の上部ベゼル)にあり、オーソドックスな配置です。液晶保護フィルムは貼り付け済みで、レビュー個体に関しては「マジで気泡は皆無。素晴らしいクオリティ!」でした。
Teclast製品は開封時、前後に保護フィルムが貼られています。前面は「(上でもご説明した)本来の保護フィルム(貼ったまま使う)」と「輸送用の保護フィルム(剥がして使う)」の2枚の保護フィルムが貼られており、使用開始時に輸送用の保護フィルムを剥がします。また、画像だとわかりにくいと思いますが、背面にも保護フィルムが貼られており、このレビューでは剥がして写真撮影をしていますが、きれいに貼られていますので、筐体の傷つき防止の観点から、剥がさずに使ってもいいでしょう。
背面です。金属製のユニボディで、低価格帯のタブレットに見られる「上部のプラスティック部分(アンテナがあると思われます)」もありません。質感・剛性感も高く、軽くねじったくらいではミシミシいいません。筐体色は「グアバティール」という、爽やかなグリーンです。
(横持ち時の)上面です。右側に電源ボタンと音量ボタンがあります。
下面です。左右にスピーカーグリルがあります。P50AIは2スピーカー搭載で、もちろん「ステレオ」です。
左側面です。画像左からイヤホンジャック、USB Type-Cポート、microSDカードリーダー、USB Type-Cポートです。2つのUSB Type-Cポートはどちらでも充電が可能ですが、画像右側のType-Cポートは映像出力とUSB PDに対応しています。
右側面には何もありません。
カメラバンプの張り出しは小さめですが、これでも背面を下にして引きずってしまうと本体やテーブルなどを傷つけてしまうと思いますので、できればケースも一緒に購入しておきたいところです。
3.システムと使用感
システム
Androidのバージョンは「15」ですが、パッと見ただけだと特に新しさは感じません。いまどきメーカーが全く手を入れていないAndroid端末を探すほうが大変なので、P50AIのホーム画面を見て「少し変わった」と感じたとしても(すみません、私は特に感じなかったです)、それがAndroid 15というOSに起因するものなのか、メーカーがUIを少し変えただけなのかは判然としません。
なお、Android 15に関するGoogle公式の説明はこちらです。
Android 15 の新機能とその他のアップデート
ストレージの初期容量とRAMの拡張画面です。RAMは「拡張なし~10GB拡張」までを選べます。また、画像左のストレージ初期容量ですが、これはRAMを最大(10GB)拡張した際のものです。RAM拡張分の一部(ストレージ容量表示をしたときの拡張RAMの使用量かと思いますが、現時点で詳細な検証はしていません)が使用済みストレージに算入されているようで、RAM拡張なしにした場合の初期ストレージ使用量は7.5GBでした。
AI機能
ディスプレイ関連ではAI機能が使われています。「AI画像強化」と「AIビデオアップスケーリング」です。また、AIが使われているのかどうかはわかりませんが、輝度・コントラスト・彩度および色温度の調整ができます。個人的な感想として、初期状態のディスプレイはやや寒色(青み)が強いと感じられましたが、これだけ細かく調整ができるので、多くの方は発色に違和感を感じることなく使えると思います。
ここでは「AIビデオアップスケーリング」のサンプル動画を用意しました。AIビデオアップスケーリングでは「デモモード」というのがあり、アップスケーリング前の映像とアップスケーリング後の映像を比較できるようになっています。残念ながらAndroidの画面録画機能だとデモモードが反映されなかったので、スマホを使って画面の様子を撮影しました。少し見にくいと思いますがご了承ください。
※元動画:720 × 480、修正後2,560 × 1,600
※画面上では元動画が1,280 × 800と表示されています
いかがでしょうか?動画だとわかりにくいかもしれませんね。P50AIのディスプレイ解像度は1,280 × 800なので、2,560 × 1,600解像度にアップスケールしても意味がないのでは?と思いましたが、実機で確認すると明らかに画質が鮮明になっています。
AI画質強化、AIビデオアップスケーリングは(実際に画素数が上がっているのかはわかりませんでしたが)、YouTube動画でも使え、発色が鮮明になりました。
「AI姿勢認識」「エアジェスチャー」についても試しました。AI姿勢認識というのは文字通り「ディスプレイを見ているときに頭が下がったり、横を向いたりすると警告メッセージが表示される」というもので、「エアジェスチャー」というのはディスプレイから少し(20~40センチ程度)離れたところからジェスチャで画面をスクロールしたり、スクリーンショットを撮影できる機能です。
AI姿勢認識については動作確認をしました。確かに警告が表示されますが、「タブレット端末でこの機能は必要か?」という点は疑問です。また、エアジェスチャーに関しては私のやり方がまずかったのか、認識精度が非常に低く、継続して使いたいとは思えませんでした。というかこの機能についても「タブレット端末ではあまり意味がない」ように思います。
PCモード
この画像はP50AIのUSB Type-Cポートから外部モニターに映像を出力し、PCモードを使っているところです。PCモードではタスクバーの形状が変わり、WindowsっぽいUIになるのとアプリのウインドウ表示ができます。この画像にあるようにマウス、キーボード、外部モニターを接続すればPCに近い感覚で使えます。
とはいえ、「AndroidはAndroid」なので、ビジネス系のアプリが充実しているとは言えませんし、マウスの右クリックが使えないなどの制約もあります。実際のところ、Android版のOfficeやWPS Officeを使って簡単な文書作成をするとか、ブラウザーのChrome上でWebアプリを使う(すべてのWebアプリが使えるわけではありません)とか、メールを書くといった、限られた用途でしか使えませんが、それでもPCモードを外部モニターに表示されるとテンションが上りますね!(PCモードは外部モニターに接続しなくても使えます)。
ただし、イマイチなところ、というか仕方のないところもあります。P50AIはディスプレイ解像度が1,280 × 800と低めですが、外部映像出力は「ミラーリング」しかできません。今回は27インチのPCモニターに接続しましたけど、27インチでも当然解像度は1,280 × 800です。これだと視力の悪い私でもさすがに画面は粗く感じます。また、OSの基本機能でフォントサイズやアイコンサイズは変更できますが、WindowsPCのように画面全体の表示を拡大・縮小できないので、27インチモニターだとフォントが大きすぎちゃうんですよね。
4.カメラ
カメラアプリは日本語化されていません。そんなに難しい英語ではありませんけど、Teclast製品のカメラは「いつもこう」なので、そろそろ日本語対応してもらいたいところです。調整項目は多くありませんね。アウトカメラの画素数は13MP/8MP/5MPの3段階、ズームは画面をピンチすることによって可能ですが、倍率は高くありません(数値で示されないのですが、おそらく最大でも2倍程度と思われます)。
では撮影した写真をご覧ください。すべて初期設定のまま、13MPで撮影しています。
ちょっと白飛びしている感がありますが、まあまあキレイかな、と思います。
これは最大ズームで撮影したものです。ズームしても画質はあまり劣化しませんが、他の端末のカメラのように4倍とか10倍といった高倍率にはできません。上にも書きましたが、体感的には最大で2倍程度かと思います。
飯テロ写真には向きません。この画像、少しピントが甘いですが、これでも被写体から結構距離を取ったんですよね。座ったままでしたが「ばんざい」するような感じでタブレットを高く掲げて撮影しました(飲食店では結構目立ちます…)。P50AIはマクロカメラがないため、被写体から離して撮影する必要があります。なので、飲食店での飯テロ写真の撮影は厳しいと思います。
5.性能テスト
Antutuベンチマークスコアは322,442点でした。次に先日レビューしたTeclast P50(UNISOC T606搭載)のスコアを掲載します。
UNISOC T606のスコアは25万点前後のことが多いです。なので、総合スコアだけ見ればP50AIが搭載するAllwinner A733のほうが上なのですが、A733はGPUスコアが低く、T606のスコアと変わりません。そのため、ゲームプレイではT606と大差ない使用感になるものと思われます。
ただ、体感の話になりますが、試しに「ウマ娘」をプレイしたところ、UNISOC T606よりは画面がキレイで操作感も若干良かったと思います。まあ、ガチでゲームをするような性能ではありませんが、UNISOC T606よりもサクサク感は多少上だと思いますね。
6.レビューまとめ
Teclast P50AIは11月8日にAmazonで発売され、通常価格20,900円のところ、「11月8日(金)20:00-22:00」と短時間のみセール価格となり15,900円で購入ができます(先着500台)。この価格はウインタブが先日レビューしたP50のセール価格と同じです。
実はレビュー機を11月5日に受け取り、6日に開封したばかりでして、セール開始に間に合わせるべく「めちゃめちゃ突貫」でこの記事を仕上げました。なので、AI諸機能についての検証が十分ではなく、後日加筆することになると思います。
ということで、ごく短時間実機を触った感じですと、特に「画質まわり」でのAI機能(AIビデオアップスケーリングとAI画像強化)でその効果を実感できました。一方で「エアジェスチャー」は挙動がよろしくなかったです。また、「外部映像出力+PCモード」は歓迎できますし、「面白い」です。
改善を要望したいのは「ディスプレイ解像度」ですね。せっかくAIを駆使した高画質化ができるのに、元の解像度が1,280 × 800だと高画質化のメリットが十分活かせないように思われます。また、この解像度だと大画面モニターに出力する際にももったいないです。
この製品、使っていくと多少アラが出てくる可能性は否定できませんが、製品価格と意欲的なAI機能を考慮すれば、ガジェット好きな方にはおすすめできます。逆に購入する製品に完璧な完成度を求める方はやめておくほうがいいでしょう。要求する完成度に見合うGalaxy Tab S10シリーズとかiPad Proにしておくほうがいいです。高い完成度に見合ったお値段にはなりますけどね。
7.関連リンク
TECLAST P50 AI アンドロイド15タブレット:Amazon
※11月8日20:00発売予定
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。