こんにちは、かのあゆです。今回はJENESISがgeaneeブランドで2020年に発表したAndroid 10 Go Edition搭載エントリースマートフォン「ADP-0503G」を新品で購入したので、実機レビューしたいと思います。Android Go EditionはAndroid 8.0 Oreoで初登場した、ロースペックスマートフォン向けの軽量版Android OSで、プリインストールされているGoogle純正アプリが軽量版の「Go Edition」に置き換わっている点が大きな特徴となります。
Android Go Editionは主にモバイルネットワークも十分に整備されていないような途上国向けに投入されていますが、日本国内でも低価格タブレットで採用される例がありました。ただしスマートフォンでの採用例は非常に珍しく、かのあゆが把握している限り今回レビューしているADP-050Gのほか、UMIDIGI製スマートフォンやBlackview製スマートフォンがAmazonなどで販売されているのみとなります。そんな「Go Edition」搭載エントリースマートフォンは果たして実際に快適に使えるのかどうかレビューしていきたいと思います。
1.スペック
スペック表
geanee ADP-503G | |
OS | Android 10 Go Edition |
CPU | MediaTek MT6737M |
RAM | 1GB |
ストレージ | 16GB |
ディスプレイ | 5.0インチ(960 x 540) |
LTEバンド | LTE:B1/3/8/19 |
SIM | Micro SIM x 2 |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.0 |
入出力 | Micro USB、MicroSDカード、3.5mmイヤホンジャック |
カメラ | イン0.3MP/アウト2MP |
バッテリー | 2,000 mAh |
サイズ | 144 x 73 x 10 mm |
重量 | 165 g |
コメント
搭載しているOSはAndroid 10 “Go Edition”です。前述の通り超低スペック端末でも最新のGoogleサービスを利用できるよう、OS本体の軽量化だけでなくプリインストールされているGoogle純正アプリも軽量版アプリ「Go」に置き換えたOSです。現時点で最新バージョンとなるAndroid 11にもGo Editionが用意されていますが、今回レビューしているADP-503GではOTAアップデートが行われていないためAndroid 10 Go Editionが最終バージョンとなります。
CPUはMediaTek MT6737Mです。ウインタブでもレビューしていた中華エントリースマートフォンでよく採用されていた型番ですが、2020年の時点ですでにそれらの製品は後継のHelio A22/P22に置き換わっていたため、旧態化した型番と言え、「Go Edition」はまさにこういったCPU向けに最適化されたOSです。
RAMは1GB、内蔵ストレージは16GBとこちらも今となっては見られなくなってしまった容量です。ストレージ容量が少なすぎるので当然といえば当然ですが、MicroSDカードによるストレージ拡張にも対応しています。
ディスプレイは5.0インチサイズで、解像度はHD・・・ですらなく、960 x 540と15年前のAdvanced W-ZERO3やiPhone 3Gなど初期のスマートフォンやいまはカテゴリ自体が消滅してしまったPDAとほぼ同じ解像度です。ただしディスプレイの項目でも取り上げますが表示品質自体はそこまで悪くはありません。
カメラはイン0.3MP、アウト2MPとこちらも2021年の今、かなり厳しい画素数です。フラッシュライトこそ備わっているものの、当然AIによる画質調整機能なども備わっておらず、正直これをメインにするのは厳しいでしょう。
ワイヤレスネットワークは802.11a/b/g/nとBluetooth 4.0に対応しています。モバイルネットワークはLTEがB1/3/8/19のみで、基本的にドコモ、ソフトバンク回線の利用“のみ”を前提にしています。またSIMカードは現在主流のnano SIMではなく、Micro SIMを採用しているため、この点も注意が必要です。
バッテリー容量は2,000 mAhで、脱着可能なバッテリーパックを採用しているため、(バッテリーが継続して販売され続けるかどうかは別にせよ)劣化してきたら交換することも可能です。急速充電には当然対応していません。接続ポートはMicro USBです。
2.筐体と使用感
付属品はマニュアルや保証書などのペーパー類、イヤホン、USB-A to Micro USBケーブル、バッテリーです。ACアダプターは付属していないため、別途用意する必要があります。またケースや保護フィルムなども付属していませんが、この辺に関しては元々の価格を考えれば仕方ない部分でしょう。
前面です。この機種が発売された2020年7月の時点でもノッチを採用するスマートフォンが一般的になっていましたが、ADP-503Gでは昔ながらのデザインを採用しています。下部にはタッチ式のナビゲーションキーが備わっており、これも今では珍しい仕様です。
背面です。デザインとしてはiPhone 7/8/SEに近い印象ですが、素材はプラスチック製なので高級感は一切ありません。前述の通りケースは付属していませんが、価格帯などを考えればキズなど気にせずガンガン裸で使うのが正しい運用方法な気がします。
また背面カバーは取り外せるようになっており、SIMトレイ(Micro SIM)のほか、脱着可能なバッテリーパックをセット可能です。ただしスペックがスペックなだけにこの端末を長く運用するかどうかは微妙なところですが・・・
左側面には何もありません。
右側面にはボリュームボタン、電源ボタンがあります。
上部にはMicroUSBポートと3.5 mmイヤホンジャック。
下部にはマイクが用意されています。
システム
これが「Android 10 Go Edition」の画面です。カスタムUIは採用されておらず、素のAndroid OSベースのソフトウェアが搭載されています。ホーム画面に配置されているGoogle検索ウィジェットのデザインが異なるものの、それ以外を除けば通常のAndroid 10とそこまで見た目的な差はありません。
プリインストールアプリはAndroidシステム標準のほか、Google純正アプリという構成になりますが、一部アプリは後述する軽量版「Go」に置き換わっています。YouTubeにも「Go」バージョンが存在するのですが、こちらは日本では正式リリースされていないため、通常のものがプリインストールされています。
プリインストールされている「Go」バージョンのアプリはファイルサイズが小さいだけでなく、ロースペックのスマートフォンでもストレスなく使えるようになっているのが特徴です。「Albam Go」アプリは通常のAndroid OSにプリインストールされていることが多い「Google Photo」アプリの簡易版で、AIによるアルバム自動整理機能などは搭載されていますが、クラウドサービスであるGoogle Photoとの同期機能は削除されており、シンプルな画像管理ソフトとなっています。
Google マップの軽量版となる「Maps Go」はアプリとして用意されていますが、実際に呼び出されているのはWEB版Googleマップそのものです。ただし「Maps Go向けナビアプリ」が別アプリとしてインストールされており、ナビゲーション機能を利用する場合こちらを呼び出すので、通常のAndroidに搭載されているGoogleマップアプリ同様、リアルタイムナビゲーション機能も利用可能です(Maps Go向けナビアプリを単体で起動することはできません)。
Google検索アプリや「Googleアシスタント」アプリも軽量版の「Go」に置き換わっています。検索アプリとしては一通り利用可能ですが、Google検索アプリではニュースなどをまとめて表示してくれる「Discover」機能が搭載されていないなど、一部機能が削除されています。
工場出荷時のストレージ容量です。ほぼ素のAndroid OSベースのソフトウェア(Android 11)が搭載されているiiiF150 R2022でも使用量は10GBとなっていましたが、Android 10 Go Editionを搭載するADP-503Gでは約4GBとコンパクトに収まっています。ただし16GBという容量ではもはやアプリを追加するには厳しすぎる容量なので基本的には標準搭載されているアプリ「のみ」を使う形になるでしょう。
工場出荷時のバージョン情報です・・・というより、OTAアップデートが発売から全く提供されていないため、これが現時点での最新ファームウェアとなります。Android 11 Go Editionもリリースされていますが、おそらくOSアップデートは提供されないかと思われます。Androidセキュリティパッチレベルは「2020年5月5日」です。
ディスプレイ
前述の通り、解像度は940 x 540です。現在販売されているスマートフォンではエントリーモデルでもHD+(1,520 x 720)を採用しているため、今となっては逆に珍しい構成です。視野角の広いIPS液晶を採用していることもあり、表示品質自体はそこまで悪くなく、ドットも意外と目立たないのですが、やはりWEBブラウジングをしていてもかなり狭く感じられます。
液晶保護フィルムは装着されておらず、またゴリラガラスなどの強化ガラスは採用されていないので、そのまま使用しているとおそらくすぐにキズがついてしまいそうです。PDA工房で製品化済みなので不安であれば装着しておくことを強くおすすめします。
スピーカー
スピーカーはモノラルです。正直音質に関しては元々超低価格端末ということもあってそこまで期待はしていなかったのですが、とりあえず「聞ける」レベルの音質は確保されています。少なくともYouTubeを流し見する分には不満はありませんが、音は軽めなので個人的にこれで音楽を楽しもうとは思えませんでした・・・
カメラ
標準カメラのUIは超シンプルで、機能としては「写真撮影」と「動画撮影」のみ、現在では当たり前となっているAIによるシーン判別機能はもちろんのこと、パノラマ撮影やフィルター機能すら用意されていません。ちょうど10年前に販売されていたAndroid 2.3搭載の「Xperia acro」ですらこのアプリよりも機能は多かったので、「シンプルすぎる」というのが正直な感想です。
アウトカメラの性能は「2MP」と初代iPhoneやiPhone 3Gと同じスペックで、日中の撮影でもかなり画像がぼやけてしまい、これをメインで使いたくはないというのが第一印象です。ナイトモードも当然存在しないため夜景撮影も絶望的です。この画質だとSNSへのシェアはもちろんのこと、メモ代わりに使うのも厳しいでしょう。カメラは「搭載されていない」ものと思った方が良いかもしれません。
3.性能テスト
参考:
ASUS Zenfone 8(Snapdragon 888):785,280
Mi 11T(Dimensity 1200 Ultra):582,178
Xiaomi Pad 5(Snapdragon 860):566,309
Realme GT Master Edition(Snapdragon 778G):542,182
Xiaomi Mi 11 Lite 5G(Snapdragon 750):500,573
Samsung Galaxy Fold SCV44(Snapdragon 855):414,302
OnePlus Nord CE 5G(Snapdragon 750):384,505
iiiF150 R2022(Helio G95):350,565
OnePlus Nord N10(Snapdragon 690):342,506
POCO M3 Pro 5G(Dimensity 700):330,303
CHUWI HiPad Plus(MT8183):172,713
OUKITEL C22(Helio A22):99,664
AGM H3(Helio P22):84,184
Antutu Benchmarkの総合スコアも「46,316」点と、非常に低いスコアになりました。GPU性能の関係でAntutu 3D BenchはLite版がインストールされるのですが、これすら正常に実行できなかったためGPUのスコアは「0点」となっています。ただし標準搭載されているChromeや「Go」アプリに限定して使っている分にはOS自体が軽量化されていることもあり、意外とストレスなく使うことはできます。
ゲーム性能に関しては・・・もう言うまでもないでしょう。そもそも「モンスト」などの比較的軽量なタイトルでもゲームデータが数GBと大きくなっているのでこの機種で楽しむのはかなり厳しいです。
4.まとめ
今回購入したgeanee ADP-503Gは実店舗が今月末で閉店する秋葉原の「東映ランド」で新品1,980円(税込)で販売されていました。Android Go Edition搭載スマートフォンは技適を取得しているものでは他にBlackviewのA80などが販売されていますが、それよりも明らかに安かった上に「低スペックなハードウェアでも動くGo Edition」がどのようなものなのか一度触れてみたかったこともあって、お試しで購入してみることにしました。
全体的にハードウェアとしてはAndroidスマートフォンが出始めた2010年~2011年頃のスペックに近いので、これをサブ端末として使うにも厳しいですし、個人的にもこれにSIMを差して運用する気にはなれません。しかし、OS自体がこういったハードでも快適に使えるように設計されているのでプリインストールアプリのみに限定して運用するのであれば意外とストレスを感じることはありませんでした。
ただし正直「Redmi 9S」などこれよりも高性能なスマートフォンが低価格で購入できるようになった今となってはあえてこれを購入する理由が見つからないですね。本来の定価も7,700円と安価に設定されていた端末ではあるのですが、検証目的以外であえてこれを選ぶ意味はないかなぁと思います。
5.関連リンク
ADP-503G:JENSIS株式会社
コメント
2000円なら楽天回線のテザリング親機として使えるのかな。
性能云々というより電池がもたなすぎなのに驚き。
朝100%で少し調べ物に使っただけで昼時点で50%切りじゃ、固定電話としてしか使えんわい。
まさに安物買いの銭失い。良い勉強させてもらいました。
>>匿名さん
正直この製品に関しては「なぜ投入した」感はありますし、バッテリー容量も今となっては少ないのでサブ機としてもちょっと厳しいかもしれませんね・・・
かのあゆはこのレビューが終わった後、父にYouTube観覧用端末としてプレゼントしてます・・・ちょっとSIMをさして使う気にはなれないので・・・