AvidPadのニューモデル「S80」の実機レビューです。11インチサイズでSoCにMediaTekやUNISOCではなく、QualcommのSnapdragon 685を搭載する、最近の中国タブレットとしては珍しい仕様です。Snaodragon 685はベンチマークスコアではMediaTek Helio G99よりも劣りますが、UNISOC T606やT616よりは上です。実際の使用感がどう変わるのかは興味深いですね。
ここがおすすめ
・11インチディスプレイは発色がよく、リフレッシュレートも90Hz
・WidevineはL1、NetflixでもフルHD(1080p)視聴可能
・新デザインの筐体は質感が高い
・4スピーカー搭載で動画視聴に向く配置
ここはイマイチ
・Helio G99に性能面で及ばない
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1.製品概要
スペック表
AvidPad S80 | |
OS | Android 14 |
CPU | Qualcomm Snapdragon 685 |
RAM | 8GB(拡張機能により最大24GB) |
ストレージ | 128GB |
ディスプレイ | 11インチIPS(1,920 x 1,200)90Hz |
LTEバンド | FDD:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/20/25/26/28/66 TDD:B38/39/40/41 |
SIM | nanoSIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.0 |
入出力 | USB Type-C、3.5mmイヤホンジャック、microSDカードリーダー |
カメラ | イン8MP/アウト16MP |
バッテリー | 8,500 mAh |
サイズ | 257 x 168 x 8 mm |
重量 | 525 g |
センサー | 重力センサー、ホールセンサー、光センサー、ジャイロセンサー |
コメント
OSはAndroid 14、SoCは冒頭で触れた通りSnapdragon 685です。RAMは8GB、ストレージは128GBで、RAMは拡張機能により最大24GBとして使え、ストレージはmicroSDカードで拡張することもできます。
またディスプレイは11インチで解像度は1,920 × 1,200、WidevineはL1、NetflixでもL1判定なので、ほとんどの動画サブスクリプションサービスやYouTubeでHD以上の画質で視聴ができます。それと、これも低価格な中国タブとしては珍しいのですが、リフレッシュレートは最大90Hzです。
この他、スピーカーは4つ搭載していて音質に期待ができそうなのと、先日レビューをした8インチタブ「AvidPad S30」で酷評したカメラ性能がどのくらいなのか気になります。
では、外観から見ていきます。
2.外観
同梱物です。取扱説明書は「日本語のみ」つまり日本向けに専用に作られたもので、中国タブとしてはかなり親切な方です(リカバリーモードの起動方法まで書かれていました)。ACアダプターは出力10Wで日本のコンセント形状に合うもの、あとはUSBケーブルとSIMイジェクトピンが入っていました。
前面です。Webカメラは横持ち時の上部中央、ベゼル幅は太くはないですが、最近の中国タブレットとしては普通くらいかと思います。他のタブレットと比較して特に変わったところはありません。
背面です。筐体は金属製でカメラバンプ付近のデザインが特徴的です。これ、Teclast製品の新デザインによく似ていますが、全く同じというわけではなく、細部に相違も見られます。
上面には画像左側に電源ボタンと音量ボタンがあります。ちなみにこのボタン位置は一般的なタブレットとは逆です(一般的なタブレットはこのアングルで撮影すると画像右側に電源ボタンと音量ボタンがあります)。
また、このアングルから見ていただくと、カメラバンプ部分の張り出しがそれなりにはあることがわかると思います。そのため、ケースなしで使うと筐体やテーブル・デスクなどを傷つけてしまう可能性がありますので、製品購入にあたっては専用ケースも一緒に購入されることをおすすめします。
下面です。こちらにはポート類やボタン類はありません。
右側面です。画像左端にイヤホンジャック、中央にUSB Type-Cポート、そして右側にSIM/microSDスロットがあります。また、スピーカーグリルも2つ。
左側面にもスピーカーグリルが2つ。AvidPad S80は左右側面に2つずつ、合計で4つのスピーカーを搭載しています。
3.使用感
システム
ホーム画面とアプリ一覧です。UIはプレーンでカスタマイズされていません。また、Android 14の大画面デバイス用のUIもほとんど(確認した限りすべて)使えないです。一方でプリインストールアプリにLINE、Netflix、Amazonプライムビデオ、X、Facebookなど、(人によっては)使用頻度の多そうなメジャーなものが含まれていました。
設定メニューもほぼ「素のAndroid」です。ただし、メモリ拡張機能(画像右)などの一部機能が追加されてはいます。そのメモリ拡張機能ですが、最大で16GB(物理メモリと合わせ最大24GB)まで拡張できます。というか、初期状態で最大値16GBの拡張となっていました。24GBはどう考えても過大だと思いますけどね。実機が手元に届いてすぐにストレージの確認をしたところ、「35GB使用済み」になっていて、ちょっとびっくりしましたが、実は35GBのうち16GBはRAM拡張のために使用済みとなっていました。速攻で「拡張なし」にしましたが、もともと128GBと決して大容量とは言えないのに、拡張RAMに16GBも振り向けるのは明らかに無駄かと。
あと、日本語がおかしいところが散見されます。この画像で「確かですか」というのは「OK」を翻訳したものだと思います。中国製品にはこのように日本語訳が不自然なものがあり、個人的には「そういうのは慣れているので全く気にしない」ですが、ちょっと気になるという人もいるでしょうね。特にここで掲載した「確かですか」は製品を使っていると頻繁に登場しますし。
ディスプレイの使用感
ディスプレイの発色品質は高く、発色に強いクセもないと感じました。タブレット製品は他の製品と比較すると青みが強めだったり黄みが強みだったりすることがありますが、少なくとも私の感覚ではAvidPad S80ではそのような傾向は見られませんでした。
Widevine L1という点についてはNetflixとAmazonでHD画質視聴ができることを確認しました。Netflixでの最高画質はFull HD(1080p)です。また、ディスプレイのリフレッシュレートに関する設定項目はなく(手動でリフレッシュレートを変更できない)、Google Playにあった「デバイス情報」というアプリで90Hzであることを確認しています。
設定に「カラー」という項目があり、ここで3種類の色味を選べます。個人的には「自然な色」のまま使いましたが、「カラーブースト」にすると若干色が鮮やかになります。ただし、細かく色温度を調整できるような機能はありません。
スピーカーの使用感
AvidPad S80は横持ち時の左右側面に2つずつ、合計で4つのスピーカーを搭載しています。この配置だと動画視聴の際にステレオ感がしっかり出ますので快適に使えます。で、4スピーカーの恩恵というか音質ですが、Blackview Tab 18のように「明らかに高音質」という感じはしません。しかし、音質が悪いというわけではなく、低価格なタブレット製品としては納得できるものではあります。
4.カメラ
AvidPad S80のカメラはイン側が8MP、アウト側が16MPで、アプリは「カメロンカメラ」といいます。素晴らしい名前ですよね!機能はタブレット用カメラとしては充実しているほうだと思います。ただ、先日AvidPad S30のレビューをした際に、製品全体としては高く評価したのですが、カメラは「最悪」レベルでした。なので、このS80についてもちょっと心配でしたね…。でも、試してみて「いいとは言えないけど割とまともには写せる」と感じました。
以下に作例を掲載します。一番下のジャンボチキンカツ定食ライス大盛りの画像のみ1,920 × 1,080ピクセル(2MP)、他は4,608 × 3,456ピクセル(16MP)で撮影していますが、サイズは縮小しています。
撮影日はあいにく雨天でした。そのせいもあってカメラ任せだとちょっと暗くなってしまいました。タブレットでカメラを多用する方は多くないと思います(私はタブレットのアウトカメラは全く使いません。Webミーティングなどでたまにインカメラを使う程度です)が、このくらいの写真が撮れるのなら、まあOK、でしょうか。
5.性能テスト
Antutuベンチマークのスコアは33.8万点でした。ちょっと気になるのがHelio G99との比較ですよね。
こちらはALLDOCUBE iPlay 60 mini Pro(Helio G99搭載)のAntutuスコアです。総合スコアにも差がありますが、SoCに関係するCPUとGPUの項目でもHelio G99が上回っています。なので、少なくともベンチマークの上では「Helio G99には及ばない」ということは言えます。ただし、中国タブの中位モデルに搭載されているUNISOC T606やT616よりはSnapdragon 685のほうがずっと高性能です。
ゲーム「オーディン:ヴァルハラ・ライジング」を試してみました。このゲームは高負荷な部類で、低スペックなタブレット製品だと快適には遊べません。この画像だとわかりにくいかもしれませんが、Helio G99搭載機と比べ、明らかに描画が粗くなっています。プレイ自体は可能ですが、個人的にはこのゲームは「Helio G99搭載機でならプレイする気になるが、AvidPadd S80ではやりたいと思えない」ですね。
なお、この記事を執筆するにあたり、Androidに関してはガチオタ(ガチなおたく)であるライターのかのあゆさんに見解を聞いてみました。
「MediaTek製品に関してはDimensityも普及し始めているので、最近は状況も変わってきていると思いますが、基本的にはAdreno(SnapdragonのGPU)前提でチューニングをしている(アプリ)メーカーが多いと言われています」
とのこと。なお、かのあゆさんはこの製品のレビューには携わっておらず、一般論として言っています。なので、ゲームタイトルによってはHelio G99よりも快適に動作するものがある可能性はあります。ただし、この記事ではその検証はできません。
6.レビューまとめ
AvidPad S80はAmazonで販売中で、7月14日現在の価格は23,167円です(製品ページにある5%OFFクーポンコードを適用した価格)。また、今回はレビュー対象ではありませんでしたが、記事中で「一緒に購入しておくほうがいい」と書いた純正ケースは2,680円(タブレットスタンドとしても使えるもの)及び1,980円(簡易ケースでスタンドとしては使えないもの)です。本体価格に関してはHelio G99搭載の中国タブレットとほぼ同水準です。
まず、Snapdragon 685の性能に期待してゲームを…、ということであればHelio G99搭載機にするほうがまだマシかと思います。ただし、ゲームプレイの場合、ゲームタイトルによってはHelio G99搭載機よりも快適にプレイできるものがある、という可能性はあります(この記事では検証ができません)。
一方で、WidevineがL1でNetflixでも1,080p視聴が可能である、ディスプレイのリフレッシュレートが90Hzである、4スピーカーを搭載している、筐体のデザインや質感が高い、といった点に着目し、製品トータルで見て(価格の割に)魅力的な製品である、ということは言えます。私はタブレットであまりゲームをしないのですが、普段使いの挙動ではHelio G99と変わりません(サクサク動いてくれる、という意味です)。
結論として、SoCがSnapdragonだから買い、とは言えませんが、製品のトータルバランスはよく、2万円台前半で買えるタブレットとしては出来が良いと評価できます。
7.動画レビュー
YouTubeでレビュー動画を公開しました。こちらもぜひご覧ください!
8.関連リンク
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アビドパッド S80 専用カバー型ケース:Amazon
アビドパッド S80 ガラスフィルム:Amazon