こんにちは、かのあゆです。今年の春よりベータテストを行っていたAndroid OSの次期バージョン「Android 10」が9月4日で正式リリースされ、Googleから販売されているPixelスマートフォン各モデル、およびEssential社の販売する「Essential Phone PH-1」に配信開始となり、コード公開も同時に開始されています。今後このコードをもとに各端末メーカーがAndroid 10ベースのファームウェアを用意することになります。
1.お菓子のコードネームは終了へ
開発コードネームは「Android “Q”」と呼ばれていたAndroid 10ですが、今回から昨年までつけられていたお菓子のコードネームは廃止となっています。一部の地域で普及していないお菓子が存在することなどの理由によります。お菓子のコードネームがついたのは2009年にリリースされたAndroid 1.5からで、昨年リリースされたAndroid 9までの間に以下のコードネームがつけられていました。
Android 1.5 “Cupcake”
Android 1.6 “Donut”
Android 2.0/2.1 “Éclair”
Android 2.2 “Froyo”
Android 2.3 “Gingerbread”
Android 3.0 “Honeycomb”
Android 4.0 “Ice Cream Sandwich”
Android 4.1/4.2/4.3 “Jellybean”
Android 4.4 “KitKat”
Android 5.0/5.1 “Lollipop”
Android 6.0 “Marshmallow”
Android 7.0/7.1 “Nougat”
Android 8.0 “Oreo”
Android 9 “Pie”
2013年に登場したAndroid 4.4”KitKat”の時はコードネームのキットカットにちなみ、日本国内でもお菓子のほうのキットカットとコラボレーションを行うなど、個人的にはいろいろと印象に残っていますので、コードネーム廃止は少し寂しいですが、この辺に関してはグローバル市場で分かりやすい命名規則にしたいというGoogleの狙いもあり、仕方のないところです。
2.新機能について
1年ぶりのメジャーアップデートとなるAndroid 10ですが、見た目の変更点は非常に少なく、一見すると前バージョンであるAndroid 9 Pieと区別がつきづらくなっています。一般ユーザー向けの新機能としては
ダークテーマのサポート
ジェスチャーナビゲーションの改良
リアルタイムで字幕が表示される「ライブキャプション」
AIによる自動返信作成機能「スマートリプライ」
音声増幅
などがあります。このうちダークテーマは一部の端末メーカーが独自UIとしてすでに先行実装している機能で、その名の通り黒を基調としたものに変更することにより、目の負担を抑えることができます。ダークテーマそのものは前バージョンのAndroid 9 Pieでも搭載されていましたが、Android 10ではより広い範囲までテーマが適用されるようになっています。
Android 9 Pieから搭載されたジェスチャーナビゲーションはAndroid 10で改良がおこなわれ、ついに「戻る」ボタンが廃止されました。Android 10では「フルジェスチャーナビゲーション」が搭載され、画面の左右端から中央にスワイプする動作で前の画面に戻れるようになりました。
「ライブキャプション」はその名の通り再生中のビデオやポッドキャストなどの動画に自動的に字幕を作成して表示してくれるもので、AIにより自動作成されるため電波が届かないオフライン環境でも利用可能です。どちらかというと視覚にハンディのあるユーザーのための機能ですが、一般ユーザーでも役に立つ場面があるかもしれません。
「スマートリプライ」はAndroid 9 Pieから搭載されたAIによるメッセージ返信の自動提案機能ですが、Android 10ではサードパーティにもこの機能が解放されたため、対応するアプリであればこの機能を利用することができるようになりました。また、Android 10では住所などがメッセージとして送られてきた場合、マップアプリを起動するといったアクション機能にも対応するようになりました。
「音声増幅」はすでにAndroid 9 Pie以前のAndroid端末向けにも単体アプリとしてリリースされているユーザー補助機能の一つで、有線イヤホン接続時に周囲の状況に応じて音声を増幅し、ノイズを除去する機能です。
音声増幅 : Google Play Store
また、Android 10では従来システムアップデートとして提供されていたセキュリティパッチが通常のアプリ同様、Google Play Store経由で直接ダウンロード可能となりました。セキュリティアップデートの配信自体が従来通り各端末メーカーに委ねられている点は変わっていませんが、従来よりも迅速なタイミングでセキュリティパッチの配信が受け取れるようになります。このほかユーザーに目立たない新機能としては「5Gネットワークと折りたたみ式スマートフォンへの対応」、「プライバシー保護機能の強化」、「ロケーション情報の共有をアプリで管理可能」などが追加されています。
3.まとめ
1年ぶりのメジャーアップデートとなるAndroid 10ですが、見た目に関してはほぼ昨年のAndroid 9 Pieから大きな変更は行われておらず、同バージョンで搭載されたジェスチャーナビゲーション機能やスマートリプライ機能をより強化し、今年から普及し始めた5Gネットワークや折り畳み式スマートフォンへの最適化を強化したバージョンといった印象で、バージョン名としてはAndroid 10となっているものの、どちらかといえばAndroid 9.1という名称で登場しても違和感はありません。ただプライバシー機能の強化やセキュリティパッチのGoogle Play Storeでの配信など、あまり目立たない部分では大きな変更が行われています。
例年通りすべての端末メーカーが既存機種へのアップデートや搭載端末の販売を開始するまである程度時間がかかりそうではありますが、HuaweiはすでにAndroid 10ベースの「EMUI 10」を正式に発表しており、例年よりも早いタイミングで普及するのかもしれません。かのあゆの手持ちの端末でAndroid 10を利用できるのは少し時間がかかりそうですが、アップデートを楽しみに待ちたいと思います。
4.関連リンク
Android 10 : Android