こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回はALLDOCUBE(Cube)の8.4インチLTE対応Androidタブレット「X1」の実機レビューです。ここのところ中国メーカー各社からHelio X20やMT8176といった高性能なCPUを搭載するAndroid タブレットが続々とリリースされていて、このX1もそんな高性能タブレットの一つです。ただ、これら中華高性能タブレットの多くはディスプレイサイズが10インチ(正確には10.1インチ)サイズで、8インチ(8.4インチ)サイズのものは少ないです。特にこの製品のようにLTE対応する8.4インチの高性能中華タブレットは他には見当たらず(存在はしていると思います)、希少な存在です。
なお、この製品は中国の通販サイト「Banggood」に提供していただきました。Banggoodにはこの場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。
1.スペック
OSはAndroid 7.1と、最新のAndroid 8ではありませんが、もちろんこのバージョンで特に困ることはありません。CPUは中華高性能タブレットのお約束とも言える「Helio X20」です。最近の傾向として、中華高性能タブレットは、「LTE対応だとHelio X20、Wi-Fi専用機だとMT8176」が使われるケースが多いですね。スマホ用のハイエンドであるSnapdragon 835とか845には太刀打ちできないものの、タブレット用のCPUとしては十分な性能のものだと思います。
RAMは4GB、ストレージは64GBと十分な容量が搭載されていて、このあたりも最近の中華高性能タブレットとしては標準的な構成と言えます。「標準的な構成」と言えばディスプレイ解像度も同様で、8.4インチのコンパクトなサイズに2,560 × 1,600という高精細なものが使われています。
ウインタブでは中華タブレットの紹介記事をよく掲載していまして、個人的にはここまでのスペックにすっかり慣れっこになってしまっているのですが、実際この製品のCPU、RAM、ストレージ、そしてディスプレイ構成はちょっと前の中華Androidタブレット市場では考えられないくらいの内容で、「素晴らしい」の一言だと思います。この製品に限らず、この水準のAndroidタブレットが200ドル~250ドルくらいで購入できてしまうというのが最近の中華のすごいところです。
これまで書いてきましたが、この製品はLTE対応(Nano SIM × 2)します。ただし、ウインタブでは中華製品のSIM通信およびWi-Fi通信はレビュー対象としておりませんので、この記事では通信まわりについては触れません。
カメラも高性能です。最新のスペックの高いAndroidスマホには及びませんが、イン8MP/アウト13MPですから、タブレットとしては十分過ぎる画素数を確保しています。
2.筐体
同梱物です。タブレット本体のほか、USB Type-C(オス)- フルサイズ(Type-A)USB(オス)のケーブル、電源プラグ(日本のコンセントで使えます)、英語および中国語で書かれた簡単な取扱説明書、そしてSIM(microSD)スロットの開閉用ピンが入っていました。
正面です。上下のベゼルはそれなりには厚いですが、左右は手採寸で6 mm程度と細く、ブラックの筐体色ということもあって引き締まって見えます。カッコいいです。
前面の下部にはホームボタンがあります。センサーボタンで、「ホームボタン」としても使えますし、指紋センサーにもなっています。他機種でもこの位置に指紋センサーがあるものもありますが、ホームボタンとしては使えないものが多いです。
背面です。こちらもブラック一色で、筐体素材は金属(おそらくアルミ合金)と思われます。
背面は平面ではなく、Teclast T8のように左右が緩やかにラウンドした形状になっていて美しいと感じます。
ただし、ちょっと意地悪なチェックかもしれませんが、「継ぎ目」が微妙に均一の幅になっていなかったりして、少しだけ仕上げの甘さを感じないでもありません。ただ、私はそのへんのところを全然気にしないタイプの人間なので、「実機レビューだから指摘している」ということで、個人的にはまったく不満は感じません。
上面(縦持ちした際にカメラのレンズがついている方を「上」としています)です。こちらにはオーディオジャックがあります。
下面です。こちらにはいろいろあります。画像左からSIM(microSD)スロット、スピーカー、USB Type-Cポートがついています。この製品のスピーカーは1つだけ(モノラル)です。
SIMスロットはスマホと同じようにピンを挿して着脱します。ご覧のようにNano SIM × 2、もしくはNano SIM + microSDカードという組み合わせで装着ができます。
右側面です。こちらにはオーソドックスに電源ボタンと音量ボタンがあります。ボタンのたてつけは良好で、ガタガタ言ったりはしません。カチッと気持ちよく押せます。
左側面にはなにもありません。
一通り筐体を確認してみました。一部仕上げが甘いと感じられる部分もありましたが、個人的には気になるようなものでもなく、金属素材と背面左右がラウンドした形状、そしてブラックの筐体色ということで、とてもカッコいい製品だと思いました。筐体色なんかは人それぞれ好みがあると思いますので、あくまで個人的な感想となりますが、高性能タブレットということもあり、この色のほうが雰囲気が出ていると感じます。
3.システム
画像左がホーム画面、右がアプリ一覧(ドロワー)です。ホーム画面はドロワーアイコンがなく、画面の下部を上にスワイプしてドロワーを表示させるタイプです。また、プリインストールアプリは非常に少なく、メーカーのオリジナルアプリは見当たりません。また、ChromeやGoogle PlayストアなどのGoogle関連サービスはプリインストールされていました。アプリ類に関しては「素のAndroid + Google関連」という感じですね。これは歓迎です。
システム情報です。Androidのバージョンは「7.1.1」でセキュリティパッチレベルは2017年11月5日でした。また、「システムアップデート」と「ワイヤレスアップデート」というメニューがありまして、どちらもOTAアップデート用の機能のようですが、なぜ同じような機能が2つあるのかは不明です。一方はAndroid OS固有の機能、もう一方はメーカーの独自機能なのかもしれませんが、正直よくわかりません。ただ、これらアップデートの機能が生きているということは、この製品はメーカーのオリジナルROMが使われている(ショップカスタムROMではない)、と言っていいでしょう。
ストレージの状況です。初期状態では10.28GBがシステムに使われていました。少しシステムの使用量が大きめかな、と思います。
基本的に日本語化は完璧に可能です。メニューの項目名と詳細設定画面が英語のままになっていたのは「Doodle Control」というものだけです。これはディスプレイに指でアルファベットをなぞると特定の機能が起動する(例えば、ディスプレイに指で「C」となぞるとカメラが起動する)、マウスジェスチャならぬ画面ジェスチャ機能です。ここの設定は非常に単純なので、英語が苦手な人でも問題ないと思います。
4.使用感
ディスプレイ
私は視力が悪く、また繊細な色の判定が得意なわけでもありませんので、その点あらかじめご了承ください。この製品のディスプレイは非常に美しく、クセがないと思いました。以前Teclast T8の実機レビューをした際、色味にクセがあると感じましたが、この製品ではそのような印象はありませんでした。23.8インチのPC用ディスプレイとこの製品で同じ画像を表示させたりしてチェックしてみましたが、この製品のほうがディスプレイサイズがずっと小さいこともあり、密度が濃いと感じました。「鮮やかでくっきり」という感じです。カタログスペックの「2,560 × 1,600」という解像度から期待される水準か?ということについては何とも言えませんが、8.4インチサイズのタブレットのディスプレイ品質としてはハイレベルだと思います。
また、タッチ操作も一通りやってみましたが、特に問題はなく、必要十分な感度で操作ができました。たまに画面の端っこのほうの反応が鈍い製品なんかも見かけますが、この製品ではそのようなことはありませんでした。ソフトキーボードを使っての手書き入力でもおかしなクセのようなものはありません。
個人的にこのディスプレイの品質は高く評価します。
スピーカー
この製品のスピーカーはモノラルです。音質の方は「実用品」と考えてください。それ以上の実力はないです。音楽は聞こえます(当たり前)。しかし、音楽を楽しむというレベルではありません。音楽を聴いたり、臨場感のあるゲームを楽しみたいのであれば外付けのスピーカーを使うかイヤホンを使いましょう。
なお、手持ちのヘッドホンを使ってスマホ(中華の2万円弱のもの)と音楽を聴き比べてみましたが、X1のほうが明らかに音はいいです。密閉式のヘッドホンを使ったのですが、低音の再現力は明らかにスマホより上でした。
カメラ
カメラアプリはMediaTek純正のもの(ライターの壁さんのレビューで知りました)が使われています。「美容」とか「美白」とか、スマホのカメラアプリについていそうな自撮り用のエフェクトはありません。良くも悪くも素のカメラアプリです。
では、例によってウインタブの「実機レビューでの機種比較の大魔神」である「LeEco Le Pro 3」のカメラと撮り比べしてみます。
上がX1、下がLeEcoです。X1のほうが少し赤みがかっていて輪郭もぼやけた感じです。LeEcoのほうは非常にくっきりと写っていますが、芝生が鮮やかすぎるように思われます。
こちらも上がX1、下がLeEcoです。色味についてはX1のほうが自然に感じられなくもないですが、輪郭の鮮明さは決定的に異なります。私はくっきりした画像が好みなので、LeEcoのほうが好みですね。
この製品のカメラ品質はブログやSNS用には十分なものだと思いますが、やはり「うーん、イマイチ」と感じます。タブレットで本格的な写真撮影をしようとする人はそんなに多くはないと思いますので、その意味では合格点をあげられるのかもしれませんけどね。
アプリ
一般的なニュースアプリとかSNSアプリがきちんと動作するのは間違いないでしょう。今回はアクション系のゲームを2つ試してみました。
まずはレースゲーム「Real Racing 3」から。非常に凝ったグラフィックながら、比較的低スペックのスマホやタブレットでも遊べるゲームです。私はこのゲームをちょくちょくやっていますので、腕前の方は低水準ながら、他機種との比較はある程度できると思います。
私がしばらく遊んでみた限り、挙動がカクつくとかグラフィックが乱れるということはありませんでした。また、グラフィックの簡略化も見られませんでした。
次に「鉄拳」を試しました。このゲームは「RAM2GB以上、Exynos 8890/Qualcomm Snapdragon 820以上」というのがシステムの最低要件になっていますので、Helio X20だと本来要件を満たしません。また、かのあゆさんがChuwi Hi9 Airの実機レビューでこのゲームを試し、「Helio X20でも“現在の”ハイエンドスマートフォン向けの3Dゲームをプレイするには若干荷が重いかも」と評価しています。
でね、私はこのゲームで初めて遊びますんで、かのあゆさんとは印象が異なります。というか、全然処理落ちとかを感じませんでした。おそらく非常に低レベルなステージしかできていないためだと思います。なので、いろいろなゲームを知っているかのあゆさんとは評価の厳しさが異なるんでしょうね。言い換えると、この製品はあまりゲームをしないとか、たまにゲームをするくらいの人が使うぶんにはあまり不満を感じないのだろうと思います。
鉄拳、比較的短時間ではありましたけど、結構頑張ったんですけどね…。
5.性能テスト
今回はAntutuのバージョン7(v7.0.8)でテストしてみます。
参考 :
Samsung Galaxy S9 SM-G960F (Exynos 9810): 250,018
Samsung Galaxy S8 Duos SM-G950FD (Exynos 8895) : 194,363
Samsung Galaxy S8 SC-02J (Snapdragon 835) : 194,096
Sony Xperia X Performance F8132 (Snapdragon 820) : 157,502
Chuwi Hi9 Air(Helio X20): 95,498
Chuwi Hi9 (MT8173) : 88,330
Huawei P10 Lite(Kirin 658) : 78,986
Nomu S10 Pro (MT6737T) : 51,425
Vernee M6 (MT6750); 50,186
T-bao X101A (MT8783): 40,933
VKWorld Mix Plus (MT6737) : 44,558
PIPO N8(MT8163A):39,785
スコアのほう、同じHelio X20を搭載するChuwi Hi9 Airよりも少し落ちますね。ちなみにHi 9 AirはAntutu Ver.6.2.7でのスコアが93,976でしたので、この製品だと8万点前後になるのではないかと思われます。Helio X20搭載機として最高得点ではありませんが、期待を裏切るようなものでもありません。実際、使用感のところで述べたとおり、私がいくつかのゲームアプリを試してみても問題ないと感じましたので、グラフィックの凝ったゲームなどにこだわりがある人を別とすれば、これで十分満足の行く性能だと思います。
6.まとめ
ALLDOCUBE X1は中国の通販サイト「Banggood」で販売中で、6月4日現在の価格は259.99ドル(29,512円)となっています。この価格は10インチクラスの高性能Androidタブレットよりも若干高価です。
8.4インチでLTE対応、Helio X20搭載のAndroidタブレットというのは、競合製品がありそうに思われますが、実際はほとんど競合が見当たりません。また、8.4インチと10.1インチというのは製品特性が異なっていて、手にした際のサイズ感もかなり異なります。いつでもどこでもバッグに入れて気軽に持ち歩けるのが8インチサイズのいいところで、たまにはキーボードを接続してPCライクに使いたい、という場合は10インチのほうが便利です。
WindowsでもAndroidでも、スマホの大画面化が影響してか、8インチサイズの製品は若干肩身が狭くなりつつありますが、個人的には気軽に使えるタブレットのサイズとして8インチというのはベストなんじゃないか、と思っています。今回のレビューで試してみたアクションゲームやレースゲームなんかをする際にも10インチよりは8インチのほうが遊びやすいですもんね。
最後に、数少ない競合機であるTeclast T8(Wi-Fi専用機)と比較した感想です。筐体品質はほぼ互角、処理性能もほぼ互角ですが、デザイン(筐体色)で好みがわかれそう(私はブラックのX1が好みです)なのと、ディスプレイの色味という点ではX1のほうが優れていると思います。もちろんLTEを使うのであればX1にせざるを得ませんね。
7.関連リンク
ALLDOCUBE Cube X1:Banggood
コメント
ドコモ dtab Compact d-01J のSIMロック解除の白ロムを
購入してUQモバイルSIMで運用していますが、なかなか快適です。
くしくも同じ8.4インチのLTE対応で325g、白ロムで2万円前後、
ストレージが少なく、SIMスロットが1つ、なのを我慢出来れば、
こちらも選択肢に思います。