AGMのAndroidタブレット「PAD P2」の実機レビューです。AGMと言えば「タフネススマホ」のイメージが強く、ウインタブでも過去に何度かタフネススマホの実機レビューをしています。またAGMは昨年あたりから日本での販売に力を入れており、このPAD P2もAmazonで購入ができますし、もちろん技適マークもついています。
ここがおすすめ
・SoCのHelio G99はゲームが主目的でなければ十分な性能
・Android 14搭載、Widevine L1でNetflixでもHD画質視聴可
・タフネス系ではないが剛性感、しっかり感のある筐体
・タブレット製品としては高いカメラ性能
・必要十分な品質のケースが付属。タブレットスタンドとしても使用可
ここはイマイチ
・レビュー時点でRAM拡張機能が使えず
・表示項目に少しバグあり
販売サイトはこちら
AGM PAD P2:Amazon
1.概要
スペック表
AGM PAD P2 | |
OS | R OS 1.0(Android 14) |
SoC | MediaTek Helio G99 |
RAM | 8GB(拡張機能により最大16GB) |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 10.95インチ(2,000 x 1,200)90Hz |
LTEバンド | FDD:B1/2/3/4/5/7/8/20/26/28A/28B/66 TDD:B34/38/39/40/41 |
SIM | nano SIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.2 |
入出力 | USB Type-C、microSDカード、オーディオジャック |
カメラ | イン8MP/アウト50MP |
バッテリー | 7,850 mAh |
サイズ | 2558.37 x 169.92 x 7.5 mm |
重量 | 530 g |
コメント
PAD P2はAGM製品ですがIP68とかMILスペック準拠といったタフネスな筐体ではなく、「普通のタブレット」です。この点はご注意下さい。
OSはAndroid 14で独自UIの「R OS 1.0」を搭載していますが、カスタマイズは多くありません。SoCは中華タブ上位モデルでは定番とも言えるHelio G99、RAMは8GBで拡張機能により最大16GBとして使えます。ただし、レビュー時点で設定項目にRAM拡張に関するものがなく、拡張ができませんでした(Helio G99でRAM8GBが使えれば実用上は問題ないと考えますが、早めにアップデートで拡張可能にしてもらいたいところです)。ストレージは256GBです。ディスプレイは11インチ(正確には10.95インチ)で解像度は2,000 × 1,200でリフレッシュレートは90Hzです。
また、この製品はアウトカメラの画素数が高く50MPです。撮影画質のほう、楽しみですよね。
iPad ProとかXiaomi Pad 6s Proには及びませんが、それらのハイエンド製品よりもずっと安い2万円台で購入できるAndroidタブレットとしてはスペックがよく、読者の方々の多くはハイスペックなスマホをお持ちでしょうし、「タブレットならこのくらいで…」と思えるような製品だと思います。
2.外観と使用感
外箱です。レビュー記事に掲載する意味はそれほどないのですが、AGMらしいというか、タフネス系の流れをくむキレイな黄色なのが印象的でした。
同梱物です。ペーパー類では取扱説明書(画像左)とオンラインユーザー登録の案内文書(画像右)、そしてステッカー(画像上)が入っていました。取扱説明書には日本語表記もありましたが、各部名称と簡単な使い方の説明が記載されている程度だったので、ウインタブ読者にはあまり必要性は高くないですね。あとはACアダプターとUSB Type-C – USB Type-Cのケーブル、そしてSIMピンです。ACアダプターは出力20Wのもので(20WというのはAGM PAD P2の急速充電能力と同じです)、日本で使えるコンセント形状でした。
ケースも付属していました。PVC素材で特に高級感はなく、実用品という感じですね。ただし、中国メーカーのタブレットの場合、iPadのようにサードパーティ製のケースがよりどりみどり、という感じではないので、「付属するだけありがたい」です。また、このケースはタブレットスタンドとしても使えますので、動画視聴などの際には重宝します。ケースの使用感については後述します。
前面です。ベゼル幅は低価格帯のタブレットとしては細いほうだと思います。ディスプレイの発色品質は悪い意味ではなく「普通」という感じで、手持ちのPCモニター(27インチIPS液晶、FHD解像度、100%sRGBのもの)と比較すると原色の鮮やかさがやや劣るものの、AGM PAD P2を単体で使っていて不満を感じるようなものではありませんでした。
また、この製品のWidevineはL1でAmazonプライムビデオとNetflixでHD以上の画質で視聴できることを確認しています。
背面です。素材は金属製と思われ、筐体色はご覧の通りやや濃いグレー(あるいはシルバーというべきか)です。特に個性的と言える色ではなく、タブレットとしては無難な色かと思います。
一見デュアルカメラに見えますが実際はシングルで、画像左側のレンズ状のものはフラッシュライトです。カメラバンプの張り出しは大きく、ケースを付けないと筐体やテーブルなどに傷がつくのがちょっと心配です。
上面です。左側に音量上下ボタンがあり、中央左右にマイク穴があります。
下面にはポート類・ボタン類はありません。
右側面です。中央にUSB Type-Cポート、その両脇にスピーカーグリルがあり、画像右側にSIM/microSDスロットがあります。そして、この画像だとわかりにくいんですけど、右端にイヤホンジャックがあります。
SIMスロットは「nano SIM × 2」もしくは「nano SIM + micro SD」を挿入できる、「よくあるタイプ」です。あと、このアングルだとイヤホンジャックがよく見えますね。
左側面です。こちらにもスピーカーが2つあり、画像左側に電源ボタンがあります。AGM PAD P2は左右に2つずつ、合計で4つのスピーカーを搭載しています。スピーカーの音質も良好な部類で、低音の迫力は感じられませんが、クリアに聴けます。低価格帯のタブレットとして水準以上の音質であると評価できますね。
次にケースを見てみましょう。タブレットを覆う部分は柔らかいPVC製で着脱は容易です。また、タブレットの下面付近にペンを収納すると思われる穴(溝)がありますが、この製品専用のペンというのは販売されていません。
また、蓋を閉めると画面オフ、蓋を開けると画面オンになりますので、この点も便利です。
ケースはスタンドとしても使えます。ただし、蓋(いわゆる風呂蓋)の部分に折り目(溝)がないため安定性はイマイチですね。やや立て気味にすると安定しますが、角度をつける(寝かせる)と安定せず、すぐに倒れてしまいます。
「外観と使用感」の最後にちょっと感想を書きます。私、この製品がとても気に入りました。これまでご説明してきた通り、全体的に「普通以上」の品質ではありますが、かといってBlackview Tab 18のように「抜群」と言えるほどの強い印象はありません。ただ、「何をするにも快適」でした。動画視聴にせよゲーム(後述しますが、この製品はゲーム用と言えるほどの性能はありません。ただ、私が普段遊んでいるゲームなら全く問題なく遊べました)にせよ、使っていて不満を感じませんでした。また、筐体の剛性感も高く、「硬い」という感触がありました(個人的に好み)。この製品よりもSoC性能が高い、画面がキレイ、スピーカー音質がいい、というタブレットはあります。しかし、製品価格を考えると、この製品の全体的な仕上がりは非常に高水準だと思います。
3.システム
ホーム画面とアプリ一覧です。上で「独自UIのR OS1.0搭載」と書きましたが、基本的には「素のAndroid 14」という感じですね。特殊な機能や表示パターンは見られませんでした。また、独自のアプリもごく僅かです。
設定メニューは表示形式がちょっと個性的でBlackviewのDoke OSに似ています。ほぼ日本語化もなされていますが、画像右にあるように、一部の詳細設定項目で英語表記が見られます。ただ、割と平易な内容なので、特に困ることはないでしょう。
独自アプリは「Tablet Manager(画像左)」と「コンパス(画像右)」ですTablet Managerはメモリやストレージのクリーニング、アプリ管理(権限設定やアンインストール)、バッテリー管理(Androidの設定項目へのリンク)ができますが、機能に乏しく、はっきり言って存在意義は高くないですね。コンパスは「方位計」と「傾斜計」が使え、こちらも特にすごいとか便利、という感じではないですが、タフネス系に強いAGMらしいプリインストールアプリだと思います。
おそらくOTAアップデートで解消されるのではないか、と思いますが、設定項目の表示に一部不具合がありました。この画像は「設定→ディスプレイ→カラー」の項目ですが、本来いくつか選択肢がある(例えばビビッドとかノーマルとかプロとか)べきところ、「チェックボックスが1つあるのみで説明が一切ない」です(私が赤枠で囲んだあたりに何らかの説明文が入るはず)。少し調べてみましたが、使用頻度が高そうな設定項目ではこのような不具合は見当たらず、「開発者オプション」の一部項目で同様の不具合が散見されました。
4.カメラ
AGM PAD P2はアウトカメラが50MPと高い画素数になっています。カメラアプリは日本語化されており、中国タブレットとしては割と標準的(スマホと比べるとずっと機能が少ない)だと思います。写真撮影を主目的に低価格帯のタブレットを購入する人はほとんどいないと思います。実際のところ、読者の方々がお使いのスマホのカメラのほうがずっと高性能ですし、機能も充実していますし、さらに「写真を撮りやすい筐体サイズ」です。
一応、何枚か写真を撮ってみたんですけど、これがなかなか…、なんです(下記の作例はすべて画素数12MPで撮影しています。50MPで撮影してもWeb上で縮小して掲載するとほとんどその効果がわからないので)。
まずは夜景モードを使って撮影してみました。私が使っているスマホGoogle Pixel 8には及ばない画質ながら、ウインタブとしては初めて「まともに夜景が撮れる中国タブ」だと思いました。
撮影日が晴天だったこともあり、発色は鮮やかで自然です。中国タブの場合、「自然な発色」という当たり前のことができない製品って、結構多いんです…。
最近のマイブームである松屋のポーランド風ミエロニィハンバーグ定食(ライス大盛り)。ご覧の通り飯テロ画像も十分テロとして機能する画質だと思います。
ズームは最大で4倍まで。ただ、ズームをしてしまうとピントが甘くなり、画質の劣化も大きめなので、拡大鏡として使うのはいいとしても写真撮影はちょっと厳しいかと思います。
個人的には、AGM PAD P2のカメラ品質であれば、積極的に使ってみたいと思いました。…ただ、結局スマホで写真撮影することのほうが圧倒的に多いはずなので、出番は少ないと思いますけど。
5.性能テスト
Antutuベンチマークのスコアです。Helio G99を搭載するタブレットやスマホについてはウインタブで何度もレビューし、テストしていますが、だいたい35万点から40万点強くらいです。なので、ウインタブのテスト実績としては、この426,641というスコアは「トップクラス」ということになります。
ハイエンドスマホに搭載されているSnapdragon 8シリーズであれば200万点くらいのスコアになりますし、ミッドハイクラスの5Gスマホが搭載するDimensity 8020あたりでも80万点くらいなので、スマホと比較してしまうと決して高いスコアとは言えません。しかし、このレビュー中でいくつかゲームもプレイしてみましたが、原神のような「重いことで定評のある」ゲームを避けるようにすれば、多くのゲームは十分楽しめると思います。また、ゲーム以外の用途であればもたつきを感じることはまずないでしょう。
6.レビューまとめ
AGM PAD P2はAmazonで販売中で、5月12日現在の価格は27,899円です(製品ページにある7,000円OFFクーポンを使用した価格)。Helio G99を搭載するタブレットとして、「どこか特にすごいところがある」製品ではありませんが、パフォーマンスは高く、WidevineもL1でNetflixでもHD画質視聴ができます。また、筐体もIP68とかMIL規格準拠といったタフネス系の製品ではないものの、剛性感のある仕上がりです。
ハイスペックなPCやスマホを持っている人なら「こんなのでいいんだよ!」と言いたくなるような製品ですね。Helio G99搭載の中国タブとして最安値ではありませんが、個人的にはおすすめしたいタブレットです。
7.関連リンク
AGM PAD P2:Amazon