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スマート翻訳機「ZERO」レビュー - クラウドファンディング発のスマホに装着する小型翻訳機、テンポよい会話を実現できる未来の翻訳ガジェット(実機レビュー)

スマート翻訳機「ZERO」
こんにちは、natsukiです。今回は、スマホを翻訳機に変える面白ガジェット「ZERO」をレビューします。海外旅行の強力な味方になること請け合いで、持ち歩きやすく紛失しにくい利便性とスマートなデザインも魅力です。この製品は、クラウドファンディングINDIEGOGOで出資を募って開発していたものであり、すでにそちらのプロジェクトは成立していて、今般日本語にローカライズされたものがMakuakeにてクラウドファンディング開始となりました。実機は、開発元企業のTimekettleよりサンプル品を提供していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。なお、このように、これから日本語ローカライズが進んでいくことになりますので、特にアプリに関しては、今後、仕様の変更が行われていくことも考えられます。その点はご承知おきの上でご覧ください。

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1.クラウドファンディング発

この製品の素性ですが、ちょっと話がややこしいので、繰り返しになる部分もありますが、丁寧に説明しておきます。

すでにクラウドファンディングINDIEGOGOで開発済み

まず、この製品は、元はクラウドファンディングINDIEGOGOで開発されたもので、INDIEGOGOのプロジェクトとしては成立済みです。そちらはすでに製品としては開発が終了し(正確には、Lightning端子版の開発が遅れているようですが)、出資者への発送も始まっている状況です。つまり、ハードと、英語版のアプリはできあがっています。

今回のレビューは、日本語ローカライズ版のサンプル品を提供していただいて行っています。

このような経緯から、ハード面では、レビュー用サンプルはすでに完成したもので、今後大きな変化はないと思われます。一方で、アプリについては、いわばプロトタイプの状態であると思われます。もっとも、英語版はアプリも含めて完成しているため、使い勝手が変わるような根本的な変更はないでしょう。実際、アプリを使ってみても、基本的にはほぼできあがっています。しかし、ローカライズにともなう細かいバグらしきものも散見されるので、これはレビュー中に触れて、今後、Makuakeでのプロジェクトが成立した際には改善されることを望みたいと思います。

以上のようなことを踏まえて、レビューをご覧ください。

日本語ローカライズを行うのは、ちゃんと製品の開発企業

「日本へのローカライズをクラウドファンディングで出資募集」と聞くと、警戒度MAXになる人もいるかと思います。残念ながら、Makuakeをはじめとした国内のクラウドファンディングでは、海外製品の日本へのローカライズをうたって、その実、単に輸入するだけの悪質な例が多く見られます。その点、今回の製品は、Makuakeでの出資募集も、ちゃんと開発元の企業が行う「まっとうなクラウドファンディング」です。

開発メーカーの「Timekettle」は、深圳のスタートアップ企業で、すでにイヤホン型翻訳機「WT2(現在はアップグレードしたWT2 Plus)」の開発実績があります。また、メーカーページには、日本語ローカライズも見越して、日本語の製品情報ページもあります。関係するリンクを貼っておきますので、適宜ご覧ください。

日本語の製品ページも作っているぐらいで、クラウドファンディングする意味があるのかという気もしますが、十分な製品開発力と販売網を持っていながらクラウドファンディングを宣伝に使うことが常態化してる某企業と違って、Timekettleはまだこの製品が開発第2号のまさにスタートアップな企業なので、クラウドファンディングを使うというのは十分理解できるかと思います。

Zero : Reinventing the Translator – For Everyone:INDIEGOGOでのプロジェクトページ

Timekettle:開発メーカーサイト

2.概要

スマート翻訳機「ZERO」
いよいよ、製品レビューに入っていきます。この「ZERO」、どういうものかは、画像を見ていただければおおむねイメージできるでしょう。スマホに、マイクモジュールを挿して、音声を翻訳して、表示・発音します。スマホが、手軽に翻訳機に早変わりというわけです。

スマート翻訳機「ZERO」

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これは説明書の画像です。実際の利用場面では、このようにスマホを地面と水平に設置します。もちろん、手に持ってもかまいません。

Google翻訳アプリとの違い

実は、スマホを使って「音声からの翻訳」というだけなら、無料の「Google 翻訳」を使えばできてしまいます。では、何が違うのか?

スマート翻訳機「ZERO」
公式には、こんな比較表が……って、これじゃ抽象的でよく分からんですね。実際に使ってみて、簡単に言うと、この製品の特徴は「会話」をよりスムーズに行えるような工夫です。細かい機能は後述しますが、明確な特徴は2点あります。

第1に、指向性の強いマイク。例えば、最も多いシチュエーションであろう対面状態での会話では、両者の発音を混同することなく、別々にとらえることが可能です。

第2に、インターフェースの工夫。会話モードでは、画面が2分割され、対面した両者が見やすいようになっています。ここが重要で、お互いにリアルタイムで翻訳を見られるので、テンポよく「会話」することが可能です。

時間と面倒さをかければ、「できること」はGoogle翻訳もさほど変わらないかもしれません。しかし、「会話」というのはリアルタイム性こそ大切です。コミュニケーションをいかにスムーズに行うか、そこに注力している製品と言えます。

3.筐体

スマート翻訳機「ZERO」
まずは、筐体を見ていきましょう。この製品は、筐体も、デザイン・利便性ともに魅力的なものとなっています。

スマート翻訳機「ZERO」
同梱品です。レビュー機には英語説明書しかついていませんが、レビューにあたってPDFファイルで日本語説明書もいただきました。日本でのプロジェクト成立の際には、日本語説明書がつくものと思われます。説明書の日本語は流暢で、理解しがたいところはまったくありません。だけど、なぜか漢字フォントは中国語フォント(笑) まあ、読むのに不自由はありませんけれど。

スマート翻訳機「ZERO」
面白いのが、このケース。多少の厚みはあるものの、カード状の形で、マグネットで本体を固定します。端子を守るとともに、ポケットなどにも入れやすく、非常に扱いやすい形状となっています。また、このサイズなら紛失もしにくいですね。旅行に持っていくことが前提となる製品なので、使うときに取り出しやすくスマートなこのケースのデザインは、非常に優れていると思います。

端子は、USB Type-CとiPhone用のLightninのいずれかを選ぶことができます。私はiPhoneを持っていないので、レビュー機は当然USB Type-C。残念ながら、microUSBには対応していません。

スマート翻訳機「ZERO」
スマホに装着すると、こんな感じ。最小限のコンパクトなサイズです。

4.機能

機能を見ていきます。この「ZERO」を使うには、当然ですが専用のアプリが必要で、Google Playから「Timekettle」をインストールします。なお、ZEROをスマホに接続していない状態では、アプリは動作しません。

スマート翻訳機「ZERO」
通常は「翻訳モード」で起動しますが、左上から、このようなメニューが展開し、各機能に切り替えられます。

翻訳モード

スマート翻訳機「ZERO」
「翻訳モード」です。2名で対面しての会話が想定されています。これが最も使う機能でしょう。

スマート翻訳機「ZERO」
なお、モード開始時に、スマホの置き方やモードの解説などの簡単なヘルプが表示されます。この点を見ても、アプリも丁寧な造りになっている印象を受けました。もちろん、いちいち表示されるのが面倒であれば、「もう表示しない」にチェックを入れれば、次回からは表示されません。他のモードでも、同様なものが表示されます。

スマート翻訳機「ZERO」
このように、両側から話した言語がどんどん翻訳されていきます。

スマート翻訳機「ZERO」
右上の四角に「A中」と書いてあるマークから、どちら側がどの言語かの設定を行います。マイクが正しく機能している証として、例えば、日本語に設定している側から英語で話しても正しく聞き取ってくれません。

スマート翻訳機「ZERO」
右上の設定画面です。ほぼ見たまんまですが、「会話設定」の部分は、シチュエーションによって使い分けたいところです。

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「タッチ制御」は、話し始めと話終わりを、タッチで指示するようにします。つまり、話す人が自分の側をタッチすると聞き取りがはじまり、もう一度タッチすると、聞き取りを終了して、反対側に翻訳を表示します。落ち着いて、比較的長文を話すときにはこのモードが役立つでしょう。

「一時停止」は、通常のオートでの一文の聞き取り時間です。デフォルトでは1秒になっていました。「タッチ制御」をしていない場合は、マイクは自動で聞き取りを開始して、ここの時間を目安に一文が途切れたところで翻訳を開始します。ただし、厳密に、1秒経ったら強制的に文章を切る、というわけでもなさそう。

スマート翻訳機「ZERO」

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これは、桃太郎を朗読してみたものですが、明らかに2秒以上の文章も、区切りを待ってから翻訳しています。なので、とりあえずデフォルトで、あんまり翻訳が短く切られるようだと感じたら、長めにするといいと思います。

また、「文章のみ」をONにすると、画面表示のみになります。デフォルトではOFFで、翻訳後は文章を表示するだけでなく、音声も発します。

ひとつ、バグらしきものとして、会話モードのままアプリを閉じても、タスクから完全に閉じない限りバックグラウンドで動作し続けることがありました。こちらは会話を終わったつもりなのに、ポケットの中で周りの音を聞き取って勝手に翻訳して話し始めるので、ビックリします(笑) 現状、タスクから完全に閉じる必要があります。ここは改善して欲しいところです。

会議モード

スマート翻訳機「ZERO」
会議モードは、翻訳ではなく、4方向からの音声を聞き取って、それぞれ別々に記録していきます。左下のボタンで録音を開始/停止します。画像は、テキスト表示をしていますが、右下のボタンからグラフ表示にも切り替えられます。グラフ表示は使い道があるのか分かりませんけど。また、音声も録音されます。

Google音声入力との違いは、方向で話者を整理できることにあります。ところが、ここで、バグ。上の画像では、発言者が「下」と「右」のみになっていますが、実際は4方向から発言しています。他のモードでの履歴を見てもそうなのですが、発言者のアイコンが「上」「下」両方とも「下」に、「右」「左」両方とも「右」となってしまっています。これは他のモードの履歴を見てもそうなっています。「翻訳モード」の履歴を見ると、アイコンはいずれも「下」になっていながら、言語の違いは認識しているので、単純にアイコンの設定ミスっぽいです。これは直してもらわなくちゃ。

インタビューモード

スマート翻訳機「ZERO」
インタビューモードです。これも翻訳機能は無く、上下方向のマイクのみ有効になります。もちろん、音声も記録されます。Google音声入力との違いは、上下方向の話者は区別して録音されること……のはずが、先述のバグにより、現在は両方とも「下」の話者で表示されちゃっています。なお、何度も試していると、インタビューモードでは、上下別に記録されるときもありました。発生条件はよく分かりません。

インタビューモードの場合、左右のマイクを利用して、上下方向以外の雑音に対してノイズキャンセリング機能も働かせているらしいです。これは、うるさいところで実験のしようがなかったので、どの程度の効果なのかは検証できませんでした。

履歴

各モードで読み込んだり翻訳した分は、もちろん記録されていて、「履歴」から参照できます。

スマート翻訳機「ZERO」
これが、履歴一覧。日付ごとに整理され、時間と記録したモードが表示されています。タイトル代わりにはじめの文章が表示されていますが、これは各履歴の編集で、タイトルを入力することも可能です。また、右上の3点リーダーから、削除と強調ができます。

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先ほどの桃太郎ですが、各履歴を選択するとこのように表示されます。会議モードやインタビューモードの場合は、再生もできます。タイトル部分をタップすれば、タイトルも編集可能です。

スマート翻訳機「ZERO」

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右上の3点リーダーから設定を開くと、こう。下のアイコンですが、左から「出力」「選択した発言の強調」「選択した発言の削除」が可能です。左上の二重チェックマークで全選択になります。「クリップボードへのコピー」「メールへの添付」が可能です。個人的希望としては、単純な「テキストファイルとして出力」も欲しかったかな。

テキスト翻訳

テキスト翻訳は、ざっと見た限りGoogle翻訳アプリとの違いは特になさそうです。試しに、一定の長文を放り込んで、Google翻訳との翻訳精度の違いを比較してみました。

スマート翻訳機「ZERO」

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いくつか試してみましたが、ほぼGoogle翻訳に準じるようです。ただ、違う部分も時々あったので、そのまま使っているわけでもないようです。このアプリの方で補正をかけているのか、Google翻訳の進化速度について行っていないのか、その両方なのかは分かりません。

5.会話機能を使ってみた

さて、知人の英語のネイティブスピーカーと「翻訳モード」遊んでみました。本当は、中国語話者と韓国語話者と会う機会もあったはずだったんですが、コロナのせいで会えなくなってしまったので、そこは残念です。

まずは、教科書的な会話。

スマート翻訳機「ZERO」

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机にスマホを置いて会話しています。聞き取り精度は、少しゆっくりめに話してやれば、ご覧の通り上々。途中で、変な読み取りをしてしまっていますが、リアルタイムで表示されているので、すぐに気づいて言い直すことができます。こういう修正がすぐきくのが、この製品の面目躍如です。

スマート翻訳機「ZERO」

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「えー」とか「んー」とか言い直しとか、とっさの会話にありがちなことにも、十分に意味が取れる範囲で認識していますね。ただし、あたりまえかもしれませんが、固有名詞や略称などでは手こずることもあります。これは「U.S. president」がうまく認識できずに苦戦しています。私の返答が、政治的な本音発言はレビュー記事に載せらんないな~、とか考えながらだったのでやたら固くなっているのはご愛敬と言うことで(笑) この他も、日本の地名で認識間違いが比較的よく発生しました。ただし、地名の場合は、単に間違えるだけで、前後の文章は大丈夫です。もちろん、問題なく認識する場合の方が多いですが。

他にも色々試しましたが、道を聞いたりなんかはほぼ完璧。認識性能は、十分に実用的と言ってよいと思います。

使ってみて気づいたこと

使ってみて気づいたポイントです。まず、マイクの指向性がけっこうしっかりしています。気をつけなくてはいけないのは、真上の音は拾ってくれません。なので、手持ちにしろ机の上にしろ、あんまり自分に近い位置にあると、自分の声を拾ってくれないので、自分の口の位置とマイクの有効範囲は意識してやる必要があります。相手については、十分な距離があるので、問題ありません。

そして、この道具を使うメリットです。目的通り、会話がスムーズに行きます。挙動としては、

「話す」
「話した言語で自分側のディスプレイに文章が表示される」
「相手側のディスプレイに翻訳したものが表示され、音声も発音される」

となるのですが、これがディスプレイ上に表示されるため、互いの発言のタイミングは明確に分かります。

Google翻訳を使った場合、いちいちスマホの向きを変えなくてはいけません。「ZERO」の場合は、ディスプレイを見てタイミングを計れば、かなりテンポよく会話が可能です。また、読み込み間違いがあっても、すぐに言い直したり「今のは間違い」とか「もう一度」と言えばいいわけです。やはり、リアルタイムでお互いにディスプレイを見て翻訳の状態が確認できるという、ここがこの製品の優れた点です。

ただし、非常に重要な点として、インターネット接続環境が必須となります。スマホを機内モードにすると、動作しません。ここだけは注意したいところです。

6.まとめ

この製品はMakuakeで出資募集がスタートしていて、4月2日午後1時30分現在の最安な出資額(価格)は6,380円(税込み)です。信用度で言えば、日本語ローカライズの出資募集主は開発メーカーですし、ハード面については、すでにINDIEGOGOのプロジェクトとして開発終了済みで、アプリも、基本的な部分はレビューの通りできあがっているので、出資額さえ集まれば、プロジェクトが失敗するという可能性は非常に少ないかと思います。ただし、例えば何らかの事情から発送期日が遅れるなんてことは十分ありうるでしょう。その他諸々のリスクも、完全に無いとは言えません。あくまで、クラウドファンディングの「出資」ということはご承知おきください。

実際に使ってみて、ディスプレイが2分割されて、互いにリアルタイムで読み取り結果と翻訳結果が表示されるというのは、現状のツールの中では、これ以上になく実用的な「会話のための翻訳ツール」と言えると思いました。旅行先などで初対面の相手に使うにしても、視覚的に、一目でこれが翻訳ツールだということは分かります。また、スマホをベースとすることで、文章読み取りはGoogle翻訳、会話はZEROと、ひとつのスマホで多様なシチュエーションに対応可能にもなります。話すだけで使える、簡易辞書としても優秀です。もちろん、履歴を活用可能だということの利便性は言うまでもありません。

ニッチな需要を掘り起こすクラウドファンディング製品なので、もとよりコスパを問う製品ではありません。しかし、この機能で10,000円しないというのは、必要な人にとっては十分な価値があるでしょう。INDIEGOGOのプロジェクトページでも、専用の翻訳機を買うよりはずっと安いよ、というのをアピールしていますが、この使い勝手の良さであれば、その主張は納得できます。私は、語学全然だめなくせに海外旅行は大好きなんですが、これは心強い味方となってくれそうです。

7.関連リンク

充電不要、スマホに挿すだけ楽々翻訳!財布にも入る多機能スマート翻訳機「ZERO」:Makuake

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コメント

  1. m.os.ota より:

    これはめちゃめちゃ惹かれます。
    スマホベースで使用できてロープライスでここまでできるってすごい。

    • natsuki より:

      専用翻訳機買うなら、これをスマホに差した方が安いよ、といううたい文句は、まったくその通りだと思います。
      2画面分割のインターフェースも、リアルタイムで双方に自分がしゃべった文と翻訳が分かるので、会話がスムーズに進みます。これは、スマホの大画面を活かしたこの製品ならではですね。かなり実用性は高いかと。
      これ持って海外旅行に行くのが楽しみだったんですが、この状況だといつになることやら……

  2. 匿名 より:

    これ出資した。WT2 Plus持っていて翻訳性能はだいたい満足している。ただ話し終わるまで翻訳されないからずっと喋る人だとちょっとつらい。これがどうなるかは興味ある。

    • natsuki より:

      ZEROの大きな利点は、話している方も、自分が話していることの、認識状況と翻訳状況をリアルタイムで見られることです。
      まあ、一段落つくまで、認識が始まらないのは同じなんですが、普通に息継ぎするくらいで区切りますので、実用上は大丈夫かと。