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TRN X7の実機レビュー - 1.5万円で購入できる7BA搭載の有線イヤホン。AirPodsとどっちがいい?

TRN X7 レビュー
こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。中国メーカー「TRN」の有線イヤホン「X7」の実機レビューです。この製品は中国の通販サイト「HiFiGo」で14,040円および日本のAmazonで15,280円(ともに9月5日現在)で販売されていて、イヤホンマニアの人にすれば「割と手頃」、これまでイヤホンにあまりお金をかけた経験のない人、あまりイヤホンに強い関心のない人にとっては「割と高級」という位置づけになると思います。

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ウインタブではイヤホンの知識が豊富なライターがいて、このレベルの製品はライターにレビューを依頼していました。イヤホンに詳しい読者にとっては、専門知識のあるライターがレビューするほうが役に立つと思います。一方でここはウインタブです。たまには専門的な内容ではなく、でも「ちょっといいイヤホンを使ってみようかな」と思っている人向けにレビューしてみるのもいいんじゃないか、と思いました。

正直なところ、私自身は音質評価をするのに適任ではない、と思っています。しかし、私の家族に「子供の頃ずっとピアノを習っていて、それなりの音感が備わっている娘(2名)」がいます。彼女たちはiPhoneユーザーで「AirPods(Pro)」を使っています。AirPodsというのも決して安価ではない、というか高価なイヤホンですよね。iPhone用に使う完全ワイヤレスイヤホンとしては最高のチョイスと言えるんでしょうし、私から見て彼女たちは「ファッション」としてもAirPodsを使っているのかなあ、と思います。

今回のレビューでは、私ももちろん試聴に参加していますが、うちの子(長女のほう。24歳でiPhone 11 ProとApple Musicの利用者)にも音質評価をしてもらいました。

で、「AirPodsユーザーがTRN X7を使ってみて、どう感じるか」ということも試してみようと思います。なお、この製品はHiFiGoにレビューサンプル(市販品とは付属品が少し異なります)を提供していただきました。この場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。

1.レビューに先立って

私がこれまでに経験してきたイヤホンレビューはほぼ全て「1万円以下の完全ワイヤレスイヤホン」です。TRN X7のような価格帯の有線イヤホンのレビュー経験はありませんし、プライベートでも定価1万円を越える有線イヤホンを使った経験はありません。なので、レビュー前にいろいろと調べ、最低限必要なものを用意しました。

TRN X7 ポータブルアンプ
これです。「PALOVUE ポータブル ヘッドホンアンプ」です。いわゆるポタアン(DACとほぼ同義として扱われることが多い)です。こういった「ポタアン」について、イマイチ必要性を理解していなかったのですが、少し調べただけでその必要性を理解できました。特に参考になったのがこちらのブログです。

iPhone・スマホを超高音質化!小型DAC(ポタアン)おすすめ4選!:カジェログ

TRN X7 ポータブルアンプ
この製品、Amazonで9,500円で購入したのですが、ポタアンとしてはかなり安価な部類です。使い方は簡単、iPhoneのLightning端子につないで、もう一方の端にイヤホンジャックを挿すだけ。

話がどんどん脱線してしまいそうなので、ごく手短に言わせていただくと「いや、イヤホンより先にポタアン買うほうがいいんじゃない?」というくらいに劇的な効果がありました。

今回は「イヤホンのレビュー」なので、このポタアンを接続した状態と、これを使わずに普通にiPhoneの変換ケーブル(Lightning – 3.5mmイヤホンジャック)を使った状態と、PCのイヤホンジャックを使った状態、についてレビューしていきたいと思います。

2.TRN X7 スペック

TRN X7 スペック表
スペック表です。周波数特性が20Hz-40KHzと広く、リケーブルにも対応(2ピン)しますので、初心者が本格的なイヤホンを試す、というのにも向くと思います。また、イヤホンジャックはバランス端子ではなく、一般的な3.5 mmミニ端子です。つまり、手持ちのデバイスのイヤホンジャックで普通に使えます。

TRN X7 7BA
TRN X7のセールスポイントは「7BA(7つのバランスド・アーマチュア)」搭載、という点です。なお、バランスド・アーマチュアについては、下記のサイトをご覧ください。

イヤホンのダイナミック型とバランスドアーマチュア型(BA型)の違いとは?:Radius公式コラム

残念ながら7BAの何たるか、ということについては解説ができません。でも「要はいい音が聴けるかどうか」ということだと思いますので、仕様についてあまり深く追求しないようにしておきます。

HiFiGoはTRN X7の発売前に多くの人にレビューを依頼しているようで、WebやYouTubeで多くのレビュー記事やレビュー動画を確認できます。私もこのレビューを書くのにあたり、TRN X7のレビュー記事や動画をいくつか確認したのですが、中には非常に辛辣なもの、低評価なものも見受けられました。

「レビューはレビュー」ですから、レビュアーが感じたままを書くなり動画にするなりすればいいだけのことで、高評価なのがおかしいということも低評価なのがおかしいということもありません。私はイヤホンの知識が十分にあるとは言えないので、高評価のレビューと低評価のレビューのいずれも参考とさせてもらいつつ、高評価にも低評価にも引っ張られることのない、自分なりの素直な感想をレビューに書いていきたいと思います。

3.TRN X7 同梱物

TRN X7 同梱物
レビュー機の同梱物です。入っていたのはイヤホン本体、ケーブル、ケース、取扱説明書、保証書、検査合格証、イヤーピース3種類でした。なお、これとは別に本体に初期装着されていたイヤーピースもありました(イヤーピースについては後述します)。

TRN X7 同梱物(販売サイト)
で、こちらがHiFiGoの製品ページにあった同梱物です。レビュー品とはイヤーピースの色が異なる、イヤホンジャックの変換プラグ2種類が写っている、ケーブルの形状(ピン部分)が異なる、といった相違点があります。このことは一部のレビュアーに混乱を与えていました。

HiFiGoからは、「市販品では製品ページと同じ付属品の構成になります」という説明を受けています(実際の市販品は確認しておりません)。

TRN X7 イヤーピース
付属のイヤーピースです。少し色が違っていますよね。「軸(イヤホン本体に接続する部分)」が赤のものと黒のものがあります。それぞれ3サイズずつ付属していました。

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TRN X7 イヤーピース
こちらは赤いほう。中国語で「高頻増強耳机硅㬵套」と書かれていました。これをGoogle翻訳すると「高周波エンハンスメントイヤホン用シリコンケース」になりましたので、要するに「高音増強タイプのイヤーピース」ということでしょう。ちなみに黒いほうは「低音増強タイプ」です。それと、フォームタイプのものも1サイズ2個付属しています。

TRN X7 本体
次に本体を見ていきます。付属のイヤーピースとは別に高音増強タイプのイヤーピースがついていました。

シェル部分は「ドイツから輸入された天然樹脂」という説明になっていますが、なめらかで美しいデザインではあるものの、プラスティック製と言われてもわからないですね。それなりのお値段のイヤホン、という雰囲気は感じられました。なお、この造形は3Dプリンターによるものです。

TRN X7 本体
シェルが半透明なので、BAも見えます。また、ケーブルに接続するピンですが、私と同様、リケーブルなんてやったことがない、という人のために簡単にご説明しておきますと、ケーブル側に「L」「R」の印字がありましたので、左右逆に接続してしまうということはありません。また、本体にはLとかRの印字がなく、形状も「エレガント(w)」なので、「どっちが右でどっちが左なのかわからん」というのもありましたが、パッケージ画像や説明書をよく見れば左右を間違えることはありませんでした。

TRN X7 本体
ノズルの大きさは標準的だと思います。手持ちの安価な有線イヤホンと変わらない太さでした。

4.TRN X7 音質

冒頭に書かせていただいたとおり、今回のレビューではうちの長女にも全面的に協力してもらっています。また、音質評価は複数のデバイス(PCとiPhone)で行い、iPhoneではポータブルアンプを接続した状態で試してみました。試用期間は2人あわせて10日ほどと、少し長めに取らせてもらいました。

なお、試聴に使用したアプリはSpotify(私)とApple Music(長女)です。私は比較用に有線イヤホン(上海問屋で購入した税込み2,398円のもの。レビュー記事はこちら)を、長女はAppleのAirPods Proを使用しました。

PCでの比較

使用したPCはMinisforum Elitemini H31Gで、特にオーディオ関係のチップは使われておらず、メーカーの説明でもハイレゾ対応などの機能は謳われていません。まあ、普通のパソコンの普通のイヤホンジャックを使った、ということです。

ここでは私がSpotifyアプリで上記の有線イヤホンとレビュー機を比較しました。当初「高いイヤホンの真価はポータブルアンプを使わないとよくわからない」という話をGoogle検索で確認していたので、あまり期待せずに聴き比べてみたのですが、実際のところ、「ぜんぜん違うわ」と感じました。

最初に感じたのは、レビュー機のほうが「音が大きい」という点と「迫力がある」という点です。で、「迫力」の違いは「一つ一つの楽器の音がくっきりと聞こえる(解像度と分離感がある)」ことに起因すると思いました。この結果、より近距離で楽器を演奏している、より近距離で歌っているように感じられます。

逆に、いつも低価格なイヤホンのレビューなどで書いている「高音が強調されている」「低音が強調されている」という感じはありません。低音から高音までバランスよく鳴る、と思います。

iPhoneでの比較

TRN X7 素直な感想

クリックで拡大します

これは試聴を開始した日の長女と私のLINEのやり取りです。このやり取りの時点でまだ私は試聴をしておらず、彼女が勤務先に持っていって初めて使いました(たぶん、休憩時間だったと思います)。ちなみにこのやり取りを記事に掲載する予定は全くなく、でも今見たら彼女の驚きようが何よりも雄弁にこのイヤホンの品質を説明しているなあ、と思いました。

それと、彼女の言っている「9000円するほうのやつ」というのはポータブルアンプのことです。

彼女は「耳は確か」なのですが、ボキャブラリーが皆無なので、私の方でヒアリングし、要旨を記載します。

・シンセサイザーがハモっている部分など、AirPods Proでは聞き取れなかった音が聞こえる(解像度が高い)
・AirPods Proだと少し離れたところで音が鳴っている印象、でもTRN X7だとすぐそばで演奏しているようだ
・当初重低音がAirPods Proより劣っていると感じられたが、実際はAirPods Proの重低音が「悪目立ち」しているだけで、より自然なのはTRN X7のほう
・しっとりとしたボーカル主体の音楽よりも音域の広い音楽ジャンル、EDMなどのほうがAirPods Proとの差が大きいと感じる
・ポータブルアンプなしでもAirPods Proよりも音質は上と感じるが、ポータブルアンプを使うとその差は大きく広がる

こんな感じです。AirPodsだって「あれだけのお値段でこれだけの大人気商品」なわけですから、音質が悪かろうはずもありませんが、それでも彼女にははっきりとその差が感じ取れたようです。

次に私です。iPhone(実はiPhone SE第2世代を持ってるんですよね、私)にポータブルアンプを接続して、Spotifyアプリで手持ちの有線イヤホンと音楽を聴いてみました。「クラシックだとわかりやすいかな」と思い、普段はほとんど聴かないクラシック音楽(「展覧会の絵」と「運命」)を聴き比べました。

ぶっちゃけ、ポータブルアンプは安価な有線イヤホンであってもそれなりの威力は発揮しますね。しかし、やはりTRN X7とは顕著な差があります。楽器一つ一つの分離感が大きく違います。また、「管楽器を吹いている人のほっぺたが膨らんでいるのがわかる」とでもいいましょうか、「音が具体的」なんですよねw 音楽全体としても、よりコンサートホールに近い音質であり、臨場感であったと思います。

5.TRN X7 レビューまとめ

レビューに協力してくれた長女が、とてもわかりやすい総括をしてくれました。

「TRN X7の音質は確かに素晴らしい。AirPodsよりも音質は上だと思う。ポータブルアンプを使えばさらに劇的。でも、通勤時に電車の中で音楽を聴く場合、そこまで音楽に集中できないので、AirPodsとの音質差は意識できない。ケースから取り出してすぐに使えるAirPodsを常用していると、いちいち線を繋がなくてはならない、そして装着が(自分にとって)めんどくさいTRN X7を電車の中で使おうとは思わない。TRN X7は自宅でじっくり音楽を聴くときに使うべきものだと思う。また、それだけの価値のある製品だとも思う。」

これが、これから「ちょっとイヤホンにもお金をかけてみようかな」と考えている人に向けての、ウインタブらしい結論だと思います。私やレビュー協力者である長女にとって、TRN X7は高品質イヤホンの入り口製品だったように思われます。今後このような本格的な有線イヤホンのレビュー機会に恵まれるかどうかはわかりませんが、もし次回チャンスがあるとすれば、AirPodsや安価な有線イヤホンだけでなくTRN X7も比較対象として使えると思うので、もう少し気の利いたレビューができそうに思います。

冒頭に書かせていただいたとおり、TRN X7はHiFiGo及び日本のAmazonで販売中で、9月5日現在のHiFiGoでの価格は128ドル(14,040円)、日本のAmazonでの価格は税込み15,280円です。この価格はAirPodsの価格(Apple Storeで19,580円、AirPods Proは25,080円)よりも安いです。また、高品質なイヤホンの価格というのは「私からすると青天井」という感じなので、それを思えば購入しやすいお値段だと思います。

AirPodsもそうですが、最近だと主流と言える完全ワイヤレスイヤホンから、ちょっとグレードアップしてみたい、という人に試していただきたい製品ですね。

6.関連リンク

TRN X7 7 Balanced Armature Drivers In-Ear Monitors:HiFiGo
TRN-X7 HiFiイヤホン:Amazon

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コメント

  1. 匿名 より:

    ぱぱやばいw

    私は音楽を有線イヤホンで聴く派なので、とても気になるイヤホンです。ただ、7BAを使いこなせているかが気になる程度で、常用するかどうかは「自分の好きな曲を好きな感じに鳴らしてくれるイヤホン」次第になってしまうと思います。

    あとお嬢さんの総括が的確ですね。
    音楽に没入できる環境ではないのに、良いイヤホンで聞く意味があるのかは永遠のテーマだと思います。私はそれでも良い有線イヤホンで聴きたいですけどね!

    • wintab より:

      こんにちは。長女は毎日電車で通勤していて、通勤のお供に音楽は欠かせないようなのですが、電車にゆっくり座れるわけでもなく、また短い区間での乗り換えもありますので、イヤホンの着脱性というのは彼女にとってかなり重要なようです。

      今回親子で仲良く有線イヤホンの実機レビューをさせてもらい、学ぶところが多かったと思っています。イヤホンのレビューは個々人の音質の好みに左右されるところが大きく、多くの人にわかってもらえる記事を書くということがとても難しいと感じました。