こんにちは、natsukiです。これ、待っていました。発売当日即購入したモバイルバッテリーを、早速実際に使ってみてレビューします。紹介記事もあるので、そちらもご参照ください。実は、紹介記事が上がったときにはレビュー記事を書き上げておりました。
さてさて、最近、タブレットにしろ、UMPCにしろ、スマホにしろ、モバイル機器の高性能化が進んでいます。それはいいんですが、高性能な機器を動かすには相応の電力が必要。そこで、モバイルバッテリーにもUSB PD対応が求められます。
一方で、個人的に譲れないのがコレ。モバイルバッテリーには、コンセントプラグがついてないと。写真は、愛用のHIDISC「HY-MB6000ACWH」です。購入から約1年半。一昨年のベストガジェットにも選びましたが、絶対手放せない圧倒的便利さ!
ということで、コンセントプラグ付きのPD対応モバイルバッテリーも欲しい!! しかし、これがなかなか無い。ようやく、信頼できるメーカーから発売されると聞いて、迷わず買ってしまいました。
目次
1.数少ない競合製品との比較
コンセントプラグ付きで、PD対応のモバイルバッテリーは、まだまだあまり市場には出回っていません。今回の購入にあたっても迷った、数少ない競合製品を並べてみます。
先に、謝っときます。細かいスペックはミスがあるかもしれません。USB PDって、非常にややこしい規格で、しかも、今回紹介する電源プラグ付きのタイプのモバイルバッテリーは、コンセント接続時と単独使用時で挙動が異なったりするものもあって、もう意味不明なんですよ。だから、正直、スペックは読み流しておいて、実際にはどういう挙動をみせるのよ? ってのが大事なんですよね。そこは、記事の後半にご期待ください。
多機能万歳「SuperMobileCharger」
まずはこれ、ウインタブでも過去に紹介しています。クラウドファンディングで開発された、多機能モバイルバッテリー。
容量:8000mAh
最大出力:18W
対応規格:QC4、PD3.0、FCP(HUAWEI急速充電)
通常USB出力:5V/2.4A、9V/2A
Type-C出力:5V/2.4A、5V/3A、9V/2A、12V/1.5A
プラグ充電時の通常USB出力:5V/2.4A
プラグ充電時のType-C出力:5V/3A
Qiワイヤレス充電:対応、最大10W
サイズ:8.2cm×8cm×2.9cm
重量:241g
プラグ折りたたみ:可
バッテリー残量表示:100%数字表示
その他:ワイヤレス充電用滑り止め吸盤シートつき
機能は盛り盛り。クラウドファンディング開発の製品ですが、すでにAmazonでの一般販売も開始しています。Qiのワイヤレス充電にも対応。まさに、何でも放り込んだ感じ。初期に見られた発熱は対策済みとのこと。また、バッテリー残量表示は100%表示で細かく見られるものの、不安定な模様。発熱やバッテリー残量表示などの不具合について、商品ページでしっかり説明してくれる姿勢には好感が持てます。重量も、相当ずっしりですが、後述の他の商品と比べると、この容量ならやむを得ないようです。価格は約6,500円で、機能の充実からすれば納得とはいえ、絶対値としてみるとやはりお高い。
SuperMobileCharger:Amazon
人柱募集中「Agenstar Qiワイヤレス充電器 モバイルバッテリー 10000mAh PD対応 ACアダプター」
輸入中華製品にありがちな、謎ブランドの製品。スペック番長な1台。
容量:10000mAh
最大出力:不明
対応規格:急速充電(詳細不明)、PD
通常USB出力:5V/3A
Type-C出力:PD(詳細不明)
プラグ充電時の通常USB出力:不明
プラグ充電時のType-C出力:不明
Qiワイヤレス充電:対応、5W
サイズ:6.2cm×11.5cm×2.8cm
重量:272g
プラグ折りたたみ:可
バッテリー残量表示:100%数字表示
その他:通常USBは2つ付き、Type-Cポートからの充電にも対応?
一見「SuperMobileCharger」の上位互換で、しかも価格は4,500円と素晴らしい。しかし、じっくり見ると、不明な点が多すぎる。うーむ、高出力バッテリーで、これはいろいろ怖いぞ。Amazonで取り扱っていて、6月末に発売したばかりなので、記事執筆現在レビューもなし。ちなみに、Amazon発送ですらない、完全マーケットプレイス。コスパだけを見ればぶっちぎっているので、人柱が待たれます(オイ)。え?私? いや、ネタ的には迷いましたよ、そりゃ。結論から言えば、逃げてしまったわけですが。我こそはという猛者の報告を是非。
Agenstar Qiワイヤレス充電器 モバイルバッテリー 10000mAh PD対応 ACアダプター(ホワイト):Amazon
Agenstar Qiワイヤレス充電器 モバイルバッテリー 10000mAh PD対応 ACアダプター(ブラック):Amazon
Ankerてめぇ汎用製品にしろ「Anker PowerCore Fusion」
こちらは、安心のAnker製。だったらこれでファイナルアンサーじゃん、と思いきや、Apple専売。価格ガガガガガ…… 思わずガラが悪くなってしまった。
容量:5000mAh
最大出力:30W(合計42W)
対応規格:PD、Power IQ(Anker急速充電)
通常USB出力:不明
Type-C出力:不明、iPhoneのバッテリー駆動時間を最大23時間も長くします(つまり?)
プラグ充電時の通常USB出力:12W
プラグ充電時のType-C出力:30W
Qiワイヤレス充電:非対応
サイズ:8.15cm×8.55mm×3.15cm
重量:249g
プラグ折りたたみ:可
バッテリー残量表示:不明(インジケーター?)
その他:MacBook、MacBook Pro、iPhone、iPad、iPad Pro対応保証
ワイヤレス充電はないものの、性能的には必要十分でしょう。容量5000mAhは、もうちょっと欲しい感じもしますが。出力30Wなのはスゴいですね。ただ、製品説明の文章だと、PDで充電できるのは電源プラグ接続時のみのように読める…… そこは、はっきりさせて欲しい。そして、Apple専売。別にAppleで買ったってApple製以外の機器でも使えますけどね。それより、価格がApple価格ってことですよ。税抜きで11,400円というのは、もうちょっとどうにかならんもんでしょうか。出力18Wでいいんで、市場競争原理の働く場に降りてきてくれませんかねぇ?
Anker PowerCore Fusion:Appleストア
Ankerがやらなきゃオレがやる! 「RAVPower RP-PB122」
そして、今回購入した製品です。安心のモバイルバッテリーのメジャーブランドRAVPower製。
容量:5000mAh
最大出力:15W
対応規格:QC3.0、PD3.0、HUAWEI急速充電非対応?
通常USB出力:5V/3A、9V/2A、12V/1.5A
Type-C出力:5V/3A、9V/2A、12V/1.5A
プラグ充電時の通常USB出力:?
プラグ充電時のType-C出力:?
Qiワイヤレス充電:非対応
サイズ:7.75cm×7.75cm×3.2cm
重量:210g(実測212.9g)
プラグ折りたたみ:可
バッテリー残量表示:インジケーター4段階
その他:Type-Cポートからの充電にも対応
モバイルバッテリーやアダプター大手RAVPowerの製品なので、品質や保証には安心感があります。保証期間は通常18ヶ月で、製品登録をすれば30ヶ月という、製品に対する絶対的自信がうかがえます。性能に関しては、とがったところはなく、基本的なところを堅実に抑えたという感じ。容量をもうちょっと上げてくれたら文句なかったんだけどなぁ。価格は4,000円台で、なぜか発売直後なのにけっこう値動きしている。あっちこっちにクーポンをバラ撒いていたので、私は4,000円弱で入手しました。モバイルバッテリーとしては高いですが、同条件のスペックを備える上記の機種との比較だと、安価な方です。電源プラグ接続時と、モバイルバッテリーのときとの挙動の違いが、商品ページの説明ではイマイチ分かりづらいので、そこは試してみます。
RAVPower PD対応 電源プラグつき 5000mAh モバイルバッテリー:Amazon
2.筐体
じゃじゃん。手に入れました。
同梱品一式です。
商品説明ページにもありますが、PD対応ケーブルは付属しません。付属のケーブルはmicroUSB対応だけです。正直、この製品の製品特性なら、Type-Cでないとあまり意味がないので、ついていないよりはマシ程度のものです。
ぐるっと見た感じ。高級感のある仕上がりで、プラグはちゃんと折りたたみ式。残量は、ざっくりとインジケーター4段階表示です。
製品シール上のスペック表示です。製品スペックのところではスルーしましたが、「PD Output」「QC Output」が18Wなのに、「Total Output」が15Wというのはどういうこっちゃ? まあ、要は実際使えるかどうかですから、それは後で見ましょう。
サイズ感です。正直、デカい。
コンセントに挿しても、周りと干渉しそう。
そして、当然、重い。ずっしり実測212.9g。ちなみに、HY-MB6000ACWHは実測160gです。
HIDISC「HY-MB6000ACWH」とのサイズ比較です。容量は、HY-MB6000ACWHの方が20%ほど多いんですけどね。それだけ、PD対応は大変なんでしょう。電圧が違いすぎるもんなぁ。こればかりは、仕方ない。
3.使ってみた
では早速、規定通りの出力が出るか、試してみましょう。
いくつかのPD対応機器で、まず、基準として最大出力30WのPD対応アダプター「Anker PowerPort+ 5 USB-C Power Delivery」での電圧/電流を計測し、それから「RAVPower RP-PB122」で、コンセントに挿してアダプターとして使った場合の電圧/電流と、モバイルバッテリーとして使った場合の電圧/電流の、合わせて3種類を計測します。「RAVPower RP-PB122」は、Type-Cポートのみ使用。ケーブルは「エレコム USB3-CCP10NBK」。充電機器の電池残量は30%~70%程度の状態です。結果は、以下の通りでした。
いやいやいやいや、予想以上に大荒れ(笑) とりあえず、アダプターとして使っても、モバイルバッテリーとして使っても、それによる給電能力の違いは見られませんでした。
それはそれとして、ご覧のとおりAnkerの電源アダプターと同じ結果になったのは「Xiaomi Mi9」のみ。
「Cube Mix Plus」に対しては、電圧が異なるものの、十分な給電を行えました。
「Teclast X6 Pro」に対しては、接続すると一瞬通電してすぐに切れるという謎の挙動。色々試したんですが、ダメでした。Teclast X6 Proはバッテリーが弱いので、これに使えないのは痛い。
初代「GPD Pocket」は、なんだかもうよく分からんことになっています。もともと、初代GPD Pocketの電源まわりが不安定なのは有名な話です。GPD PocketをUSB PDで充電するときは、本体電源がONのときに充電をはじめるとPDに対応する、というウワサがありますが、今回は、本体電源を入れっぱなしでいろいろ確かめているのに、差し込むたびに電圧が変化するという謎の事態。まあ、充電はできています。電力が低くて、PDとしての能力はまったく活かせていませんけれど。
うーん、やっぱりUSB PDは複雑怪奇。Xiaomi Mi9やCube Mix Plusには、期待通りの働きを見せてくれました。一方で、Teclast X6 ProとGPD Pocketは、いずれも電源まわりの問題児ですが、そのことが如実に表れました。こういう、アクの強い機体との相性はあるようです。
今回は試していませんが、最大出力は18W、最大電圧は12Vなので、それを上まわる機器への充電も厳しいでしょう。Windows機の場合、CPUがCore mシリーズならいけるけど、それ以上は難しいと思います。もっとも、要求電力が大きくても、電圧が12V以内で給電できる機器なら、使用できる可能性はあります。こればっかりは、実際に試してみないと分かりませんが。
4.まとめ
この製品は、USB PD対応で、コンセントに接続してアダプターにもなるモバイルバッテリーが欲しいという人には、最も堅実な選択肢となります。ただし、この製品に限った話ではありませんが、USB PDやQCなどの大電力給電規格は複雑怪奇なことになっていて、それを反映してか製品による「相性」がある、ということも、実際に確かめられました。まあ、Teclast X6 ProもGPD Pocketも、あまりにピーキーな機種なので、これをもってRAVPowerを責めるのは酷というものでしょう。国内で広く販売しているような製品なら、たぶん大丈夫だとは思いますけど。
サイズのデカさや重さといい、相性問題といい、過渡期的な感じも受ける製品ですが、それでも、高性能モバイルガジェットの心強い味方であることは間違いありません。上限は、電力18W、電圧12Vなので、購入時は自分が充電したい機器とよく照らし合わせて、そこは間違えないようにしてください。
コメント
30Wのが欲しい。なんでApple専用やねん。
「専用」といっても、他の機器に使えないわけじゃないと思いますけどね。しかし、お値段が…… 30Wの出力があるからということで価格は納得したとしても、商品説明の文からは、30Wで使えるのは、モバイルバッテリー時なのかアダプター時なのか、いまいちはっきりしないのがもっとも不安なところです。
本機でOnemix3を充電してみたら、30wなくても一応充電できてるようなので、本機の価値は個人的には一層高くなりました。
最近、これとスマホとタブレットだけ持って一泊出張するのが荷物面でいい感じになっています。
私も、最近立て続けに、旅行、出張とこれ持っていきましたが、やはり便利。まず、モバイルバッテリーとしてのMi9への充電速度が早い。アダプターとしても、2台同時充電できるのは非常に強い。欠かせない一台ですね。