こんにちは、natsukiです。ウインタブでも紹介することの多い、エルゴノミクスマウス。見た目からして面白そうですよね。価格も手ごろだし、ついついポチってみたくなりますよね。一方、いざ使ってみて全然合わなかったらどうしよう、って心配もあると思います。そこで、私がこの半年くらい使い込んできた、形状の異なる3種類のマウスをレポートして、形状と使用目的・状況の相性なんかを比べてみたいと思います。
あなたのPC生活に、ちょっとした変化を加えるエルゴノミクスマウスの世界。その手引きとなれば幸いです。
比較するのは、この3種類。左から、「Ergonomic Vertical Mouse」(TOMTOPで購入)、「MODAO E42」(Gearbestで購入)、「Rapoo MT750」(Banggoodで購入)です。前者二つは、ブランド・接続方式・電源の種類といったバリエーションにより、ほぼ同一筐体の製品が多数販売されています。例えば、ウインタブでも紹介した上海問屋のは、この「MODAO E42」と同等の筐体かと思われます。すっごくよく見ると、マウスホイールと底面の部品のかみ合わせがわずかに違うようなんですが、使用面では同じものとみてよいでしょう。
目次
1.「MODAO E42」― 握りが「縦」に近いものは、フィット感が抜群な分デリケート
まずは「MODAO E42」。3つの中では、最も握りの角度が「縦」に近いデザインです。
持ち比べてみたときに、すぐ分かるのは、「フィット感」ですね。
上の画像で、親指と人差し指のつけ根に注目してください。このようにピッタリフィットします。このことは、より一体感がある一方、指が伸びるので、いわゆる「つまみ持ち」をしていた人にとっては、しばらく違和感があると思います。また、手の小さい人には使いづらいかもしれません。
それから、手が「縦」になればなるほど、どうしても「精密性」はやや劣ることになります。ファイルのドラッグ&ドロップくらいならまったく問題ないのですが、画像処理などで1ドットを選択するような精密動作は、やはり平置きマウスの方が精確でしょう。
使うときの姿勢も大切です。次の画像をご覧ください。
上側の画像のように、ちゃんとした姿勢で使う分には問題ありません。ところが、ちょっと姿勢を崩して、下側のような角度になると、途端に使いづらくなります。わずかな差に見えますが、使用感はかなり違ってきます。
ということで、より「縦」に近いエルゴノミクスマウスは、もっとも「エルゴノミクス」な使い心地を体感できます。その一方で、使う「環境」をきちんとする必要があるようです。ちゃんと椅子に腰掛け、正しい姿勢で持つことで、はじめてその使い心地の良さが発揮されるでしょう。マウスパッドも欲しいですね。
逆に、ちゃぶ台のような環境で作業しているなら、あまりお勧めできません。もっとも、腱鞘炎などを本気で気にするなら、道具をそろえるより、まず姿勢を正しくしろって話ですが。
2.TOMTOP「Ergonomic Vertical Mouse」― 小さめなら、精密動作も問題なし
TOMTOPで購入した、ノーブランドのマウスです。貼ってあったシールなどから、実質「HXSJ X10」というマウスのブランドロゴを消したものと思われます。
ご覧のとおり、ずんぐりむっくりした「おむすび」のような形状で、親指を当てる部分の「えぐれ」はけっこうあります。
持ってみたところです。先ほどの「MODAO E42」に比べて、親指と人差し指のつけ根部分に余裕があるのが見てとれると思います。必然的に、いわゆる「つまみ持ち」状態になります。フィット感は薄れますが、指を曲げ気味な分、「精密性」は通常の平置きマウスにひけを取りません。遊びがあるので、多少崩れた姿勢でも使い心地への影響は少ないです。
もともとの持ち方が「つまみ持ち」の人、精密動作を要求する人、ラフな環境で使用する人には、この形状がお勧め。フィット感を犠牲にした分、汎用性を増した形状と言えるでしょう。サイズも小さめなので、手の小さめな人でも心配要りません。
3.「Rapoo MT750」― 親指に「そで」が付くだけでも使い心地はずいぶん違う
以前ご紹介した「Rapoo MT750」です。
形状の上での特徴は、親指の「そで」ですね。
エルゴノミクスマウスと普通のマウスとの、触覚的な使用感の違いは、ズバリ「親指で操作している感」だと思います。この「Rapoo MT750」は、全体の傾斜はさほどではないものの、親指部分に、しっかりと「えぐれ」と「そで」があり、その使用感は、明らかに通常のマウスよりエルゴノミクスマウス寄りです。元祖のロジクール「MX MASTER 2S」も、おそらく同様でしょう。
握ってみました。「かぶせ持ち」「つまみ持ち」両方が無理なく可能なデザインは、さすがは高級マウスの一角といったところ。もちろん、「精密性」は抜群で、多少崩れた姿勢で操作してもラクラク。先に紹介した2つに比べれば個性は弱いですが、人や環境を選ばす、オールマイティに活躍できる形状です。
ただ、サイズはそれなり大きいです。手が小さめの人の場合、普段から指を伸ばす「かぶせ持ち」をしているなら問題ありませんが、「つまみ持ち」ユーザーの場合は違和感があるかもしれません。
なお、エルゴノミクス形状とは異なる話ですが、サイドローラー側の親指用サイドスイッチが、構造上かなり押しづらいのだけはちょっと惜しい。「MX MASTER 2S」は、このサイドスイッチが、斜めに切り込んだような奇妙な形状をしているのですが、実際に握ってみると、その理由が分かります。ここは「MX MASTER 2S」と差が出てしまった部分ですね。
4.まとめ
様々な形状があるエルゴノミクスマウスですが、個人的に、今回紹介したマウスの使用感や店頭で握ってみた感覚を元にすると、大きく方向性が見えてきた気がします。
選ぶ上でのポイントは、「サイズ」と「角度」です。
「サイズ」が大きく、「角度」が縦に近いほど、エルゴノミクスマウスならではの「フィット感」を得られます。ただし、「角度」が大きい分、精密動作には慣れが必要になるでしょう。また、「フィット感」が大きいということは、手のサイズや姿勢などの要素が使い心地を大きく左右するので、人によって「当たり外れ」も大きくなると思います。できれば、店頭などで握り心地を確認してから購入したいですね。
一方、「角度」が、私の感覚だと、だいたい45°くらいまでであれば、通常のマウスからの乗り換えはさほど違和感なく行くかと思います。例えば、上の画像は、「エルゴノミクスマウス」としてはおそらく出荷台数世界一であろう、マイクロソフト社謹製「スカルプト エルゴノミック マウス」ですが、傾きは30°くらいでしょうか。このマウスについてのAmazonの膨大なレビューを見ても、形状についての低評価は「大きさ」に関するものがほとんどなので、このくらいの角度なら万人に受け入れられると言えるでしょう。
なお、「サイズ」は小さくなると、より「つまみ持ち」に近くなります。精密動作はやりやすいでしょうが、「フィット感」は薄れるので、これはどっちをとるか悩ましいところですね。そういえば、「つまみ持ちでエルゴノミクス形状」のマウスと言えば、「Swiftpoint GT」という、すごく気になるけどお値段も凄まじい製品が……、いや、これはあまりに特殊なんでここではやめときましょう(笑)
それにしても、非常に多種多様な形状のある「エルゴノミクスマウス」。Amazonで「エルゴノミクスマウス」で検索をかけてみると、実に多くの製品がヒットします。日本のメーカーだとサンワサプライが力を入れていて、エルゴノミクスマウス専門ページまで用意されています。大半はOEM生産なので、海外通販だと一回り安く手に入るものも多いですが、そこは安心料なので適宜判断してください。
価格は、だいたい1000円台半ばから4000円くらい。「いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。」とは、かの「HHKB」開発者の和田英一教授の言葉ですが、それはマウスにも言えるはずです。比較的安価に試せるエルゴノミクスマウスの世界、あなたもさまよってみませんか?
コメント
サンワサプライの前の型を使っている。
最近のものは、送り、戻しのボタンが、上の方に付いている物が多いのですね。
サンワサプライの前の型は、下に付いている。
本当だ、ざっと見ると、上側に付くパターンが多いようですね。
ただ、まだ下側のもありますよ。今回レビューした2つ目のは下側ですね。私も、ボタンは下側の方が押しやすいと思います。
変わり種として、まとめのところで、店頭にて握っている写真が貼ってあるのはDelux「M618 PLUS」というやつで、こいつは上下に分かれて配置されています。